前回のブログでは、17年3か月の犬生を、大好きな母の腕の中で静かに閉じたビーグル犬リンダのお話をしました。
今日は、わたしの人生で初めて飼った犬=サブのことをお話しようと思います。
【我が家に犬がやってきた!】
わたしが子供のころは、まだまだ飼い犬=番犬という認識が一般的で、外犬もかなりの比率いたものです。
(お庭番は現在49歳。40代に左手の小指の第一関節でかろうじてぶら下がっている状態でございます)
幼稚園の頃、我が家には犬がいませんでしたが、ご近所で飼っているワンちゃんと遊ぶ・・・いや、遊んでもらうのが大好きでした。
近所を練り歩いてはピンポンダッシュしたり、ご近所のお庭にいるワンちゃんの鼻に花粉をくっつけてクション!とさせるなど、いま思えば悪ガキ以外の何物でもありませんでした。
いやあ・・・よく咬みつかれなかったものです(-_-;)
そして、口を開けば
「犬飼いた~~~~~~い!!無理ならパンダでいい」
などと言って・・・
ええ・・・たぶんバカだったんでしょう。
今もまったく成長していません・・・(タメイキ)
幼稚園を卒園する少し前、念願かなって我が家に犬がやってくることになりました。
【名前はサブ】
幼稚園を卒園して、小学校に上がる前の春休みに、我が家は同じ市内ではありましたが、お引越しをしました。
その新居に移るタイミングで、犬を飼ってもらえることになったのです。
遠い親戚のおばさんの家にいた、ネロという犬の子供で、とっても可愛らしいアメリカン・コッカースパニエルの男の子でした。
まだ小さかった上に、そもそも
海馬になんか問題でもあるのか?
と自分でも訝しく思うほど記憶力に問題のあるわたしのことですから、その当時のサブに関する記憶は、非常にあいまいで断片的です。
けれども、犬の名前を決める家族会議にて、せっかく可愛い名前を色々と考えていたのに、最終的に2才上の兄と父が
兄「又三郎がいい!」
父「長い!」
兄「じゃ、三郎」
父「長い!犬といえばポチだ」(←?)
兄「んじゃあサブ!サブで!!」
父「うむ!」
とか言って、アッサリと”サブ”に決定してしまったことに
すっごい不満~~!
と思っていたことは覚えています。ま、今となっては時効ですから、そろそろ兄を許しましょうか(←逆に40年以上経っても根に持っていたんかーい?!)
今、コッカースパニエル相手に”サブ”なんてシブい名前をつけるご家庭は、そうそうないでしょう・・・
【サブとの日々】
絶望的なわたしの記憶を辿りながらですので、非常にあいまいではありますが、覚えていることを書かせていただきます。
サブは、真新しい新居の、まだ生えそろっていない芝生の上でよくわたしたちと遊んでくれました。
サブの毛は、柔らかくてとっても手触りがよく、わたしはサブを抱きしめて、その柔らかい毛にほっぺたをスリスリするのが大すきでした。
外飼いでしたが、4帖ほどの広さの屋根付き物干しスペースが、サブの居場所でした。
わたしが父に
「こういう、スヌーピーのおうちみたいなのをサブに作ってあげて」
と、絵を見せながら頼み、父はヨッシャ!とサブのための犬小屋を作ってくれました。
出来上がったのは、
何かの手違いでは・・・?
と思うくらい、オーダーしたスヌーピーハウスとは全くの別物でしたが、入口の上に
『サブのいえ』
と書いた板を張り付けて完成♪
「サブ、入ってごらん!よかったねぇ、よかったねぇ~!」
と一家で喜んだシーンはよく覚えています。
当時、サブのごはんは、人間のごはんの余りものでした。
そういう時代だったんです。
よく母が、冷ごはんにお魚の骨とお味噌汁をぶっかけにして、サブにあげていました。
今考えると、明らかに塩分過多ですが、きっとすごく美味しかっただろうなと思います。
わたしは、サブがお魚の骨をバリバリと噛み砕いて食べるのを眺めているのが好きでした。
これが、わたしが覚えているサブの記憶のすべてです。
【うそでしょう?!】
前回のブログに登場したビーグル犬リンダについては、ことあるごとに家族で思い出話をするのですが、サブについて家族間で語られることはまったくありませんでした。
つい1か月ほど前のことです。
お客様からお預かりしたアメリカン・コッカースパニエルちゃんの画像を眺めながら、
わたしはふと母に
「サブと一緒だよねぇ。ねえ、サブのこと、覚えてるでしょ?」
と訊いてみたのです。すると母は、とても訝しそうな表情をして・・・
母「え?なんのこと?」
私「やだ~、サブよぉ!コッカースパニエルの。小さい頃に洋光台(地名)の家で飼っていたでしょ?」
母「ええ?!知らないわよ~~。犬なんて飼ってなかったわよ!アナタ何言ってるの???」
本当に覚えていない様子の母に、わたしはゾっとしてしまいました。
母は、動物が、特に犬が大すきな人なのです。
あんなに可愛がっていた飼い犬のことを忘れるなんてことはありえません。
「ついにキタか・・・痴呆のはじまりか・・・わたしも腹をくくらなくては・・・」
わたしはドキドキしながらそう考えざるを得ませんでした。
けれども冷静に考えると、80才近くなっている母はどちらかというと、直近の記憶よりも昔の記憶の方がクリアで、口を開けば、かなり古い話を細かいところまでよーく覚えていて、繰り返し語るわけです。
忘れちゃってるなんて、やっぱりおかしい・・・
すると、わたしの記憶がウソなの?サブのあの柔らかい毛の肌触りも・・・
まぼろし~~~~~~~い?!
【サブとの別れ】
いいえ、まぼろしなんかではありません。
サブは確かにいましたよ。我が家のたいせつな一員でした。
それが証拠に、その後兄と話したところ、わたしのサブに関する記憶は確かだったということが判りました。
実は・・・
サブとのお別れは、あまりにもあっけないものでした。
サブを飼い始めてまだそう長くは経っていなかったある日、母の実家に里帰りすることになったわたしたちは、サブを元飼い主のおばさんに3~4日預かってもらうことになったのです。
サブにとっては生家であり、お母さん犬のネロがいるおうちです。
母は安心して遠縁のおばさんにサブを託したことでしょう。
ところが・・・
帰省から戻ったところ、おばさんから、次のような連絡が入ったのです。
「あの子はダメだ。狂ったように吠えるダメ犬だから処分したよ」
わたしが覚えているのは、それを聞いた母が、小さいこどもの手前、怒りと悲しみをこらえながら
「どうして・・・どうして・・・?せめてどうして相談してくれなかったの?」
と泣いている姿です。
そして、わたしも兄も、幼心にサブのことについては話題にしてはならないのだと悟り、それから家族の間でサブのことが語られることはなくなっていたのです・・・
わたし自身、その時自分が泣いたのかどうかも記憶していません。
普通に考えれば、大好きだったサブがいなくなったことを知らされたのですから、きっと号泣しただろうと思いますが、何も覚えていないのです・・・
【封印されたサブの記憶】
つい先日、一緒に夕食を摂りながら、もう一度母にサブのことを覚えていないか尋ねました。
すると、
母「うん・・・覚えているわよ・・・」
私「え?!覚えてるの?でもこの前お母さん、覚えてないって言ってたでしょ?」
母「うん・・・言った。あの時はなぜか、本当に思い出せなかったのよ」
私「ええ?!ねえ、おばさんはどうしてサブを勝手に処分したりしたの?」
母「・・・・・わからないのよ」
私「そんな・・・!だって、サブはうるさく吠えたりする子じゃなかったわよね?すごくいい子だったわよね?」
母「そうよ!サブはいい子だったわよ!だから・・・わからないのよ・・・」
私「おばさんに理由を訊かなかったの?訊くでしょう普通?なんて言ってたの?お母さん、おばさんに怒らなかったの?」
つい感情的になって、母を問い詰めたわたしでしたが、母の様子を見てハっとしました。
その時母は、凍ったような無表情で、目の前のお皿にのったおかずを、お箸でクルクルと回転させていたのです。
母はマナーにうるさい人で、お箸でおかずをもてあそぶような真似は絶対にしない人です。
それが、まるで小さな子供が食べたくないおかずをこねくり回すようなことをしていることに、わたしはギョっとしてしまったのです。
その母の異様な様子から、わたしはこれ以上サブのお話をするのはもうよそうと思いました。
恐らく、母にとって、あまりにも辛すぎる記憶だったのでしょう。
そして、その辛すぎる記憶を、母は封印していたのでしょう。
それを無理に掘り起こすことは、母にとって大変酷なことなのだと、わたしは悟りました。
【ごめんねサブ】
サブを処分したと言っていたおばさんも、既に亡くなっています。
父も亡くなり、母は記憶を封印しています。
そして、兄とわたしは当時幼かったため、本当のことは聞かされてもいませんでした。
ですから、今となっては、サブがどうして処分されなければならなかったのか、真実は判りません。
母が、お皿の上のおかずをこねくり回しながら、最後に小さな声でこう言いました。
「きっと、サブを欲しいっていう誰か他の人が現れたのよ。それでおばさんは、そのことをわたしに言いづらくって、あんな風に言ったんじゃあないのかしら・・・」
・・・もし、本当に母の言うような理由だったとしたら、
「処分した」
などという非道いことを言わず、嘘の言い訳をするにしたって、
ウッカリ逃げてしまったなり、体調が急変して亡くなったなり
もう少しマシなことを言うと思うのです。
いずれにしても、父や母に事前になんの相談もなかったのですから、あまりにも非常識極まりない、信じられないお話です。
もし当時わたしが大人だったなら、絶対に許さない。許せないことだったと思います。
とにかく、母は一時はサブのことを記憶からまったく消してしまっているほどに、そして、思い出したとしても「誰かにもらわれて幸せになったのかもしれない」という風に、その記憶を塗り替えでもしなくては、正常な精神状態が保てないくらいのショックを受けたのだということでしょう・・・
これが、お話できるサブのすべてです。
あまりにも短い、サブとの時間。
あまりにも少ない、サブとの記憶。
我が家には、兄やわたしが小さかったころの写真や、リンダの写真は佃煮にするほどたくさんあります。
けれども、サブの写真や、サブのおうちの写真は一枚もないのです。
きっと、サブがいなくなった当時、あまりの哀しみに母が処分してしまったのではないかと思います。
それでも、わたしの心の中にある、サブのあの柔らかい毛並みの記憶は、決して色あせることはありません。
サブは今、虹の橋のたもとで、何を思っているのでしょうか・・・
父は必ず、リンダと共にサブを抱きしめて、
「ごめんな。サブ・・・!」
と言いながら、たくさんたくさん撫でてやっているに違いない。
そう思うのです。
わたしは今、サブへの贖罪のような気持ちを心の奥に抱えて、ペットホテルを経営しています。
お預かりしたワンちゃんが、できるだけストレスを感じずにお留守番していられるように・・・
そして、何よりも無事に、元気な姿で飼い主さんのところに帰れるように・・・
もし、万が一、高齢のワンちゃんや病気のワンちゃんに、お預かり中にもしものことがあったとしたら、真っ先に飼い主さんに連絡をしてあげられるように・・・
それを肝に銘じて、日々ワンちゃんたちのお世話をさせていただいています。
思い出話におつきあいいただいて、ありがとうございました。
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