前回のつづきです。
【アレルギーの過酷な現状】
Kちゃんのような、おりこうで可愛いワンちゃんが、どうしてこんなに辛い目に遭わなければならないのでしょう・・・
Kちゃんの飼い主さんのような、愛情あふれる優しい方が、どうしてこんなにも大変な目に遭わなければならないのでしょう・・・
Kちゃんや飼い主さんが、一体何をしたっていうんでしょう?!
アレルギーというのは、一歩間違えばアナフィラキシーショックによって命を脅かす恐れがある疾患です。
にもかかわらず、先進国の現代人にとって、あまりにもポピュラーになってしまったがために、また、普段は命の危険と隣り合わせではないという理由で、その大変さがあまり認識されていないように思います。
けれどもアレルギーは、日常生活そのものに24時間不快感がつきまとう、それはそれは辛い疾患です。
お世話をする親御さんや飼い主さんのご苦労も想像を超えています。
ワンちゃんのお話ではありませんが、
わたしの友人には、生まれつきアトピーの長女がいます。
まだその子が赤ちゃんだったころ、痒がってまったく寝付かない娘につきっきりだった彼女は、常に寝不足でした。
全身を掻きむしり、血だらけになるパジャマ・・・だから真夏でも娘の手に手袋をはめ、取れないように包帯でぐるぐる巻きにしたりしていました。
夕食の食材を買うだけで、何時間もかけて自然食品のお店を何件もハシゴしていました。
海水が効くと聞けば、毎日毎日海まで何往復もして、バスタブ一杯分の海水を搬送してきては、娘を入浴させていました。
一時は娘を手にかけて自分も・・・
と本気で考えたこともあるそうです。
痒みで一日中ギャーギャーと泣き叫ぶ我が子に、寝不足も重なってつい声を荒げ、手を上げてしまった時も1度ならずあるそうです。
『完全に精神的におかしくなっていたよ。虐待寸前だったと思う・・・』
そのころを振り返って彼女はよく言っています。
出費だって、大変なものです。
■診察代・お薬代・通院費(頻繁に通院するため大きなコストです)
■食費(摂取可能な食べ物は流通量が少なく高価なことが多いです)
■ビタミン剤や栄養補助食品、対策グッズなど(効くといわれればなんでも試します)
羽が生えたようにお金はどんどん飛んでいきます。
更に、アレルギーの人やペット、その飼い主さんを一番苦しめるのは、その治療法が確立されていないということです。
先の見えない辛い日々・・・いつ出られるのかわからないトンネルの中にいるようなお気持ちでしょう。
Kちゃんの飼い主さんのメールを読んで、そんな日々を前向きに過ごされているお姿に、本当に頭が下がりました。
『へぇ~!〇〇もアレルギーなの?大変だねぇ~!』
などという一言では済まされない、アレルギー疾患が患者さんとご家族に与える過酷な現状がそこにはあるのです!
【それでも希望はある】
前回までの記事で、ここ近年アレルギーの人やワンちゃんが先進国で増え続けている理由について書いてきました。
理由が判ってきているのですから、生まれながらにアレルギー体質の子供や、アレルギーになりやすい体質の子供をこれ以上は増やさないための手がかりは掴めたも同然だと思います。
(それが実行に移されているという気配は残念ながら一向に感じませんが・・・)
少し希望がもてるお話ですね。
一方で、今現在、実際にアレルギーで苦しんでいる人やワンちゃんに確実に有効だと言われる治療方法はいまだ確立されていません。
ステロイド剤のような強い副作用や反動が出るお薬以外の方法で、辛さが軽減されるようになる日が一日も早く訪れることを祈ってやみません。
研究により、アレルギーと腸内細菌環境の関係性がここまでわかってきているのです。
腸内フローラの研究も日進月歩です。
今はまだ、わたしたち人類はアレルギーを克服できていませんが、きっと近い将来、アレルギーの子供やペット、ご家族や飼い主さんの過酷な負担を軽減する、良い治療法が見つかるはずだと信じています。
【人間の潜在能力をもっと信じよう】
くどいようですが、これだけは言いたい!
ここ数年の異常なくらいの清潔志向は、わたしにとって本当に気味が悪い以外の何物でもありません。
わたしが子供のころなどは、遠足でお弁当を食べる前には”オシボリ”で手を拭いていました。
さんざん泥んこ遊びをしたり、虫やカエルを触った手を、お母さんが水で濡らして絞ってケースに入れて持たせてくれた”オシボリ”でチャチャっ!と拭くだけ・・・
当然バイキンなんかやっつけられません。せいぜいドロ汚れが落ちて見た目がキレイな雰囲気になるくらいです。
なんなら”オシボリ”自体にむしろ雑菌がワンサカ繁殖していたかもしれません(笑)
その手でオニギリやサンドイッチを直接持って、モグモグ♪と食べていました。
たくさんの雑菌を日常的に少しずつ体に取り込んで、抵抗力をつけていっていたのです。
今はどうでしょう?
子供も大人も、いつでもアルコール除菌シートを持ち歩いて、事あるごとに拭いています。
テレビCMを見れば
除菌・消臭
の言葉がまるでわたしたちを強迫するかのように流れています。
通販番組では、わざわざ見せなくてもいいのに、お布団に潜んだダニの死骸や大腸菌なんかを顕微鏡で見せつけて恐怖を煽っています。
そんなもの、見えようが見えまいが、いつでもどこでも、わたしたちの身近にウヨウヨいてあたりまえの雑菌や微生物たちなのに・・・
わたしたちはそういったものと仲良く暮らしてくることによって、強く健康な体を保ってきたのに・・・
どうかお願いです。
現在、除菌シートやスプレーを手放せないという方。
よーく考えてみて下さい。
わたしたちの身体には、元々体に危険を及ぼす細菌に立ち向かうための機能が備わっています。
皮膚には皮膚常在菌がいて、それが健全な状態であれば、放っておいても危険な菌と闘ってくれています。
唾液だって同じです。体内に悪さをする菌が侵入しないようにたくさんの常在菌がいて、わたしたちを守っています。
除菌ジョキン!99.9%ジョキーーン!!
などといって、やたらと除菌グッズやマウスウォッシュを使うたびに・・・
殺菌力や洗浄力の強い洗剤やボディソープやシャンプーを乱用するたびに・・・
わたしたちを守ってくれている皮膚や唾液にいる常在菌たちを、いちいち根こそぎ死滅させているんですよ!
そして、まったくのハゲ山になったようなアナタの皮膚や口の中に、空気中に漂っていたり、手すりや吊革にウヨウヨと蠢いている大腸菌だったり黄色ブドウ球菌だったり、インフルエンザウィルスだったりが
ラッキーーー♪ここ、空いてるよ♪
とばかりに群がってきている様子を想像してみてください。
もちろん、不潔にしておくべきだ・・・などと言っているのではありません。
日本人はとってもきれい好きな国民です。
それは美徳であり、素晴らしいことです。
わたしがお話しているのは、いきすぎた衛生状態の追及への警鐘です。
細菌やウイルスたちは、人間が作り出すワクチンや除菌剤に対抗して、どんどん進化し、形を変えて強くなっているのはご存じですよね?
それにひきかえ・・・
わたしたち人間は、逆にどんどん無防備に、ひ弱になっていくではないですか?!
いーーんですかっ?!
滅んじゃいますよ!!
商品が売れればそれでいいメーカーなんかに踊らされてはなりませぬ!(フンガッフッフ)
最後に・・・
わたしが子供たちを出産した助産院の助産婦さんんが言った言葉をご紹介しておきます。
『医療の進歩は確かに流産や死産という悲しい出来事を減らしたけどねぇ、
それによって人間は、本来は淘汰されるべき弱い個体を無理矢理世に送り出してしまっているのよねぇ。
そうやって医療の手を借りてやっと生き延びた子たちがまた子孫を増やしていくのは、常に強い個体を残していくという動物の進化論に反しているのよね・・・
結果的にそうやって産まれた子たちはずっと病や疾患と闘いながら、ずっと医療の助けを借りてしか生きていけない。
現代人は、目の前のしあわせを追い求めすぎて、長い目で見れば人類全体のしあわせをないがしろにしているような気がするのよねぇ・・・』
わたしは、本当にそうだなぁ・・・と感じました。
けれども、自分が1年近くもお腹の中で育ててきた我が子の命が危ないと言われたとき、
「帝王切開にすれば助かります」
「抗生物質を投与すれば救えます」
といった提案を断ることはできないとも思うのです。
わたしたちは、目の前で消えかけている愛する者の命を救う手段があれば、それにすがってしまう・・・当然ではないでしょうか。
医療の進歩と、自然の摂理のバランスを、わたしたちはどのようにして取っていけばいいんでしょうね。
みなさんは、どのように感じられましたか?
<今日のPet Hotel 11!>
他のワンちゃんに、どうしてもガルガルしちゃう 怖がり風子ちゃんは、まだ生後7か月。 だんだんに慣れていこうね~! |
ボス「ねえねえマメくん、ボクたちすごくいいコンビだと思うんだ~」 マメくん「いやいやいやいや・・・それはどうかなぁ?」 |
7ヵ月になったばかりのププちゃんは天真爛漫。 「遊んで遊んで~」が止まりません(笑) |
すっかり常連さんのハナちゃん。 「ワタシの別荘に知らない子がたくさんいる~」 |
雨でお庭に出られないので、少しイジけて ペチャンコになっているメデタちゃん。 また遊びにおいでね~! |
雨のやみ間に・・・ 「今日は涼しいねぇ~」 「モグモグガリガリ・・・」 「きいてないか・・・」 |