3日ほど前のニュースです。
鹿天国の奈良で、天然記念物の鹿に対して、捕獲のためのワナ使用が初めて許可されたという内容です。
【神の使い(神鹿)は天然記念物】
奈良公園の周辺など奈良市内の鹿は神の使い=神鹿(しんろく)と言われ、ずっと昔から大切に保護されてきました。
昭和32年には、「奈良のシカ」として国の天然記念物に指定されています。
奈良に行ったことがある方はご存じかと思いますが、奈良市内では、鹿公園に限らず、フツーに交差点を鹿がパカパカ歩き回ったり、おみやげ物屋さんの軒先をプラプラとウィンドウショッピングしていたりするんですね。(←観光客からのエサをおねだりしているだけ)
そう、奈良公園の鹿たちは、誰かに飼われていて、行動範囲が制限されているというわけではなく、ああ見えてれっきとした”野生の鹿”なんです。
フリーですよ。フリーの野良鹿!!
そのため、信号を理解していない鹿さんたちが自由気ままに道路に飛び出したり、時には車道に座り込んでいたりするわけで・・・
奈良では鹿さんが交通事故の被害に遭う件数が年間150件もあるんです!(そのうち100件弱は悲しい死亡事故)
【1200頭の”神の使い”がやりたい放題】
そんな鹿天国の奈良では、頭数が増えすぎた鹿が奈良県郊外を中心に畑の農作物を食い荒らす深刻な被害が増加して、これまた随分前から問題となっていました。
奈良には、奈良市内だけで1200頭以上の鹿が生息しているそうです。
鹿は、植物という植物を片っ端から食べてしまう、実に食欲旺盛な生き物で、鹿の群がいると小さな山はたちまちハゲ山になってしまうともいわれているくらいです。
ですから、鹿を大切に保護しているのは奈良くらいで、他の地域では一般に鹿は”害獣”と呼ばれているわけです。
そのため、鹿が、奈良市近郊の農作物に与える被害額は年間60億円にものぼるといわれています。
大変ですねぇ、奈良の農家の方は・・・三浦に引っ越してくればいいのに・・・
農家のみならず、一般家庭のプランターの植物も、”神の使い”にかかればただのサラダバー・・・フン害も相当のものです。
【一度は駆除を検討したものの・・・】
そんな深刻な被害状況を受けて、5年ほど前に、鹿の駆除も含めた対策を検討しようというお話になりました。
ところが、まだ検討段階で、そのお話はたちまちつぶれました。
なぜなら『検討に入る』というニュースが流れたとたん、奈良県庁の電話がパンクするほどのクレーム電話が殺到し、通常業務に支障をきたしたからです。
中には県外からの
「自分の住んでいる地域では鹿は害獣として駆除されてしまうが、奈良だけは保護してくれると思っていたのにー!」
というような電話もあったといいます。
【今回は駆除ではなくて捕獲のみ?】
そういった経緯もあって、『鹿を保護しろ!』という人々と、『食害をなんとかしてくれ!』という人々との板挟みになった奈良県の担当職員さんたちは鹿ノイローゼ寸前だったのでしょう(←勝手な憶測です)
このたび遂に、初の対策に乗り出したというわけです。
その具体的な内容は・・・
●2017年7月31日より、奈良市郊外で特に被害の多い6か所に箱形のワナを仕掛けて鹿を捕獲する。
●来年3月までに最大120頭のシカを捕獲してその後逃がしたい。
というものです。
『その後逃がしたい』ってことですが、その後っていうのがいつか?は不明です。
なんとなく・・・前回のクレーム電話殺到の経験から、この内容にするのが精いっぱいで、その後のことはまた後回し・・・
という感じがします。
保護団体の人に対しては
『後で逃がしますから~』
農家の方たちには
『ちゃんと捕獲しますから~』
ってね・・・
鹿の管理を担当する奈良県奈良公園室は、
「奈良公園は鹿と共存する世界でもまれな地域であり、今後も守っていきたい。ただ、郊外では捕獲は農家が長年、願っていたことであり、やむをえない」
とコメントしています。
確かにね・・・
【ちゃんと考えた方がよいのでは・・・】
板挟みに苦しむ行政職員さんたちの気持ちは解ります。
それに、神鹿とか天然記念物ということを除いても、野生の鹿が市街地で人間とごく当たり前に共生しているという風景そのものは素晴らしいと思います。
海外からの旅行者にとっても、それが大きな魅力となっていて、莫大な観光収入を県にもたらしているのも事実でしょう。
だけど・・・
天然記念物として保護した時点で、このような事態になることは想像できなかったんかい?
というギモンが湧いてしまいます。
極端に保護するということは、自然淘汰の法則が働かない状態となり、もはや純粋な”野生”とは呼べません。
”生き物”に対して人間の手が少しでも加えられ、”自然”ではない状態にしてしまったら、最後まで責任を持ってきちんと管理していくしかないのではないでしょうか。
保護しすぎて天敵のいない環境・・・そこで増えすぎた鹿を、今度は殺処分するとなれば、人間のエゴでしかありません。
なんとか、たとえば避妊などの措置をして増えすぎない工夫をすることはできないものでしょうか?
今回のニュースを、わたしは犬たちの問題とオーバーラップさせて見てしまいました。
パピーミルで子犬が無制限に生み増やされて流通されることを全く規制せずに、一方でたくさんの犬たちを結局は殺処分しているのと同じ問題が、ここにあるような気がするのですが、みなさんはどう思われますか?
今回の内容とはまったく関係ありませんが、野生の鹿と犬の動画をひとつご紹介します。
子連れの鹿が、たまたま通りかかったボーダーコリーらしきワンちゃんに襲い掛かるという、かなりショッキングなものです。
鹿の方も子供を守ろうと必死だったのでしょう。
飼い主さんも成すすべなく悲鳴をあげています。
奈良では、こういったことは起きていないのでしょうか・・・
と思って調べたら、やっぱりあるみたいです。
特に夏前のシーズンに犬連れで奈良公園をお散歩していて襲われるケースが。
子連れの親鹿(←パっと見”親馬鹿”に見えるけど”親シカ”ね)が警戒しているので、地元の人は犬連れでは近づかないそうです。
とにもかくにも、
リードはやっぱり大事!!
と改めて思いました。
<今日のPet Hotel 11!>
初めてお泊りにきてくれた、こわがりチコくん |
最初は小春ちゃんを怖がっていたマロンくんも こんなに仲良くなったよ |
ね?大丈夫だよ。だから一緒に遊ぼ~! |
チコくん・・・そこは小春ちゃんのおうち! |
チコにおうち盗られたーーー!! |
だからオヤツくださ~い! なんでやねんっ?! |
そーだそーだ!撫でてくださ~い! だからなんでやねんっ?! |