前回のブログのつづきです。
【お母さんから赤ちゃんへの贈り物】
■帝王切開と自然分娩
実は最近の研究で、帝王切開で産まれたこどもと自然分娩で産まれたこどもには、大きな違いがあることが判っています。
自然分娩で産まれた赤ちゃんの口や皮膚、腸内は、お母さんの膣常在菌で埋め尽くされています。
一方、帝王切開で産まれた赤ちゃんは、ブドウ球菌やコリネバクテリウム属菌といった、空気中によくいる細菌が優位になっているのです。
このことは、ベネズエラで行われた調査でも実証されています。
正常分娩で生まれた赤ちゃんには、お母さんの産道の細菌が定着していたのに対して、帝王切開で生まれた赤ちゃんに定着していたのは、赤ちゃんを取り上げた医師や看護師の皮膚常在菌だったという結果が出たんです。
これは、生物学的に本来予定していた種類とは違う細菌が赤ちゃんに定着してしまっている状態を作り出しています。
■母体の神秘
女性の身体は、妊娠していない期間は膣内を酸性に保って産道からの細菌感染を防いでいます。
妊娠すると、膣内は乳酸桿菌が圧倒的に優位になり、更に出産間際の妊娠後期になると、膣分泌液には大量のグリコーゲンを含むようになります。
このグリコーゲンは、乳酸を分泌する細菌たちの餌になるので、乳酸菌の増殖を手助けすることになります。
さあいよいよ出産・・・
赤ちゃんが産道を通っているまさにその時!
お母さんの身体で準備されていた細菌が赤ちゃんに移植されるんです。
赤ちゃんは、産まれたその瞬間から、すごいスピードで体に必要な細菌の定着を進めていくことができるんですね。
更に・・・
お母さんの身体は更に赤ちゃんのための変化を続けます。
乳頭の奥の方にビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)のコロニーを生成するのです。
そこを通って出てきた母乳を飲むことで、赤ちゃんは大量のビフィズス菌を取り込むことができるという仕組みです。
これが、その赤ちゃんの腸内環境を決定づける”腸内フローラ”の基礎となるのですね。
その上、母乳にはたくさんのオリゴ糖が含まれていますが、実は赤ちゃんはオリゴ糖を消化することができません。
なんで赤ちゃんが消化できないオリゴ糖がそんなにたくさん入っているのかというと、オリゴ糖はビフィズス菌の大好物♪
そう、オリゴ糖は赤ちゃんの腸内環境を良くするビフィズス菌のエサだったんですね!
■アソコをチョキン!
最近では、赤ちゃんの出産時に会陰切開をするケースがほとんどです。
会陰切開とゆーのは、赤ちゃんの出口の皮膚が出産時に裂けてしまわないように、予めハサミでチョッキン♪してしまうことですね。(ンギャーーーッ!!)
裂けるよりは綺麗に切っておいた方が傷の治りが早くなるから・・・というのがその理由です。
けれども、本来の理想的な出産というのは、会陰切開をせずとも会陰が裂けたりしないように、根気よく長い時間かけて出産することなのです。
短時間では裂けてしまうけれど、長い時間かけて徐々に伸ばせば裂けないんです。
だって本来女性の身体は赤ちゃんを産めるようにできているんですからね。
ではなぜ、最近の出産のほとんどは会陰切開をしてしまうのでしょう?
それは、産婦さんが長く陣痛に耐えなくてもいいように短時間で出産させることがよいからだと言われていますが、産婦人科の知人によると、実はお医者さん側の都合もかなりあるといいます。
要するに、短時間でチャッチャと分娩を終えた方が回転率も上がるし、医師や看護師の拘束時間も短くなる・・・まあ儲かりまっせってことですかね・・・(-_-;)
■大事な贈り物が・・・
なんで急に会陰切開なんかのお話をしたかというと・・・
その会陰切開をする際に細菌感染を防ぐために抗生物質を使用するということが、赤ちゃんの腸内細菌に大ダメージを与えるからです。
ご存じのように抗生物質というのは細菌をやっつける物質です。
でも、都合よく悪玉菌だけをやっつけて、善玉菌は残してくれる抗生物質はありません。
そう・・・
産道の乳酸菌まで全滅なんです・・・( ノД`)
つまり、帝王切開で産道を通らずに産まれてきた赤ちゃんも、会陰切開などでお母さんの身体に抗生物質を投与された状態で産まれてきた赤ちゃんも、お母さんの産道から本来受け取るはずの大事な乳酸菌という贈り物を受け取りそこねてしまうというわけです。
■不自然な出産が増えている
帝王切開も会陰切開も、母体の安全を考えれば必要なことは当然あります。
ですから、それ自体がダメだというわけでは決してありません。
けれども問題は、必然性がない帝王切開や会陰切開が異常に増えているという現状なのです。
2015年にはWHO(世界保健機関)も、不適切な帝王切開率に警鐘を鳴らしています。
現在、先進国で行われている帝王切開のうち、本当に必要と思われるのは10~15%だというのですね。
本当は必要ない理由というのは例えば・・・
陣痛の痛みが怖いから麻酔してお腹切ってほしい・・・とか
縁起のいい日に産みたいから・・・とか
病院の空きベッドの都合で・・・とか
医師のゴルフの予定がある日は産ませない・・・とか
とかとかとかとか!!
そういうしょーーもない理由です(プンスカ!)
会陰切開が増えている理由は、上でお話したとおりですね・・・
また、出産前の検査で産婦の膣内の細菌検査が陽性だったりすると、現在では簡単に抗生物質を投与するともいいます。
タメイキ・・・
健康で強い生命を残すための出産という大事な場面で母体に起きている神秘的な変化には、何一つ無駄なことはないはずです。
なのに、その過程を安易にショートカットしてしまうことによって、現代人は赤ちゃんが本来受け取るべき乳酸菌に、どれだけ多大な影響を及ぼしているのでしょうか・・・
【腸内細菌環境とアレルギーの深い関係】
おいお庭番!あんたずっとアレルギーと無関係なお話ばかりしているぢゃ~ん!
とお感じかと思いますが、やっとやっと、腸内細菌環境とアレルギーの関係性についてお話しますね。
実は、生まれつきアレルギーやアトピー体質のこどもたちの便を検査した結果・・・
そうでないこどもたちの腸管内にはたくさん生息しているの善玉菌の一種である乳酸菌が極端に少なく、代わりに雑菌群が多く繁殖 しているということが判っているのです。
つまり、アレルギーやアトピーのこどもたちは、生後間もなくから腸内環境のバランスに大きな乱れが生じているということです。
また、マウスを用いた動物実験では、乳酸菌を食べさせると気管支喘息の程度を軽くすることができたという報告もあります。
このように、お母さんの身体から受け取る乳酸菌は、アレルギーになりにくい腸内環境を作るために、大切な役割を果たしていることが判ってきているのですね。
【犬の場合は?】
あのさあ・・・
帝王切開とか抗生物質とか、ワンちゃんとは何の関係もないんじゃないの?
と思いますよね?
でも・・・
毎年、フィラリア予防でいただくお薬。
実は抗生物質の一種なんです。
フィラリアの幼虫は抗生物質が苦手なので、抗生物質を与えることでフィラリアが生きていけない環境を作るのですね。
でも・・・さきほどもお話したように、都合よくフィラリアの幼虫や悪玉菌だけを排除してくれる抗生物質はありませんから、当然たいせつな乳酸菌をも破滅に追いやってしまうんですね。
フィラリアはワンちゃんの命に関わる恐ろしい寄生虫ですから、予防は大事です。
フィラリア予防とワンちゃんの腸内環境を良好に保つということは、トレードオフの関係になっているとしたら、実に悩ましいとは思いませんか?
長くなってしまったので、つづきは次回にします。
<今日のPet Hotel 11!>
ボスとなつを連れて、油壷マリンパークに行ってきました♪
ワンちゃんをキャリーバッグに入れなくても入れる数少ない三浦市の水族館です!
わー!イルカさん 初めまして~! |
上から見るとこーんな感じ~ |
カワウソさん 逃げてーーーーっ!! |
涼しくて気持ちいい~♪ |
あっホラ!ペンギンさん、逃げてーーーっ! |