2017年7月25日火曜日

野良犬保護だけに人生をささげた男

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


『幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない』

という映画を観ました。

映画といっても1時間ちょっとの短いドキュメンタリーです。

以下はこの映画の紹介文

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1990年。千葉の奥地で数百匹の捨て犬を養う男が日本中で話題となった。

テレビ・雑誌から「愛犬家の神」と崇められ、狂気と紙一重のカリスマで多額の寄付を集めたその男・本多忠祇さんと、彼の王国である「しおさいの里」。

配下のボランティアに大雑把な飼育を暴露され、日本中のマスコミから手のひら返しの大バッシングを受けた本多さん。

支持者はひとり残らず去り、国民から忘れ去られ数十年の月日が経った今もなお、不法投棄された廃棄物のなか、たったひとりで沢山の犬を養い続けるその真意とは?
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【本多忠祇という男の人生】

わたしは、このインタビュー形式のドキュメンタリー映画を観るまで、本多忠祇さんのことを知りませんでした。

今から27年前。
行き場のない野犬たちを引き取り、「しおさいの里」と名付けた場所で自腹で世話をしている一人の動物愛護活動家が、世間の脚光を浴びました。

一時は650匹もの犬を保護して面倒をみていたという本多忠祇さんです。

当時 彼のその活動は、テレビや雑誌で大々的に紹介されて、日本中がその偉業に感動。

賞賛を浴びた彼は、たちまち”時の人”となり、ムツゴロウさんを凌駕するほどの有名人となります。

本多さんは、たくさんの犬たちを引き連れて首都圏を巡回しながら、人々に「かわいそうな犬たち」への支援を訴えました。

莫大な寄付金や、大勢のボランティアが本多さんの元に集まり、犬たちのための運動場を備えた大きな家を建てた彼は、「犬と人間の夢の国をつくる」という壮大な構想を語っていたといいます。

ところが、あるボランティアが、

予防接種も避妊去勢手術もない、ずさんな飼育環境の中、伝染病で死んでいく犬たちの傍らで、次々に生まれてくる子犬がいるという「しおさいの里」の実情をマスコミに暴露します。

この暴露によって状況は一変。

本多さんを「神」と賞賛していたマスコミは一斉に本多さんを攻撃し、彼は日本中から批難の声を浴びせられます。

その結果、住む家も土地も、すべてを失って、本多さんは社会的に抹殺されました。

スタッフとして本多さんを支えていた人々も一人残らず去り、組織は完全に壊滅してから20数年経ったころ・・・

この映画の監督は、とっくに消滅していると思っていた「しおさいの里」が、細々と存続しているということを聞きつけ、その実態を確認するために本多さんを訪ねて行きます。

千葉県の郊外。
本多さんは、廃材置き場のようなその場所にひとり立てこもって、次々に捨てられる犬たちを片っ端から拾って、面倒を見続けていました。

作品の中では、そこでの本多さんへのインタビューと、今も彼が面倒をみている野良犬たちと彼の生活の実態が、まったく脚色されることなく淡々と流されていきます。





Amazonのプライム会員の方でしたら、無料で観ることができますので、ぜひ観ていただきたい!



【作品を観た感想】

この手の作品について、ご覧になっていない方に先入観を与えないように感想を書くことは大変難しいのですが・・・

ドキュメンタリーであって、筋書きのある物語とは違いますから、まあお許しくださいな。


わたしは、頭を殴られたような感覚を受けました。

Amazonのカスタマーレビューを読んでいただくと、賛否両論だということがお解りいただけるかと思います。

わたし自身、本多さんの語る内容や、決して理想的とはいえない犬たちの飼育環境、インタビュアーの姿勢などについて、お世辞にも「すばらしい」とは思えませんでした。

それでも・・・

本多さんといる犬たちは、とても幸せそうにみえたのです。


【「正しい行い」って一体なんなんだろう・・・】

そんなことを考えさせられました。

わたしの中に、勝手な”動物愛護家”の理想像のようなものがあって、

それに合致しない動物愛護家に対しては、自分のイメージを裏切られたような不快感を抱いてしまうという身勝手はないだろうか・・・

そんな自分自身はどうだろう?
どんなすばらしい行いをしているんだろう?

人を批判できるほどわたしは偉いのだろうか?


わたしは、冷暖房のきいた快適な環境で、衣食住のどれをとっても何不自由ない生活をしていて、その恵まれたぬくぬくとした立ち位置を捨てる勇気はありません。

捨てられ、殺処分される犬たちの現状を憂いつつも、今の生活を捨ててまで、その犬たちに手を差し伸べることはしていません。

あくまでも、時間とお金に余裕があれば、その余剰分でできることをするのがせいぜいです。


でも・・・

誤解を恐れずに申し上げると、わたしはそれでいいのだと割り切っています。

無理をすれば、結局は崩壊してしまって、犬たちのためにもならないとも思っています。


それでも、少なくともそんなわたしが、本多さんを高みの見物のようにして批難する資格はないと思いますし、彼のような生き方は、わたしにはとてもできないと思いました。

そして、このドキュメンタリーを制作して下さった方がいなければ、この現実を目の当たりにすることもできなかったのも事実です。

そういう意味で、わたしは本多さんにも製作者にも敬意を表したい・・・

そんな感想を持ちました。


【本当に批難するべきは・・・】

同時に・・・

今現在、

『殺処分ゼロを目指して』

という、一見美しい言葉を冠して、行政が保健所での引取りの数多くを拒否している中、その受け皿になっている保護団体がパンク状態にあるのは事実です。

供給側(捨てられる犬たち)が減らない一方なのに対して、受容側(受け入れ団体)の場所や人員や資金に限りがある以上、一時的に臭いものにフタをしても、近い将来必ずその限界はやってきます。

いえ、もう限界に達している団体がたくさんあるのです。

多頭崩壊の現場から、犬や猫を救い出してきた団体がパンク状態に陥って、結局は更に大所帯の多頭飼育の現場のようになってしまう悲劇は、もうすぐそこにあるのです。


この作品を観て、その現実を突きつけられているような感じがしました。


行政は、いつになったら蛇口の元栓を閉めるような政策を実行してくれるのでしょうか・・・

マスコミは、いつになったら蛇口を全開にしている側を責め立てずに、本多さんのような市井の個人動物愛護家を社会的に抹殺するようなことをしなくなるのでしょうか・・・


この作品をご覧になった方には、ぜひ感想をお聞かせいただけたら大変ありがたいと思います。


<今日のPet Hotel 11!>

ボス~!そこのティッシュどろぼうを捕まえてー!
メデタちゃん、楽しかったね。またおいでね♪

ウリくん、はやいはやい!!

追いつけないボス

「・・・・・・」

ボールどこだ?どこいった?!

見つけるのはボスがはやい

「へ?」って今頃気づくウリくん

女帝”なつ”を飛び越えるなんて・・・(悲鳴)