2017年7月31日月曜日

犬のやきもち①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


前回のブログでは、犬は、不公平な扱いを受けることに対して人間と同じような感受性を持っているというお話をしました。


【理性を超える激しい感情】

この”不公平感”というのは複雑かつ繊細な感情です。

不公平感を抱くには、まず”自分と他者を比較する”ということができなければなりません。

前回の記事で例に出した太郎くんのことを思い出してください。

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太郎くんは、トイレ掃除をするとママに100円もらえるので、喜んでトイレ掃除をしていました。
ところが!太郎くんのお姉ちゃんは、同じようにトイレ掃除をして1000円もらっていたことが判明しました。
太郎くんはその不公平感にイジけて、きっとお姉ちゃんを妬み、ママに不信感を感じ、そして、

『意地でもトイレ掃除なんかするかーーいっ!』
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・・・でしたね?

ここで気づいていただきたいのは、太郎くんは

な~んにも損をしていない

ということなんです。

トイレ掃除をしなければ1円ももらえませんが、掃除しさえすればたとえ100円でもちゃんともらえるんですから、100円得しているんです。

むしろ、イジけてトイレ掃除をやめてしまった方が損になるわけですよ。

なのに太郎くんは、お姉ちゃんが自分よりうんとたくさんお小遣いをもらっていることに気づいてしまった途端、100円へのモチベーションが下がってしまったのですね。

つまり、太郎くんがトイレ掃除を拒否した理由は、

自分より優遇されているお姉ちゃんという比較対象が現れたから

という一点に尽きます。

前回のブログに書いた実験に登場した犬たちも同じでしたよね?


何が言いたいかと言うと・・・

不公平感に対する反応(行動)は、頭で考えるものではなく感情的なものだということです。

その感情を一言で表すとなんだろう?って考えると、おそらく

<悔しさ>

ではないでしょうか?

■不当な扱いを受けたことへの悔しさ(プライド)
■自分より優遇されている他者への悔しさ(嫉妬)

これって・・・やきもち・嫉妬・ジェラシーってことですよね?
頭や理性で冷静に行動ができなくなるくらいの激しい感情です。

そう、愛犬家のみなさんはよくご存じですよね?
犬はとってもやきもち焼きなんです。


【やきもちは高度で複雑な感情】

”不公平感”や、”やきもち”による悔しさは、少し前までは人間以外の動物には複雑すぎる感情だと考えられていました。

このような感情は、社会的協調を高いレベルまで発達させた人間ならではのものだ・・・
という考え方です。

確かに複雑な感情ですよね?
複雑すぎて、時に人間は、自分でもその感情をうまく処理できず、自己矛盾に陥ることだってあるくらいですもの!

けれども数々の研究によって、集団生活をする動物には大なり小なりこういった感情が本能的に備わっているのではないか?
ということが判りつつあります。
(チンパンジーなどの霊長類・カラスなどの一部の鳥・そして犬といった動物です)

現に、小難しい研究なんかしてもらわなくたって、犬を飼っている人で

『犬はやきもちをやくらしいよ!』

ときいて驚く人は少ないでしょう。

・・・というくらい、犬のやきもちは常識です。

だからかもしれませんが、犬のやきもちに関する具体的な研究は、意外なくらい、つい最近までされてきませんでした。


【犬のやきもちに関する実験】

この実験は、つい3年前の2014年にカリフォルニア大学サンディエゴ校の心理学者クリスティン・ハリス(Christine Harris)氏のチームで行われました。

ハリス氏は、ご両親が飼っている2匹のボーダーコリーと遊んでいるときに

「2匹に対して同時に注意を払い、なでたり話しかけたりすると、どちらのイヌも愛情を独り占めできず不満げになることに気付いた」

というのです。
それがきっかけとなって犬の嫉妬心を科学的に調べてみたのですね。


その実験の内容と結果は、長くなるので次回につづきます。


<今日のPet Hotel 11!>

プール!冷たくてサイコー♪

混んできたなぁ・・・

イエ~イ!走れ走れ~~!

マロンくん・なつ
「おお!ウリくんが飛んでる~」

マロンくん
「わわっ!ウリくん・・・浮かんでる?!」

小春ちゃん
「アタシはクーラーのきいたおうちの中がいいの」
ハッ!!・・・いやいや、恐ろしい光景ではありません。
とても平和な光景なのです。
たっぷり遊んでクーラーの効いたお部屋でお昼寝。

夕方になって、ルルちゃんもお泊りにきたよ~♪
キンチョーしてるねぇ。がんばれ~!




2017年7月30日日曜日

他の犬と比べて不公平な扱いを受けていると感じた犬は・・・

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


前回の記事で、仲間(知り合い)の犬にごはんを提供するワンちゃんの”仲間意識”に関する実験をご紹介しました。

この実験を行ったオーストリアのウィーン獣医科大学が行った実験で、犬の社会性に関する面白い実験がもうひとつありますので、そちらもご紹介しておきますね。


【犬は不公平な扱いをされるとイジける】

まず最初の実験は2008年にウィーン獣医科大学で29匹のイヌを対象に行われました。

<実験①>
隣り合った2匹の犬に「オテ」をさせます。

どちらの犬も同じように「オテ」をしたにもかかわらず、一方にはご褒美(エサ)をあげて、もう一方にはあげません。

すると、ご褒美をもらえなかった方の犬は、すぐに「オテ」をしなくなり、その上実験者(人間)から顔をそらすようにまでなりました。


<実験②>
実験①と同様に、隣り合った2匹の犬に「オテ」をさせます。

今回は、どちらの犬にもご褒美を与えますが、その質が異なります。
一方はソーセージで、研究チームはこれを”豪華なご褒美”と位置付けています。
もう一方はパン。チームはこれを”内容の劣るご褒美”と位置付けています。

すると、パンをもらっている方が「オテ」をしなくなるわけではなかったため、研究チームは

『報酬の質には犬はあまりこだわらない』

という結論を出しました。


上記の実験で、少なくとも犬は、不公平な扱いをされることによって、自分より好待遇を受けている犬がいるとモチベーションが下がるということ。
そして、不当な扱いをした相手(この場合は実験者)に対して不平不満を感じるということが判りました。

(出典:AFP


でも・・・

この<実験②>の結論には、個人的に疑問を感じていました。
ソーセージパンも、そこそこワンちゃんが喜ぶご褒美だと思ったのです。

わたしだったら・・・うーんそうですね・・・
ステーキキャベツぐらいの差をつけるかなぁ。
そうなった時のキャベツを出された方のワンちゃんの反応も、この時の結果と同じになるだろーか・・・

などと想像を巡らせていたら、この実験にはまだ続編がありました。


今月(2017年7月)になって、同じくウィーン獣医科大学で、次のような実験が行われたのです。


【犬とオオカミを対象とした不公平に関する実験】

●自分だけがご褒美をもらえないと、指示されたことをしなくなる
今回の実験も、隣り合った相手と同じことを要求されている犬が、ご褒美に差をつけられるという形式です。

今回要求されるのは「オテ」ではなく、ボタンを交互に押すというものです。

一方がご褒美をもらえて、もう一方がご褒美をもらえなかった場合は、前回同様、ご褒美をもらえなかった方は、すぐにボタンを押さなくなりました。


●自分のご褒美の質が他の犬より劣ると、早々と指示に従わなくなる
今回、具体的にどのような”品質の差”をつけたのかがよく解らなかったのは残念でしたが、結果は前回とは違う結果になったようです。
(きっと、ステーキキャベツにしたに違いない・・・←筆者の完全なる妄想ですので無視しましょう)

つまり、”内容の劣るご褒美”をもらった方の犬は、”豪華なご褒美”をもらった方の犬に比べて、早期にボタンを押すことをやめてしまったのですね。

うんうん、ナットクという感じがします。


●隣に比較対象がいない状態で同じことをさせると・・・
上記の”内容の劣るご褒美”を用いて、隣に比較対象の犬がいない状態で行ってみたわけですね。
この場合は、喜んでボタンを押し続けたそうです。

すごいですね。人間と同じですねぇ~!

太郎くんは、トイレ掃除をするとママに100円もらえるので、喜んでトイレ掃除をしていました。
ところが!太郎くんのお姉ちゃんは、同じようにトイレ掃除をして1000円もらっていたことが判明しました。
太郎くんはその不公平感にイジけて、きっとお姉ちゃんを妬み、ママに不信感を感じ、そして、

『意地でもトイレ掃除なんかするかーーいっ!』

となってしまうことでしょう。

なんなら、腹いせにいつもより多めにオシッコを飛び散らせちゃうかもしれません(やめてやめて~~!)


この実験で、犬が集団における自分の立ち位置を意識していること、他の犬と自分を比較して、妬んだり、ひがんだり、嫉妬したりといった、不公平に対する高度な感受性を持っていることが判ります。


●同じ実験をオオカミでも行った理由とその結果
今回の実験では、あえて犬だけでなくオオカミにも全く同じ内容の実験を行っています。

なぜオオカミにも同じ実験をしたかというと・・・

犬の、不公平に対する高度な感受性が、

もともと犬という動物に備わっているものなのか?はたまた、人間に帰属することによって育まれたものなのか?

ということを調べるためです。

結論として、オオカミも犬とまったく同じように、ご褒美をもらえなかったり、相手より劣るご褒美を与えられたりした時には、ボタンを押すことを拒否しました。

このことから、犬が感じる不公平感という実に人間らしい高度な感覚は、もともと犬に備わっているものだということが判ったのですね。


●不公平な扱いをした実験者への対応は?
上記の実験を行った後で、不当な扱いを受けたがわの犬およびオオカミが、不当な扱いをした人間(実験者)に対して、どのような態度をとるか?

ということを観察したそうです。

コレ、興味ぶかいですよね~~!

特に多頭飼いの飼い主さんは、気を付けていたって、どうしても全部のワンちゃんに不公平感を抱かせないようにするのは至難の業でしょうから・・・

さて、結果は・・・

オオカミは不当な扱いをした実験者に近づかなくなり、無視しました!

『ざけんなよバーロー!オレ様をバカにしやがって~!』

という感じでしょうか・・・(←筆者の妄想にすぎません)

ところが犬は・・・不当な扱いをした実験者に対して、顔をそらすといった行動は見られたものの、近づかなくなったり、無視するようなことはありませんでした。

ここが、犬とオオカミの大きな違いです。

同じように、不公平な扱いに対して不満を抱いているはずの犬とオオカミなのに、犬の方が実験者に対して”寛容”だったのですね。

この、犬の寛容さこそ、人間と犬が今のようなスペシャルな関係になった理由のひとつと考えられるかもしれません。

(出典:Science News



不平等感を嫌悪するという気持ちは、妬み嫉み不満などといった感情ですが、これと隣同士にあるような感情として、”やきもち” がありますね。

ついでなので、次回は犬の”やきもち”について書いてみたいと思います。



<今日のPet Hotel 11!>

ルンルンル~ン♪
人間の子供がスキップしているかのようなマロンくん

暑いから浅いプールで足を冷やしたよ!

マロンくん「冷たくて気持ちいい~~♪」

お水ギライな”なつ”も珍しく恍惚の表情

あれ?”なつ”もう出るの~?一緒に遊ぼうよー!

「いや、ボスさん・・・ちょっとはしゃぎすぎ・・・」
マロンくん ドン引き(;'∀')



ボクはプールなんかしない。インドア派なんだ。
誰も邪魔しないでよ!
「ハイハイ。あずきくん。ゆっくりしてていいからね~!」


2017年7月29日土曜日

犬はお腹を空かせた仲間にごはんを提供する!

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。

前回、犬には飼い主さんに対してだけでなく、犬仲間に対する”絆意識””仲間意識”がある。だから、仲間の死を悼む感情を持っている。

・・・というお話をしました。

今回は、そのことを実証した、興味深い実験のお話です。


【犬は仲間の犬にエサを分け与える】

実験は、オーストリアのウィーン獣医科大学で行われ、イギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表されました。

過去の動物研究において、人間に近い霊長類とネズミとカラスは、飢えている仲間にエサを分け与える行動が見られるということが判っています。

意外なことに、犬についてはこういった実験がされてこなかったのですね。

今回の実験は、16匹の犬で検証したものです。


<実験①>
研究対象の犬の前に、エサの入ったトレイと空っぽのトレイを用意します。

どちらのトレイにも紐がついていて、犬はその紐を咥えてトレイを運ぶことができます。

すぐそばに、エサを与えられずお腹を空かせてオリの中に閉じこめられている犬がいます。

そうして、研究対象の犬がどうするか?を観察するといった実験です。

興味深いですね~!!

結果は・・・

オリの中でエサを欲しがって「ワンワン」吠えている仲間が”知り合いの犬”だった場合、研究対象の犬の大半が、エサの入った方のトレイを仲間のところに運んでいったのです。

一方、エサを欲しがって吠えているのが”見知らぬ犬”だった場合は、エサを運んであげる犬もいましたが、その頻度は相手が”知り合いの犬”だった場合よりグっと低くなりました。

この実験では、仲間の犬にエサを運んであげても研究対象の犬にはご褒美は出ませんでした。

つまり、犬は自分への見返りがなくても、仲間に対して献身的な行動をとるということが証明されたわけですね。

研究対象の犬は、完全な自由意志において

「あ、友達がお腹を空かせているな・・・お?!こうすれば友達はエサを食べられるのか!よぅし、エサをあげよう!」

と動いているってことなんです。

かしこすばらしい~~~!!


<実験②>
実験①で、”知り合いの犬”にはほとんどの犬がエサをあげたのに、相手が”見知らぬ犬”だった場合はエサをあげる頻度が落ちましたね?

研究チームは、その理由が以下のようなことかもしれないと考えました。

「”見知らぬ犬”に恐怖心を感じていて、エサを運んでやらないのかもしれない・・・」

つまり、研究対象の犬は、お腹を空かせている”見知らぬ犬”にもエサを運んでやりたいと思っているのだけど、相手がどういうヤツだかわからないから怯えて運んで行けないという可能性もあると考えたわけですね。

そこで、この実験②では、あえて

『仲間にエサを運んであげると自分がご褒美がもらえる』

という条件に変更しました。

すると、実験対象の犬は、喜んで”見知らぬ犬”にもエサを運んでいきました。

つまり実験①で、”知り合いの犬”にだけエサを運んであげた子は、”見知らぬ犬”を怖がって近づいていかなかったのではなく、単に”知り合いの犬”に対して特別な”絆”を感じているからこそ、特別扱いをして献身的な行動を取ったということが判ったのです。

言い換えれば、”見知らぬ犬”に対してはさほど”仲間意識”がないために、ご褒美でももらえない限り、献身的な行動を取らなかったと・・・

興味深いですねぇ~~!


【ふたつの実験で判ったこと】

●犬は、なんの見返りがなくても、友達には献身的な行動をとる
●犬には間違いなく”仲間意識”があって、仲間と認めた相手には特別な”絆”を感じている。


(出典:Science Daily
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151216082345.htm



【おやつがなくても・・・】

この実験結果をみて、犬同士の献身的な絆に感動するとともに、ひとつのことに気づきました。

わたしたちは、長い間、人間に特別友好的な犬という動物とは、親しい友情関係にあります。

その友情関係の中で、犬がいかに賢く、社会性が高いかということは解っているはずです。

にもかかわらず、どこかで上記の実験で立証されたような、犬たちの高い社会性を低く見積もっているということはないでしょうか?

例えば、しつけをする時に、ご褒美としてやたらとおやつを与えているといったことはないですか?

それは、どこか

「犬は、おやつ欲しさにコマンドを覚えるものだ」

とタカとくくっている気持ちの表れのようにも感じます。

もちろん、おやつ欲しさにコマンドを覚えても、飼い主さんを喜ばせようと思ってコマンドを覚えても、結果は同じかもしれませんし、おやつで釣った方が話が早いのかもしれません。

けれども、

「何が何でも、とにかく早くこのコマンドを覚えさせたい」

というコマンド(マテとか、イケナイコイ といった安全を左右するコマンド)以外のしつけに際しては、トレーニングの時間そのものが、飼い主さんとワンちゃんの絆をより深める貴重な時間として考えた方がいいのかもしれません。

つまり、エサで釣るといった、ある意味ワンちゃんを小馬鹿にしたようなやり方ではなく、少しくらい時間がかかっても、

「飼い主さんが喜ぶことをやってあげたい!」

というワンちゃん自身の自由選択による献身的な気持ちを引き出すようなやり方です。


だって・・・

わたしたち人間が、まさにそうではありませんか?

例えば仕事。

高給や好待遇などといった即物的なニンジンを鼻先にぶら下げられたら、もちろんそのために人は仕事を頑張るでしょう。

でも、実はそういったものよりも、

『プロジェクトで一緒に頑張っている仲間のために!』

とか

『いつもよくしてくれているお客様の喜ぶ顔が見たいから!』

とか

『大事な家族のしあわせのために!』

といった、仲間に対する献身的な気持ちから自発的に行う仕事の方が、より高いモチベーションを保って取り組めるのではないでしょうか?

上記の実験結果は、ワンちゃんにも人間のそういった動機付けと同種のものが確かにあるということを証明しているのだと感じました。


犬を舐めることなかれ・・・


わたしは、この実験結果を見て、今後のワンちゃんたちとの関わり方の大きなヒントをもらったように感じました。

みなさんは、どのように感じましたか?


<今日のPet Hotel 11!>

あずきくん、また遊びに来てくれました♪

ここはボクんちなんだから、邪魔しないでね!
ハイハイ

まだ1歳のマロンくんは何にでも興味津々!

フンフンなるほど・・・クンクン・・・

暑いからお部屋にボール持ってきて
早くボクに投げてくださ~い!

ワタシはここでこーやってるから
早くコッチ来てナデナデしてくださ~い!

犬は献身的なはずじゃあ・・・( ノД`)




2017年7月28日金曜日

犬同士の関係 【献身的な絆】はあるか?

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


【犬には仲間意識はあるか?】

ワンちゃんが飼い主さんに対して、非常に従順で献身的。
そして何よりも強い強い絆で結ばれているということは、愛犬家のみなさんには

『当たりマエダのクラッカー』(ふるっ)

でしょうが・・・


飼い主さんに限らず、ワンちゃんどうしの絆・仲間意識というのも確実に存在します。

これまた、2匹以上のワンちゃんを飼っていらっしゃる飼い主さんにとっては、

『トーゼンのトーチャン車引き』(←はぁ?)

でしょう。


【Pet Hotel 11!で日常的に見られる仲間意識】

ペットホテルにやってくるワンちゃんたちも、実に興味深いワンちゃんたちの集団における法則だったり礼儀作法、そして仲間意識を垣間見ることができます。

●新入りが来ると昇格する
例えば、既に滞在中のワンちゃんのところに新入りのワンちゃんを連れてきます。

仮にこの新入りワンちゃんを”イヌ太郎”としましょう。

すると、新入りのイヌ太郎はとても遠慮がちに、不安げに、恐る恐る入ってきます。

迎え入れる側は

「わかってんな?!わかってんだろーな?!こっちが先輩だかんなっ!」

的な態度をとります。

イヌ太郎の振舞いは、群における”最下位”の態度なわけです。

お部屋の中でお昼寝する場所も、先にいる子たちから遠~く離れた対角線の端っこあたりを選ぶことが多いです。

どころが、そこにまた別な新入りワンちゃんがやってくると・・・仮にイヌ次郎としましょう。

イヌ太郎は、イヌ次郎が入ってきたその瞬間に昇格します。

ついさっきまで、先にいた子たちから一番遠い場所で小さくなってお昼寝していたのが、いきなり強気になって、先にいた子たちと一緒になって

「おうおう!わかってんな?!わかってんだろーな?!・・・」

とやります。(クスクス)

当然、イヌ次郎は、つい先ほどまでイヌ太郎がお昼寝していた場所、つまり他の子たちと一番遠く離れた、いってみれば”下座”みたいな位置に遠慮がちに横たわります。

最初からいた子たちの態度もあからさまに変化します。

イヌ次郎がやってくる前は、イヌ太郎が時折

「もうそろそろ仲間に入れてもらってもいいかな~?」

といった感じで自分たちと一緒のクッションに上がろうでもしよーものなら・・・

「ふざけんなっ!10年早いんだよ!」

といったケンモホロロな態度をとったりするのですが、イヌ次郎が来た途端に、ごく自然にイヌ太郎を自分たちのクッションに迎え入れたりするのです。

こういったところは、行動学的に人間ととても似ていますね。

転校生だったり、仮想敵国だったりの存在が、仲間意識を高めるのは人間も同じですものね。

ワンちゃんも人間も、集団で助け合って生きている生き物ですから、高度なコミュニケーション能力や、”空気を読む”力を持っているという点はとても似通っています。



●普段仲が悪い子が結束する
多頭飼いをされているワンちゃんの場合、飼い主さんのお話では、

「もう、この子たちはすごく仲が悪くって、寄るとさわるとケンカばっかりしてるんですけど・・・大丈夫でしょうか?」

と言われていたような子たちが、お泊り中はただの1度もケンカすることなく、急に固い絆で結ばれた”一心同体ワンコ隊”といった感じになるのは、”ペットホテルあるある”なのです。

これも人間同士の関係とよく似ていますね。

そうすけくん&るみちゃん
普段はいっつもケンカばっかりしているそうですが、
ウチに来るとベッタリです(^▽^)


【慣れ親しんだ犬の死を悼むという感情】

共に暮らしていたワンちゃんが亡くなると、飼い主さんだけでなく、残されたワンちゃんも哀しみに暮れる・・・

というお話をきいたことはありませんか?

慣れ親しんだ仲間の死を悼む(嘆き悲しむ)ということは、その前提に強い”絆意識””仲間意識”があるという証明です。


【仲間の死を悲しむワンちゃんの事例】

ちょうど1年ほど前、アメリカのテキサス州で起きたお話です。

車を走らせていた女性が、道路わきの芝生の上に1匹の大きな白い犬を見つけました。



よく見ると、白い犬の傍らには血だらけの茶色い犬が横たわっていました。

女性の通報で駆けつけた保護団体のジェシーさんが確認すると、白い大きな犬はオスのグレートピレニーズ。血だらけの茶色い犬はメスのシェパード(MIX)でした。

そして、残念ながらシェパードは既に亡くなっていました・・・

驚くべきことに、車道から芝生のところまで血の跡がついていたことから、グレートピレニーズは車道で車にはねられたシェパードを、安全な芝生のところまで引っ張って移動させたということがわかりました。

グレートピレニーズは、まるで大切な友を失ったかのような表情をして、呆然とシェパードの横で遠くを見つめていたそうです。

保護団体のジェシーさんがグレートピレニーズを保護しようと近づきますが、彼はシェパードをジェシーさんから守るようにしてその場を動きませんでした。

グレートピレニーズが明らかに仲間の死を悲しんでいると理解したジェシーさんは、時間をかけてゆっくりと語りかけ、彼の恐怖心を取り除いていったそうです。



やがて、ジェシーさんの優しさを理解したグレートピレニーズは、暴れることなく保護団体の車に乗り込みます。




保護されたグレートピレニーズは、そのしぐさや健康状態からみて、つい最近まで飼い犬だったことが推察されました。

けれども、マイクロチップや迷子札がなく、飼い主さんが不明だったので、里親探しをすることになりました。

そこで、保護団体のFacebookに彼の情報を掲載したところ・・・

すぐに飼い主さんが現れたのです!

飼い主さんの話によると、グレートピレニーズの名前は”ブライアン”、交通事故で亡くなってしまったシェパードのMIXは”マーリー”といい、2匹は飼い主さんがウッカリ開けっ放しにしていたガレージから脱走して行方不明になってしまったのだということです。

(出典:abc NEWS
http://abcnews.go.com/Lifestyle/texas-dog-sitting-deceased-friend-heartbreaking-photo-prompts/story?id=35154485


ここからはわたしの想像ですが・・・

一緒に暮らしていて、固い絆で結ばれていたブライアンとマーリーは、開け放たれたガレージの扉を出て、ウキウキと自由なお散歩を楽しんでいたのかもしれません。

けれども、交通量の多い道路で、かわいそうなマーリーは車にはねられてしまいます。

ブライアンは、マーリーがはねられて動かなくなったのを見て、そこがどんなに危険な場所かを理解したはずです。

にもかかわらず、彼はマーリーがこれ以上の被害に遭わないように、(あるいはまだ助かると信じて助けようとしたのか・・・)自らの危険を省みずに車道から芝生のところまでマーリーを運んだのではないでしょうか。

もしかするとブライアンは、家に帰ることができたのかもしれません。
それなのに彼はマーリーを見捨てて行くことをしませんでした。

そして、保護団体のジェシーという、面識のない部外者がやって来た時、ブライアンは怖かったはずです。
そして、逃げ出すことだってできたはずです。
けれども彼は、ジェシーからマーリーを守ろうとして、その場から逃げ出すことをしなかったのです。

これほど強固な絆を、犬同士は築くことができるのですね・・・


犬同士の【献身的な絆】について、もうひとつ面白いお話があるのですが、長くなるのでまた次回にします。


<今日のPet Hotel 11!>

ピョーーーンッ!っと・・・ん?なんかいるぞ?

ねえねえ、るみちゃん♪・・・ん?なんかいるぞ?

「なんか」=”なつ”でした~
いつだって一番涼しい場所を陣取っているのは”なつ”



2017年7月27日木曜日

ネコ → ヒト感染で死者が出たSFTS  【気を付けるべきこと】②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。

前回のブログにひきつづき、

マダニ → ネコ → ヒト

というルートによる世界初のSFTS感染者が亡くなったという国内の事例を受けて、ペットを飼っている人や、ペットと触れ合うお仕事をしている人たちが気を付けるべきことについて書いていきます。


【もっとも怖いのは ペット→ヒトの感染】

前回の記事でもお話したように、SFTSが感染した場合、ワンちゃんやネコちゃんよりも、人間の方がよほど重症化し、死亡のリスクさえあります。

今回のニュースによって、人間以外の哺乳類(猫)から人間に感染することが判った以上、一番気を付けなくてはいけないのは、身近にいるペットからの感染ですね。


●何に気を付ければいいの?
ペットのワンちゃんやネコちゃんからの感染を防ぐ方法は、以下のようなものです。

◇ ノミ・ダニ予防(駆除剤の投与)を徹底する
毎月投与(投薬)するように獣医さんからもらっているお薬、ちゃーんと忘れずにやってあげていますか?

獣医さんでなくても、市販されているものもありますね。

かなり強いお薬ですので、投薬後の様子をよく見てあげてください。

これによってマダニに咬まれる確率を確実に下げることができます。

ただ、月に1度のことなので、忘れてしまう飼い主さんがけっこう多いようです。

毎月何日に投薬と決めて、カレンダーに印をつけるなどして、絶対に忘れないようにしてくださいね。

更に、与えすぎもキケンなので、お薬の方にも1つずつに、何月分のものかが判るように印をつけておいた方がいいですヨ!


◇ お外に出す時は忌避剤をスプレー
Pet Hotel 11!では、蚊にもマダニにも忌避効果が認められていて、ワンちゃんに安心して使える、天然のヒバ油を使用しています。
(水で薄めたものをシュッシュ。森の香りで、ワンちゃんたちもぜんぜんいやがりません)

ヒバ油については、以前『夏の【あいつら問題】と【耳蒸れ問題】』という記事の中で詳しく書いています。

薄めて使うので経済的♪
惜しげもなく使えますよ。
ケチって刺されたりしたら本末転倒ですからねぇ・・・





SFTS以外にも国内で毎年多くの報告例がある、つつが虫病や日本紅斑熱など、ダニが媒介する他の疾患の予防のためにも、お薬と防虫スプレーは絶対に実行してくださいね!



◇ 森林、草むら、藪(ヤブ)などに行った後は身体検査
咬みつかれてしまってからでは、残念ながら遅いんですがー・・・
んがっ!
マダニーたちは、10日近くも皮膚に食いついて吸血し続け、3㎝近くもの大きさになるほどパンッパンになるまで血ィ~吸うわけですから、いずれにせよ早めに発見して除去してあげる必要があります。
(除去は獣医さんにやってもらってくださいね)

お外で遊んだ後は、ブラッシングとスキンシップを兼ねて、全身をチェックしてあげてくださ~い。

獣医さんによると、

「なんか、ウチの子、デキモノができたみたいなんですぅ~」

と、ワンちゃんを連れてこられ、よく見るとダニーだったってことは”アルアル”だそうです。

足の生えたデキモノはダニーですからねー!


◇ ペットとふれあう際の注意事項
厚生労働省は、過剰なふれあい(口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝ることなど)は控えるようにと言っています。

また、当たり前ですが、ペットに触った後は手を洗いましょう。

SFTSは、体液を介して感染すると考えられているので、傷口などがある場合、そこをペロペロさせないように気を付けましょう。



【とはいえ・・・・】

ワンちゃんやネコちゃんを飼っている人にとって、親密なふれあいができないのは

『あんまりですだ~!ご無体な~~~!(号泣)』

ですね。

けれども、ここでひとつ朗報があります。

あくまで、今のところ・・・という情報ではありますが、厚生労働省によると、

『ヒトにSFTSウイルスを感染させるリスクのあるネコなどは、ヒトのSFTSで認められる症状(元気がない、食欲がない、発熱しているなど)を呈していたことが確認されており、健康なネコなどからヒトがSFTSウイルスに感染することはないと考えられます。』

とのことです。

先ほども書いたように、ワンちゃんやネコちゃんは、感染しても症状がでない不顕性感染の場合が多いため、飼い主さんが感染に気付けない可能性が高いです。

けれども、症状が出ないということは、SFTSウィルスが抗体によって減少して、ワンちゃんやネコちゃんの体内に蔓延していないということになるようですね。

つまり、たとえワンちゃんがSFTSに感染していたとしても、顕著な症状がなく、元気で食欲モリモリの場合、ウィルスが飼い主さんに感染する可能性はあまり高くないのではないか?と考えられているようです。

ちょっとぉ~~ よかったわぁ~~~♪

安心しましたね。

でも、あくまでもこれは今現在そう言われているというだけですので、この先どのようになるかわかりません

可愛いワンちゃんを抱っこしてナデナデするのはいいとして、

『毎晩ベロベロとディープキスしないと気が済まない!!』

というような方は、少しだけ自粛された方がよろしいかと・・・



【SFTSなんかに負けず、愛犬生活を楽しもう!】

●マダニに刺されてもSFTSに感染しないことの方が多い。
まず、間違えてはならないのは、SFTSというのはマダニが媒介するウィルスであって、マダニが出す毒ではないってことです。

スズメバチやヒアリは、自分の持っている毒を攻撃相手に注入するから怖いわけですが、マダニ自身は単に血を吸っているだけで、毒素を注入するといった攻撃はしていないんですね。

更に、マダニの中でもSFTSウィルスを持っていると確認されているのは数種類の特定のマダニです。

その特定種類のマダニの中でも、実際にSFTSウィルスを持っている個体は0~数%ということです。

つまり、マダニに刺されたって、SFTSに感染しないケースの方が多いということですね。


●過剰なストレスは健康被害になる
実際に、ネコちゃんに咬まれてSFTSに感染し、亡くなった方がいることを知ってしまったわたしたちは、つい神経質になりがちです。

けれども、あまりに過敏になりすぎて、

・ワンちゃんをお外に連れ出さない

・草むらをクンクンするのをやめさせる

・ペットとのスキンシップを全く取らなくなる

などといった過剰な反応を飼い主さんがするようになれば、それは必ずワンちゃんにとって大きなストレスとなります。

そして、ストレスというのは、マダニによってSFTSに感染する確率などとは比べ物にならないくらい高い確率で、ワンちゃんの健康を脅かします

ですから、わたしたちはあまり神経質になりすぎることなく、

やるべきこと、なすべきことをシッカリとやっていく

これに尽きると思います。

(どっかの女性大臣みたいになってしまった・・・)



最後に・・・

弱った野良ネコちゃんを保護してあげようとして咬まれてしまった、心優しい女性が、今回このような経緯で亡くなってしまったことは、本当に残念でなりません。

亡くなられた女性に、心からお悔やみを申し上げたいと思います。



(参考資料:厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html)


<今日のPet Hotel 11!>

クマさん投げて~!遊んで遊んで~~!

抱っこして~!ナデナデして~~!

ねえったらねえ~~!!


2017年7月26日水曜日

ネコ → ヒト感染で死者が出たSFTS  【気を付けるべきこと】①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


【SFTSが、世界で初めてネコからヒトに感染!】

一昨日、ショッキングなニュースが報道されました。

厚生労働省が、マダニが媒介する感染症に感染した猫に咬まれた女性が死亡していたことを明かしたのです。

国立感染症研究所によると、亡くなった50代の女性は平成28年の5月~7月にかけて、弱った野良猫を保護しようとして咬まれたそうです。

女性に重大な持病などはなく、約10日後に亡くなりました

それから半年後、感染研が女性の検体を精査したところ、猫を介してSFTSを発症した可能性が高いことが判ったというのです。

ダニ媒介の【重症熱性血小板減少症候群(SFTS)】で、人以外の哺乳類を介して人が死亡した世界初の例だといいます。
(中国ではヒトーヒト感染の事例が報告されていますが、ネコ→ヒトは世界初)

世界発ですよ! 奥さん?!

ワンちゃんをお預かりするお仕事をしている身としては、

もう、ホント・・・勘弁してよ~~~!

なのです。

しかし・・・ただ嘆いていても始まりません。

『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』by孫氏
『恐怖は常に無知から生じる』byエマーソン
『鳴かぬなら、わたしが鳴こうホトトギス』by Pet Hotel 11!(←はぁ?)

ということで、SFTSについてとにかく調べてみました。

(↑【ヒアリ】の時とまったく一緒だな・・・)

 
【SFTSってどんな病気?】

<人間の場合>

2011年に中国において新しい感染症として流行していることが報告された病気です。
現在のところ、発生が確認されているのは、中国・日本・韓国のみです。
最近発見された感染症なので、まだ判っていないことがたくさんあるんです・・・

●病原体は?
主にマダニが媒介するSFTSウイルスです。

●感染源は?
草むらなどに潜むマダニに咬まれることでうつります。

●潜伏期間~症状は?
6日~2週間ほどの潜伏期間を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、 神経症状(意識障害、れいけん、昏睡)、リンパ節腫脹、咳、のどの痛み、出血症状(紫斑、下血)などの症状を示し、重症化すると死に至ることもあります。

●国内での発症例は?
2013年1月、国内で初のSFTS感染者がみつかって(2012年秋に死亡)から、今年6月末までに266人の発症例があり、そのうち57人が死亡しました。

●致死率は?
なんと!感染した人の実に21%が死亡するのです!
4~5人に1人ってことですヨ・・・

ヒアリに刺されて、アナフィラキシーショックを発症する確率が0.6~6%。
正確な数字は判っていませんが、そのうち死に至るケースは更に低いと思われますから、

マダニーはヒアリーよりもうんと怖い!

ちゅーことですね。

●リスクの高い人は?
国内での死亡例はすべて50代以上。
つまり高齢になるほどリスクが高いと言われています。

●ワクチンはないの?
現在のところSFTSウイルスに対して有効なワクチンはありません

●予防法は?
とにかくマダニに咬まれないようにすることが一番!

特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては危険性が高まります。

草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、肌の露出を少なくすることが大事です。

服は、明るい色のものの方が、マダニを発見しやすいのでおすすめ。

DEET(ディート)という成分を含む虫除け剤の中には服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があると言われています。

※ただし、DEETはワンちゃんにとって有毒な成分ですので、ワンちゃんと一緒にいる時は使用しないでください。


●咬まれると痛いの?
痛くないんです。だーかーらー困るんです。

つまり、咬まれたことに気づかない。

どうやらマダニのやつら、麻酔成分のようなものを出して気づかれないようにしているらしいです!

そーして、数日~10日くらいもの間、皮膚に食いついたままコッソリと吸血しつづけるというのですね・・・ったく・・姑息なヤツラです!

【入浴時に全身チェック】
咬まれても気づかないので、屋外で活動した後は入浴時にマダニに刺されていないか確認した方がよいです。

皮膚の柔らかい部分や、湿り気のある部分に好んで食いつくらしいので、

わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、首、耳、などが要注意ポイントです。

特に、不届き者のマダニーたちは、柔らかく湿り気のある陰部に食いつくのが大好物らしいのです!

イヤーーーーーーッ!!

誰かー!鉄のパンツを持ってきて~~~~!(ハアハア・・・)


●食いついているマダニーを発見したら・・・
マダニに吸血された場合、速攻で取り除いたり潰してやりたくなるに決まっていますが・・・

そんなことをするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したりマダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがあるのですって!!(なんて忌々しいんでしょう!)

ですから、一刻も早く取り除きたい気持ちをグっと抑えて、早急に皮膚科などを受診してマダニを除去してもらった方がよいのです。

病院に着くまで心臓がもつかしらん・・・( ノД`)シクシク…


●気を付けるべき地域はあるの?
現時点では、SFTSの患者は西日本を中心に発生しています。

けれども、徐々に患者発生が確認される地域は広がっているため、それ以外の地域でも同様に注意が必要です。

実際、まだ人間で感染者が出ていない地域においても、SFTSウイルスに感染した動物は見つかっているのです。



<ワンちゃん(ネコちゃん)の場合>

●感染するけど発症しない?
ほんの少し前までは、SFTSは人のみの感染症だと考えられていました。

つまり、犬や猫などの動物(哺乳類)は感染しても発症しない(不顕性感染といいます)と考えられていたのですね。

そのため、ワンちゃんやネコちゃんがマダニに咬まれることによる弊害としては、

かゆみによる不快感、大量寄生による貧血(血ぃ~吸われすぎての・・・)

くらいと言われていたのです。

国内において調査した犬の0~15%程度(約1800頭を調査)で抗体が検出されています。

抗体があったということは、イコール以前にマダニが媒介するSFTSウイルスに感染し、その後回復したということになるのですね。

ところが・・・


●ワンちゃん(ネコちゃん)でも発症する!
残念ながら、SFTSウイルスに感染し、発症した犬と猫の事例が報告されました。

■ワンちゃんの事例■
発症したのは雑種4歳の♀(避妊)

症状:元気消失、食欲廃絶が主な症状でした。

その後、抗体が検出されて、回復しました。

つまり、ほとんどのワンちゃんは不顕性感染しますが、一部が発症する可能性があるということです。


■ネコちゃんの事例■
SFTSの流行地で飼育ネコ(室内・野外両飼育)が、発熱、消化器症状(食欲消失等)の症状を示しました。

その後、入院2週で回復して4週後に退院しました。

回復期にむけて抗体が上昇していました。


ワンちゃんもネコちゃんも、今のところSFTSによる死亡例は確認されていないようです。


長くなるので、次回【ペット → ヒト の感染】につづきます。



<今日のPet Hotel 11!>

今日と明日は 三浦海岸 諏訪神社祭礼

ん?!

おお!人がちっちゃくみえるなぁ~

「は」組の山車。カーッコイイ~~♪
テンテケテンテンテッテン・・・ってお囃子がいいね!

行っちゃった~~・・・
諏訪神社の神様は女の神様ばかりだから、
神様が嫉妬しないように、山車を引くのもお囃子も
メンズオンリーなんだって。

なつ「フンッ!!」
ボス「あゴメン・・・」


2017年7月25日火曜日

野良犬保護だけに人生をささげた男

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


『幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない』

という映画を観ました。

映画といっても1時間ちょっとの短いドキュメンタリーです。

以下はこの映画の紹介文

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1990年。千葉の奥地で数百匹の捨て犬を養う男が日本中で話題となった。

テレビ・雑誌から「愛犬家の神」と崇められ、狂気と紙一重のカリスマで多額の寄付を集めたその男・本多忠祇さんと、彼の王国である「しおさいの里」。

配下のボランティアに大雑把な飼育を暴露され、日本中のマスコミから手のひら返しの大バッシングを受けた本多さん。

支持者はひとり残らず去り、国民から忘れ去られ数十年の月日が経った今もなお、不法投棄された廃棄物のなか、たったひとりで沢山の犬を養い続けるその真意とは?
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【本多忠祇という男の人生】

わたしは、このインタビュー形式のドキュメンタリー映画を観るまで、本多忠祇さんのことを知りませんでした。

今から27年前。
行き場のない野犬たちを引き取り、「しおさいの里」と名付けた場所で自腹で世話をしている一人の動物愛護活動家が、世間の脚光を浴びました。

一時は650匹もの犬を保護して面倒をみていたという本多忠祇さんです。

当時 彼のその活動は、テレビや雑誌で大々的に紹介されて、日本中がその偉業に感動。

賞賛を浴びた彼は、たちまち”時の人”となり、ムツゴロウさんを凌駕するほどの有名人となります。

本多さんは、たくさんの犬たちを引き連れて首都圏を巡回しながら、人々に「かわいそうな犬たち」への支援を訴えました。

莫大な寄付金や、大勢のボランティアが本多さんの元に集まり、犬たちのための運動場を備えた大きな家を建てた彼は、「犬と人間の夢の国をつくる」という壮大な構想を語っていたといいます。

ところが、あるボランティアが、

予防接種も避妊去勢手術もない、ずさんな飼育環境の中、伝染病で死んでいく犬たちの傍らで、次々に生まれてくる子犬がいるという「しおさいの里」の実情をマスコミに暴露します。

この暴露によって状況は一変。

本多さんを「神」と賞賛していたマスコミは一斉に本多さんを攻撃し、彼は日本中から批難の声を浴びせられます。

その結果、住む家も土地も、すべてを失って、本多さんは社会的に抹殺されました。

スタッフとして本多さんを支えていた人々も一人残らず去り、組織は完全に壊滅してから20数年経ったころ・・・

この映画の監督は、とっくに消滅していると思っていた「しおさいの里」が、細々と存続しているということを聞きつけ、その実態を確認するために本多さんを訪ねて行きます。

千葉県の郊外。
本多さんは、廃材置き場のようなその場所にひとり立てこもって、次々に捨てられる犬たちを片っ端から拾って、面倒を見続けていました。

作品の中では、そこでの本多さんへのインタビューと、今も彼が面倒をみている野良犬たちと彼の生活の実態が、まったく脚色されることなく淡々と流されていきます。





Amazonのプライム会員の方でしたら、無料で観ることができますので、ぜひ観ていただきたい!



【作品を観た感想】

この手の作品について、ご覧になっていない方に先入観を与えないように感想を書くことは大変難しいのですが・・・

ドキュメンタリーであって、筋書きのある物語とは違いますから、まあお許しくださいな。


わたしは、頭を殴られたような感覚を受けました。

Amazonのカスタマーレビューを読んでいただくと、賛否両論だということがお解りいただけるかと思います。

わたし自身、本多さんの語る内容や、決して理想的とはいえない犬たちの飼育環境、インタビュアーの姿勢などについて、お世辞にも「すばらしい」とは思えませんでした。

それでも・・・

本多さんといる犬たちは、とても幸せそうにみえたのです。


【「正しい行い」って一体なんなんだろう・・・】

そんなことを考えさせられました。

わたしの中に、勝手な”動物愛護家”の理想像のようなものがあって、

それに合致しない動物愛護家に対しては、自分のイメージを裏切られたような不快感を抱いてしまうという身勝手はないだろうか・・・

そんな自分自身はどうだろう?
どんなすばらしい行いをしているんだろう?

人を批判できるほどわたしは偉いのだろうか?


わたしは、冷暖房のきいた快適な環境で、衣食住のどれをとっても何不自由ない生活をしていて、その恵まれたぬくぬくとした立ち位置を捨てる勇気はありません。

捨てられ、殺処分される犬たちの現状を憂いつつも、今の生活を捨ててまで、その犬たちに手を差し伸べることはしていません。

あくまでも、時間とお金に余裕があれば、その余剰分でできることをするのがせいぜいです。


でも・・・

誤解を恐れずに申し上げると、わたしはそれでいいのだと割り切っています。

無理をすれば、結局は崩壊してしまって、犬たちのためにもならないとも思っています。


それでも、少なくともそんなわたしが、本多さんを高みの見物のようにして批難する資格はないと思いますし、彼のような生き方は、わたしにはとてもできないと思いました。

そして、このドキュメンタリーを制作して下さった方がいなければ、この現実を目の当たりにすることもできなかったのも事実です。

そういう意味で、わたしは本多さんにも製作者にも敬意を表したい・・・

そんな感想を持ちました。


【本当に批難するべきは・・・】

同時に・・・

今現在、

『殺処分ゼロを目指して』

という、一見美しい言葉を冠して、行政が保健所での引取りの数多くを拒否している中、その受け皿になっている保護団体がパンク状態にあるのは事実です。

供給側(捨てられる犬たち)が減らない一方なのに対して、受容側(受け入れ団体)の場所や人員や資金に限りがある以上、一時的に臭いものにフタをしても、近い将来必ずその限界はやってきます。

いえ、もう限界に達している団体がたくさんあるのです。

多頭崩壊の現場から、犬や猫を救い出してきた団体がパンク状態に陥って、結局は更に大所帯の多頭飼育の現場のようになってしまう悲劇は、もうすぐそこにあるのです。


この作品を観て、その現実を突きつけられているような感じがしました。


行政は、いつになったら蛇口の元栓を閉めるような政策を実行してくれるのでしょうか・・・

マスコミは、いつになったら蛇口を全開にしている側を責め立てずに、本多さんのような市井の個人動物愛護家を社会的に抹殺するようなことをしなくなるのでしょうか・・・


この作品をご覧になった方には、ぜひ感想をお聞かせいただけたら大変ありがたいと思います。


<今日のPet Hotel 11!>

ボス~!そこのティッシュどろぼうを捕まえてー!
メデタちゃん、楽しかったね。またおいでね♪

ウリくん、はやいはやい!!

追いつけないボス

「・・・・・・」

ボールどこだ?どこいった?!

見つけるのはボスがはやい

「へ?」って今頃気づくウリくん

女帝”なつ”を飛び越えるなんて・・・(悲鳴)




2017年7月24日月曜日

犬が冷凍庫に立てこもりたくなる日本の猛暑

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


【四季のある日本は犬には受難?】

今日の三浦海岸は、朝から1日曇り空でしたので、暑さはいくぶん和らいでいましたが、湿気がひどく、人も犬もグデっている(休憩)時間が長かったように思います(笑)

子供のころは、

『一年中夏だったらいいのに!』

などと言っておりました。
理由は「夏休み」があるから。その一点のみ!(キッパリ)

けれども、おとなになってからは、真冬と真夏には決まって毎年

『一年中春と秋だったらいいのに!!』

と言っている自分がいます。人間ってワガママ・・・(しみじみ)

そう、日本には四季があります。

そのおかげで、季節によって様々な景観の違いを楽しんだり、旬の味覚を堪能したりできるんですね。

夏のガリガリくんやビールも、冬のチゲ鍋や熱燗も・・・どっちかだけなんて選べない、選べるわけない!!

それはそれは、とっても贅沢で素晴らしいことです。

そして、わたしたち日本人は、その四季の変化や寒暖差に慣れっこになって、楽しんでさえいます。

けれども、ワンちゃんに関していえば、犬種によってはその四季の変化に対応するのが難しい子がいるのですね。

犬は、一般的に寒さよりも暑さに弱い生き物ですから、特に暑さに弱い犬種にはスペシャルな注意を払ってあげる必要があります。

そこで今日は、特に暑さが苦手な犬種のお話です。


【暑さに弱いワンちゃんたち】

① 北方原産の犬。および被毛の厚い犬種
そもそも、生息している地域の気候に合わせて遺伝子を進化させてきたわけですから当然ですね。

シベリアン・ハスキー、ボルゾイ、グレートピレニーズ、シェットランド・シープドッグなどは、そういう理由で暑さには弱いといわれています。

② 短頭種の犬種
ブルドッグ、シーズー、パグ、ボストンテリア、ペキニーズなど、ペチャ鼻がかわいく、愛嬌のある短頭種のワンちゃんたちは、生まれつき鼻腔に問題を抱えているために、スムーズな呼吸がしづらく、上手に熱を外に逃がすことができません。

可哀相なことに、熱を逃がそうと必死で早い呼吸を繰り返すことにより、更に体温を上げているかのように見えることがありますね。

短頭種のワンちゃんは、とりわけ熱中症になりやすい傾向があるため、大手航空会社では持ち込みそのものを拒否している場合もあります。
(詳細は航空会社にお問合せ願いまーす)


③ 太りすぎのワンちゃん
これは、犬に限ったことではありませんが・・・

まず、分厚い皮下脂肪をまとっているだけで単純に暑いですね。

更に、首回りの脂肪は気管を圧迫しますから、うまくパンティングできず、体温をなかなか下げることができません。

肥満気味のワンちゃんは、心臓への負担も大きくなることから、熱中症になる危険性がより高まるということもあります。

同様に、日ごろから塩分を摂りすぎているワンちゃんも、高血圧によって心臓に大きな負担がかかってしまう可能性が高いです。

『喜ぶ顔が見たくて、ついつい食べさせすぎちゃうの』

『かわいい仕草でせがまれると、どうしても人間の食べ物をあげちゃうの』

という飼い主さんは、かわいいワンちゃんを苦しめてしまうことになるかもしれないことを、よーく考えてあげてくださいね。


④ 体力的に弱いワンちゃん
<子犬>まだ体の生理機能が未発達なため、体温調節が未熟です。
更に、興奮しやすく自発的に休憩を取ったり給水することができない子も多いため、飼い主さんが様子を観察して強制的にお水を与えたり、涼しいところで落ち着かせることが必須です。

ついさっきまで元気にはしゃいでいたのに、急にグッタリしてしまうこともあるのは、人間の子供と同じです。

体が小さいためにアっという間に体温が上がってしまいますから、注意してあげてくださいね。


<老犬>加齢により、生理機能が衰えているため、熱中症にかかりやすいです。

ダメージを受けてからの回復にも時間がかかるため、体調悪化に気づくのが少しでも遅れると最悪の事態を招きかねません。


<疾患のあるワンちゃん>心臓や呼吸器に疾患を抱えている場合、または生まれつき弱いワンちゃんは、循環機能や呼吸機能の働きがうまくいかないので、そうでないワンちゃんに比べて熱中症になりやすい傾向があります。


↓↓↓北方原産のシベリアン・ハスキーのパピーが、
冷凍庫に立てこもって断固として出てこない動画です(カワイイ♪)




【人間の体感温度はぜんぜんアテにならない】

人間は全身に汗をかきます。
そして、その汗が蒸発するときの気化熱によって、体の熱を放出していますよね?

ですから、夏に外を歩いて汗ビッショリになった後に、汗で湿った服のままクーラーの効いた部屋でくつろいでいると、モーレツにゾクゾク寒くなったりするわけです。

この、全身から発汗するという人間の特性は、汗をかかないワンちゃんとは圧倒的に違うんですね。
前回の記事にも書きましたが、正確にはワンちゃんも肉球からのみ汗をかきます)

要するに、全身から汗をかく人間の、いわゆる”体感温度”というのは、文字通り本人の感じる温度であり、人によってもまったく違ったりするということです。

よく、夫は暑がりでクーラーを【強】にするけれど、妻は冷え症なので、夏は毎日ケンカが絶えない・・・みたいなお話をきくではないですか?

このように、人間の”体感温度”というのは、まったくアテにならない曖昧なものだということを、ワンちゃんの飼い主さんには常に忘れないでいただきたいのです。

ですから、ワンちゃんの熱中症対策には、温湿度計が必須です

そして、これも前回の記事に書いたとおり、地面(床)からの高さによって、気温には大きな差があります。

屋内では、照り返しのある戸外ほどではありませんが、それでも気温差はあります。

ですから気温や湿度を計る際には、必ずワンちゃんの高さに温湿度計を置いてみることをお忘れなく。


【湿度も大事】

え?でもぉ~・・・

犬は人間みたいに汗をかかないんでしょ?だったらあまり湿度は関係ないんじゃあ・・・?

とおっしゃる方のために、念のため湿度についても書いておきますが、

おおいに関係あります!

犬にとって、最適な湿度は40%~60%といわれています。人間とほぼ同じですね。

湿度が高すぎると、ワンちゃんたちがせっかくハアハアして(パンティング)気化熱で体温を放出しようとしているのに、それがうまくいきません。

もう、ハアハアが止まらない状態になるわけですね。
特に、ただでさえ呼吸が苦手な短頭種の子たちにとっては、湿度が高い状態なんてもう地獄なんですよ!

ムシムシした日本の夏は、気温だけでなく、湿度にも注意を払ってあげる必要があるんですね。


【結論】

ワンちゃんの飼い主さんで、もしも温湿度計をお持ちでない方は、今すぐ買ってください!

そうして、ご自分の感覚に頼らずに、ぜひデータに基づいた室温管理をお願いいたします!


<今日のPet Hotel 11!>

いつも楽しそうなメデタちゃんと
もう休憩したい”ボス”

満喫してるなぁ~~!

最初は自分で登れなかった段差も
ヒラリと登れるようになったよ!

降りる時はこのスロープを使うの!
(かしこ~~い!)

はしゃぎすぎると”なつ”姐さんに叱られるから注意!

朝の海岸さんぽで、カモメさんの集会に遭遇したよ♪