2017年5月9日火曜日

爆発物探知犬として活躍したK-9と兵士のお話

昨日の記事に関連して、先々月のニュースをひとつご紹介したいと思います。

今年3月、米軍の軍用犬K-9として爆発物探知の任務にあたっていた1頭のジャーマンシェパード“Bodza(ボッザ)”くん(11才)が亡くなりました。

出典:The Dodo

安楽死でした。
ボッザの最期を看取った米空軍兵士カイル・スミスさんとボッザが出会ったのは2012年のことでした。

ボッザは2006年に米空軍に入隊。イラク、キルギス、クエートで爆発物探知犬として大活躍し、たくさんの人の命を救ってくれました。

カイルさんと出会った2012年以降は、189日にも及ぶ極寒のキルギスでの辛い任務をパートナーとして共に乗り越えてきました。

出典:The Dodo


カイルさんは語っています

「ボッザと一緒に仕事することが大好きでした。ボッザは若年ハンドラーだった僕に忍耐が必要だということを教えてくれました。そして、自分ひとりのために任務に当たっているのではないということも教えてくれました。本当にたくさんのことをボッザから学ばせてもらったのです」

一緒に苦境を乗り越えるたびに、カイルさんとボッザの絆は深まり、なくてはならない同志になっていきました。

やがて、引退を迎え任を解かれたたボッザは、上司の取り計らいで引退したその日、家族としてカイルさんと共に家に帰りました。
ボッザはK-9としての訓練を受け始めた時以来、はじめて普通のワンちゃんのような平和な暮らしを手に入れたのです。

カイルさんはボッザとの日々を振り返って

「ボッザは優しく愛嬌があり、自分の影に吠えたりするお間抜けなところもありました。そして忠誠心に篤く、ぼくの後をどこにでもついてきました」

と語っています。

出典:The Dodo


ところがボッザは2016年の夏、「変性性脊髄症」と診断されてしまいました。治療方法がなく、徐々に筋力が失われていって、最終的に歩行困難や呼吸困難を伴うと言われているシェパードに多い進行性疾患です。

カイルさんの懸命の看病の甲斐もなく、やがてボッザは後ろ足にまったく力がはいらない状態になり、歩行能力を失い、排泄をすることもままならなくなりました。
やがて、呼吸も苦し気になってきたボッザ・・・

ボッザの人生が、どれほど大変なものだったかを誰よりも知っているカイルさんは、ボッザにこれ以上の苦しみを味わわせたくないとの思いから、苦渋の選択をします。

テキサス州の「Fort Bliss Vet Clinic」でボッザを安楽死させることが決まりました。

カイルさんは同志であり、今や親友あるボッザの最期のために上司や同僚9人を招きました。

少しでもボッザに苦痛がなく、心地よく感じるようにと、カイルさんは床に毛布を敷いてあげました。

息を引き取る直前、ボッザは穏やかで、むしろ笑っているように見えたといいます。

それでもカイルさんは親友ボッザが旅立った瞬間、激しく号泣したそうです。
同僚たちはカイルさんの背中を慰めるように優しく撫で、上司はボッザの亡骸にK-9としての敬意を表して星条旗を被せました。

カイルさんはインタビューで、

「ボッザが亡くなった瞬間、私はまるで赤ちゃんのように泣きじゃくってしまいました。痛みと、ボッザがもう苦しまなくてもいいのだという安堵が一気に押し寄せました。私はボッザを一生忘れません。ボッザは私が知っているどの人間よりも無欲で、素晴らしい犬でした。毎日、ボッザのことを思っています」

と語りました。

出典:The Dodo

カイルさんはボッザの遺灰を自宅のボッザの写真の横に置き、首輪を車のミラーにかけて亡きパートナーとの思い出に浸っているといいます。
きっとボッザは、いつまでもカイルさんの心の中で生き続けるでしょう。


安楽死については、賛否両論ありますし、一口には語れない問題なのでここでは触れませんが、私は多くの人々の命を救ってくれたボッザに感謝の意を表したいと共に、人間のために戦場に連れ出されたボッザに謝罪の意も表したいと思いました。

心を通わせたカイルさんという優しい飼い主と過ごした穏やかな晩年は、ボッザにとってきっと幸せな日々だったのではないか・・・そうであって欲しいと切に感じました。



サムくんとアンちゃんは今日からお泊り。
1日お預かりのウリくんはサムくんに夢中❤
さぁ お散歩行くよ~~~♪