Pet Hotel 11! お庭番のブログ①: ”としお”新しい門出の日

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!（ペットホテルワンワン）のお庭番です。

動物愛護についてのお話はまだ続きますが、ちょっと固いお話なので休み休み書いていきたいと思います。

今日はみなさんにご報告があります。

【ボクの新しい家族】

●これまでの経緯

先日来、わたしたちのPetHotel11!にお泊りしてくれていた”としお”は、山道にひとりぼっちで取り残されていた雑種の子犬です。

お客様のNご夫妻が車で通りかかって道路に出てこようとしているのを発見。

保護しておうちに連れ帰りましたが、Nご夫妻のおうちには既に4頭のワンちゃんがいて、しかも2頭は静かに過ごしたい老犬のため、”としお”を飼うことはできません。

そこで、新しい飼い主が見つかるまでの間、社会化の勉強のためにウチでお預かりしていたというワケです。

当初、1週間の予定でお預かりしていましたが、お迎えにみえたNご夫妻は”としお”の様子をご覧になって、家に連れ帰るよりもPetHotel11!にこのまま居たほうが”としお”のためになると思い、延泊をご希望になりました。

わたしたちにとっても、それは大変うれしいお話でした。

なぜならば、”としお”がやってきてからの1週間は、わたしたちにとっては驚きと発見が満載の1週間でしたし、周りの犬たちにとってもかけがえのない時間だったからです。

●”としお”と過ごした二週間

”としお”というパピーを取り巻く犬たちの反応はすばらしく、わたしたちに犬という動物をますます好きにさせてくれました。

女帝チワックス＝ナツは、常に”としお”を見守り、時に厳しくキッチリと犬としての社会的なルールを”としお”に教えてくれました。

つまらなそうな顔をしてヘソ天でゴロ寝していても、”としお”が助けを呼ぶ声を聞くと、矢のようにスッ飛んで行ってやる優しさを見せました。

普段は1日のほとんどの時間をグ～タラグ～タラとお昼寝して過ごすチャコのことを、わたしたちは元繁殖犬として繰り返し出産を重ねたために体力を消耗しており、疲れやすい子なのだろうと思って見ていました。

ところがチャコは、”としお”がせがめば何度でもワンプロ（ワンワンプロレス）に応じ、”としお”が耳に噛みつこうがシッポを引っ張ろうが、長い時間飽きることなく優しく遊び相手をしてやりました。

”としお”が来てからの2週間、チャコはほとんどお昼寝をしていないくらいです。

臆病でボールや木の枝など、執着しているものを前にするとワケがわからなくなってしまうダックスのボス（←完全に名前負け）は、グウグウお昼寝しているところにパピーの”としお”がじゃれつくと、恐怖と驚きでホンキで怒り出すため、”としお”にとってとてもいい社会勉強の材料になってくれました（笑）

ナツ・チャコ・ボスだけではありません。

お預かりしているワンちゃんたちも、”としお”というパピーがいることで、普段とは違う表情や個性を見せてくれました。

「ああ、この子はこんなに優しい一面があったのだなぁ～」

「へぇ～！この子は実はこんなにも活発に遊ぶことができるんだなぁ～」

などなど、”としお”の起こす化学反応は、周囲の犬たちにとっても魔法のような新鮮な刺激となっていました。

筋金入りのナーバス犬Aくん（元保護犬でとても警戒心が強い小心者）の心を開き、信じられないほどハシャギながらワンプロをするような子にさせたのは、間違いなく”としお”マジックです。

●”としお”の成長

”としお”がウチにやってきてからの成長ぶりです。

・”としお”はトイレットシーツに完璧にオシッコができるようになりました。

・”としお”は”オスワリ”を覚えました。

・”としお”は”マテ”も覚えました。

・”としお”は”フセ”も覚えました。

・”としお”はチャコに教えられてワンプロのやり方を覚えました。

・”としお”はAくんにワンプロの相手をしてもらって、更にたくましくなりました。

・”としお”はボスにワンプロを挑み、ボスを秒殺して子分にしてしまいました（笑）

・”としお”はお散歩がとても上手になりました。

・”としお”は体重が1キロ増えて、現在4.6キロになりました。

●飼い主さん探し

Nご夫妻は”としお”の新しい飼い主を募集しておられました。

お申し出があったご家族の元へ”としお”がトライアルに行く直前に、そのお話は流れました。

詳しい経緯はお話できませんが、”としお”を保護したのはNご夫妻ですから決定権はNご夫妻にありますし、Nご夫妻のご判断にはそれなりの理由がありました。

そして・・・

Nご夫妻が

「ワンワンさんで”としお”を引き取ってもらえたら、どんなにいいだろう？！」

と思って下さったのと、わたしたちが

「嗚呼、”としお”がウチの子になったらどんなにハッピーかしらん？！」

と思ったのはほぼ同時でした。

けれども、それは胸躍る内容である一方で、簡単には決断できない内容でもありました。

飼い主として十分な責任を完遂できるか？

ということと、

”としお”を引き取ることでお仕事に支障が出たり、他の犬たちに負担やストレスを強いることにはならないか？

ということをよくよく考える必要がありました。

Nご夫妻ともじっくりお話し、わたしたちふたりも長い時間をかけて様々なシュミレーションをしつつ話し合いをしました。

その結果、”としお”をわたしたちの家族として迎え入れることに決めました！

最終的にわたしたちを決断に至らしめたのは、チャコの”としお”に対する態度でした。

チャコは、繁殖屋によって30頭の仲間と共に河川敷の小屋に閉じ込められて出産を繰り返しさせられていた、いわゆる繁殖犬だった子です。

わたしたちがチャコを家族として迎え入れて1年あまりが経ちますが、これまで彼女が他の犬とワンプロをする姿など見たことがありませんでした。

ところが、”としお”がやってきてからのチャコは、まるで自分が今まで産んだ子犬たちを人間に奪われ、ちゃんと遊んでやることができなかった時を埋めるかのように、毎日”としお”の遊び相手を本当に辛抱強くしてやっていたのです。

親バカと言われてしまうかもしれませんが、わたしたちはチャコのその姿に涙が出ました。

そして、そんなチャコからふたたびパピーを取り上げることはとてもできない・・・そう思ったのです。

みなさん、これからは”としお”はわたしたちの家族です。

お店にいらしたら、ぜひ”としお”を撫でてやって、たくさんの人間の優しさを教えてあげて下さい。

＜今日のPetHotel11!＞