前回ブログのつづきです。
【被害を最小限に食い止めるために】
●掃討作戦
お泊りしていた子の中に疥癬になっていた子がいると判って、わたしたちがまずしたのは、クッションやブランケットなどをコインランドリーに持ち込んで熱で駆虫処理することでした。
次に、現在お預かりしている犬たちの飼い主さんに急ぎ連絡を取り、事情を説明して駆虫のお許しをいただき、かかりつけの獣医さんにお薬を投与していただきました。
もちろん、ウチの子たちもです。
いくらクッションなどを熱で処理しても、犬の体にヒゼンダニが寄生していれば、新たにやってくる子に感染させてしまう可能性があるからです。
幸い、強いかゆみなどの症状を示している子は1頭もいませんでした。
また、PetHotel11!では犬たちは日中 自由に過ごしていますが、就寝時はそれぞれの個室で休みますので、もっとも感染の恐れがある”犬同士が体を密着させて眠る”という状況はありません。
そのため、他の子に感染している可能性は理論上は低いと考えられ、もしかするとここまでする必要はなかったのかもしれません。
けれども、なにせ相手は顕微鏡でしか見えないようなヒゼンダニです。
大切なワンちゃんを飼い主さんからお預かりする身としては、ヒゼンダニが「いる」とも言い切れないが「いない」とも言い切れない場合、「いる」とみなして対処するしかありません。
今いる全頭に対して、アドボケートという皮膚に滴下するヒゼンダニを駆虫できるお薬を投与し、その日にお帰りする子には飼い主さんに事情を説明してお薬をお渡ししました。
◇お薬について
以下、今回の件でご相談した獣医さんから伺ったお話です。
今回、犬たちに投与したアドボケートというお薬は、最も一般的に使われていると思われる”フロントライン”(皮膚滴下薬)や”ネクスガードスペクトラ”(内服薬)と、成分と効果がほぼ同じで、
ノミ・ダニ・フィラリア・お腹の虫(蛔虫など)に約1ヶ月間効果を発揮するお薬です。
ただ、1点違いがあって、それは「効果を発揮するダニの種類」です。
フロントラインやネクスガードスペクトラは”マダニ”に効きますが、疥癬の原因虫である”ヒゼンダニ”には効果がありません。
一方、アドボケートやレボリューションは”ヒゼンダニ”には効きますが、マダニには効きません。
そのため、キチンと毎月ネクスガードを愛犬に服用させていても、疥癬に感染するリスクはあるということですね。
今回、ご連絡した飼い主さんの中でおひとりだけ、愛犬に”レボリューション”を投薬されている方がいらっしゃいました。
そのワンちゃんは、今回の疥癬については感染の可能性がほぼないということになります。
さて、これで一応、犬たちの過ごす環境は安全といえる状態になりました
ε-(´∀`*)ホッ
んがっ!!
・・・わたしたちのせねばならないことはまだまだ残っています。
●飼い主さんたちへのお知らせ
疥癬の子がいたことが発覚した時点で既にご自宅に帰っているワンちゃんたちが何頭もいるワケです。
感染していた子と一緒の空間で過ごしたワンちゃんたちについて、たとえそれがどんなに短い時間であっても、感染の確率はゼロとは言い切れません。
正直、わたしたちは他のワンちゃんに感染している確率はとても低いと考えていました。
けれども、他の感染症と同様に疥癬もまた、実際に感染するかどうかは感染しやすい状況だったかということよりも受け手の免疫に大きく左右されます。
免疫力の強い子は少々のヒゼンダニがいたところで自らの抵抗力で駆逐できますが、逆に免疫力が弱っている子は、簡単に感染してしまうということです。
そのため、疥癬にかかりやすいのは老犬や幼犬だといわれています。
わたしたちに個々の免疫力を判断することは困難なので、やはり感染の可能性があるかもしれないと思って対処しなくてはならないということになります。
「リストアップしてすべての飼い主さんに一件一件 順番に電話でご説明するしかないね」
そう決めたものの、
お知らせすることで飼い主さんたちに かえって余計なご心配をおかけすることになるのではないか・・・
話を聞いただけで、心理的になんだか痒くなってしまう方もいらっしゃるのではないか・・・
「そんなペットホテルにはもう二度と愛犬を預けられない!」などと言われてしまうのではないか・・・
などの懸念が頭をかすめましたが、迷っている時間はありません。
万一の場合は、遅くなればなるほど被害が広がってしまうのですから・・・!!
●ご説明内容
飼い主さんたちにご説明したのは以下のことです。
・一緒に過ごした子の中に疥癬になっている子がいたと判明したこと。
・ご心配をおかけしてしまうことへのお詫び。
・疥癬とはどういう病気か(原因や症状、感染経路など)
・人間への感染の可能性はあるが、感染しても少し痒みが出るもののすぐに治ること。
・1ヶ月以内にもしワンちゃんがひどく痒がる素振りを見せたら獣医さんに行っていただきたいこと
・獣医さんには、過ごしたペットホテルで疥癬の子と一緒にいたと伝えてキチンと検査していただきたいこと。
・もし万一、疥癬に感染してしまった場合はお知らせいただければ施設責任者として治療費を負担させていただきたいこと。
・もし、このお話を聞いて、ワンちゃんが痒くなるかもしれないと不安になられたなら、予防策として先手を打って駆虫のお薬をお渡しできるのでご希望なら遠慮なく仰っていただきたいこと。
・お預かりしたワンちゃん以外に、おうちに別なワンちゃんがいる場合は、そのワンちゃんの予防薬もお出しできること。
すべての飼い主さんたちにご連絡をし、お薬を希望された飼い主さんたちにワンちゃんの体重や普段服用しているノミダニ駆除のお薬について伺った後に、前もって事情をお話しておいた獣医さんにお薬を受け取りに行き、近くの方にはお渡しに行き、それ以外の方には送付しました。
犬たちの相手をしながら、全ての作業を終えるのに丸一日かかってしまいました・・・
目に見えないほど小さな小さなヒゼンダニがわたしたちの業務に与えた影響は絶大でありました(TдT)
けれども、今回の経験によって、今まで知らなかったことをたくさん知ることができました。
「勇者ワンワンの経験値が上がった!!(チャラリ~~~ン♪)」(←ドラクエかーい!)
そう考えると、悪いことばかりではありませんね。
あとは、全てのワンちゃんたちが1ヶ月後に全員「なんでもなかったヨー!!」っていう結果になることを祈るばかりです・・・
●飼い主さんたちの反応
正直、わたしたちは今回の疥癬騒動で何人かのお客様を失ってしまうのかもしれないと覚悟していました。
今回の件は誰にも予測がつかないことでしたから、誰が悪いということはありません。
疥癬になってしまった子の飼い主さんは、PetHotel11!にその子を預けられる少し前に獣医さんで愛犬の健康チェックを受けていらっしゃったほど、むしろ大変意識の高い飼い主さんでした。
わたしたちも、受け入れるワンちゃんたちはすべて、感染症予防やノミ・ダニ予防をしていることを前提にお預かりしています。
そうは言っても、大切な愛犬を案じる飼い主さんからは
「こんなことになるなら、もう二度とあんなペットホテルには預けないことにしましょう!」
と言われてしまったり
「一体どの子が疥癬だったんですか?飼い主さんはどういう方?」
などと犯人探しをされてしまったり
「あそこのペットホテルは感染症を出したからやめておいた方がいいわよ!」
なーんて周囲の方に悪い口コミをされたり・・・
そういうことがあるのかもしれないなぁ・・・商売って難しいなぁ・・・
と泣きたい気持ちもありました。
ところが!!
お話した飼い主さんたちは全員、本当にどなたもそのような方はいらっしゃいませんでした。
そればかりか、
「大変ですねぇ~!わざわざお知らせいただいてありがとうございます!」
「今特に痒がっていないし、きっと大丈夫ですよ♪」
「もしも感染したとしても、治療で治るんですよね?じゃあ別にいいですよ!」
「感染しちゃっていたとして、疥癬の可能性を知らずに獣医さんに行って 間違った診断をされてしまったり、『何が原因でこうなったのだろう?』・・・と不安になるよりも、こうして教えていただいておいて本当によかったです!」
などと、ご理解をいただいたり、わたしたちへの温かいねぎらいのお言葉をかけてくださる方ばかり・・・
そして、そのお電話で次のご予約を入れて下さる方まで・・・
あらためて、わたしたちは本当にいいお客様とのご縁に恵まれているのだなぁ・・・
これはかけがえのない宝物だなぁ・・・今後も大切にしていかなくては!!
と感謝の気持ちでいっぱいになると同時に身の引き締まる思いがしました。
ただ・・・今回の件で、だけわたしがどうしても納得できないこと・・・
「バッキャローーッ!!」
と叫びたいことが2点あります。
それはまた、次回の記事でお話させてください。
<今日のPetHotel11!>
朝のお散歩は3組に分かれて・・・ 待機組はこうやってお庭で遊んで待ってまーす! 小さいナツは高いところに上がって Gくんに挨拶させるんだねー(^_^;) |
としお「みなさん、おはようございまーす! |
ナツ&チャコ「お!としお、そうそう、その台に乗って ここに飛び移ればいいのよ!」 としお「・・・うーん、でもお姉ちゃんたちがいるから 飛び移れないよ~」 シュールぅ~~~~(笑) |
Rちゃんとはお散歩で何度もすれ違っているから すぐに仲良くなれたね |
としお「Rお姉ちゃん、ボクと遊んで~~」 Rちゃん「いーやーだーー!」 |
Mくん「とーしーお~!あーそぼっ♪」 としお「ヒャァアアーーー!」 (としおは大きくて迫力のあるMくんに憧れている くせに、ちょっぴり怖いんだって!(笑)) |
としお「ボクはまだ小さくてとっても弱いので 優しくしてくださーーーい!」 Mくん「・・・・」 |
Sくん「Mくん、もうやめてあげてよ!」 Mくん「うん・・・・」 |
としお「どこのどなたか存じませんが、 助けていただいてありがとうございますぅ~」 |
としお「お礼に遊んであげますよ?!」 Sくん「なんでやねんっ?!」 |
お買い物から帰ると、Aくんの熱烈歓迎(笑) |
しっかしこのふたり・・・ 嬉しそうに噛みつかれてるなぁ~(笑) |
ギャラリーに見守られて・・・(^_^;) |
Mくん「なんだ、ワンプロできるんじゃないか! じゃあボクと遊ぼっ♪」 としお「いやーだ~!こわい~~」 (-_-;) |
Sくん・・・観戦楽しい? |
どんどん近づいちゃってるけど・・・(^_^;) |
近すぎじゃない?!(笑) |
Mくん「としおが遊んでくれないなら仕方ない・・・ ベンチでもかじるか~」 |
コラーーーッ!! ついこの前直したばっかりのベンチを 齧るな~~~~!!(;´Д`) |
Mくん「うんうん、ウマイウマイ!」 ・・・って、ヘンなことばっかり覚えさせないで! (-_-;) |
Sくん&Mくん「じゃ、ボクらはお庭で 遊んでこよーか」 |
そだねーーー♪ |
ナツ&チャコ「ボス・・・としおに少しは 齧らせてあげたら?」 ボス「やーーだね~~~~~!」 |
![]() |
ボス、ホンキで木の枝を死守 ・・・の巻(^_^;) おとなげねーぞーーーう! |
Mくん「お?!としお、お庭に来たの?」 としお「うん」 |
Mくん「そっかぁ~、来たのかぁ~~」 |
としお「ちょ・・・Mくん・・・」 |
「のーぼーらーせーてーーーー!!」 としお、完全にオモチャと思われてるね(^_^;) |
夕方のおさんぽ♪ Sくん&Rちゃん、とっても上手だったよ!! |
夕方のお散歩に滑り込みで間に合ったSTくん 相変わらずカワユイね~~♪ |
Sくん、一目惚れかな?(笑) |
Mくんはお散歩の最終組で、お散歩時間は 「満足するまで」 ・・・ってもう真っ暗ぢゃ~~~ん?!(-_-;) |
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