2018年11月6日火曜日

保護パピー”としお”③

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です






前回ブログのつづきです。

【犬から学ぶしつけ②】

●ナツが動いた!


お山でひとりぼっちでいるところを保護された保護パピーの”としお”

お預かりして2日目に、トイプーのLちゃん(♀2才)が”としお”に吠えつきながらちょっかいを出し始めました。

”としお”はイヤそうにしていますが、ちょっと空気が読めないタイプのLちゃんは、しつこく追いかけ回しています。

”としお”がシンクの下のスペースにもぐりこむと、Lちゃんは まるで穴ぐらに潜む獲物に吠え立てるように一層激しく”としお”に吠え始めました。


「こりゃ、そろそろ止めに入らないとダメそうかな・・・」


と思いつつ、ナツはどうするだろうか・・・と見ていると、思ったとおりナツが動き出しました。

ナツはクッションの上でくつろぎながらも、”としお”とLちゃんのやりとりをジっと観察していたのです。



●あれれ・・・ナツ?


クッションから身を起こしたナツを見て、わたしたちはてっきり


「きっとナツがLちゃんを威嚇して”としお”に吠えつくのをやめさせるんだな・・・」


と予想していました。

ところが 予想はハズレでした・・・(-_-;)

ナツは緩慢な動きでただ、ノタノタとお部屋の端から反対側の端を目指してゆっくり歩いただけでした。

Lちゃんを威嚇するどころか、声ひとつ発することなくノタノタノタノタ・・・

けれども、ナツの導線上にいたLちゃんは、ナツを自分より格上だと思っているので飛び退いてナツに道を空けます。

そのスキにシンクの下から出てきた”としお”は、ナツが元々いたクッションの上に移動しました。

ナツが通過することで”としお”に吠えつくのを一時中断したLちゃんは、ナツが行ってしまったので ふたたびクッションに移動した”としお”に激しく吠えつきます。


「あー・・・ナツの作戦は失敗だったのか?」


そう思って見ていました。

すると、さっきお部屋の反対側に歩いていったナツがUターンして戻り始めました。

やっぱりノタノタノタノタ・・・


「よし、今度こそナツに『しつこいっ!』ってLちゃんが怒られるぞぉ~~~~」


ところが、わたしたちの予想に反してナツは”としお”のいるクッションのところまでは戻らずに、奥のクッションからナツに助けを求めるように視線を送っている”としお”からよーく見える位置にある別なクッション


「ドッコラショっと~~~」


ってな風情で体を横たえました。

しかも、わざわざ”としお”に背中を向ける体勢でです・・・


「え・・・?」


わたしたちにはナツの行動の意味がまったく理解できませんでした。


さっき、ノタノタとお部屋を横切って”としお”とLちゃんの間を割いたように感じたのは、単なる気のせいだったのか?

ナツはただお部屋を横切って別なクッションに引っ越しただけ???

ナツが”としお”のことを気にかけているように見えていたのは、わたしたちの思い込みだったんかー?!


そんな考えが頭をかすめましたが、いやいや、そうではないことはすぐに判明しました。

だって、”としお”に背中を向けて横たわっていても、ナツの全神経が背後の”としお”とLちゃんに向けられていることは一目瞭然だったからです。

時おりナツは”としお”の方をチラ見しては、いかにも


「あーあ~タイクツ~~~」


という態度を取ります。

(ワザとらしいくらいに・・・)


そんなナツを、”としお”ももちろんチラチラと見ています。

まったく気づいていないのはナツに背中を向けて”としお”に向かって吠えているLちゃんのみってことですね(^_^;)



●固唾をのんで・・・


ナツが自分を助けてくれる気がないことは、”としお”には十分伝わったようでした。


「さあ、どうなる?」


介入したい気持ちを必死で抑えながら見つめていると、”としお”が動き出しました!

向かったのはナツのいるクッション。

ナツに助けを求めに行ったのです!

ところがっ!!!

ナツは「助けて~~」という風にやってきた”としお”に対して、「あっちへいけっ!!」というような冷たい態度で追い払ってしまったのです!!(TдT)


「ええええーーーー?!どういうこと~?ナツ・・・”としお”のこと守ってやらないの?

なんか、期待していた展開と違いすぎるぅ~~~」


”としお”が可愛くて仕方ないわたしたちは、ウルウルしつつも もう少しガマンガマン・・・


ナツに追い払われたハートブレイク状態の”としお”は、仕方なく先程逃げ込んでいたシンクの下にふたたび移動しました。

Lちゃんは”としお”を追って、シンク下に向かって激しく吠え立てつづけます。

すると・・・

ナツは”としお”が動いたので、今度は体勢を変えて「フセ」の姿勢でシンク下の”としお”をジっと見ています。


「まだだ・・・まだガマンだぞぉ~・・・」


わたしたちは”としお”が可哀想だな・・・と思いながらも、ナツの神経が”としお”とLちゃんのやり取りに注がれているうちは手出しはしないつもりでガマンしていました。

ナツには何か考えがあるように思えてならなかったのです。

こういう時、なーーんもわかっちゃいない人間が誤った解釈で介入すると、大抵ロクなことにならないんですよ(-_-;)

それに・・・推定月齢3ヶ月の”としお”の社会性を育む意味でも、犬のことはできるかぎり犬にまかせておいた方がいいと信じて手に汗握って見ていたんです。


ちなみに・・・

ナツ以外の他の犬たちは、


「ちょっとぉおお~~~、どーすんの~?どーなるのよぅ~~?」


という様子で、身を寄せ合うようにして成り行きを固唾をのんで見守っていました。

例外はボスとチャコ(ウチの子たち)

何事も起きていないかのようにひとつのクッションに折り重なるようにしてグースカピースカ居眠りをしていました(-_-;)


「ナツに任せときゃ安心だよ~う(ムニャムニャ・・・)」


って感じなのでしょう(笑)


実は、このボスとチャコの様子も、わたしたちが


「人間の手出しは無用」


と判断した一因です。

本当に警戒レベルが高い状態であれば、ボスやチャコも浮足立った様子になるはずだからです。



●としお頑張る!


”としお”がシンク下に移動してから、ものの1分も経たないうちの出来事です。

ずーーっと逃げ回っていた”としお”が、シンクの下から鉄砲玉のように飛び出してきて、Lちゃんに


「ガルルーーッ」(いい加減にしてよねっ!!)


とやったのです!!


「でかした!としおぉおおおーーーーー♪」(←わたしたちの心の声)


突然反撃されたLちゃんは驚いて飛び退き・・・そしてそれ以降は”としお”にしつこく吠えつくことはなくなりました。

”としお”は見事に自分の力で「拒絶」の意図を他の犬にハッキリと示すことができました!!

そして・・・

その一部始終を見守り続けたナツは、また自分が最初にいたクッションに戻ると、今度は本当に目を閉じてお昼寝を始めたのです!!


「ナツ様ぁ~~、おーみーそーれーしーまーしーたぁ~~~(ハハァ~~)



●ナツが”としお”に教えたこと


嗚呼、ガマンして介入せずに見守っていてヨカッタ!!!

心からそう思いました。

コトの成り行きをすべて見ていて初めて解ったこと・・・それは、ナツが”としお”に何を伝えようとしていたかってことです。


◇ノタノタ歩き


最初のノタノタ歩きで、ナツは”としお”に


「ホラご覧!Lちゃんなんかワタシより格下なのよ!

ホラ、ビビって飛び退いた。

たいして怖いヤツじゃないでしょう?」


ということを示したのではないでしょーか。

更に、ナツがノタノタと”としお”とLちゃんの間を歩いたことによって、興奮して吠え立てているLちゃんのテンションを一瞬下げるという狙いもあったように思います。

Lちゃんは”としお”にホンキで危害を加えるようなことはしないと誰もが解っていましたが、それでも興奮しすぎると見境がなくなってしまうのは人間も犬も同じですから・・・



◇タイクツそうな態度


ナツがあえてUターンして”としお”のところに戻りかけたのに、別なクッションでワザとらしいほどタイクツそうに”としお”に背中を向けたのは、


「ワタシは助ける気はないわよ!」


というシグナルだったのだと思います。



◇”としお”を追い払う


そして、ナツに助けを求めにきた”としお”を追い払ったのは、”としお”の甘えを断ち切って


「本当に自分ひとりで解決しなくちゃならないんだ・・・」


ということを”としお”に感じさせるためだったように思います。

ちょうど、「はじめてのおつかい」というテレビ番組で、一旦はひとりでおつかいに出た小さな子供が、家を出て少し行ったところで急に不安になり、泣いてお母さんのところに戻ってきた時に、母親が子供を突き放しておつかいに行かせる時のように・・・



もしかすると、わたしたち人間が介入して”としお”を助けていたら、”としお”は今後も他の犬にしつこくされた場面で、いつまでも人間の助けを待つ子になってしまっていたかもしれません。

もちろんナツが助けたとしてもそうなっていたでしょう。

けれども今回、自力でLちゃんを追い払うことに成功した”としお”には、間違いなく大きな自信がついたのではないでしょうか。

実際、”としお”はLちゃんに「なかなかやるな」と認められたことによって、その後二度とLちゃんから吠えつかれるようなことがなくなったのですから!



ナツの見事としか言いようのない態度に、わたしたち人間も学ぶべきことがたくさんあるなぁ・・・と感じました。

「子育て」や「しつけ」で大事なのは、自分たち大人がいなくても一人で立派に生き抜いていく力をつけさせることだと思うからです。


お子さんについつい世話を焼きすぎてしまう親御さんや子離れできない親御さんは、少々耳がイタイお話だったのではないでしょーか(^_^;)





<今日のPetHotel11!>

朝の海岸さんぽ♪
今日も元気モリモリ、ウンチもモリモリのAくん

としおもお散歩練習順調でーす♪
飲み込みが早い早い!!

雨降りの合間のお散歩だったけど、
ステキな景色だったよ(*^_^*)

グレイハウンドのGくんと・・・

琉球犬MIXのAくんがまたお泊りに来てくれたよ♪

としお「わぁ!おっきいんですねー!」
Gくん「まあね~」

としお「ヨロシクお願いしまーす」
Gくん「うん、ヨロシクね」

としおはちょっぴりキンチョー気味(笑)

ホラ、Aくんもとしおと挨拶してあげて!

Aくん「えー・・・やだ!だって怖いんだもん」
人見知りと犬見知りの激しいAくんなんです(^_^;)

そんなこと言わないで・・・ホラ、
まだ子供なんだから優しくしてあげてね~

なんとかご挨拶できました(*^_^*)

元保護犬のKちゃんは、既に面談は済ませていたけど
本番に向けてもういっかい慣らしにきてくれたよ!
キンチョーしてるけど大丈夫そうだね♪

ふだんはワンプロなんか絶対にしないチャコだけど・・・

”としお”と遊んでくれていたMくんが帰っちゃったら
チャコがワンプロ(ワンワンプロレス)
を教えてあげる担当になったみたい

チャコ「ほら、としお、こうするのよ~!」

としお「オリャッ!」
チャコ「うまいうまい!」

としお「ウリャーーーッ!」
チャコ「わあ参った!としお、強いねぇ~~」

チャコのこんな姿はわたしたちも
初めて見ました!!

Aくん「としおくん、大丈夫?」
としお「うん!大丈夫だよ!」

Aくんは激しくワンプロするとしおとチャコを
ちょっぴり心配そうに見ています。

ワンプロは子犬の成長にとっても大切な
社会性を遊びを通じて学ぶ絶好の方法なんだよ~!

ナツは相変わらずとしおの様子をいつも
見守ってくれています。
ありがとうねな、ナツ!

Aくん「ボク、おうちに帰るんだよー♪」

よくがんばったね、Aくん!
またお泊りにおいでね~~(*^_^*)

としおは遊び疲れたからお昼寝タイム・・・





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