前回ブログのつづきです。
【蓋の中の人々】
●臭いものに蓋?
前回お話したみっつの事件の共通点はなんでしょう?
大口病院やY&M藤掛第一病院は、いわゆる”終末医療病院”でした。
◇終末医療病院(病棟)とは
簡単に言ってしまうと、余命宣告をされている高齢の患者さんなど、入院治療によって治る見込みがない終末期の患者さんを受け入れて入院させてくれる病院(病棟)です。
終末期の患者さんを一般の病院に入院させたままにしておくと、治療によって命を救えるはずの人が入院できないという事態を招いてしまうんですね。
そのため、終末期の患者さんは多くの場合、一般の病院から
「もうこれ以上当院にいていただくことはできません」
と、非情にも退院を迫られることになります。
けれども、そんな目が離せない状態の患者さんをご自宅で看病することは、ご家族にとって大きな不安であり負担ですから、
「そっ・・・そんなぁ~・・・!センセッ!お願いですから退院させないで病院に置いてください!!」
と必死で頼みますが、病院には首を横に振られてしまいます。
そんなご家族の需要に応えている受け皿が、終末医療病院なのですね。
※ちなみに「終末医療」の正確な定義や「終末医療病院」という言葉はありません。
実際にはそういう役割を担っている病院や病棟は存在するけれど、ハッキリ定義されていないのは、世間が見て見ぬフリをしているからなのかもしれません。
◇動物保護団体と終末医療病院
動物保護団体は、飼い主に飼育放棄されるなどした犬や猫を引き取って、日々のお世話をしながら新しい飼い主さんに繋げるお仕事をしていますね。
動物保護団体と終末医療病院の共通点は、
「他の人々から『もう面倒を見られません』と言われて行き場を失ってしまった人や動物の受け皿となって、日々お世話をし続けている」
ということです。
『もう面倒を見られません』
そう言った人たちは、自分たちが蓋をしたそれらの人や動物のお世話がどれだけ大変なものなのかを知っているのでしょうか・・・
誰も面倒をみられない命
または
誰も面倒をみたくない命
ずいぶんと酷い言葉だとは思いませんか?
でも、飼育放棄された犬たちや、他病院にも家族にも看病を拒絶された終末期患者は、どう綺麗な言葉で取り繕おうとしても、結局はそういった存在なんですよ・・・
自分がそういう立場に置かれたらと想像すると、情けなくて泣けてきてしまいますね。
※誤解のないように申し上げておきますが、
「終末期の患者さんをご家族が自宅で面倒をみるべきだ」
とも、
「どんな事情があろうがペットを絶対に手放してはならない」
とも言うつもりはまったくありません。
人にはそれぞれ外からは見えない事情があるものですし、場合によっては抱え込まない方が正しい選択といえるケースもあるでしょう。
●健全な精神状態を保ちにくい環境
ではそういった、”人々が投げ出した命の受け皿”で働く人々について考えてみましょう。
わたしは、いずれの現場も特に精神的に非常に過酷な現場だと思っています。
その理由は次のようなものです。
◇人間のイヤな面ばかり見る仕事
「自分には面倒を見ることができないのでお願いしまーす」
そう言って命を持ち込んできた人たちはみんな、日々 自分が命を託した現場の人に感謝し続けているでしょうか?
そういう人もいるでしょうが、そうでない人も多いように思います。
年老いて排泄を粗相するようになった愛犬を捨て、ペットショップで子犬を買ってくるような人もいます。
終末期の家族を預けたまま、まったくお見舞いにも来ないで自分たちの生活を謳歌しているような人もいます。
それに対して、”受け皿”で働く人たちは、どんな生活を送っているか、想像してみてください。
保護団体のスタッフは・・・
飼い主に捨てられたトラウマから心を閉ざした犬に咬みつかれ、猫に引っ掻かれた経験のない保護団体のスタッフはあまりいないでしょう。
病気を持った犬や猫もいるでしょう。
寝たきりになった大型犬の老犬が褥瘡(床ずれ)にならないようにしょっちゅう抱き上げて向きを変えてあげるのは大変でしょう。
引き取ったたくさんの犬たちがストレスを溜め込まないように毎日お散歩に連れて行くのも大変でしょう。
毎日毎日、ヘトヘトになりながら目やにや糞尿にまみれ、引っ掻き傷や咬み傷だらけになりながら奮闘しています。
終末医療病院のスタッフは・・・
「痛い」「苦しい」と苦痛を訴える患者さんに呼ばれるたびに「もしかして・・・」と毎回”死”と直面するお仕事はどんなに過酷でストレスが溜まることでしょう。
短い期間でも懸命にお世話をし、会話を交わした人が目の前で亡くなっていくのは、どんなに辛いことでしょう。
食事や点滴、痰の吸引、排泄のお世話や入浴のお世話・・・命ある限りこういった介護の手を抜くことは許されません。
「家に帰りたい」と泣きつく患者さんもいるでしょうし、死への恐怖や溜まったストレスから介護者に怒鳴り散らしたり暴れたりする患者さんもいるでしょう。
苦しみから逃れようと自殺を試みる患者さんからは目を離せず、緊張を強いられることでしょう。
こうした日々を送っている人たちが、臭いものに蓋をして自分たちは綺麗な世界で暮らしている人たちの身勝手さや無責任さを呪いたくなる気持ちになるのは、むしろごく自然な感情ではないでしょうか・・・
そして、自分がそのような黒い感情を抱いたことに対する罪悪感もまた、その人を追い込んでいくように思います。
物のように扱われる命や、日常的に目の前で尽きていく命と向き合い続けるうちに、誰よりも命の尊厳を重んじていたような人たちの感覚がいつの間にかマヒして、”死”に対して不感症になっていったとしても不思議ではないように想像してしまいます。
そういう意味で、いずれのお仕事も健全な精神状態を保つためには、よほど強靭な精神力が必要なお仕事ではないでしょうか。
◇モチベーションが保ちにくい仕事
保護団体のお仕事に関わっている人の多くは、
殺処分される犬や猫を減らしたい!
不幸な犬や猫を減らしたい!
といったことを目指しているでしょう。
けれども、資金・施設・マンパワーなどの条件から、自分たちが引き取ることができる頭数には限りがあります。
どんなに頑張っても、すべての犬や猫を救うことはできない・・・センターから引き取りの要請を受けてもケージが一杯で「引き取り拒否」をせざるを得ない・・・そんな無力感に日々さいなまれ、達成感を味わうことなどとてもできない状況です。
引き取った動物のうち何頭かを、やっと新しい飼い主さんに繋げることができても、
「やっぱりウチでは無理でした」
と返されるケースも多いです。
更に、センターに連れてこられる保護犬や保護猫は後を絶たず、引き出しても引き出してもキリがありません。
終末医療に携わる人たちも、やはり”やりがい”を感じることがとても難しいといえるでしょう。
回復して「ありがとうございました!」と退院していく患者さんやご家族から感謝されるようなことはまずありません。
「命を救うお仕事に就きたい」という志を持って医療従事者になった人は、死にゆく命と向き合い続ける中、どうやってモチベーションを維持しているのでしょう・・・
そして・・・
どちらの仕事も、ギリギリの状態の中でうまくやれていれば世の中から感謝されもするでしょうが、その一方で少しでもヘマをしたら、たちまち大バッシングの標的にされてしまいます。
「命を繋げるはずの保護団体が犬を逃がした?!フザけるなっ!恥を知れ!」
「新しい飼い主の素性をよく調べずに譲渡しただと?!神経を疑う!断固抗議する!」
「ウチのお爺ちゃんは余命半年と言われたのよ!ここに入ってまだたったの3か月で亡くなるなんて、一体どういう体制で看ていたんですかっ?!」
「しばらくぶりに来てみたら、床ずれがひどいじゃないか!お婆ちゃんが可哀想だ!こっちはちゃんとお金を払っているんですから、ちゃんと看てくれなくちゃ困るんだよ!」
※もちろん、こんな身勝手な人ばかりではないのはよく存じていますので念のため・・・
そもそも人がやりたがらないような大変なお仕事をギリギリの精神状態で引き受けているのに、こんなことを言われたら、モチベーションを保つのは至難の業でしょう・・・(´;ω;`)
臭いものに蓋をして、いい匂いばかりを嗅いでいる人たちの勝手な言い分はまだまだあります・・・・が、気分がよくないのと長くなるので、つづきは次回にしましょう。
<今日のPetHotel11!>
ヨーキー3姉弟 お散歩とっても上手だね~♪ |
毎日快便、ごはんも完食のAちゃんです♪ |
ゴハンを食べるのはゆーっくりだけど、 甘え上手でチャッカリ者のSちゃんです♪ |
オットリしてそうで、なかなか要領がいい Fくんです♪ |
ビックリした耳がデッカくなっちゃった~~~!! |
いいえ、チャコじゃあありません。 Sちゃんで~す・・・似てる・・・(笑) |
Hちゃんなのっ!! また来てあげたのっ!! 抱っこしてなのっ!! はいはい・・・(-_-;) |
M姉で~す! 弟が心配でドッキドキなんで~す! |
M弟です! お姉ちゃんが心配です。 よろしくお願いします!! |
特に仲良く遊ぶワケでもなく・・・ かといってケンカするでもなく・・・(笑) いい感じだよ~~~♪ |
R兄くん、楽しんでたねぇ~! また遊びにおいでね(^▽^)/ |
R弟くん、実はビビリってバレちゃったけど 愛嬌はバツグンだね! また待ってるよ~(^▽^)/ |
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