2018年9月22日土曜日

群の意識(犬同士のコミュニケーション)②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回ブログのつづきです。


【犬の社会性のレベル】


●社会性ってなに?


「アイツはまったく社会性がないヤツだ・・・」

とか言う場合の社会性というのは


1)広く社会に通用する(または存在価値が認められる)ような性質。

2)社会集団の一員であるのにふさわしい性質。


などと説明されます。

いわゆる「世渡り上手 ⇔ 世渡り下手」というような要領やスキルのお話ではなくて、もっと基本的な「社会的なお約束」とか「お作法」のようなものを指します。


たとえば・・・

<近所の顔見知りと道端ですれ違ったら挨拶を交わすものだ>

ということはみんなが共通認識として持っている常識ですね?

もし、あなたが通りを歩いていて知人とすれ違い、明らかに目が合ったにもかかわらず、相手が挨拶しかけたあなたを無視して通り過ぎて行ってしまったらどうでしょう?


「え?なに今の?わたし、何かあの人を怒らせるようなことをしたかしらん???」


という風に不安になったり


「は?!なにあの態度?感じ悪ぅ~~~い!!」


という風に憤慨したりするのではないでしょーか?

逆に、まったく知らない人が突然満面の笑みを浮かべながら近づいてきて


「やあ、こんにちは!!どこに行くの?その服いいねぇ~、どこで買ったの?いくらだった?」


なんて訊いてきたら


「な・・・なにこの人?!どっかで会ったっけ???馴れ馴れしいんですけど~~~?!」


とか


「うわ!なんの勧誘かなぁ・・・気持ち悪いなぁ、どうしよう~~~?!」


とか、これまた不安な気持ちや恐怖を抱きますよね。


わたしたちはみな、小さいころから育った社会の中で、特に親や先生に教えられることもなく、こういった「社会性」を身に着けているんです。

ですから、その「お約束」(共通認識)と違う行動をする人がいると、不協和音が生み出されて、周囲の人が不快な気持ちになったりするというわけですね。


つまり、社会性のない人(犬)は仲間から嫌われたり避けられたりするようになってしまいます( ノД`)


もちろん、国や地域などによって「お約束」は異なります。

チベットでは、会釈代わりに「ベエーーッ!」と舌を出して見せるそうですし、アフリカのある民族では相手の手のひらにつばを「ペッ!」と吐きかけるのがマナーだとか・・・・(やーめーろ~~~~!)

日本でこんなことをしたら、社会性が低いどころか頭がおかしくなったかと思われちゃいますねぇ・・・(;^ω^)



●犬にとっての社会性


◇対人間の社会性


現在、日本で家庭犬として暮らしている犬たちは、基本的に人間社会の中で家庭犬としての社会性を身に着けていれば問題はありません。


・オシッコはこのシートの上でしなくちゃいけない

・ソファやクッションをビリビリに引き裂いたらいけない

・「ねえねえ遊んでぇ~」って人の耳や足に咬みついたりしない

・よそ者(郵便屋さんや宅配屋さん)が来てもうるさく吠えたりしない

・ママがあの顔をしたら、そろそろイタズラをやめないとヤバイ


などといったことを、犬たちはちゃーんと身に着けています。

※身に着けていない子の飼い主さんはしつけを頑張りましょう~(^▽^)


これらは、犬たちが周囲の人間に教育(しつけ)されて習得したり、周囲の人間たちを観察して覚えたりしていったことですね。



◇犬同士の社会性


一方で、犬同士の社会性(コミュニケーション)を習得する時期は、生後8週までの過ごし方に大きく影響を受けると言われています。

この時期に母犬から犬としての「お約束やマナー」を教えられ、兄弟犬たちとのふれあいの中で相手との距離感や自分の立ち位置を知り、子犬はものすごい勢いで犬としての社会性を吸収していくんですね。

生後8週令以前に母犬や兄弟犬から引き離され、流通ラインに乗せられてしまった子犬がそのまま大きくなると、犬としての社会性が未熟なままであることが研究からわかっています。

それが、犬たちが成長してからの様々な問題行動を引き起こす原因のひとつになっているとも言われています。

だから、動物保護活動をしている人たちの多くが、繁殖業者や販売業者が子犬を8週令より前に母犬から引き離すことを禁止する法律(8週令規制)を求めて活動をしているというワケです。


ここから先はわたしの個人的な考えなのですが、もしかするとこの生後8週令までに子犬が習得する社会性の中には、


「吾輩は犬である」


というアイデンティティーが確立するということも含まれているのではないかと思っています。



●吾輩は犬である


「社会化が未熟な犬」とひとくちに言っても、そのレベルには差があるでしょう。


ここでちょっと解りやすくするために社会化を語学力に例えてみましょう

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Aさん、Bさん、Cさんはみな、日本で生まれた日本人です。

Aさんは10才まで日本で暮らし、その後渡米して中学生になり、再び帰国しました。

Bさんは4才まで日本で暮らし、その後渡米して中学生になり、再び帰国しました。

Cさんは1才まで日本で暮らし、その後渡米して中学生になり、再び帰国しました。


あまり考えにくいことですが、仮にこの3人がアメリカでは日本人学校に行かず、ご家庭でも特に日本語の教育を受けてこなかったと思ってください。

この3人が日本の同じ中学校の同じクラスに同時に転校してきた場合、きっと


Aさんはすぐにクラスに溶け込むでしょう。

Bさんは時間はかかるものの、やがてクラスに溶け込むでしょう。

Cさんはクラスに溶け込む以前に、ほとんど日本語が理解できないため、かなり苦労するでしょう。
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・・・とゆーよーなことが想像できると思いませんか?


それと同じように、犬の社会化についても


①犬としての社会性がちょっと不足しているだけの子

②犬としての社会性がかなり未熟な子

③そもそも自分が犬だという認識すらない


といったように社会性の未熟度に差があると考えるべきだと思います。

ケージレスのペットホテルで他の犬たちと一緒に過ごすうちに・・・


①の子はかなり早いペースで社会性を習得していくでしょう

②の子は1週間とか1か月とか、少しながい時間を他の犬たちと過ごすことで社会性を身に着けられる可能性が高いでしょう

③の子は、犬としての社会性を身に着けることは難しく、もしかするとずっと他の犬と仲良く遊ぶことなど夢のまた夢・・・という状態かもしれません


そもそも「吾輩は犬である」という自覚すらない③のような子は、人間社会の中でも犬社会の中でも、社会の一員として問題なく過ごすことが難しいように思います。

だって、「自分は人間だよねぇ?」と思っているにもかかわらず、


他の人間たちとは明らかに姿かたちが違いすぎますし・・・

外を歩くときには首に綱なんかつけられちゃうなど、他の家族とはまったく違う扱いを受け続けていますし・・・

他の家族が楽しそうに交わす会話の内容(言語)も理解できず疎外感を感じ続けていることでしょうし・・・


③のような子になってしまう要因はいろいろ考えられます。

たとえば目も耳もまだ開かないような極端に早い時期に母犬や兄弟犬から引き離されてしまった子や、母犬自身がそのような生い立ちを持っていて、教えるべき社会性や母性が欠如しているために育児放棄されてしまった子、更に先天的に脳に疾患を抱えている子など・・・

いずれにしても③のような子は、人間社会の中では自分がまるで異端児の様に疎外感を抱き、ストレスフルな毎日を送っているかもしれませんし、だからといってドッグランやケージレスのペットホテルに連れてこられると


「わあ、犬がいっぱいいる!・・・ってゆーか犬しかいない!

怖いよぅ~~!!なんで犬なんかと一緒にいなくちゃならないの?!」


と感じているのかもいれないな・・・なーんて想像すると本当に可哀想に感じてしまいます。




だいぶ、個人的な主観の多い文章になってしまいましたが・・・(;^ω^)


いわゆる「社会性のない子」がケージレスのペットホテルで他の犬たちと「群」になれるかどうかの分かれ道は、本犬さんに「吾輩は犬である」という認識があるかどうかのように感じているってことです。

「吾輩は犬である」という認識さえあれば、学習によって社会性を身に着けていくのに要する時間の違いはあっても、他の犬たちと楽しく遊べるようになる可能性は十分にあると思っています。

もちろん、人間同様に柔軟性が高い子ほど、後からでも社会性が育つ可能性は高くなります。

一般的に、年齢が低いほど柔軟性は高く、おのずと社会性も育ちやすいですね。



社会性がまったくないように見えていた子が、ある瞬間から何かを掴んだように態度が変化して、そこから先は驚異的なスピードで他の犬とのコミュニケーションがメキメキ上手になっていく様を見るのは、この仕事をしていて一番うれしい瞬間のひとつです。

なぜなら、「吾輩は犬である」という認識を持っていただけの子が

「犬に生まれてよかった~!楽しい~~♪」


と、犬本来の喜びや楽しさを抱くことができたように感じるからです。




長くなりました。

つづきはまた次回にさせてください。





<今日のPetHotel11!>

お?!Pくん、だいぶスリムになったんじゃないの?

Pくん「ボスくん、またよろしくね~♪」
ボス「なんだPくんか・・・」
Pくん「なんだってなんだーい?!」

PくんはTくんのことが・・・

だ~~い好きぃ~~~♪(ウットリ)

そんなPくんをYくんは大好きで・・・
(Pくんはちょっとビビり気味)

Tくんはチャコと・・・

ボスのことが好きみたい(笑)

いやなことがあったら、ボクを見るといいよ

確かに・・・癒されるぅ~~~(脱力)

「あ!チャコちゃん、また草食べてると
怒られるよ~~~!」

チャコ「ヘーキヘーキ♪」

こらチャコッ!!草食ってんじゃないよっ!!
チャコ「食べてません」

Pくん「いいえ、食べてましたーー!」

うんうん、食べてたよねぇ~~(-_-;)

チャコ、そんなところで寝たフリしてると落ちるよーー!!
夕方になってRくんがやってきたよ!

脚ながっ!!
Rくん「へへへ、そーでしょ~?」

いつになくテンションの高いナツ・・・脚短かっ!!

ナツ「放っておかんかーーーいっ!!」

綺麗な薄暮のお月さま♪