2017年9月22日金曜日

チベタン・マスティフの悲劇

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


チベット高原原産の大型犬 チベタン・マスティフという犬種をご存じですか?

チベットを中心とするヒマラヤ山脈で、遊牧民と共に番犬として暮らしてきた犬です。

「東方神犬」という異名を持ち、最強の犬だと言う人もいます。

「虎型」「獅子型」の二種類に分けられていて、「獅子型」はライオンのようなたてがみがあるのが特徴。

数年前、中国の動物園で『アフリカライオン』と書かれた檻の中で”ワンワン”と鳴くライオンがいるとしてニュースになっていたのが、このチベタン・マスティフくんたちです。

さすがだな・・・中国(笑)

体高はおよそ70㎝、体重は70㎏ほど。

オスで体の大きな個体だと100㎏を超えることもある超大型犬で、番犬の他に軍用犬や闘犬として飼育されてきました。

現在、中国のチベット自治区内では このチベタン・マスティフが大量に野犬化し、1ヵ月に平均180人もの人が咬まれるなどして、大問題になっています。

どうしてこんなことになっているんでしょう・・・( ノД`)



【チベタン・マスティフ 翻弄された歴史】


●殺害命令によって絶滅危惧種に


チベタン・マスティフは、1800年代の中頃にはイギリスへ輸出され、その珍しさ故に王族に飼育されたという記録も残っていますが、戦争の混乱などを経て、現在では英国内においてはほぼ絶滅状態です。

原産地のチベットでも、中国共産党政府によるチベット併合後、多数のチベット市民が大量虐殺の対象となった【カンロの虐殺】の際に、

「全てのチベタン・マスティフを殺害せよ」

との命令が下ったことによって、チベタン・マスティフは絶滅が危惧されるほどに激減してしまいました。

そのため、2006年に中国の国家第二類保護動物に指定された当時、チベタン・マスティフの純血種は、全世界で200頭に満たないと言われていたんです。


人間の身勝手に翻弄されるチベタン・マスティフの悲運はまだまだ続きます・・・


●過熱する種の保存活動


絶滅を危惧する声が上がり始めたことで、チベタン・マスティフたちは一転して積極的に繁殖される犬種となります。

ヨーロッパやアメリカへ渡っていた個体から計画繁殖されたりという動きだけならまだしも、保存活動は過熱し・・・

2008年には韓国のスアム生命工学研究院の黄禹錫(ファン・ウソク)博士が、チベタン・マスティフ17頭のクローン犬を作り出したことを発表しました。
(2008年06月18日 中央日報)

クローン犬の問題点については、以前にこのブログでもご紹介しましたね。

【遺伝子組み換えクローン犬】の恐怖



●バブル期の到来


絶滅が危惧されるようになって、にわかにその希少価値が脚光を浴びたチベタン・マスティフは、富の象徴として富裕層の人気を集めるようになりました。

一時期は、1頭に数億円という値がついて話題になるほど・・・

富裕層の自尊心を煽るには、値段は高ければ高いほどいいんでしょう。

当然、一攫千金を狙う人々が、こぞってチベタン・マスティフを競い合って繁殖させるようになりました。



●バブル崩壊


その結果・・・数年前からはチベタン・マスティフは需要よりも供給が大幅に上回り、値崩れして、数億だった値段が数万円までになってしまったんです。

チベタン・マスティフは、市場から溢れただけではありません。

希少価値への興味と虚栄心を満たすためだけに安易に超大型犬の飼い主となった富裕層の多くが、飼いきれなくなって飼育放棄したのです・・・

典型的な犬バブル崩壊です。


●そして現在・・・


ほんの10年ほど前には世界中に200頭程度しかいなくて、絶滅を危惧されていたチベタン・マスティフは、狂乱のバブル期を経て今や行き場を失って路上に溢れかえっています。

中国紙「北京青年報」(電子版)によると、

青海省ゴロク・チベット族自治州には14000頭、嚢謙(のうけん)県には8000頭以上の野犬がいるとのデータがあって、その多くがチベタン・マスティフということです。

昨年(2016年)11月には嚢謙県で8歳の女の子がチベタン・マスティフの野犬に咬まれて命を落としました。

チベット自治区では月平均180人もの人が咬まれたという記録もありますし、羊などの家畜にも数多くの被害が出ています。

更に・・・野犬化したチベタン・マスティフとのエサの取り合いに敗れたユキヒョウが、今や逆に絶滅を危惧されている状況だというのです。

嚢謙県では地元政府が収容施設を作りましたが、増え続ける犬のエサ代工面に頭を悩ませています。

収容施設に入りきれないほどのチベタン・マスティフたち


溢れかえった収容所内では、エサの取り合いで犬同士の殺し合いも頻発しています。

そして現在・・・希少犬として人気を博し、数億円の値がついていたチベタン・マスティフたちの中には、屠殺されて食肉用になってしまう子もいて、動物愛護のボランティア団体や仏教徒たちが反対運動を繰り広げているそうです。

人間たちに殴られる 野犬化したチベタン・マスティフ


青海省にあるチベタン・マスティフ協会の幹部は、次のように語っています。

『本来は普通の犬。どう見てもあんな値段につりあうわけがなかった』

(参考:9/17 毎日新聞)


【生体販売の大罪】


チベタン・マスティフだけではなく、日本においても、流行りの犬種は多かれ少なかれ似たような目に遭っています。

流行が長く続いていればまだしも、たとえばシベリアンハスキーなどは、1980年代に爆発的に流行し、その後飼育が難しいという理由で急速に人気が衰退していきました。

気まぐれな市場の動きに翻弄されたハスキー犬たちは、大量に繁殖され、大量に余り・・・そして、大量に殺処分されていきました。

命あるものを、製品として製造(繁殖)させて、躊躇なく市場に送り出す”生体販売”というやり方は、やはり間違っているとしか思えませんね・・・




<今日のPet Hotel 11!>

今日もウリくんは絶好調!

ボスはウリくんに絶対に・・・

絶対に・・・

追いつけないー!!なんでだーー?!

脚が短いからに決まってるでしょ!(フンッ)

あ・・・ボクは壁ですから・・・気にしないでください。
コっちゃんは相変わらずビクビクしています(笑)
11才の柴犬 ヤマトくん。
優しいお顔の穏やかなおじいちゃんです。

ヤマトくん「おやぁ?確かこの辺にもう1匹いたような・・・」
コっちゃん「いませんいません。どこにもいません」
ウリくんがしつこく根気強く誘ってくれたおかげで
怖がりコっちゃんもちょっとだけ遊べたよ~!
ウリくん、ありがとね(^▽^)/