【怯えから咬もうとするワンちゃん】
●オオカミになります
Pet Hotel 11!にお泊りしたKくんのお話です。
お預かりする時に、飼い主さんからこう言われました。
『ハーネスやリードをつける時に、いやがってオオカミになります』
具体的にどういう感じになるのか伺うと、すごい形相をして唸り、歯を剥いて怒る。
そうして、実際飼い主さんも何度か咬みつかれたというのです。
噛み癖のあるワンちゃんは、Pet Hotel 11!のようなケージに入れっぱなしにしないペットホテルでは、一般的にお断りという場合が多いです。
Pet Hotel 11!でも、他のワンちゃんの安全と安息のために、原則お断りしています。
原則としてお断りする理由は
◆本犬さんはもちろんのこと、他のワンちゃんへの安全やストレスを考慮し、特別な配慮が必要となる。
◆そのため、そういうワンちゃんをお預かりしている間は他のワンちゃんをお断りせざるを得ないこともある。
などといったことがあるからです。
今回は、お話を伺った感じから、他のワンちゃんに危険が及ぶ心配はなさそうで、大丈夫と判断しましたので特別にお受けしました。
そのため、
『咬みつく犬でも預かってくれるの?』
という誤解がなきよう、くれぐれもお願いいたします。
●原因はハーネスやリードではない
Kくんは、未去勢の男の子で3才。とっても可愛らしい小型犬です。
Kくんです(笑) |
そして、お庭番とは今回が初対面でした。
お迎えに行った時も、最初から人懐っこく寄ってきて、あまり警戒している様子はありませんでした。
車に乗せてもおとなしく、鳴き声ひとつあげませんし、甘えてきたりさえします。
Pet Hotel 11!に着くと、いつものようにオリジナルのIDプレートがついた首輪をつけます。
さて・・・オオカミになるのかな~?(ドキドキ・・・)
と思っていたら、すんなりと何の抵抗もなくつけさせてくれました。
『おやぁ?』
んじゃぁ・・・ってことで、Kくんが元々つけていたハーネスを外して、改めてまた着けてみましたが、コレまた何の抵抗もなく着けさせてくれます。
『あれれ~?』
ちょっとした肩透かし・・・
何度か外したり着けたりを繰り返しますが、Kくんがオオカミになる気配は全くありませんでした。
Kくんにはマーキングの癖があるときいていたので、今度はオムツを付けてみました。
が、この時も抵抗することなく素直に着けさせてくれました。
『オオカミにならないねぇ~~』
ホッとしながらそんなことを言って笑っていました。
●社会性がまったくないKくん
さて、オオカミにはならなかったものの、Kくんはものすごく怖がりでした。
新入りのKくんに興味津々で近づいてくる他のワンちゃんから、必死で逃げ回り、追い詰められた壁ぎわでうずくまってしまいます。
飼い主さんと離れ離れになって、知らない人に知らない場所に連れて来られて、苦手な他のワンちゃんの中に放り込まれたのですから、Kくんにとってここは
恐怖の館
といった感じでしょう(笑)
いずれ、新しい環境にも他のワンちゃんにも慣れるのですが、最初からあまりに刺激が強すぎると、かえって心を閉ざしてしまうので、まずはKくんのために逃げ込めるスペースを用意してあげました。
時間と段階を追って慣れさせてあげるためです。
具体的には、Kくんの意思で出入りが自由にできるケージに、Kくんのお気に入りのぬいぐるみを入れておいてあげただけです。
Kくんは、他のワンちゃんにお部屋の隅っこに追い詰められて暫くは動けなくなって固まっていました(実際は追い詰められたのではなく自分でお部屋の角にへばりついて動かなくなった)
用意してあげた安全地帯に行くには、お部屋を横切らなくてはなりませんが、Kくんにはまずその”横切る”って行動ができないんですね。
固まっちゃってますから(笑)
でも、そこはあえて放っておいて様子を見ました。
すると、しばらくしてやっと、他のワンちゃんの関心が他に向いたタイミングを狙って、Kくんは安全地帯に潜り込むことに成功しました。(ヨカッタねぇ~♪)
Kくんの極度の臆病ぶりは、明らかに社会性の欠如そのもの。
ワンちゃんの3才といったらもう、立派な大人です。
今から社会性をつけるのには少々時間が必要な年齢ですが、正しいやり方で時間さえかければちゃーんと社会性は身についていきます。
●遂にオオカミに変身?
Kくんがオオカミに変身する一歩手前までいったのは、その後のことです。
最初に自分のケージ(安全地帯)に入ってから、まったく出てこようとしなかったKくん。
落ち着くまでの間はそのまま好きにさせていましたが、他の子たちがお庭で遊んでいたので、Kくんもその中に入れてみることにしたのです。
限られた狭い空間の中で他のワンちゃんと一緒にいる時よりも、ドッグランのように、ある程度広い空間の方が、他のワンちゃんから距離を取れるので、慣れさせるにはちょうどいいからです。
Kくんのケージに近づいて
『おいで~~』
と呼んだところ・・・
『ウゥ~~~・・・』
と唸り声を上げます。
『こっちに来るなっ!ボクにさわるな!』
って言っているんですねぇ。
そう言っているのに、Kくんのケージの中に手を入れたりすれば、間違いなくオオカミになって咬みついてくるのは当たり前です。
だから、オメオメと咬みつかれるようなマネはいたしません。
最初の臆病ぶりを見て、こんなこともあろーかと、首輪をつける時に、予めリードをつけておいたんです。
ですから、唸り声をあげているKくんの身体に触れることなく、リードを持って・・・
引っ張り出しました(笑)
自分がテリトリーだと思っている空間から引っ張り出されてしまえば、Kくんはもう唸るのをやめて、オドオドした態度になりましたので、そっと頭を撫でて抱っこして、そのままお庭へ連れて行ってしまいました(ザンザン♪)
なるほどなるほど~・・・
この一連の行動で、Kくんがオオカミになる原因がわかってきました。
飼い主さんは、『ハーネスやリードをつける時にいやがってオオカミになる』と言っていたけれど、どうやらKくんはそれ自体をいやがっているのではなさそうです。
自分が安全だと思う場所で、心を閉ざし
『放っておいて!!』
と思っているところへ近づいて声をかけたり触れようとしたりすると、警戒心を剥き出しにして唸る・・・
そのまま例えばハーネスやリードをつけようとすれば、当然の結果としてオオカミになっちゃうんですね。
長くなったのでつづきはまた次回にします。
<今日のPet Hotel 11!>
今日からお泊りのコロンちゃん♪ クマたんが気に入ったみたいです(笑) |
ねえねえ、ボスくん、あそぼ!! 何にでも興味津々の1才♪ |
今朝の海と空は、とっても優しい色をしていました。 ボスはまだ半分寝てるな・・・ |
ヨタヨタ歩きのハッピーおじいちゃんは、他の子とは 別コースでお散歩。帰ってきたらお水ガブガブ~! |
そして・・・ふて寝 からの ホンキ寝 |