2017年9月30日土曜日

怯えから咬むワンちゃん(Kくんの場合)④

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


前回のブログで、愛着障害になるかどうかは、『原因となることがいつ起きたか?』による。

というお話をしました。

人間の場合、カギになる時期は生後6か月~1才半ぐらいが、赤ちゃんが愛着を形成する大事な時期でしたね。


【愛着形成は社会化の大前提】


●人間の場合・・・


人間の赤ちゃんは、生後6か月~1才半くらいの乳児期に、母親(養育者)からの無条件の愛を受け取って

◆自分には【安全基地】があるから安心だ。
◆自分には母親(養育者)との強固な絆がある(味方がいる)。
◆自分は確実に愛されている存在だ。

といったことを認識します。

その後、幼児期(向社会期)になると、母親に教わったり、母親を模倣したり、お友達と関わったりし始めます。

その中で、

◆共感すること。
◆思いやりを持つこと。
◆思い通りにならないことに対する葛藤や対処法。

など多くを学び、吸収して、基本的な【社会性】を身に着けていきます。

この時期に【社会性】を身に着けるためには他者との関わりが不可欠ですね。

『ひとり』では『社会』になりませんから~(;'∀')

この、他者との関わりという”大冒険”をするには、自信と勇気が必要なんです。

母親との【愛着形成】がちゃんとできていて、心の【安全基地】を持っているという大前提がなければ、【社会化】という大海原には漕ぎ出せないよ!・・・ってことですね。



●犬の場合・・・


当然のことながら、人間の赤ちゃんの成長過程ほど詳細なことは解明されていません。


◆犬の社会化期


ただ、【社会化期】についてはかなり多くの研究がされていて、おおむね生後4週~13週が犬の【社会化期】だということが判っています。

この時期、子犬は人間の子どもと同じように、

母犬を模倣したり、母犬から教えられたり叱られたり、きょうだい犬とじゃれ合ったりする中で、犬としてのごく基本的なコミュニケーションのお作法(社会性)を身に着けていきます。

そのため、社会性を学ぶべき【社会化期】に、母犬やきょうだい犬たちと早くに引き離されることによって一緒に過ごすことができなかった子犬は、いわゆる『社会性不足』になります。

社会性不足の犬は、他の犬とうまく関われなかったり、ひどく臆病だったりという弱点を抱えていることが多いことは、かなり一般的に知られるようになってきました。

そういう問題を抱えた犬は、問題行動を起こしやすい傾向にあることも判っていて、それが原因で飼い主から飼育放棄されてしまうケースも少なくありません。

現在、たくさんの動物愛護団体や動物愛護家たちが

『少なくとも流通市場に出すために子犬を母犬から引き離すのは生後8週令を過ぎてからにして!!』

と訴え続けているのは、そういった事情があるからですね。


◆犬の愛着形成期はいつ?


犬の『愛着形成期』なーんて言葉はありませんが、便宜上こう表現することにしました。

要するに、社会化の大前提となる時期で、『自分は確かに愛されている。自分には安全基地がある。』と子犬が認識し、【社会化期】に踏み出すための自信と勇気を持つ大事な時期です。

実は、犬については【社会化期】ばかりが重要視され、注目されていました。

ところが最近の研究で徐々に、【社会化期】がはじまる以前・・・つまり生後3週間までの【授乳期】に母犬がどのように子犬に接していたか?が、子犬が成長してからの性格にまで影響を及ぼしているということが判ってきたんです。


◆授乳期における母犬のケアレベルが子犬に与える影響


たとえば、昨年(2016年)に発表されたスウェーデンの研究チームの論文によると・・・

生後3週間までの【授乳期】に母犬からの養育行動(体をくっつける・授乳する・舐める・鼻先で触れる・・・など)をたくさん受けた子犬ほど

・身体的交流(生殖行動を取ろうとする)
・社会的交流(他の犬と挨拶したり遊ぶなどの関りを持とうとする)
・攻撃性(望ましくないことをする他者を威嚇したりする)

のポイントが高くなるという傾向が見出されたといいます。

研究チームは、ラットなどでも確認されている通り、生後間もない時期における母犬の養育行動が子犬の性格に長期的な影響を及ぼすようだとの結論に至りました。

(参考:Levels of maternal care in dogs affect adult offspring temperament


母犬が熱心に子育てをした子犬ほど、成犬になってから他の犬と積極的に関わろうとする姿勢があって、自己主張もしっかりできているということではないでしょうか。

攻撃性が高いというと、眉をひそめてしまう方も多いでしょうが、この研究チームで判定に使用している基準は、警察犬や軍用犬の採用試験に用いられるものです。

ですから、攻撃すべきシチュエーションで攻撃(威嚇)行動に出られるか?という意味だと解釈してくださいね。

実際・・・人間でも、好ましくない扱いを他者から受けた時に、正当な方法で自己主張や反撃できる人の方が社会性が高くて安全といえます。

逆に、何をされても言い返したり抵抗できないようなおとなしい少年が、ポケットに隠し持っていたナイフを取り出し、何の前触れもなくいきなりグサリッ!・・・という方が、予測不能な分、よほど攻撃性としては恐ろしいですからね。


【社会化期】以前の【授乳期】に母犬(養育者)と子犬がどのように関わったか?ということが、その後の人格(犬格)に大いに影響を与えているという点で、人間が乳児期に愛着形成をするのと共通していると思いませんか?


【ただの社会性のなさ とは違う】


Pet Hotel 11!にやってくるワンちゃんたちの中には、社会性がない、または低いワンちゃんがたーくさんいます。

【社会化期】に母犬やきょうだい犬と十分に触合えなかった子かもしれませんね。

それから、もしかすると飼い主さん以外の人や犬に触れ合う機会が極端に少ない子かもしれません。

でも、そういった社会性のないワンちゃんたちは、他の人や犬と一緒に過ごす場や時間を多く提供してあげることで、後からでも徐々に社会性を身に着けて行くことができます

ところがKくんは、Pet Hotel 11!で過ごした数日間の中で、確かに他のワンちゃんがいる環境に”慣れ””マヒ”したかもしれませんが、自分から関わろうとする姿勢は見られませんでした。

そして、毎日Kくんに咬まれそうになりながらも、ちゃんとお散歩に連れ出している愛情深い飼い主さんと3年も暮らしていながら、いまだに飼い主さんに警戒心があり、100%心を開けていません。

過去に辛い経験をし、心にトラウマを抱えた保護犬でも、愛情を持って接し続けていれば新しい飼い主さんに心を開くようになる例がたくさんあるのにです・・・

ですからわたしは、Kくんの状態は

単なる社会性のなさとは違う

すなわち・・・飼い主さんの責任ではない

と感じました。

(わたしが飼い主さんをよく存じ上げていることも、そう思った一因です)

ですからKくんは、人間でいうところの【愛着障害】かもしれないと考えたのです。


Kくんが、何らかの理由で、

生まれて間もなく母犬から引き離されたり・・・

パピーミルのような劣悪環境で母犬がKくんを生んですぐ死んでしまったり・・・

やはり劣悪環境でストレスに晒された母犬が育児放棄をしたり・・・

などといったことがあったらどうでしょうか?


そのためにKくんが、もしも生まれてからただの1度も【安全基地】を知らずにいるのだとしたら・・・

Kくんには【社会化期】を迎える準備すらできていないのかもしれません。

そんなKくんに、一般的なセオリーを当てはめて、安易に

『Kくんにはとにかく社会性をつけさせてください。そのためにはできるだけ多くの経験をさせ、人や犬と接触させてください。そして、人間社会における社会性を身に着けさせるために、飼い主さん自身がしつけをシッカリしてください。』

というようなことを言ってしまうのは、Kくんにとってあまりに酷で、そもそもKくんには不可能なことを押し付けていることになって・・・それゆえにキケンではないかと感じているのです。



長くなるのでつづきはまた次回にします。



<今日のPet Hotel 11!>



大嫌いなバケツに 大好きなボールを全部投入され
泣きたい気持ちでボールを書き出すボス(笑)

今日もおやつ用に焼き芋を焼くお料理番♪

「お芋まだぁ~~?」 って・・・
”なつ”はどんだけ不安定な狭いところに乗ってるの!?





2017年9月29日金曜日

怯えから咬むワンちゃん(Kくんの場合)③

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


前回のブログで、Kくんが仮に愛着障害だったとして、その原因は飼い主さんにはないと書きました。

じゃあ一体、何が原因なのか・・・?

結論から言ってしまいます。

犬を愛着障害にしてしまう犯人は、大抵の場合

悪徳ブリーダー → 仲買人 → 生体販売のペットショップ

といった、現在の日本におけるペット業界の流通システムの問題です。

(またコレか・・・って感じですよねぇ~)


それについて詳しくお話する前に、前提としてご理解いただきたいことがあります。


【そもそも愛着障害って?】


人間の子どもの愛着障害についてお話しますが、犬に置き換えても問題ない内容なので、ぜひ読んでみてください。

もしかすると

『ウチの子のあの問題行動も、ひょっとすると愛着障害なのかも・・・?』

とお感じになる方がいらっしゃるやもしれません。


愛着障害には大きく分けて次のふたつの種類があります。

A 反応性愛着障害(他者に対して過度に警戒する。心を開けない。)
B 脱抑制型愛着障害(他者に対して過度になれなれしい。)

どちらも、他の人(犬)との『心の距離感』がうまく掴めないために不適切な反応をしてしまうということですね。

Kくんが愛着障害だとすると、過度の警戒がありますから、明らかにAの方ですね。

ですから今日は『反応性愛着障害』メインでご説明します。


世界保健機関(WHO)が定める診断分類では反応性愛着障害は次のように定義づけられています。

-------------

「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」


5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものである(例:恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全)。

この症候群は、両親によるひどい無視、虐待、または深刻な養育過誤の直接的な結果として起こるとみなされている。



診断基準


A.5歳以前の発症

B.いろいろな対人関係場面で、ひどく矛盾した、両価的な反応を相手に示す(しかし間柄しだいで反応は多様である)

C.情緒障害は、情緒的な反応の欠如や人を避ける反応、自分自身や他人の悩みに対する攻撃的な反応、および/またはびくびくした過度の警戒などにあらわれる

D.正常な成人とのやりとりで、社会的相互関係の能力と反応する能力があるのは確かであること
-------------

診断基準の部分で、赤太字にしたところはKくんに当てはまると思われる部分です。


●反応性愛着障害にみられる具体的な行動の特徴


反応性愛着障害の子どもは、相手が養育者であっても極端に距離をとろうとするために以下のような様子が見られることがあります。


◆養育者へ安心や慰めを求める目的で抱きついたり、泣きついたりすることがほとんどない

◆笑顔が見られず、無表情なことが多い

◆他の子どもに興味を示さない、交流しようとしない

◆強情・意地っ張り(うまく甘えることができないために起きると考えられる)


また、子どもが特定の養育者を安全基地と見なせないために、子どもの視線や行動に違和感を感じることもあります。


たとえば・・・

◆養育者との別離・再会のときに、養育者に対して視線をそらしながら近づく

◆抱っこされている間、目を合わせない(全然関係ない方向を見つめている)

◆知らない場所で、特定の養育者を頼りに(安全基地に)する素振りが見られない

などです。

念のため・・・これらは判断基準ではありません。

こういったことが見られないから愛着障害ではない・・・ということではありませんからね。



●愛着障害の原因


愛着障害の原因と考えられていることは、次のようなことです。


◆養育者との死別・離別などで愛着対象がいなくなってしまう

◆養育者から虐待やネグレクトを受けるなど、不適切な養育環境で育てられた

◆養育者が子どもに対して最低限の世話はするものの、無関心であったり放任したりしていた

◆養育者のような立場の大人が複数いて、世話を焼いてくれる人が頻繁に変わってしまっていた

◆兄弟差別など、他の子どもと明らかに差別されて育てられた


たいせつなのは、こういった愛着障害の原因と言われることが、いつ起きたか?です。

そのカギになる時期というのは、人間の場合は生後6か月~1才半ぐらいの、赤ちゃんが愛着を形成する大事な時期です。

中学生の時に母親を事故で亡くしたからといって、心に深い痛手を負うかもしれませんが、それが原因で愛着障害になることはないんですね。


では、犬の場合、愛着を形成する大事な時期はいつなんでしょう?

そして、その大事な時期にどういうことが子犬に起きると愛着障害になってしまうんでしょう?

それこそが、ワンちゃんを愛着障害にする犯人に繋がる手掛かりです!



長くなるので、つづきはまた次回にします。



<今日のPet Hotel 11!>


4時半からワンワン言ったのでお散歩の刑に処せられた犯人
「ヤッタネ♪」

デュークくん & コロンちゃん
サイコーのかけっこ友達になりました♪

疲れ知らずのコロンちゃんに翻弄される
デュークくん

コロンちゃん「ホラホラ~ コッチよ~~♪」
デュークくん「ンナロー!待て待てー!」

やけにイイ子にしている理由は・・・

コレ。焼き芋さんです♪

”なつ”は必ず離れたところに運んでジックリ食べる派





2017年9月28日木曜日

怯えから咬むワンちゃん(Kくんの場合)②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


前回の記事のつづきです。


【Kくんが抱える問題】


●表面的な問題だけなら簡単


Kくんがうなり声を上げてオオカミになってしまうのは、次のような時です。


自分のケージ・お部屋の隅っこ(角)・物陰などに閉じこもっている時に声をかけたり触ろうとした時。


それ以外の時は、自分の欲求を主張することもなく、他の犬とケンカをすることもなく、むしろまったく手のかからないおりこうさんです。

知らない人と犬がいる、初めての場所に連れてこられたばかりの時は、このような反応を示すワンちゃんはよくいます。

警戒しているし、猫も被っている・・・という感じですね(ニャー♪)


Kくんとの接し方は、表面上だけのことを言えば、

『そういう時に咬まれないように気をつけさえすれば、それでいいんでしょ?』

ということで解決かもしれません。

けれども、そんな風に簡単に考えて、このままの状態を放置しているのは、ちょっとキケンだとわたしは考えています。


●愛着(アタッチメント)が築けないと・・・


Kくんがオオカミに変貌してしまう行動の根底にあるのは、愛着障害だと感じました。

※お庭番は大学で発達心理学を学んでいました。

以前の記事でも触れたことがあるかと思いますが、人間も犬も、集団(群)で生活し、自分を取り巻く周囲の人(犬)と高度なコミュニケーションを取り合う必要がある生き物です。

人や犬の子供にとって、幼少期にしっかりとした愛着形成ができていることが、その後の周囲との関わり方や社会性、情緒面などの成長に必要不可欠なんです。

人間の子供の場合だと・・・

通常は、愛着形成をするべき乳幼児期に母親(主たる養育者のことを便宜上ココでは母親と書きまーす)から無条件に受け入れられ、愛される経験を通して母親との愛着(アタッチメント)を形成していきます。

この愛着(アタッチメント)が子どもの人格形成の基盤となります。

母親との強固な絆(愛着)を築くことができると、赤ちゃんは母親を精神的な【安全基地】だと認識できるようになります。

母親という【安全基地】を確保した赤ちゃんは、母親と繋がっている他の家族 → 母親や家族と親しくしている他の人・・・といった周囲の人々に安心して感心を示すことができるようになります。

同時に、家族とそれ以外の人の区別もつくようになって”人見知り”するようになりますね。

”人見知り”もまた大事な成長過程です。

更に赤ちゃんは、

怖いことがあったら、いつでもママのところ(安全基地)に行って抱っこしてもらえば大丈夫!

・・・と感じるようになり、その安心感と自信からどんどん自分の世界と交流範囲を広げていくようになります。

こうして、愛着形成がうまくいっている子供は、勇気をもって周囲の人々と関われるため、ものすごい勢いで社会性を身に着け、コミュニケーション能力を獲得していくことができるんです。

つまり、愛着(アタッチメント)は子どもの不安を抑制し探索行動を活性化し、 子どもに安心感を与え、自己や他者への信頼感をもたらすものなんですね。

ですから、愛着形成がうまくいっていない子どもは、人格の基盤を築くところでつまずいてしまっているため、様々な能力や資質に影響が出てしまうことが多いんです。

愛着障害の子供には、虐待を受けていた子供やネグレクト(無視)されていた子供が多いのは、そういう理由からなんです。


●Kくんの不安定さ


Kくんは、数日間Pet Hotel 11!に滞在して、普段とは比べ物にならない密度で他のワンちゃんたちと多くの時間を過ごしました。

そのため、他のワンちゃんへのアレルギーレベルの拒否反応は無くなりました。

この変化を、わたしたちのお手柄のように言ってしまうのは簡単ですが、残念ながら実際はそうではありません。

これは、単純に『慣れ』による『マヒ』に他なりません。

その点において、Kくんはある意味、成長したといえるでしょう。


一方で、Kくんが単なる怖がりさんや恥ずかしがり屋さんと違う点は、次のようなところです。

『慣れはするけれど、距離は縮まらない。深まらない』

つまり、他のワンちゃんとも人間とも、関係が育って深まっていくという感じが見られないんです。


Kくんは、初対面の時からわたしに対して甘えてきました。

撫でてやると気持ちよさそうな表情を浮かべ、体のどこを触っても嫌がりませんでした。

そのスタンスは何日滞在していてもまったく変わらないわけです。

ケージや隅っこに入り込んでいる時に話しかけたり触ろうとすると唸るのも、何日滞在していてもまったく変わりません


つまり・・・周囲の人や犬との関わり方に発展性や成長、変化というものがありません。


初めは猫をかぶっておりこうにしていたけれど、慣れてきたら調子に乗ったりワガママが出たりして叱られてシュンとなる・・・

ということもありません。

他のワンちゃんに慣れてきて、じゃれあっているうちにケンカになり、また仲直りして遊ぶ・・・

ということもありません。


Kくんは、最初からずーーっと彼の作ったルールにのっとって行動していて、そこに他者からの影響による変化が見られることはないというわけです。

それは、とても不自然なことだということはお解りいただけるでしょうか・・・



●一匹オオカミ


2~3日一緒にいると、最初はどんなにオドオドビクビクしていたワンちゃんも、次第に心を開いて甘えるようになります。

叱られても『ごめんなさぁい・・・・』と言うようにシュンとなりますが、それで関係が崩れるようなことはありません。

最初は自分のケージに閉じこもっていて、近づくと唸り声をあげていたような子でも、そういう信頼関係ができあがってしまうと、呼べば嬉しそうに来るようになりますし、警戒して唸り声を出すこともなくなります。

けれどもKくんは、いつまでたっても閉じこもっている時に声をかけたり触ろうとしたりすれば、初日と同様に警戒して唸り声を出すのです・・・

それが、Kくんと3年も一緒にいるご家族に対してもそうなのです。


Kくんは、心の底から誰かを信頼しきるということを知らないのだと感じました。

だから、毎日毎日、その瞬間瞬間で、いちいち相手が自分にとって本当に安全な対象かどうかを彼なりの確認作業で見極める・・・という繰り返しをしているのだと思います。

それって・・・Kくんにとってどんなに辛い毎日でしょう!?

実際にはKくんのことを大切に思ってくれている飼い主さんがいるのに、Kくんにはその確信が持てずにいるんです。

怯えたり緊張したりする必要のない場面で、日々いちいち身構えて、まるで天涯孤独の一匹オオカミのように、必死で自分を守ろうとしているんです。

気の休まるヒマがありませんよね・・・


では、Kくんの愛着形成がうまくいかなかったのは誰のせいでしょうか?

飼い主さんの育て方のせいでしょうか?

いいえ。それは違います(キパッ!)


長くなるのでつづきはまた次回にします。



<今日のPet Hotel 11!>


今日も元気いっぱいのコロンちゃん。
「ねえ雨やんだ?ねえお庭まだ?」
まーだだよ~(笑)

「ねえ、なんかイイものないの?オイシイものないの?」
ないよ~(笑)
あ、コロンちゃんの背中にハートマーク出現♪
雨がやんで、ハッピーおじいちゃんもお庭に出てみたよ♪
ヨイショ、ヨイショ・・・
心配そうに見守るコロンちゃん
ボールガジガジガジガジ・・・
一心不乱に・・・かと思ったら・・・
ボスのボールが気になる・・・

気になる・・・
気になるわぁ~~・・・

ダメだ!もうガマンできないっ!(笑)

ハッピーおじいちゃん、よく頑張ったね。
お散歩もよく歩いたね♪
元気でね!また遊びにおいで~(^▽^)




2017年9月27日水曜日

怯えから咬むワンちゃん(Kくんの場合)①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



【怯えから咬もうとするワンちゃん】


●オオカミになります


Pet Hotel 11!にお泊りしたKくんのお話です。

お預かりする時に、飼い主さんからこう言われました。

『ハーネスやリードをつける時に、いやがってオオカミになります』

具体的にどういう感じになるのか伺うと、すごい形相をして唸り、歯を剥いて怒る。

そうして、実際飼い主さんも何度か咬みつかれたというのです。

噛み癖のあるワンちゃんは、Pet Hotel 11!のようなケージに入れっぱなしにしないペットホテルでは、一般的にお断りという場合が多いです。

Pet Hotel 11!でも、他のワンちゃんの安全と安息のために、原則お断りしています。

原則としてお断りする理由は

◆本犬さんはもちろんのこと、他のワンちゃんへの安全やストレスを考慮し、特別な配慮が必要となる。

◆そのため、そういうワンちゃんをお預かりしている間は他のワンちゃんをお断りせざるを得ないこともある。

などといったことがあるからです。

今回は、お話を伺った感じから、他のワンちゃんに危険が及ぶ心配はなさそうで、大丈夫と判断しましたので特別にお受けしました。

そのため、

『咬みつく犬でも預かってくれるの?』

という誤解がなきよう、くれぐれもお願いいたします。


●原因はハーネスやリードではない


Kくんは、未去勢の男の子で3才。とっても可愛らしい小型犬です。

Kくんです(笑)

そして、お庭番とは今回が初対面でした。

お迎えに行った時も、最初から人懐っこく寄ってきて、あまり警戒している様子はありませんでした。

車に乗せてもおとなしく、鳴き声ひとつあげませんし、甘えてきたりさえします。

Pet Hotel 11!に着くと、いつものようにオリジナルのIDプレートがついた首輪をつけます。

さて・・・オオカミになるのかな~?(ドキドキ・・・)

と思っていたら、すんなりと何の抵抗もなくつけさせてくれました。

『おやぁ?』

んじゃぁ・・・ってことで、Kくんが元々つけていたハーネスを外して、改めてまた着けてみましたが、コレまた何の抵抗もなく着けさせてくれます。

『あれれ~?』

ちょっとした肩透かし・・・

何度か外したり着けたりを繰り返しますが、Kくんがオオカミになる気配は全くありませんでした。

Kくんにはマーキングの癖があるときいていたので、今度はオムツを付けてみました。

が、この時も抵抗することなく素直に着けさせてくれました。

『オオカミにならないねぇ~~』

ホッとしながらそんなことを言って笑っていました。


●社会性がまったくないKくん


さて、オオカミにはならなかったものの、Kくんはものすごく怖がりでした。

新入りのKくんに興味津々で近づいてくる他のワンちゃんから、必死で逃げ回り、追い詰められた壁ぎわでうずくまってしまいます。

飼い主さんと離れ離れになって、知らない人に知らない場所に連れて来られて、苦手な他のワンちゃんの中に放り込まれたのですから、Kくんにとってここは

恐怖の館

といった感じでしょう(笑)

いずれ、新しい環境にも他のワンちゃんにも慣れるのですが、最初からあまりに刺激が強すぎると、かえって心を閉ざしてしまうので、まずはKくんのために逃げ込めるスペースを用意してあげました。

時間と段階を追って慣れさせてあげるためです。

具体的には、Kくんの意思で出入りが自由にできるケージに、Kくんのお気に入りのぬいぐるみを入れておいてあげただけです。

Kくんは、他のワンちゃんにお部屋の隅っこに追い詰められて暫くは動けなくなって固まっていました(実際は追い詰められたのではなく自分でお部屋の角にへばりついて動かなくなった)

用意してあげた安全地帯に行くには、お部屋を横切らなくてはなりませんが、Kくんにはまずその”横切る”って行動ができないんですね。

固まっちゃってますから(笑)

でも、そこはあえて放っておいて様子を見ました。

すると、しばらくしてやっと、他のワンちゃんの関心が他に向いたタイミングを狙って、Kくんは安全地帯に潜り込むことに成功しました。(ヨカッタねぇ~♪)


Kくんの極度の臆病ぶりは、明らかに社会性の欠如そのもの。

ワンちゃんの3才といったらもう、立派な大人です。

今から社会性をつけるのには少々時間が必要な年齢ですが、正しいやり方で時間さえかければちゃーんと社会性は身についていきます。


●遂にオオカミに変身?


Kくんがオオカミに変身する一歩手前までいったのは、その後のことです。

最初に自分のケージ(安全地帯)に入ってから、まったく出てこようとしなかったKくん。

落ち着くまでの間はそのまま好きにさせていましたが、他の子たちがお庭で遊んでいたので、Kくんもその中に入れてみることにしたのです。

限られた狭い空間の中で他のワンちゃんと一緒にいる時よりも、ドッグランのように、ある程度広い空間の方が、他のワンちゃんから距離を取れるので、慣れさせるにはちょうどいいからです。

Kくんのケージに近づいて

『おいで~~』

と呼んだところ・・・

『ウゥ~~~・・・』

と唸り声を上げます。

『こっちに来るなっ!ボクにさわるな!』

って言っているんですねぇ。

そう言っているのに、Kくんのケージの中に手を入れたりすれば、間違いなくオオカミになって咬みついてくるのは当たり前です。

だから、オメオメと咬みつかれるようなマネはいたしません。

最初の臆病ぶりを見て、こんなこともあろーかと、首輪をつける時に、予めリードをつけておいたんです。

ですから、唸り声をあげているKくんの身体に触れることなく、リードを持って・・・

引っ張り出しました(笑)

自分がテリトリーだと思っている空間から引っ張り出されてしまえば、Kくんはもう唸るのをやめて、オドオドした態度になりましたので、そっと頭を撫でて抱っこして、そのままお庭へ連れて行ってしまいました(ザンザン♪)


なるほどなるほど~・・・

この一連の行動で、Kくんがオオカミになる原因がわかってきました。


飼い主さんは、『ハーネスやリードをつける時にいやがってオオカミになる』と言っていたけれど、どうやらKくんはそれ自体をいやがっているのではなさそうです。

自分が安全だと思う場所で、心を閉ざし

『放っておいて!!』

と思っているところへ近づいて声をかけたり触れようとしたりすると、警戒心を剥き出しにして唸る・・・

そのまま例えばハーネスやリードをつけようとすれば、当然の結果としてオオカミになっちゃうんですね。



長くなったのでつづきはまた次回にします。



<今日のPet Hotel 11!>

今日からお泊りのコロンちゃん♪
クマたんが気に入ったみたいです(笑)

ねえねえ、ボスくん、あそぼ!!
何にでも興味津々の1才♪

今朝の海と空は、とっても優しい色をしていました。
ボスはまだ半分寝てるな・・・
ヨタヨタ歩きのハッピーおじいちゃんは、他の子とは
別コースでお散歩。帰ってきたらお水ガブガブ~!
”なつ”が珍しく虫じゃなくて木の枝で遊んでいるから・・・
それが欲しくて欲しくて仕方ないボス。
実はもう飽きていても、ボスが欲しがっている間は
絶対に手放さない”なつ”(笑)

そして・・・ふて寝 からの ホンキ寝





2017年9月26日火曜日

【メキシコ大地震】救われた犬と救った犬

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


今月(2017年9月19日)にメキシコ中心部を襲ったマグニチュード7.1の大地震。

メキシコ政府によると、死者は少なくとも325人にのぼる大惨事となりました。

9月19日は、32年前にやはりメキシコで大地震(マグニチュード8.0)が発生して、メキシコシティを中心に1万人もの死者を出した日だったんですね・・・

そのため、9月19日は過去の震災を忘れぬようにとの記念日になっていて、多くの住民は防災訓練に参加していたようです。

同じ日付に同じ場所で大震災が起きるなんて・・・皮肉すぎる偶然ですね。

亡くなった方やご遺族に、心から哀悼の意を表したいと思います。


【絶望の中、救出された小さな命】


メキシコ政府の要請に基づいて21日に現地入りしたおよそ70名の日本の救援チームは、メキシコ市内で行方不明者の捜索に当たっていました。

震災発生から3日が過ぎたころから、発見されるのは遺体ばかりとなり、人々が絶望しかけていた時、日本の救援チームによって、ひとつの小さな命が救い出されました。

倒壊してペチャンコになった建物の中から慎重に引っ張り出され、命を取り留めたのは1匹のシュナウザーでした。



小さな命の救出によって、絶望しかけていた人々の顔に明るい笑顔が戻りました。

このワンちゃんが、その後飼い主さんと再会できたか・・・情報を見つけることはできませんでしたが、せっかく助かった命です。

どうか幸せな犬生をすごせますように・・・


日本の救援チームは25日、すべての活動を終え、整列して地震の犠牲者に黙祷を捧げたのち、現地を後にしました。


日本の自衛隊も、世界中の軍隊も、こういう人道支援だけをしていればいい時代がくればいいですねぇ・・・

人が人を殺す訓練なんて・・・そのために犬たちを使うなんて・・・

やめっちまえーーー!!


ちなみに、日本の救助チームの中に、レスキュードッグもいましたヨ!


ワンちゃんが足に怪我をしないように、ハーネスで救助隊に抱えあげられていますね。

ありがとう。お疲れさま!


(参考記事:daily mail



【多くの人命を救ったワンちゃん】


次は、救われたワンちゃんではなく、同じくメキシコの震災で、逆にたくさんの人々を助け出し、大活躍したワンちゃんが話題を呼んでいるというお話。

7才のラブラドールの女の子 フリーダです。


カワイイですね♪

フリーダはフィリピン マニラの海軍救援隊に所属する軍用犬です。

カスタムメイドの犬用ゴーグルとブーツをつけたフリーダは、倒壊した学校の下敷きになっている11名の子供たちを発見し、救出につなげてくれました。

優れた嗅覚を持つ彼女は、今回のメキシコ大地震だけではなく、2015年に起きたグアテマラの地滑りや、2013年に起きたメキシコシティのガス爆発などの現場でも人命救助に尽力して、今までに救った命は少なくとも50名以上に上ると言われています。

フリーダのハンドラー、アラウズ氏は

「フリーダは特別な犬です。彼女と一緒に仕事をすることは、わたしのプライドの源泉です。」

と誇らしげに語っています。

現在7才のフリーダは、嗅覚が衰えて仕事ができなくなるまであと1年ほどだと言われていて、引退後は現在のハンドラーのアラウズ氏と一緒に暮らすことになっているそうです。

危険な場所での活動ばかりのフリーダ。

どうかアラウズさんとの平穏で楽しい生活のために、残りの任務期間も無事に乗り越えてほしいものですね。


(参考:CBS NEWS



【そうだけどー・・・】


フリーダの活躍は本当に素晴らしいし、フリーダを賞賛することになんの異論もありません。

でも、ちょっとだけ気になったことがあります。

一部のメディアで、フリーダの活躍を賞賛するために、他の国の軍用犬(メキシコ、アメリカ、チリ、ベルギー、日本など)を引き合いに出して、

『他の国の軍隊も救助犬を連れてきたが、その犬たちはフリーダの足元にも及ばない』

・・・というような伝え方をしているんです。


ワンちゃん好きとしては、そういう記事を読むと

『ちーがーうーだーろーーーーッ!!』(←しつこい?)

と言いたくなっちゃいます。

そもそも、軍用犬などの使役犬は、人間の一方的な都合で人間のために働かせているわけですよ。

働いていただいているわけですよ!!

とりわけ、軍用犬は危険な任務をさせられていて、負傷したり死亡したりという例だって少なくありません。

それなのにさぁ・・・

フリーダは確かにすごいよ?すごいけどー・・・

他の犬がまるでヘッポコみたいな言い方はやめてくれませんかぁ~!?(ブゥブゥ)


実際、どちらかというと犬ではなく、犬を訓練したり現場でハンドリングしている人間の技量の差や・・・

捜索している現場の差(多くの人が埋まっている現場かどうか)だって関係してるんではないの~?

と・・・


感動的なよいお話にチョコっと水を差してしまってごめんなさ~い。


たくさんの人を救い出したワンちゃんたち、

ありがとう。おつかれさまでした(^▽^)/


ひとりも救出することができなかったワンちゃんたち、

危険な場所で、わたしたち人間のために頑張ってくれてありがとう。

おつかれさまでした(^▽^)/


みんな、とーーってもおりこうさんだよ~~~!!



<今日のPet Hotel 11!>


まだ1才にもならない海くんは、元気いっぱいの
ヤンチャ坊主くん♪「あそぼあそぼっ!!」

同じくヤンチャ坊主の常連、ウリくんと
いっぱい遊べるかな~・・・って思ったんですが

ウリくん「コワイよぅ~~!乗っからないでぇ~」

わあわあ!追いかけてくるなー!!

こわいこわいぃ~~~!!
って、どうも小さい子たちが本気で怖がってしまうので
仕方なく別々にお庭で遊ばせることになりました。
何度か一緒に遊ぶうちに仲良くなれるよ!
また来月、楽しみにしてるんねー 海くん(^▽^)

お部屋でまったりすごす15歳のハッピーくんは
平和そのもの~(笑)




2017年9月25日月曜日

犬が亡くなった飼い主を食べる行動のナゾ③

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


つづきです。

世界中で犬種に関係なく起きている【犬が亡くなった飼い主の遺体を食べる】という現象。

その理由として、色々な研究者たちはパニック説を唱えていますが、わたしの見解はちょっと違う・・・

というお話をしているところです。

前回のブログを読んでいらっしゃらない方はこちらをどうぞ

【犬が亡くなった飼い主を食べる行動のナゾ②】


【個人的な見解】


●仲間の犬の遺体は食べない


前回お話したことをもう少し詳しく・・・

仲の良かった犬が死んでしまった時、ワンちゃんの多くは明らかに”死を悼む感情”があるとしか感じられない行動を取ります。

例えば、

一緒に暮らしていた犬が亡くなると、しばらく元気がなくなり、ごはんを食べなくなってしまったり・・・

お散歩に連れ出そうとしても、仲間を待つようにして出かけたがらなかったり・・・

悲しそうに遠吠えを繰り返したり・・・


中には、亡くなったメス(シェパード)の傍らに、ごはんも食べずに一週間も寄り添い続けて、彼女の身体を守っていたオスシェパードのお話もあります。

コチラ


それなのに、亡くなった仲間の遺体を食べてしまう犬のお話はききませんね?

不思議だと思いませんか?


●同種だから食べないのか?


一部の例外を除けば、一般的に哺乳類が共食いすることはありません

縄張り争いや、メスをめぐる闘いの末、一方が死んでしまうようなことがあったとしても、亡くなった相手を食べる行為には、まず至らないといいます。

その理由は、おそらく『感染病予防』ではないかと言われています。

遺体が、ウィルスや寄生虫などに感染していた場合、それを口にすることで、同種である自分にも感染する恐れが高いですね。

そういう意味で、どんなに空腹であっても、同種を食べるという行為には及ばないのが普通です。

もちろん、餓死寸前までいけば、そういうこともあるでしょうが・・・


ですから、仲間の犬の遺体をワンちゃんが食べないということは、むしろ自然で納得のいくことなんです。

でも、飼い主さんの遺体を食べてしまう理由が、研究者たちが言うように

『起こそうとして顔を舐めるうちにパニックになり・・・』

というのがもし本当ならば、食べるまではいかなくても、亡くなった仲間の遺体の顔を、何度も何度も咬んだ形跡がある・・・というケースがそれなりの数報告されているはずだと思いませんか?

でも、そういったお話は聞いたことがありません。


そこで、わたしなりに、犬が飼い主の遺体を食べてしまう理由を独自に解釈した結果を、どうか聞いてやって下さい。


【究極の愛情表現】


●特異なほど深い愛


犬を飼っている方にはお解りいただけると思うのですが、飼い主さんとワンちゃんの関係というのは、

ずーーーっと蜜月の恋人同士

のような関係です。

もちろん、飼い主さんをリーダーとする主従関係なのですが、ワンちゃんの飼い主さんに対する忠誠心や従順さ、そして愛情表現は・・・

とてつもない!


『犬が好き!』

という人の多くが、この部分に強く惹かれているのではないでしょうか?


振り返ってみてください。

今までで最もご自身が燃え上がった恋愛を・・・(遠~~い目)

どんなに熱く激しく燃え上がった恋人同士でも、

5年、10年も経ってなお、出会ったころと変わらぬ愛情表現をしてくれる人間はいますケ?!

毎日毎日、帰宅すると体を擦りつけてきて、甘えた声を出し、澄み切った瞳でジっとアナタを見つめてくれて、アナタの言うことを素直にきいてくれる人間が・・・

アナタを健気に何時間でも待ちつづけ、アナタの一挙手一投足に関心を持ちつづけ、アナタのくだらないお話にも嬉しそうに付き合ってくれる人間が・・・


イーナーイーダーローー!!(真由子さま風にお願いします)


この、犬が飼い主に対して持っている愛情は、仲間の犬に対するものとは明らかに別物ですね?

もし、犬の飼い主に対する愛情表現と同じように、何年にもわたって激しく誰かを愛する人が実在したとしたらどうでしょうか?

おそらく・・・その人は

『アブナイやつ』

と言われてしまうのではないでしょうか?

独占欲思い入れが強すぎて、ストーカー気質だったり、依存症と呼ばれる類の人になるような気がします。

え?そういうのが理想ですって?

どうぞ探してみてくださーい!

人間でこんなタイプが実在すれば、それはもう日常生活に支障をきたすレベルの危険な恋人になるはずですヨ(笑)

万一、そんな恋人を見つけたら、ぜひノーリードでお願いしますね(;'∀')


●愛と狂気


ですから、わたしは

亡くなった飼い主さんの遺体を食べてしまう犬の行動

というのは、人間から見れば狂気に映るほどの、究極の愛情表現なのではないか?

・・・と思っているんです。


大好きな飼い主さんが意識を失って倒れている。



ワンちゃんは必至で飼い主さんを起こそうと、顔をペロペロ舐める。



しかし飼い主さんは意識を取り戻さない。


ココまではパニック説と同じだと思っています。

ただ・・・

『起きないから咬んでみて、血の匂いに誘発されてウッカリ食べちゃった』

ってところは、あまりにも乱暴というか安易というか・・・犬をバカにしてるようにすら感じてしまうのですね。

研究者たちが考えているよりもずっと犬は人間的な感情を持っているということは、最近のMRIを使った研究でも徐々に明らかになりつつあります。


ですから、顔を何度も何度も舐めたのに意識を取り戻さない飼い主さんを見て、その”死”を確信したワンちゃんは、こんな風に考えるのではないでしょうか?


大好きな飼い主さんが死んじゃった・・・

誰か他の野生動物に見つかったら食べられてしまうかもしれない・・・

人間に見つかったら持ち去られてしまうかもしれない・・・

そんなことになれば、永遠のお別れだ!

イヤダイヤダ!

飼い主さんはボク(ワタシ)のものだ・・・

だから、愛する飼い主さんを自分の中に取り込んでしまおう。

そうすればもう、飼い主さんはボク(ワタシ)の中で生き続ける。

永遠に一緒にいられるんだ!!



いかがでしょうか?

そう考えると、

ワンちゃんが飼い主さんの顔の辺りを中心に食べてしまっていること。

飼い主さんが亡くなってから短い時間で食べるという行為に移っていること。

発見時にとても落ち着いた態度でいること。

これらにも説明がつくような気がするんです。


『食べちゃいたいくらい好き!』

ってセリフがありますけれど、狂気性のある人が恋人の身体を食べてしまう事件というのは、あまり多くはありませんが、世界中で起きているんです。


真相は、ワンちゃんにきいてみなければ解りませんが、みなさんはどう思われたでしょうか・・・



<今日のPet Hotel 11!>

本日トライアルの海くん
片時もじっとしていない元気いっぱいの男の子です♪ 
今日からお泊りのハッピーくん15才
お散歩はヨロヨロだけど気力と食欲は誰にも負けないんだ!


海に来ると自動的にテンションがあがるレト仲間♪
MAXくんと海くん

海くん「ね、何して遊ぶ?何して遊ぶ?」
ボス「え・・・いやその前にキミ誰?」
松ぼっくり 「マテ」 からの~・・・

「ヨシッ!」

MAXくんも朝からずーっと上機嫌♪
元気モリモリになってよかったね~(^▽^)

大きな子がいっぱいで、ちょっとイジけ気味のコっちゃん
がんばれーーー!




2017年9月24日日曜日

犬が亡くなった飼い主を食べる行動のナゾ②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



【亡くなった飼い主を食べる犬(つづき)】



前回のブログで、犬が亡くなった飼い主を食べる理由は”空腹”ではないというところまで書きました。

その理由は

◆飼い主の死後、間もなく食べ始めている事例が多いこと
◆すぐ近くに簡単に食べることができるフードがあったこと

でしたね?

もうひとつ、犬が飼い主の遺体を食べるのが空腹による摂食行動ではないことを示す要素があります。


●顔を食べるという特異な行動


犬が亡くなった飼い主の遺体を食べた事例の大半で、食べられているのは飼い主のおよびその周辺だといいます。

それは、イヌ科動物の摂食行動とは一致しないというんですね。

野生のイヌ科動物の場合、まずまっさきに食べるのは、栄養価が高く腐敗も早いお腹と胸部の肉で、次に四肢を食べるのだそうです。

むしろ、野生のイヌ科動物が捕食した動物の頭部に傷をつけるのは、全体の10%ほどしかないことだと・・・

飼い犬が、敢えて栄養価が高いとはいえない飼い主さんの顔を中心に食べているのは、それが単なる摂食行動ではないことを示す証拠だと、研究者たちは考えているんですね。

フムフム、これはナットクですね~


●復讐行動か?


人間同士の殺人事件においては、遺体の顔面が原型をとどめないほど傷つけられている場合は、加害者が被害者に対する強い殺意や憎しみを持っていたのではないかと推察されますよね。

じゃあ、亡くなった飼い主さんの顔を食べてしまうという犬の行動は、それだけ飼い主さんに対する憎しみが強いことを意味しているのでしょーか?

日頃から虐待を受けていて、積もり積もった恨みを、飼い主さんが亡くなった後に晴らしている・・・?!(イヤァアアーッ!)

それこそホラーです(-_-;)

でも安心してください。

その仮説も否定されています。

研究者たちが調査した多くの事例の中で、飼い主の顔を食べてしまった犬が、亡くなった飼い主から虐待を受けていたというケースは一切なかったそうです。

それどころか、近隣の人の証言から、飼い主と愛犬の関係が非常に良好だったというケースの方が多かったというんです。

つまり、恨みによる行動ということではないってことですね。

そりゃそーです!

もしも、飼い主さんに恨みを持った犬が、本当に飼い主さんの顔を食べてしまうのだとすれば・・・

愛犬をひどく叱った日の晩なんか、愛犬と一緒の家でなど、おちおち眠れないってことになっちゃいますよぅ~(;'∀')


【最も有力なのはパニック説】


現在のところ、ナショナルジオグラフィックによれば、研究者によって最も有力だと唱えられている説が、このパニック説です。

つまり、犬はまず、意識を失った飼い主を助けようとして、そっと押してみたり、一生懸命顔を舐めたりする・・・

それでも意識を取り戻さない飼い主に、犬はパニックを起こして”咬む”という行動に出てしまうのだろうと。

そこからは、血の味に刺激されて”食べる”という行為に繋がっていくのは自然なことだというんですね。

この説は、科学捜査官のマーカス・ロスチャイルド氏や、法医人類学者のカロリン・ランドー氏によって唱えられているものです。

(出典:ナショナルジオグラフィック


うーん・・・なるほどなるほど~


イメージとしては、人間同士で仲間が意識を失って倒れたときに

『ねえねえ』って揺り起こそうとしても意識が戻らないから・・・

『オイッ!シッカリしろー!』って叩いてみて・・・

それでも起きないからもっと強い刺激を与えれば起きるんじゃーないかと殴ったり蹴ったりを闇雲にしているうちにパニック状態になって・・・

( ゚д゚)ハッ!と気づいたらボコボコの血まみれにしてしまっていたんですぅ~・・・

みたいな感じかしらん?


あり得ないとも言い切れないような気がしないでもないかもしれなーい・・・(-_-;)


【個人的な見解】


えらい研究者先生たちが唱えている説ですから、現時点ではそれが有力なのでしょう。

『かもねかーもねそ~おか~もね♪』(by シブがき隊)

くらいは言える感じはします。

でも、個人的にはなんというか・・・

『そうかなぁ・・・?』

という感覚の方が勝っているんですねぇ・・・

わたしがそう感じてしまうのにはいくつか理由があります。

たとえば


●発見時のイヌの様子


前回の記事のに書いた”自殺した飼い主男性”の事例では、飼い主さんの顔を食べてしまった犬の様子はとても落ち着いていたんでしたよね?

男性が亡くなってから発見まではわずか45分です。


押したり、顔を舐めたりして懸命に飼い主を助けようとした



それでも起きない飼い主に、更に強い刺激を与えようとして軽く甘噛みしたりした



それでもなお、意識を取り戻さない飼い主に、パニックになった犬は顔に咬みつき・・・



血の匂いに野性を誘発されて、そのまま摂食行動へと移った



パニック状態から立ち直り、もう落ち着いた状態になっていた


ここまで45分間って・・・短くな~い?

という風に感じたのですよ。


●相手が犬の場合は・・・


よく、仲間の犬が死んでしまった時に、残された犬が深く悲しむというお話をききますね。

更に、このブログでも以前にご紹介しましたが、亡くなってしまった仲間の犬のかたわらに、ごはんも食べずに何日も亡骸(なきがら)を守るように居続けたという犬のお話もあります。

犬同士の関係 【献身的な絆】はあるか?

わたしは、死んでしまった仲間の身体を食べてしまった犬の事例というのを探してみましたが、ネット上でそういったお話を見つけることはできませんでした。

もしも、上記のパニック説が本当だとしたら、意識を失って倒れてしまった仲間の犬に対して、もう一方の犬が

ペロペロ → 甘噛み → 咬みつく

という行動を取らないことの方がむしろ不思議だとは思いませんか?



長くなるので、つづきはまた次回にしまーす!



<今日のPet Hotel 11!>


コっちゃん。少しずつ他のワンちゃんに慣れてきてるよ!

元気いーっぱいのブランちゃん
ドッグランで走るのだーい好き♪
MAXくんとブランちゃん チョコラブ×2♪
ドッグランというよりも『牧場』ってかんじ~?(笑)



あ!子羊だ~~♪・・・って
ちーがーうーだーろーーー!

ボスと”なつ”はMAXくんと休憩タイム
仲良しさんねぇ~(^▽^)
郵便屋さんがきたら吠えてやろーと
虎視眈々と待ち続ける”なつ”
今日は日曜日だから郵便屋さんは来ないよーん(笑)







2017年9月23日土曜日

犬が亡くなった飼い主を食べる行動のナゾ①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



最初にお断りしておきますが、今日は、少しゾっとするようなお話をします。

いえ、ちゃんと読んでいただけたら怖いお話ではないんですが・・・

何か食べたり飲んだりしながらお読みになるのはちょっとやめておいた方がいいかもしれません。

それから、高血圧の方、心臓の弱い方、貧血気味の方、本日あまり体調がすぐれない方も・・・


【亡くなった飼い主を食べる犬】


●自殺した飼い主の顔を・・・


ドイツ、ベルリンに住む31歳の男性は、実家の裏庭にある、物置を改装した小屋で、愛犬のジャーマン・シェパードと一緒に暮らしていました。

ある晩、近所の人は男性が住む小屋の方から銃声がするのを聞きました。

それから45分後に、近所の人と男性の母親は、男性が拳銃で自分の口を打ち抜いて亡くなっているのを発見しました。

男性の手にはワルサー拳銃、テーブルの上には遺書が残されていました。

状況から見て、明らかに事件性のない自殺だったのですが・・・

問題は、男性の遺体の状態でした。

男性の顔と首の大半はなくなっていて、傷の縁にはシェパードの歯型がついていたのです。

そして、床にはドッグフードの入ったお皿が置かれていました

男性の愛犬シェパードは、特に興奮するでもなく、ごく落ち着いた様子で警察官の指示にもちゃんと反応したそうです。

保護施設に連れられて行く途中、シェパードは飼い主の体の組織を吐き出しました。

その中には、ひと目で飼い主のヒゲだとわかる毛の生えた皮膚が含まれていたといいます。

シェパードは、自殺した飼い主の顔と首を食べてしまったんですね・・・


●ちーがーうーだーろーー!


上記のお話は、決してスティーブン・キングの小説などではありません。

実際にドイツで起きた事件について、法医学者が学術誌「Forensic Science International」に投稿したものです。

このお話を読んで、愛犬家の皆さんはどんな風に感じましたか?

怖い とか 気持ち悪い とかはさておいて・・・(さておくのが難しいくらいにショッキングな映像を想像しちゃうんですけどね)

『どうしてそんなことを・・・?』

と感じた方が多いのではないでしょうか?

豊田真由子さまなんかだと

『ちーがーうーだーろーー!』

ってシェパードくんにお説するはず・・・


人間の感覚、特にわたしたち日本人の感覚では、映画『おくりびと』の世界にもあるように、遺体になってもなお、故人をできるだけ美しい状態に保ってあげたいという心理が働きますよね?

とりわけ顔は・・・

現在は自民党所属の参議院議員、三原じゅん子さまだって、かつてツッパリキャラ全開だったころに、ケンカのお作法として次のように仰っていました。

『顔はやめなっ!』

そうなんだよ~ 顔はダメなんだよ~!

だって顔は、その人の尊厳やアイデンティティーを象徴するものとして見てしまうのが人間だもの・・・

そういう感覚からは、愛犬が最愛の飼い主の顔を食べてしまうという行為は、とてつもなく残虐でショッキングゥ~なことです。

それはもう・・・何をどう説明されよーが

生理的にムリっ!!

てなもんですね(ハァハァ・・・)

ですからもしも、上記の自殺男性が発見された時に、シェパードがまさに飼い主男性の顔を食べているところだったりしたら・・・

踏み込んだ近所の人や母親は、おそらく狂ったようにシェパードを男性から引き離して、ひどく叱ったのではないかと思うんです。

もし踏み込んでいたのが警官なら、あるいはシェパードを射殺したかもしれないと想像します。


●飼い主を食べる理由を学術的に探る


ただ、いくらショッキングだからといって、いつまでもハアハアばかりしてもいられません。

ワンちゃんが大すきなわたしとしては、生前の飼い主と強い絆や信頼関係で結ばれていた愛犬が、どうしてそんなひどいことをするんだろう?

という理由を知りたいと思いますから・・・

ワンちゃんの両肩をつかんで揺さぶったところで犬たちはお話してくれませんから、多くの事例から推察するしかありません。

ありがたいことに、ナショナルジオグラフィックでは、科学捜査関連の学術誌で報告されている数十件の事例に加えて、屋内で起こった63件ほどの事例に関する研究から、亡くなった飼い主を食べる犬の謎に迫ってくれています。


●お腹が空いていたから?


犬はオオカミの子孫で雑食です。

ですから当然、飼い主が亡くなって、そこに食べるものが何もなかったら、迷わず飼い主の肉を食べて生き延びようとするでしょう。

・・・と、心理学者のスタンリー・コーレン氏は言います。

ナットクナットク。

そりゃそーだろーね。

人間同士だって、遭難して仲間を食べたというお話はありますからね(ハアハア)

もちろん、いくつかのケースでは明らかに犬は生き残るために飼い主を食べていたようです。

2007年に報告されている事例では、チャウチャウとラブラドールのMIX犬が、飼い主の遺体を食べることによっておよそ1か月間生き延びていたそうです。

けれども、最初にお話しした自殺男性の事例を思い出してください。

男性が発見されたのは自殺してからわずか45分後です。

しかも床にはドッグフードの入ったお皿がありました。

つまり、空腹が理由ではなかったということになりますよね?

シェパードは、飼い主が亡くなってすぐにその顔を食べ始めたということになります・・・(ハアハア)

「本来は行儀のよいペットが、空腹でもないのに、なぜそれほどすぐに飼い主の死骸を食べようとするのか、その理由は考察に値する」

科学捜査官のマーカス・ロスチャイルド氏の論文にはそのように書かれています。

ワシもそう思う~~~~!

※ちょいちょい茶化しているのは、決してふざけているのではありません。自らを奮い立たせているのですからご理解ください。


2015年に研究対象となったケースのうち24パーセントが、体の一部を食べられた死骸が発見されるまでに1日も経っていなかったそうです。

さらに、そのうち一部のケースでは、最初の事例と同様に、犬のすぐ近くには簡単に食べられる食料があったといいます。

・・・ってことはつまり、そのぅ・・・

実は他のエサそっちのけで食べたいほど、飼い主の遺体が美味しいからってことなのー?!

『違うって言って・・・お願いよポチ~~!!』


安心してください。

ナショナルジオグラフィックによると、どうもそういうことではないようなんですね。


長くなるので、つづきはまた次回にします。



<今日のPet Hotel 11!>


早く雨あがらないかなぁ~・・・
ブランちゃん、綺麗なお目めねぇ~!

コっちゃん「あ、ボクのことはどうぞ気にせずに~・・・」

ヤマトおじいちゃん、雨がやむ前にお帰りだったね。
とってもおりこうにお留守番できました!
また遊びにおいでね~(^▽^)/

イヤッホーーッ!!雨やんだどーーーー♪

コっちゃんもだいぶ他のワンちゃんの近くに行けるように
なりました♪

お散歩大好き♪海も山もいくらでも歩けちゃうんだ~!

海サイコーッ!!お散歩サイコーッ!