2017年6月8日木曜日

【天罰方式】はどうですか?⑤

わたしが【天罰方式】を採用していない理由のつづきです。

③”天罰”を下していたのが飼い主さんだとバレたら信頼関係がゆらぐ?

という設問に対してのわたしの答えは”Yes”
更に言えば、バレないはずがないと思っていると前回の記事で書きました。

ワンちゃんは、さまざまな条件を結び付けて覚えています。
だからこそ”オペラント条件付け”が成立して、


〇〇をやったら大きな音がしてビックリした



もうあの怖い音を聴きたくないから〇〇をするのをやめておこう


という【天罰方式】が成立するのですね?

だとしたら・・・

ママがいる時に〇〇をやったら大きな音がしてビックリした。
でも、ママがおでかけしている時に〇〇をやっても大きな音はしなかった♪



ママがおでかけしているお留守番の時だけ〇〇をしようっと♪

という結びつき方だってするはずだとは思いませんか?

『そんな複雑なことまでワンちゃんには解らないでしょ~?!』

とお思いのアナタ、犬にペロペロされてもいいですが、犬を舐めてはいけません。

実際に犬のしつけに、次のようなことを行って成功した事例があります。

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デボラは小さな犬を1匹飼っているが、家の外に出しても外で走り回って気晴らししたりせず、中に入れて欲しそうに決まってドアのところで吠えたりクンクン鳴いたりしていた。

そこでデボラはボール紙の表は白、裏は黒に塗ったものをドアの外側のノブにかけておいた。

黒が出ているときは、どんなに吠えても決してドアは開けてやらない。
白が出ているときは、鳴けば中に入れてやる。

するとその犬は、黒が出ているときは吠えないことをすぐに学習した。
(吠えても無駄だと知ったからです)

デボラは適当な時間がたって、中に入れてもいいと思ったときだけ、ドアをほんの少し開けてボール紙を白に裏返して一旦ドアを閉める。
そして犬が鳴いたらドアを開けて中に入れてやるようにしている。
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おわかりでしょうか?

〇〇をすると△△だ 

ということだけでなく、

□□のときに〇〇をすると△△だ

ということを、ワンちゃんがきちんと理解しているということになりますね?

デボラは見事、ワンちゃんに吠えずにお庭で遊んで欲しい間はずっと、黒い札さえ出しておけばいいようにしたのですね!
ワンちゃんにも飼い主さんにも無駄なストレスがかからない、素晴らしい方法だと思いませんか?

そういうわけで【天罰方式】をワンちゃんにやった結果

ママがおでかけしているお留守番の時だけ〇〇をしようっと♪

という風にワンちゃんがなってしまった場合はどうなるでしょう・・・

以前は何度言っても直らなかった”悪さ”__例えば”ティッシュ祭り”や”ゴミ箱祭り”がスッカリおさまって喜んでいたところ、ある日お買い物から戻ってみたら”大感謝祭”みたいな状態になっていることを想像してみてください。

さて、そのとき飼い主さんのアナタにはワンちゃんを叱る資格はあるのでしょうか?
(どのみち、犯行現場を押えない限り、叱ることにはなんの意味もありませんが)

アナタのワンちゃんは、複雑な条件付けをちゃーんと理解している大変賢いワンちゃんということになりますし、何よりアナタに条件付けされたことはキッチリと正確に守っていることになるのです。

ワンちゃんにしてみれば叱られるどころか、うんと褒められて当然のことをしているだけになりますよね?(タメイキ)


さて、お話を元に戻すと、ワンちゃんはママまたは家族の誰かが家にいない時には絶対に”天罰”がくだらないということをすぐに見抜いてしまいます。

つまりバレます!

バレる前提であるなら、なぜ『バレたら信頼関係がゆらぐ』などというのか・・・?

わたしの考えはこうです。

以前、【犬に話しかけるのは意味がない?⑤】にも書きましたが、ワンちゃんは態度をジっと観察して、飼い主さんの気持ちや考えていることなどを感じとる鋭い洞察力があります。

ワンちゃんが、飼い主さんの手によって下されていると判っている”天罰”に関して、飼い主さん側はバレていないと信じ込んで・・・またはバレませんように・・・と祈りながら”天罰”を下している様は、

なんかわかんないけど あやしすぎる!!

どーーも信用ならない!!

コソコソなにたくらんでる?!

という風にワンちゃんに受け止められてしまうのに十分ではないでしょうか?
ですから、そういった意味で信頼関係がゆらいでしまうだろうとわたしは考えているのです。

つまり、正確な言い方をすれば

『バレてもバレなくても、コソコソ”天罰”を与えていること自体が信頼関係に影響する』

という風にわたしは思っているわけです。


長くなるので続きはまた次回にします。

ちなみに・・・前述のデボラのしつけに関するお話が載っている本は
「うまくやるための強化の原理」カレン・プライア著
です。



はいはい、好きなだけ遊ぶといい。
たとえ雨上がりの泥んこお庭であっても・・・( ノД`)

女帝”なつ”が珍しくしおらし気に
かわいらしく撮れましたん♪