Pet Hotel 11! お庭番のブログ①: 犬にとってフェアな人間でいるために①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!（ペットホテルワンワン）のお庭番です。

前回のブログで、「犬たちにジっとみつめられると、ときどき恥ずかしい気持ちになる」

というお話をしました。

今回は、それは例えばどういう場面か・・・具体例を交えながら、犬たちにとってフェアな態度でいるために、わたしたちはどうすればいいかを考えていきたいと思います。

【人間の都合と犬の掟】

●よきリーダー像

犬は、飼い主さんの子供でもぬいぐるみでもなく、意思・個性・欲求を持った生き物ですから、犬の気持ちを無視して飼い主さんの自由にしていいはずがありませんね。

このブログでも幾度となくお話していることですが、犬をリスペクトする・・・つまり犬の尊厳を尊重するとは、犬の生態や習性に正しい理解を示し、なるべくそれに沿った暮らしをさせてあげることです。

一方で飼い主さんは人間社会の一員ですから、ご近所迷惑や安全管理に留意して、たとえ犬の生態に反したことであってもしつけるべきことはシッカリとしつける義務を負っていますね。

飼い主さんがしつけるべきことで、犬にとっては不都合なことはけっこういっぱいあって、しばしば双方の求めることは衝突します。

いつもいつも人間側の要求ばかりを犬に飲ませていると、犬にはストレスが溜まってしまうでしょうし、犬の要求にばかり飼い主さんが振り回されていると、飼い主さんは人間らしい生活ができなくなってしまうでしょう。

最悪の場合、

不満が爆発した犬が飼い主さんに咬み付いて大怪我を負わせてしまった・・・

とか

「も～～～！このワガママ犬には付き合っていられーん！」って発狂した飼い主さんに犬が捨てられてしまった・・・

ということだって起こり得ます。

そんなことにならないようにするのは誰か？ってゆーと・・・

それはもちろん群のリーダーたる飼い主さんですね。

上記のような悲惨なことにならないまでも、

「あら・・・ウチの子ったらとってもいい子だったのに、近頃ちっとも言うことをきかなくなって・・・一体全体どうしたのかしら？

まったくもう！困った子ね！！」

な～んて感じている時は、もしかするとワンちゃん側はリーダーに不当な扱いを受けているとうい不満がフツフツと溜まって、それをアピールしているのかもしれません。

●「犬らしく」の限界

pethotel11!はケージレスのペットホテルです。

お預かりしているワンちゃんたちは、お庭やお部屋で自由に過ごしています。

ワンちゃんたちは、それぞれ違うおうちで飼われていますから、もともと「群」ではありません。

けれども、犬はもともと群で暮らす習性があるので、初対面でも、入れ代わり立ち代わりメンバーが変わっても、それなりに群になるものだということは、以前このブログでお話しました。↓

群の意識（犬同士のコミュニケーション）①

中には、犬としての社会性がとても高い子もいますし、社会性がまったくなく、他の犬とどう接していいかわからないような子もいます。

あまりにも社会性が低い子は、他の犬たちの安全が守れなくなる可能性があるため、残念ながらお預かりすることができないこともありますが、ある程度の期間を他の犬たちと過ごすことで社会性を身につける可能性があるとわたしたちが判断した子は、群の中で社会性を学び、犬が変わったように他の犬との交流を楽しむようになることもあります。

わたしたちは、飼い主さんと離れて過ごすワンちゃんたちに、できる限り犬らしい喜びを味わいながら楽しく過ごしてもらいたいと考えています。

けれども、これが簡単にはいかないもので・・・

理想通りにはいかない「人間側の都合」というものがどうしたってあるんですよね・・・(^_^;)

●AくんとBくん

たとえば・・・こんなことがありました。

（正確には何度かありました）

10頭弱くらいの犬たちがお庭で遊んでいるのを、わたしたちが見守っているところを想像してください。

（わたしたちは美男美女という設定で想像を膨らませてください←だまらっしゃい！）

きままにクンクン散策を楽しむ子・・・

中のいい子同士、とっくみあいをして遊ぶ子たち・・・

他の犬とどう接していいかわからずに、オドオドと隅っこで様子を伺っている子・・・

ボールを投げて！抱っこして！とわたしたちにせがむ子・・・

など、いろ～んな子がいます。

そんな中、AくんがBくんをしつこく追いかけ始めました。

Aくんは中型犬。

社会性が低く、犬社会のルールや他の犬との距離感があまりよく解っていませんが、他の犬が大好きで・・・まあ簡単に言うと絡みたがる子なんですね。

一方Bくんは華奢な小型犬です。

Aくんより社会性がありますが、そもそも他の犬と遊ぶよりも1人でいる方が好きな子です。

BくんはAくんと遊ぶ気がなかったので、Aくんから逃げ回っていました。

わたしたちは注意深く様子を見守っています。

Aくんを叱ってBくんを追いかけるのをやめさせるのは簡単です。

でも、わたしたちはなるべくそうはしたくありません。

なぜならば、BくんにはAくんに

「イヤだ！遊びたくないからアッチへ行って！」

という意思表示をしてAくんを追い払うことができるはずなので、なるべくわたしたちが介入しないようにしたいのです。

これは、Aくんにとっても「しつこくしすぎると嫌われる」ということを学ぶいい社会勉強のチャンスです。

けれども、わたしたちは所詮は人間です。

どんなに注意深く見ていても、犬たちのシグナルを犬より早く正確に読み取ることはできません。

「それでもプロかっ？！」

と怒られてしまいそうですが、ハイ！それは無理です（笑）

わたしはむしろ、このお仕事をする前の方が自分は犬のシグナルを正確に読み取れるとうぬぼれていました。

けれども、犬たちと多くの時間を共に過ごせば過ごすほど、人間が犬の感情を読み取るにはあまりに鈍感だと思い知らされました。

考えてみれば、聴覚や嗅覚など、シグナルを読み取るのに使う器官やシグナルそのものが人間とは異なるんですから当然ですね・・・(^_^;)

さて・・・Bくんの後ろを「ねえねえ、遊ぼうったら～～、いいだろ～？」としつこくヒタヒタ追いかけるAくん。

そこに突然、Cちゃんが激しく吠えながらAくんに飛びかかる勢いでダッ！！と走って行きました。

Cちゃんは社会性が高い子です。

Cちゃんは少し前からずっと、AくんとBくんの様子を見ていて、もうそろそろAくんに

「いい加減にせんかーーーいっ！！」

と言いに行かねばならないタイミングだと判断したのでしょう。

わたしたちは、Cちゃんによって介入すべきタイミングを教えてもらったことになりますね。

この場合、Aくんが社会性の高い子であれば、Cちゃんが吠え立てながら向かってきたのに気づいた瞬間、すぐにBくんを追いかけるのをやめて、

「スンマセ～～ン・・・」

という態度ですごすごとUターンします。

CちゃんにはAくんを攻撃する気はなく、ただ注意しているのだと理解できるからです。

けれどもAくんは社会性が低いので、飛び出してきたCちゃんにおののき、オシッコをチビりながら歯を剥いて体を硬くし全身の毛を逆立てて固まってしまいました。

何が起きるかわからないキケンな状況です。

社会性が高い犬は、いきなり他の犬にホンキで咬み付いたりすることはありません。

ちゃんと、睨んだり唸ったりと警告を発して相手にやめるチャンスを与えるんですね。

けれども、社会性が低くて臆病な犬は、恐怖やパニックから何の前触れもなく他の犬にホンキで咬み付いてしまうという危険があるんです。

（もちろん人間にも・・・）

さて、その時わたしたちはどうしたと思いますか？

長くなるので、つづきは次回にお話しまーす！！

＜今日のpethotel11!＞