前回ブログのつづきです。
【犬の群の世界】
●わからないことだらけ
人間と犬が友達になったのは何万年も前のことです。
そのため、人間はついつい 犬のことを何でも知っているように勘違いしてしまいます。
実際には、知っているように勘違いしているのではなくて、自分たちの知っている世界に無理やり犬を当てはめようとしている・・・と言った方が正確かもしれません。
犬に関することだけではありません。
人間は、「わからない」ことをとても怖がる生き物ですね。
そのため、原因が解明されていない病気に関して必ずと言っていいほど
「原因はストレスです」
という風に定義づけられていることがほとんどです。
本当にストレスが主な原因かどうかなんて実際にはまったくわかっていないんなら、そんなこと言い切らないで
「原因は不明です」
と言えばいいものを、「ストレスが原因です」って言い切っちゃうのが人間の性(さが)なんですねぇ~・・・(^_^;)
・・・犬のお話に戻しましょう。
何万年も前から人間と共に暮らしている犬たちのことなのに、わたしたちには彼らの世界のことはわからないことだらけです。
表情や耳の向き、シッポの動きや姿勢などといった、いくつかのわかりやすいボディランゲージによって、ある程度 彼らの感情はわかるものの、それだけでは実際の気持ちを見誤ってしまうこともしばしばです。
例えばよく、
「ああ、シッポを振っているから喜んでいるんだね~♪」
なんてニコニコして犬を見ている人がいますが、最近の研究によって、シッポを振っていても、実は不安な気持ちを表現している場合があるということがわかってきています。
シッポを右に振っている時は喜んでいて、左に振っている時は不安な気持ちだというんですね(イタリア トリエステ大学の研究による)
このように、長年共に暮らしている犬のことであっても、わたしたちにはわからないことがとっても多いということを忘れてはいけません。
何故ならば、全てをわかったような気になって、自分たちの理解できる世界に無理やり当てはめて満足してしまうことは、正しく犬たちを知る妨げになってしまうからです。
実際、おそらく一般的な飼い主さんよりも多くの犬達と接しているわたしたちは、犬たちと触れ合う時間が長くなればなるほど、犬のことを何もわかっていない自分たちの無知さや無力さを日々思い知らされてます。
●犬の社会性は犬にしか教えられない
そんな犬たちの犬社会におけるコミュニケーションの仕方(社会性)を、わたしたち人間が教えることなんてできるはずがありませんね?
犬に犬の社会性を教えられるのは犬だけです。
だから、犬に社会性を学ばせたいと思ったら、できる限り人間が手出し口出しをしないようにしなくてはならないんでしたね?
前回、
「犬に社会性をつけさせたいなら、犬の群の中に入れて・・・
なるべく介入しないことが大切。
でも介入すべきタイミングでは最低限介入する。
この 『介入すべきタイミング』は犬たちが教えてくれる」
とお話しました。
さて、どうやって教えてくれるかというと・・・
●社会性の高い犬の様子を見る
犬に犬の社会性を教えるのは、犬にしかできないことですがー・・・
社会性のない犬が社会性のない犬に社会性を教えることはできませんよね?!
そのため、社会性を学ばせたい犬の先生として絶対必用なのは、社会性の高い犬ってことになります。
pethotel11!には、とっても社会性の高いチャコと、超長期お預かり犬”ナツ”がいて、このふたりがわたしたちに、介入すべきかどうかのタイミングを教えてくれるんです。
◇ケンカ(本気)とワンプロ(遊び)
ワンプロ(犬同士のプロレスごっこ)を見たことがありますか?
お互いに歯をむき出しにしたものすごい形相で、取っ組み合って首元などを咬み付きあって遊ぶんです。
犬同士がワンプロする光景は、ワンプロなんかしない犬の飼い主さんや、犬のことをよく知らない人が見たら、ホンキのケンカと見分けがつかないことが多いでしょう。
以下の画像の犬たちは、ホンキのケンカをしているでしょうか?
それとも遊びのワンプロをしているでしょうか?
正解は・・・すべて遊びのワンプロでした~~♪(^o^)
このワンプロは、犬同士の社会性を育むのに最適な遊びなんです。
どのくらい加減をしなくては相手を傷つけてしまうのか?
どの程度なら相手にホンキで嫌われることなく遊べるのか?
といった高度な社会性を学ぶまたとないチャンスなんですね。
人間の場合も、よく
「子供の頃にケンカをしたことがない人が大人になってケンカをするといきなり相手に致命傷を負わせたりするので危険だ」
と言われますよね。
ですから、ワンプロを始めた犬同士を人間が早まって止めてしまうなんて勿体無い介入の仕方は絶対にしたくないんです。
(台無し感がハンパないっ!!)
ご自分の愛犬がよくワンプロをするという飼い主さんは、自分の愛犬がホンキか遊びかの見分けはつくようになっていることが多いかと思います。
よく言われている見分け方としては・・・
・声のトーン
・歯の剥き出し方
・毛が逆だっているかどうか
・シッポがどうなっているか
ですが、実際に目の前でワンプロを見ている時に、そういったことをいちいちチェックできるかというとそうもいかないことが多いですし、一概にコレだけで見極められるかというと、そんなこともないんですね~・・・
困ったことに、夢中でワンプロしているうちに、一方が急に熱くなっちゃって、いつのまにかホンキのケンカに転じてしまうようなこともあります。
その変化は一瞬なので、ボンヤリと上記のチェック項目を見守ろうとしている人間なんかが「あ、マズイ!」と思った時にはもう手遅れ・・・なんてことも・・・
けれども、社会性の高い犬は、上記のような人間にも判るようなハッキリしたサインが出るより前に、ワンプロしている犬同士の微妙な感情の変化をちゃんと判別しているんです。
ですから、ワンプロのギャラリーにチャコやナツを置いておけば、わたしたちは彼女たちを見ているだけで・・・
チャコやナツが「あーまたやってるよ」という感じでくつろいでいたり、眠たそうにしている場合は遊びのワンプロなので介入の必要ナシ。
・・・ということが判ります。
チャコやナツが腰を浮かせてワンプロに関心を持ち始めたり、ワンワン吠えたり、介入しようと飛び込んで行こうとする動きを見せた時は介入すべきタイミング。
・・・ということが判るので、わたしたちは迷わず2匹の間に割って入ります。
たとえそれが、わたしたちから見て、さっきまでとの違いがまったくわからないような「どーってことないワンプロ」に見えていたとしてもです。
チャコやナツのような社会性の高い犬には、わたしたちには見抜けないような微妙な感情の変化や熱量の変化を、実に的確に見分け、そしてそれを判りやすい形でわたしたちに教えてくれる能力があるというワケです。
人間の子供同士がやる、遊びの取っ組み合いなんかでも、例えば
「片方が泣き出したらホンキ」
みたいな指針を示されたら・・・
「うん、確かに!!」
と思いますか?
まあ最近は、あまり取っ組み合いをする子供も少なくなりましたから(残念ながら大人が未然にそれを止めてしまうため)トランプやオセロのようなゲームをしているシーンを想像してみてください。
ついさっきまで楽しそうにゲームしていたのに、負けた悔しさから一方の子供が突然ホンキで泣きながら暴れ、その場の空気が一変して地獄絵図のようになる瞬間を目撃したことがある方は多いでしょう(笑)
前後の見境がつかなくなって、相手の子に物を投げつけたりしてはタイヘンです!(^_^;)
ところが、同じように泣いていても、負けず嫌いで悔し涙を流しながら顔を真赤にしつつ、そのままゲームを続けるような子もいますね?
また、ゲームは中断せざるを得ないくらい泣いちゃっても、決して暴れたりゲームをメチャクチャにしたりはせず、泣き止んだら再びゲームをしようとする子もいます。
こんな子を止めてしまったら・・・将来の藤井聡太くんや福原愛ちゃんの芽を摘んでしまうことになるかもしれませんね。
何が言いたいかというと、こういう時の
「あ、もう止めないとヤバイな・・・」
という空気感を見分ける時に、わたしたちは、
「片方が泣いたら・・・」
などという単純なシグナルによって判断しているのではないってことです。
わたしたちには、同じように泣いている子供のそういった微妙な感情の動きや違いを「なんとなく」見分けることがきますね?
自分たちにも説明できないような”微妙な何か”で、そういったことをちゃんと見分けられるのはすごいと思いませんか?
これこそが、わたしたちが「社会性」と呼んでいる空気のようなモノなんですね。
親や学校の先生から教えられるセオリーではなく、なんとなく空気を読む力・・・
犬同士の空気を正確に読めるのは、社会性の高い犬だけだってことです。
長くなりました。
このシリーズはもう少しつづきまーす!
<今日のpethotel11!>
これぞ「秋晴れ!」って感じの日~♪ |
なんかイイもん落ちてないかなぁ~・・・ |
やっぱり海、サイコーー♪ |
見学&面談に来てくれたLくん |
本番のお泊りの時に、もっといっぱい遊ぼうね~(^o^) |
「なんでお庭に入れてくれないの~~?」 七輪でヤキイモ焼いてるからだよ! いい子に待っていられるなら入れてあげる 「いい子に待てるーーーっ!!」 |
よしよし、いい子いい子(笑) |
ナツ「ねえ~、まだぁ~~~?」 まだっ!! |
ボス「もう焼けたんでしょ~?」 冷ましてからっ!! |
「ねえ~~~、もういいんでしょ~~?」 ・・・・・ヨシッ!! 代わりにお夕飯は少し減らされてしまいました。 美味しかったね♪ |
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