2018年10月4日木曜日

群の意識(犬同士のコミュニケーション)⑪

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回ブログのつづきです。


【犬の群の秩序】


●写真で見る社会性


前回のブログで、犬の高い社会性について、3つの事柄を挙げました。

今日はそれをより解りやすくするため、画像をお見せしながらお話したいと思います。




◇ワンプロは見応え抜群!



身体の大きなMくんは、Hくんと遊ぶとき
少し手加減しています。
(こぉ~んな怖い顔していても 笑)

だからHくんがもう疲れちゃって
「休憩したーい」と言ってもまだMくんは
「遊び足りな~~い!」

Mくん「ねえ、もう1回やろーよー」
Hくん「やだ。休憩するんだ~」

Mくん「ほらほら、ガブリ!」
(絶対にホンキで噛んだりしません)
Hくん「やーめーろーよ~~う」

Mくん「もう1回だけだよぅ~~」
Hくん「やめろったら~~~~~~」
(ホンキで噛まれないことが判っているから
Hくんもリラックスしています)

もうやめときなさい!
わたしたちに言われると
Mくん「テヘペロ♪」
Hくん「あざーーっす♪」

こちらもワンプロに夢中の
HくんとNちゃん

んまぁ~~~コワい!!(笑)

ハイ、勝負あったみたいですね。
Nちゃんの勝ちぃ~~~
実は、Hくんは年下のNちゃんに手加減しています。

Hくん「うわぁ~~やられたーーー!Nちゃん
強いなぁ~~~」
Nちゃん「でしょでしょっ?」

Hくん「わかったわかった、もうわかったから
やめろよ~~~」
Nちゃん「やだ~、もっとワンプロしたーい」

こちらはMくんとNちゃんのワンプロ

ガオーー!!ってすごい顔ですねぇ~(^_^;)

こんなに牙を剥いて闘っていても・・・

とっても仲良しなふたり♪

「休憩中なの。ジャマしないでね~」
ハイハイ・・・(^_^;)

お庭でとんでもない形相でガルガルしているけど・・・

周りの犬たちは、まるで放牧中の羊のように
の~んびりているでしょう?
これがもし、ホンキのケンカなら
周りの犬たちは騒然となっています。

「あー面白かった!一緒にお水飲も~♪」
仲良しすぎるふたりはまだ1才未満。
こんな風にじゃれ合うことで、しっかり社会性を
育んでいます(*^_^*)





◇秩序を乱す者には厳しい




Fくんがどうしてリードをつけられているかって言うと・・・

Fくんは社会性が身についていません。
いざとなったらわたしたちが制御できるように
リードをつけています。
ボスはさっきからずっと
「来るな」って唸っていますが・・・

Fくんはグイグイくる (笑)

ギロリと見られても・・・


むしろ挑発的にグイグイくる(;´Д`)


ボスは更に唸り声を大きくして警告します
Fくん「おっと~~~」
あまり伝わっていませんねぇ(-_-;)


ボス「ホントにもう怒るよ!!」
Fくん「きゃあ~~~」
いまひとつ威嚇の効果がありませんねぇ(-_-;)

ボスは基本的に争いがキライです。
(怒ってる怒ってる 笑)
だから、何度もFくんに「来るな」と警告を
出し続けるのですが、ボス自身、5歳になってから
社会化の勉強を始めた子なので、
まあ・・・簡単に言うと「ヘタクソ」なんですね。
ヘタクソな先輩に威嚇される社会性の低い後輩・・・
(-_-;)


すっごく頑張ってくれているんですけどね~


あまり、社会化の先生には向いていない
といったところでしょう。


やっとFくんを追い払うことができましたが、
このあとも何度もしつこくされていました
(ボスは自分でFくんに対処できるので
わたしたちはあえて助け舟は出しません)

ボスはこれでも ものすごーく成長したんですよ!
がんばれ~~~~(笑)

一方こちらは社会性の高いナツ&チャコ
既に社会性が低い若者Fくんを
一喝しているので・・・
もうFくんはお姐さん方に
ちょっかいを出そうとはしません。

Fくんが狙っているのは・・・
社会化のためにpethotel11!にやってきているCくん。
とっても臆病で、以前ならFくんのような子と
一緒の空間にいることすらできませんでした。

わたしたちの後ろに隠れてしまうか、
隅っこで丸くなっていたCくんも
だいぶ成長しました♪

けれども、まだFくんのようなグイグイ来る子を
自分の力で追い払うことはできません。
Cくん「イヤダよぅ~~~」
ナツが注意深く見守っていますね?

Cくんがいやがっているのに
Fくんが更にしつこくすると・・・

ほら、ナツが睨みを効かして
「オイコラ若造、見てるかんねー!しつこくすんな!」
って軽く警告しています。

Cくんのこの表情・・・(笑)
Cくんも自分でしつこい子を追い払えるように
頑張ろうね~~~!!

ナツは叱り飛ばす方法でFくんを諌めますが、
チャコはCくんとの間に割って入るというやり方で
Fくんを止めます。
ナツとチャコは役割が明確に違っていますが
どちらも群の均衡を保とうとする目的は同じです。





◇弱き者への思いやり




どうも、見ていると社会性のなさが犬たちの群に
許容されるのは1才前後までのようです。
ナツが心配そうに見守っているのはまだ5ヶ月のRちゃん
面談中の飼い主さんを不安そうに呼んでいます。

あの女帝ナツが・・・!!
初対面の子にこんなことや・・・

こんなことを許すのは、Rちゃんがまだ子供だからなのです!

あらまぁ・・・なんて優しそうな表情をするんでしょう
(女帝なのに・・・プププ)


こちらも7ヶ月のパピーMくん
お泊りの初日はこんな感じ・・・
ビクビクしてシッポもお耳も下向いちゃってます

ベンチの下から出てこようとしないMくんを
ナツや他の子たちが優しく誘います
「大丈夫、怖くないからおいで~~~」

その結果、Mくん3日後には・・・・

コレ・・・さっきNちゃんとガオーーって
ワンプロしていたの、実は臆病Mくんなんです。

とても同じ犬とは思えないでしょう?
犬のことは犬にまかせておくのが一番♪
こちらもやっぱりパピーのSくん♪
ボスもまるで見守るように接しています。
(ボスのくせにーーー笑)



ボス「よしよし、嗅いでいいぞ!」
(ボスのくせに先輩ヅラしてる~~~笑)

こちらは12才5ヶ月のLおじいちゃん
ナツは初対面の成犬に必ずやるように
「ここのルール、教えたるけんっ!!」
なんてカマすことは決してありません。
礼儀正しく挨拶して立ち去ります。

ボスも同じく・・・
低姿勢でご挨拶して、あとは干渉しません。

そして、こちらの写真は・・・
我が家の愛犬チャコが初めてうちにやってきた時
超長期お預かり犬ボス&ナツとは初対面です。

新入りが乗ることが絶対に許されないクッションに
ちゃっかり座っているチャコと
それを気にもとめないボス。

チャコ自身が30頭もの多頭飼育環境にいたために
非常に高い社会性を持っていたんです。

ほらね、ナツも穏やかに迎え入れて、
一度も威嚇することはありませんでした。

チャコの社会性が高かったことに加えて・・・

劣悪な環境にギュウギュウ詰めにされていたチャコは
酷い皮膚疾患にかかっていたため、
ボスやナツには「守るべき弱き者」に
映ったのではないかと思っています。




【犬の社会性のたいせつさ】


●犬本来の姿とは


たくさんの犬たちを日々お預かりするお仕事をしていると、


・犬という動物は、わたしたち人間以上に高い社会性を持つ生き物

・犬という動物は、基本的に争いを好まない生き物


だということを改めて感じざるを得ません。

犬たちは、その高い社会性によって、無用な仲間同士の争いをできるだけ回避するために群の秩序を保とうとしています。

そして、その高い社会性があるからこそ、わたしたち人間社会のルールをも柔軟に受け入れ、人間と共存することができたのです。



●保護犬のふしぎ


保護犬ときくと、いかにも飼うのが難しそうだと感じる方が多いかもしれません。

けれども、pethotel11!にやってくるワンちゃんたちを見ていると、概して「元保護犬」の子ほど、穏やかで高い社会性を持っていることが多いことに気づきます。

もちろん、保護犬には 深い心の傷を負って人間に不信感を抱いているような子もいます。

人に飼われたことがないため、そもそも人慣れしていないような子もいます。

けれども、保護団体の多くは事前に保護した犬の心のケアをし、十分に一般の飼い主さんが飼える状態になったと判断してから譲渡会などに出していることがほとんどです。

そして、特筆すべきは保護団体で過ごす期間です。

保護団体には大抵、たくさんの他の犬たちがいます。

つまり「群」で生活した経験を持つ犬が多いんです。

保護犬たちは、イヤでも群の中で鍛えられ、犬としての社会性を学んでいます。

そのため、譲渡会に出ている犬というのは、


犬が本来身につけているべき犬としての社会性

犬が人間とうまくやっていくための社会性


このふたつを兼ね備えた理想的な状態になっていることが多いのではないかと思います。




長くなりました。

次回はやーーーっと、今回のシリーズの最終回・・・になる予定でーす(^_^;)







今日は写真をいっぱい載せたし、お客様ワンちゃんがいないから<今日のpethotel11!>はお休みー!!






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