2017年3月6日月曜日

可愛い犬には旅をさせよ

飼い犬の社会性には、ふたつの意味があります。

ひとつめは、他の犬に対する社会性
ふたつめは、人間に対する社会性

どちらも人間同様に、まだ柔軟性のある子どものうち、それもできるだけ小さいうちに身に着ける方が容易です。
容易だということはつまり、本犬さんにとってもストレスが少なく身につくということです。

今日は、ひとつめの、他の犬に対する社会性について書こうと思います。
他の犬に対する社会性とは、犬同士の礼儀やルールをわきまえるという意味です。

挨拶の仕方や、「近づくな。オレに触ると怪我するぜ」というサイン、していいこととダメなことなどを身に着けることによって、不用意に危険な犬にグイグイ接近してしまったり、空気が読めない犬になって総スカンを食らったり、挨拶もできず必要以上にオドオドしてバカにされたりしないようになります。

そうしたことを身に着けている犬は、お散歩やドッグランなどで知り合った犬と適切な距離をもちつつ、気の合ったワンちゃんを見つけてとても仲良しになることだってできます。

犬同士の礼儀やルールは、生まれて間もなく、兄弟犬と共に過ごしながら母犬によって躾られます。
母犬は実に見事に子犬たちにドッグトレーナーなど遠く及ばない躾をします。
生まれて3か月程度は、社会性を学ぶ大事な期間ですから、母犬と兄弟犬と過ごすことが理想なのですが、モラルの低い売上重視の売買業者や悪質ブリーダーは、生まれて間もなく子犬を母犬から引き離して”流通”させてしまいます。
それが原因で、お散歩中に他の犬にやたらと吠えてしまったり、怯えから攻撃的になったりするために、覚悟なく安易に犬を飼った飼い主さんから
「飼いづらい」
という理由で捨てられてしまう悲しい運命をたどる犬がたくさん出てしまいます。
(犬が捨てられてしまう理由はもちろんこれだけではありませんが・・・)

人間のせいで社会性が身についていない犬たちが、人間のエゴで捨てられる・・・
そんな身勝手が許されるのでしょうか?(←怒りに震えている)

残念ながら母犬や兄弟と早期に分離させられ、犬同士の社会性が身についていない子でも、前述のようにできるだけ早い時期、できれば2歳くらいまでにたくさんのワンちゃんと接する機会を作ってあげることで、子犬に比べてゆっくりではありますが、ちゃんと社会性を身に着けることができます。
当然、その過程を見守る間は事故が起きないように細心の注意を払う必要がありますが・・・
周りの犬から、優しく、時に手厳しくルールを教えてもらうことは、大変貴重な経験ですし、その結果、ワンちゃんが社会性を身に着ければ、飼い主さんがストレスなくお散歩やドッグランに連れ出すことができるようになります。
ワンちゃんにとっても飼い主さんにとっても、より愛犬ライフが明るく楽しいものになりますね!

さて、本日からお泊りのチワワの”ハルちゃん”は1才3か月。犬生初のお泊り体験です。

飼い主さんは、少し心配そうに
「他のワンちゃんを怖がるし、挨拶もできません」
と仰っていました。

確かに最初は不安そうでビクビクと居心地悪そうにしていました。
興味津々で近づいてくる他のワンちゃんから逃げ回っていたのは10分くらい。
ちゃーんとご挨拶できました♪

その後もしばらくは、どう振る舞っていいのかわからずに心細そうに私たちから離れようとしませんでしたが、私たちは心を鬼にして抱っこはしません。抱き上げたい気持ちをグっとこらえて注意深く見守ります。

そして、3時間ほど経ったころ・・・”ハルちゃん”はもうすっかり周りの犬に馴染んで、かなり情熱的に迫ってくるマルチーズの”ベガくん”に軽くガルガルして自己主張ができるまでになりました。(この 軽く ってところがとても大事なんですね)
すっかりリラックスして他のワンちゃんと一緒の場所でお昼寝までできるようになりました。
すごい進歩です!

『可愛い子には旅をさせよ』
とはよく言ったものですね。
きっと”ハルちゃん”は、このお泊りで一回りも二回りもたくましく成長しておうちに帰ることでしょう♪

眠くなんかないもん!
眠くなんか・・・・
ZZZZ・・・
ボクも眠くなんか・・・ZZZ・・・
ないもんっ!!お散歩いこっ!
ワタチも起きた~!遊びましょ♪
もうワタチ大丈夫!
ひとりでお泊りできるっ!
みんなとおさんぽ行けるっ!
まだまだ寝てましょうよぅ~
そうそ、どうせ雨だし~
エッ?!Σ( ̄ロ ̄lll)ほんとですか?センパイ?!