2017年3月31日金曜日

ひきこもり犬にしないで④

前回、【社会化のできていない犬】は人間でいうところの【ひきこもり】と同じような状態になると書きました。

【ひきこもり】の大きな問題点は

①長く【ひきこもり】の状態が続くことによって、精神障害や家庭内暴力などの重大な二次的問題が出現するようになること。

②【ひきこもり】の状態自体が、本人に大変なストレスとなり、健康被害をもたらすこと。

③経済的にも人間的にも自立ができず、将来、親や家族の協力が得られなくなった時に普通の暮らしを営んでいくことが困難になること。

などです。
犬が社会化できていない場合も同様に

①社会化できていないことによって、他の犬や人、物音に過剰に反応したり、知らない人に咬み付いてしまったり、訪問者に吠え続けたりという問題行動が出現しやすい。

②社会化できていないということは、世の中は本犬さんにとって恐ろしいものだらけ。
心が休まる時間が少ないため、本来大好きなはずのお散歩にも恐怖を感じるなど、ストレスフルで楽しみの少ない犬生になってしまうこと。

③やむを得ず動物病院に入院することになったり、ペットホテルに預けなくてはならなくなった時に、恐怖と不安で必要以上のストレスにさらされることになる。
老齢であれば、それが命取りになることも珍しくない。

といった問題点が出てきます。

人間の【ひきこもり】とは違い、愛犬が天寿を全うするまでご自分が面倒を見るのだから、社会化できていなくてもたいした問題はないだろう・・・

と、飼い主さんは気楽に考えているかもしれません。
けれども、少し考えてみてください。

もしもあなたが、赤ちゃんの時に人見知りが激しくて臆病な子だったとします。
親御さんは「この子が怖い思いをしなくて済むように・・・」と、あなたを幼稚園にも小学校にもやらず、お友達とも遊ばせず、ずっと家族と家の中で過ごすように育て、日課は両親つきそいの散歩のみ・・・なんて育て方をしたとしたら、あなたは果たして幸せですか?

ワンちゃんが、『他の犬や人が苦手だから』『雑踏の騒音を怖がるから』などといった理由から、ご家族とだけ接し、お散歩時も他のワンちゃんや人と触れ合うことなく過ごしている方が幸せなんだと思い込むことは危険だと気付いてください。

ワンちゃんは、その状態が幸せだからそうしているのではなく、単に他者とのふれあう機会や経験を与えてもらえなかったばかりに、そういったものに恐怖心を抱いているだけなのです。

社会化できていないワンちゃんは、本来犬として感じることができたはずのたくさんの喜びや楽しみを感じることができず、新しいことにチャレンジして乗り越えたという自信を持つこともできず、たくさんの他者との関わりから学んだり刺激を受けたりする機会も持てず・・・
一生を見知らぬ恐怖に囲まれている不安感から、大きなストレスにさらされて生きているということを、ぜひ一度考えてあげてみてください。

長くなるので続きは次回に・・・



本日お泊りの小次郎くん。ちょっぴり寂しがり屋だけど、
ものおじしないフレンドリーな男の子です♪

プリンちゃん、不安そうだったけどよく頑張ったね!
元気で長生きするんだよ~(^▽^)/

この、初対面時の微妙~な距離感がたまりません(笑)

2017年3月30日木曜日

ひきこもり犬にしないで③

犬が社会化できていないと、どんな困ったことがあるのでしょう?

解りやすく言えば、人間でいうところの【ひきこもり】のような状態になってしまいます。

【ひきこもり】というのはどういう状態でしょうか?
一応、定義は以下のようなものです。

●6カ月以上、自宅にひきこもって家族以外の人間関係がなく、社会参加をしない状態が持続すること

●ほかの精神障害がその第一の原因とは考えにくいこと

【ひきこもり】という言葉のイメージから、家から一歩も出ない人という風に思っている人も多いようですが、【ひきこもり】の人でもコンビニに行ったりお散歩をしたりと、外出する人はたくさんいます。

ほかの精神障害が原因ではない場合が多いことから、医学的な治療アプローチでの改善は見込めません。

【ひきこもり】の状態が続くことにより、二次的に困った事態が発生してきます。
たとえば・・・

●“対人恐怖”が起こり、本人が強い不安感とストレスを感じるようになる。

●自分の体臭や醜さにより人から避けられるという感覚に捕らわれるようになる。

●他者から悪く思われているに違いないという被害妄想が出現する。

●強迫症状や強迫行為(ドアのキーを閉め忘れていないか気になって何度も確認したり、何かに触るたびに執拗に手を洗ったりといった行動)が出現する。

●抑うつ症状・不眠・自殺念慮・摂食障害・心身症状・心気症状などが起きる。

●家族に対して狂暴になり、家庭内暴力をふるうようになる。

最初は精神障害がなかったにも関わらず、【ひきこもり】という状態を続けていることによって、二次的に精神障害になってしまったり、暴力をふるうようになってしまったりするケースが多いんですね。

こうして見てみると、【ひきこもり】の状態は、家族が困るだけでなく、当人にとって、大変なストレスを感じるものだということがわかります。

犬のお話に戻すワン!犬だって同じだワン!(あ、バカみたいですか?やめますやめます)

社会化できていない犬は、人間の【ひきこもり】のような状態になる・・・
そう言われてもどうもピンとこない。危機感は抱かない。大げさな!と思う・・・

『うちの息子がひきこもりで・・・』

と聞けば

『まぁ大変!!』

と思うけれど、

『うちのワンコは社会化ができてなくって・・・』

と聞いても

『あらぁ、うちもよぉ~~!一緒ね♪』

というお気楽な感じになるのはどうしてでしょう?

人間の【ひきこもり】は問題だと思うわ!
親だって歳をとるし、いつまでも【ひきこもり】の子供の面倒はみられないもの。
でもでも、犬の場合は家族以外とうまく関われなくたって、ずっと私が面倒みてあげるんだからそれでいいのよ♪独り立ちして食っていく必要性もないんだし。
ずっと可愛い私の赤ちゃんでいればいーのよ!

という感じではないでしょうか?

それもひとつの考え方ですね。
ワンちゃんと飼い主さんが幸せであれば、外野がとやかく言う必要はないでしょう。

けれども、それでワンちゃんが本当に幸せなのか?ということは、考えてみる価値がありそうです。

更に、将来的に困ったことも起こりえます。

長くなるので続きはまた次回に・・・


三浦海岸にいつもやってくるお馬さんは”なつ”の憧れ。
今日は感動の接近遭遇で興奮気味でした♪
本日お泊りのプリンおばあちゃん。
知らない場所でまだビクビクと不安そうです。
明日までの我慢だよ。がんばろうね~

昨日、久々に三浦海岸のワンチ拾いができました!
いつものように片道2km、探知犬”なつ”も大活躍(o^―^o)

ずいぶん間が空いてしまったので、たくさんあるだろうと思っていましたが、予想に反して収穫は1kgジャストでした!

もしかしてもしかして・・・私たちが拾っている様子を見ている人が持ち帰るようになってくれたのかなぁ~~、そうだとしたら嬉しいなぁ~と感じました!

今後もできる日は続けていきまーす!






2017年3月28日火曜日

ひきこもり犬にしないで②

そもそも、『犬の社会化』ができているって、どういう状態なんでしょう?

簡単に言うと『社会性のある犬にしつけられている』ということです。

犬の祖先の狼は、群で助け合って狩をしたり、外敵から身を守ったりして暮らしていた、大変社会性の高い生き物です。

犬が、動物の中で人間の最も古いパートナーとなったのは、この『社会性の高さ』という、犬と人間の共通点があったからだと考えられています。

知恵と優れた社会性によって、仲間と協力して生き抜いてきた犬、そして人・・・
その両者が仲良くなることは、お互いにとって容易であったと共に、足りない部分を補い合うという大きなメリットがあったのでしょう。

そういうことを考えると、一口に『犬の社会化』といっても、2つの意味というか、段階があることがわかります。

①犬が犬として犬社会で暮らしていくための社会性を身に着けること
②犬が飼い犬として人間社会で暮らしていくための社会性を身に着けること

『社会性』というのは、辞書をひいてみると

-----------
1. 広く社会に通用する(または存在価値が認められる)ような性質。
2. 社会集団の一員であるのにふさわしい性質。
-----------

とあります。
この『広く』といういのがポイントです。
家族とならばうまくやれるけど、その他の犬や人とはうまくやっていけない。不適切なふるまいをしてしまう・・・こういう場合は社会性が足りないということになります。

先ほど、犬と人間は社会性の高い生き物という点が共通していると書きましたが、この社会性というのは、他者との繋がりにおけるさまざまなコミュニケーションの中でも、本能的だったり遺伝子に組み込まれているようなものとは性質が異なります。

例えば、求愛行動は、他者との関わりになりますが、これは親からやり方を教えられるものではありませんよね?

犬や人間の『社会性』とここで呼んでいるのは、生まれながらに持っているものではなくて、親や周りの仲間から教えられたり、たくさんの他者と関わることによって、後天的に育っていく、より高度なコミュニケーションのお作法のことです。

犬のお母さんや先輩たちは、子犬が仲間に対して不適切なふるまいをすると、時に厳しくその行動をするべきではないときちんと教えます。
それも、一瞬で!驚くほど適切なタイミングで!
子犬は、親や先輩からのそういった厳しいしつけと、更に子供どうしの遊びやケンカを通して、犬社会で暮らしていくための社会性を身に着けていくのですね。

昔の人は、狼や犬が、まるで人間が子育てをするかのように、子犬にそういった高度なコミュニケーションを実に上手に教えていく姿をみて、どんなに驚嘆し、感動しただろう・・・と、想像するととても楽しくなりますね!


さて、では『犬の社会化』がうまくいっていない場合、どんな困ったことが起きるのでしょうか?

長くなるので、つづきは次回にします。



風は冷たいけど日差しは暖かい朝のお散歩。気持ちいい~♪

ウリくん2回目のお泊り。夜も鳴かずにコテッと眠ることができました(^▽^)

置いていかれた不安で、ごはんをボイコットして鳴いていたひなおばあちゃん。
お父さんとお母さん、ちゃんとお迎えにきたでしょ?よく頑張ったね!




2017年3月27日月曜日

ひきこもり犬にしないで①

『犬の社会化』という言葉はもう一般的になってきていますね。
けれども、それに反してむしろ社会化できていないワンちゃんが増えているような気がする・・・知り合いのトリマーさんやペットホテルのオーナーさんの声です。
私もそう思います。

理由はわかりませんが、もしかすると、飼い主さんとワンちゃんとの親密度が、ひと昔前に比べて高くなっていることが、原因のひとつにあるかもしれないと私は思っています。

私が子供のころは、犬は外飼いがあたりまえ。通りを行き交う人や犬を毎日眺めてはワンワン吠えて過ごすのが飼い犬の姿でした。
ごはんなんかはもう人間の残飯があたりまえ。ポリポリの冷ごはんにお味噌汁やお魚の骨なんかをぶっかけにして、成長過程に応じた栄養バランスなんて考えもしないというのが普通でした。
犬を飼う目的の一番は【番犬】という考え方が多くて、だから社会性なんかなくたっていい。むしろ家族以外には歯を剥いて吠えかかる方がいいんだ・・・くらいに考えている人もたくさんいました。

それがいい・・・とは思いません。
犬にとって、暑い日も寒い日も雨の日も雪の日も鎖につながれて外にいることは、大変な苦痛であることは明らかです。
ごはんにしても、適正な量と栄養バランスが考えられているフードの方が健康にいいのでしょう。
そのため、ほとんどのワンちゃんが室内飼いでドッグフードを食べるようになり、ワンちゃんの健康寿命は明らかに延びています。

犬を大切にするのはとてもいいことです。
【犬はペット】という考え方ではなく【犬は家族】という考え方に飼い主さんがシフトしていったことによって、叩いたり蹴ったりというような虐待に近い扱いもだいぶ減ってきたように思います。

けれども、過ぎたるは及ばざるがごとし・・・
ワンちゃんを大切にするということと、猫っ可愛がりしてきちんとしつけをしないということを混同してしまうと、あまり好ましくない状態になってしまうように思うのです。

それは、人間の子供を育てる時とまったく同じです。
ただただベッタリと甘やかして子供の望むようにしているだけでは、健全な人間が育たないように、犬だって快適で栄養に満たされているだけでは、大切な社会性が身につきません。

長くなるのでつづきは次回にします。


今日からお泊りのひなちゃん。もうおばあちゃんですが、とても元気です♪
ボスとひなちゃんは、波打ち際でもへっちゃら!

一方、波打ち際には死んでも近寄りたくないネオくんの踏ん張り

お散歩も上手になって、他のワンちゃんにもだいぶ慣れたころにお帰りだね
また遊びにおいで、ネオくん♪

今夜2度目のお泊りのウリくん。鳴かずに寝られるかなぁ~?

最初から最後までマイペースで堂々としていたメルリィくん。
また遊びにおいで~(^▽^)/

2017年3月26日日曜日

引っ張りグセをなんとかしたい⑥

ガンコな引っ張りグセのあるワンちゃんの訓練について、前回は準備と心構えについて書きました。

●周囲に他の人や犬がいない緑地や公園で
●いつもと違う太めのしっかりした首輪をつけ
●短いリードを更に長さ調節してワンちゃんとの距離は飼い主さんの手が届くくらい
●訓練時間は15分程度でワンちゃんが飽きたらやめる
●飼い主さんは毅然としたリーダーを演じ切る
●叱って怖がらせたり、イライラしたり嘆いたり焦ったりしてはダメ

でしたね?

今回は、いよいよ実践です。

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まず、止まった状態でワンちゃんをお座りさせるなどして落ち着かせます。

それから歩き出しますが、飼い主さんは自信たっぷりのリーダーなんですから、胸を張って大股でキビキビした兵隊さんみたいに歩きます。

ワンちゃんの顔色は見ない方がいいです。前を見て歩いてください。

ワンちゃんがリードを引っ張って、リードが張ったら即刻停止します。ピタリと・・・

ワンちゃんが引っ張るのをやめるまで、ワンちゃんを一瞥もせずに前を見据えて動かないでください。
そのとき、ワンちゃんに対して

「絶対にお前の思う通りにはならないよ!」

と、心の中で念じてください。決して

「ゴメンねゴメンねぇ~~」

などと念じてはいけません。

ワンちゃんが諦めて、リードが緩んだらまた、自信たっぷりに歩き出しますが、今度はさっきワンちゃんが行きたがっていた方向とは真逆の方向に歩き出してください。

ワンちゃんに向きを変えさせる時は、以前書いたように

【”グイ~~ッ” ではなく ”チョンッ”】

という感じでリードを引いてください。

ワンちゃんが引っ張らずに歩く間だけ、満面に笑みでワンちゃんの顔を見て、とにかく褒めて褒めて褒めちぎってください。
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この方法を根気よく続けます。

さて、なぜ周囲に人やワンちゃんのいない場所で行うかお解りいただけましたでしょうか?

兵隊さんみたいな大股で、ジグザグと方向を変えながらヘンテコな歩き方をしていたかと思ったら、頭がおかしくなったか?!というほど大げさに愛犬を褒めちぎったりしているわけですからねぇ・・・ヘタすれば職質されてしまいます( ノД`)

この訓練でワンちゃんに理解してもらうのは、

●進路を決めるのはリーダーだよ
●リーダーは飼い主だよ
●引っ張るとどこへも行けないよ
●どれだけしつこく引っ張ってもまったくの無駄だよ

ということです。
そのために、少し可哀相に思うかもしれませんが、ワンちゃんの行きたい方向とはことごとく違う方向に行く・・・ということを繰り返します。

お気づきかとは思いますが、ワンちゃんに対するどんな訓練も、一番のカギは

【ザ・根比べ!】

なのです。

前回、禁止事項を2点ほど書きましたが、最後にこの訓練で最もやってはならない、最大の禁止事項をお伝えしておきます。
それは・・・

【訓練を始めたら、ぜ~~ったいに引っ張りグセが直るまでやめない!!】

途中であきらめて挫折したりするくらいなら、訓練自体しない方がマシです。本当です。

訓練は、ワンちゃんと飼い主さんの1対1の真剣勝負です。
いいですか?ワンちゃんの方だって必死ですからね。
今までずーっと、飼い主さんを引っ張って、自分がリーダーのつもりで好き勝手にお散歩していたのです。
そのリーダーとしての地位を絶対にゆずるもんかっ!と粘りに粘ります。
特に、ガンコな引っ張りグセのあるワンちゃんであれば、その粘りたるや大変なものに決まっているんです。

引っ張りグセが直るといいけど~・・・まあ訓練してみて直らなかったら別にいっか・・・
とゆーよーなハンパな気持ちで行っては諦め、行っては諦め・・・を繰り返していくうちに、ワンちゃんの粘りはどんどん強化されてしまい、ますます引っ張るという悪循環に陥ってしまうのです!!心してかかってください。

どうしてもご自身では、訓練時に心を鬼にする自信がないという飼い主さんは、プロのトレーナーさんにお願いするという方法もありますが、トレーナーさんのことをリーダーだと認めて引っ張らずに歩けるようになっても、飼い主さんのところに戻ってきたら元の引っ張り犬・・・という笑えないお話は「あるある」です。
トレーナーさんを選ぶ際は、ワンちゃんというよりも飼い主さんをトレーニングしてくれる方を選ぶことをぜひおすすめします。

いつもの”ボス”と”なつ”

「ワンワン!」が止まらないビションフリーゼのペルルくん

ずっと前からいたみたいにすぐさま馴染んだトイプーのメルリィくん


テーブル下が大好き♪今日は雨降りでホっとしている?ネオくん



みんなケンカもしないで仲良くおりこうに遊んでいまーす♪

2017年3月25日土曜日

引っ張りグセをなんとかしたい⑤

前回ご紹介した方法ではらちが明かない。
ハッキリ言ってお散歩にならない。
結局時間もないし、ルールを徹底できなくて、飼い主さんもワンちゃんもストレスが溜まる一方で本末転倒だぁーーーっ!(頭を抱えるの図)

という状態に陥りそうな場合は、少し気合を入れて「ザ・訓練!」という感じでいきます。

「ザ・訓練!」などと表現しているからといって、決して難しいということではありません。やり方自体は簡単です♪

ただ、いつものお散歩の延長線上ではない状態にし、普段とは違う歩き方をすることで、飼い主さん自身は「何かを変えるんだ」という気持ちを持ち、ワンちゃんには「これはなんかいつもとは違うぞ?」と気づいてもらうのが狙いです。
そのあたりを踏まえてひとつひとつご説明していきましょう。

【場所】
いつものお散歩コースではない場所で行います。
理想的なのは、緑地や公園など、十分なスペースがあって、周りに人やワンちゃんがいないところ(または少ない時間帯)が望ましいです。

【首輪】 ※ハーネスは×
いつもしているものを外し、新しい首輪につけかえてください。
できるだけ太くごついものにして、ワンちゃんの首をしっかりホールドしましょう。
大きいワンちゃんの場合は、ハーフチョークがいいです。これもいつもとは違うものにしてください。
あらゆる点で【いつもとは違う感】を演出します。

【リード】
前回と同じです。1m以内の短いものを使用し、更に手首に巻き付けるなりして、飼い主さんが手を伸ばせばワンちゃんに触れる距離にしておきます。
お散歩バッグなどは、肩掛けにするなどして、リード以外は手に持たないでください。

【訓練時間】
長くても30分以内。できれば15分くらいが適当です。
ワンちゃんの集中力はそう長くもちませんし、訓練を苦痛に感じてしまっては逆効果だからです。
なんか新しい遊びかな?くらいにワンちゃんが感じて、前向きにやってくれる程度を見極めてください。

【心構え】
上で”新しい遊び”と書きましたが、それとは裏腹に、飼い主さんは「さぁ!遊ぼうね~♪」という様子ではダメです。
●私は貫禄たっぷりのリーダーだ。
●訓練中だけは、この子の泣き言やわがままには絶対に耳を貸さないぞ!
という催眠術をご自身にかけてください。
歩く時は、背筋を伸ばして胸を張り、毅然とした態度で訓練してください。

【禁止事項】
●ワンちゃんがこちらの思い通りにできないからといって叱って怯えさせること。
●飼い主さんがイライラしたり焦ったり落胆すること。
この2点は絶対に厳禁です!

恐怖を感じて奴隷のごとく指示に従うことは、たとえそこで形だけうまくできたとしても何の意味もありません。
目的は、ワンちゃんが飼い主さんをリーダーだと認めて、自ら指示に従いたい気持ちになることです。
また、うまくいかないことにすぐイライラしたり動揺するような器のちっちゃいリーダーには、動物は絶対についてきません。


以上のポイントをおさえた上で、次回、実践編です。


今日からお泊りのネオくんです。

お散歩途中でペチャンコになってボイコットする常習犯です。
飼い主さんは、この澄んだ目で見つめられるとつい抱っこしてしまっていらっしゃいました。

以前お泊りいただいた時に、飼い主さんにお散歩時のコツを少しお話したところ、その後、抱っこしないよう頑張られているというお話は伺っていましたが、その努力の成果が如実に表れていました!

朝のお散歩では、かなり快調に歩きました。

夕方のお散歩は、最初から行く気が起きないらしく、スタート直後に
「一歩も動かないぞ!」
という態度でしたが、首輪を交換し、15分ほど根比べに付き合った結果、通用しないとネオくんが悟った瞬間以降は、まるで犬が違ったように、とても上手に私の後ろにピタリとついて歩くことができました。

時折走ったり止まってみたりとペースを変えてお散歩しましたが、完璧に同じペースで45分ほどお散歩できました!

よく頑張ったね!偉いねネオくん!パチパチパチパチ~~♪


2017年3月23日木曜日

引っ張りグセをなんとかしたい④

引っ張りグセのあるワンちゃんの訓練について、

【準備】と【コツ】についてお話してきました。

いよいよ具体的なやり方ですが、たくさんのやり方があって、どれが正解とか間違っているとかいうことはありません。ご自身とワンちゃんに合ったやり方を見つけられればよいかと思います。
これから書いていく私の方法は、そのひとつとお考えください。

ただ、共通しているのは、

訓練の間は決めたルールを絶対に変えない。曖昧にしない。

これは徹底してください。そうでないと、どのやり方を試してもうまくいきません。
お薬を処方箋通りに飲まないで「効かない効かない」とボヤいているのと同じことになりますからね。

決めたやり方を徹底できていないと、ワンちゃんは何が正解か解らず混乱するだけという悲しい結果になり、ますます指示に従わないワンちゃんになる可能性が高いのです。それなら何もしない方がマシということになってしまいますね( ノД`)

さて、一概に引っ張りグセと言っても、その程度やワンちゃんのガンコさは、”十ワン十色”です。
かなりの根気が要るだろうなと覚悟を決めてはじめたところ、ちゃんと訓練を始めてみたら、なんのことはない、たった1日ですぐに引っ張らなくなっちゃいました~~♪
ということもあります。
もちろん、その逆で予想をはるかに上回る大変さだった・・・という場合もあるでしょう。

私のおすすめは、いきなり「ザ・訓練!」という感じで行うのではなく、まずは普段のお散歩コースを単に以下のルール通りに歩く方法から始めることです。

●首輪は太くてしっかりしたもの(大型犬の場合はハーフチョークが効果的)
●リードは太くて短め(1m以内)
●ワンちゃんが引っ張って、リードが張ったらすぐ停止
●リードが張らない状態の時は褒めながら進む
●この段階ではまだ、飼い主さんの前方を歩いていてもリードが張らなければヨシとする

以上です。

褒める時に大好きなおやつをあげる方法もありますが、私の場合はおやつはあげたりしません。
理由は、おやつをあげようとモタついたりしてタイミングがずれることで、ワンちゃんに〇✖が伝わりにくくなる危険性があるからです。
更に、おやつ欲しさにジーっと動かなくなられてしまうとどうすればいいのか飼い主さん側が迷ってしまいます。
そこをうまくできる自信があって、ウチの子にはおやつがあった方が効果的だと思われる方はもちろんお使いいただいて構いません。

練習中は、リードが張って停止した時に、ワンちゃんが「あれ?どしたの?」とか「え?なんだよぅ~」という感じで飼い主さんを気にしはじめたかをよーく観察してください。
この、飼い主さんを気にするということがとっても重要です。
※引っ張っていた時は気にも留めていなかったはずです。
この兆しが見えたら「あとちょっとだっ!」とモチベを上げて楽しみながら練習できると思います。

はじめのうちは、ほとんど進めず、止まっている時間の方が長いでしょう。
もしも、往来の多い場所で、しょっちゅう小刻みに止まったりすると周囲の迷惑になるようでしたら、ご自身の判断で場所や時間を変えてください。

くどいようですが、大事なことなので繰り返しますが、周囲に迷惑だから・・・などの理由で、リードが張っているのに止まらなかったりするのがいちっばんダメダメなんですからねっ!

例えば・・・

わたしたちは、青信号ならば安全に渡れる。赤信号は停まらなければ危険だ・・・ということを知っています。だから安心して歩いたり車を運転することができますね?
けれども、時折それが気まぐれに逆になったりしたらどうでしょうか?
とても安心して道を歩くことなどできなくなります。
信号(シグナル)なんて信用できないと、無視するようになるでしょう。
むしろ、そんな気まぐれな信号は迷惑でしかありません。

飼い主さんは、時としておやつのあげ方や、お散歩のルールを

「たまにはいいよねぇ~~♪ちょっとくらい甘やかしてもねぇ~!今日だけだぞっ!」

と、あたかもワンちゃんへの愛情のように自ら曖昧な例外をもうけてしまいがちですが、それは決してワンちゃんにとって嬉しいことではない。むしろ迷惑だということを忘れないでください。

さっきまでは青信号で「渡れ」だったのに、今は赤信号が「渡れ」だなんて、もーーなんなのっ?!意味わかんな~~い!

ってなるのと同じ心理がワンちゃんにも働くんです。
むしろ、ストレスになるのがお解りいただけるでしょうか・・・?


さて、先ほどのやり方・・・

【リードが張ったら止まる】

を徹底してやってみた結果、ちゃんと飼い主さんの意向を尊重しながら引っ張らないでお散歩できるようになったらおめでとうございますっ!
そこからは、少しずつ飼い主さんの前に出ることなく、横や後ろを歩けるようにしていくのは割と簡単です。

でもでも・・・このやり方を徹底していても、まったく進歩が見られない・・・もうくじけそう・・・

そういった場合は、いやいや同じやり方をふてくされながら続けるよりも、方法を変える方が気分転換になって、飼い主さんとワンちゃんの精神衛生上もおすすめです。

次はもう少し本格的な「ザ・訓練!」という感じになってきます。

そのやり方はまた次回に・・・

歌舞伎役者のようなイケメンスピッツ ”ペスくん”
無駄吠えを一切しない、おりこうで可愛いワンちゃんでした。
本日、無事に飼い主さんの元へ・・・また遊びにきてね~♪





2017年3月22日水曜日

引っ張りグセをなんとかしたい③

前回は、引っ張りグセを直す訓練の準備として、リードと首輪のお話をしました。

今回は、具体的な方法へ行くまえに、訓練を行う時のコツです。

●”グイ~~ッ” ではなく ”チョンッ”

引っ張りグセのあるワンちゃんを連れている飼い主さんの多くが、ワンちゃんにグイグイ引っ張られて必死で踏ん張ったり綱引きしたりしています。

これをしてしまうと、ワンちゃんの方も何としても負けじと引っ張り返す・・・の繰り返しになります。
なんだか殺伐としています。
だんだんワンちゃんをお散歩に連れ出すのが苦痛になってきそうです・・・

ここでちょっと想像してみてください。

あなたの隣に大好きな人(友達でも家族でも恋人でも)がいます。
その人はあなたと腕を組んでいます。
ふたりは一緒に歩き出すのですが、その人は面白そうなものを見つけると、あなたの腕をグイグイ引っ張って無理矢理そちらに行こうとします。

あなたにだって行きたい方向や見たい場所はあるのに、その意思を無視して自由気ままにあっちこっちと引っ張りまわされたら・・・どうでしょうか?

まず、思いもよらない方向にグイーッと引っ張られることで、バランスを保とうとして本能的に踏ん張りませんか?

そしてあなたはこんな風に思いませんか?

「大好きな人だから意思は尊重したいし、行きたいところへは付き合うよ。付き合うけどさっ!あまりに強引にグイグイすると反発したくなっちゃうのよねっ!第一あぶないっつーのっ!!腹立たしいっつーのっ!!」

では、同じように、あなたと腕を組んでいる大好きな人が、あなたの腕を軽くチョンッと引っ張って、

「こっちに行きたいなぁ~」

というシグナルを送ってきたとしたらどうでしょうか?

大好きな人はどうやらこっちに行きたいんだな?なになに?どれどれ?

という感じで、あなたは自ら促された方向へ大好きな人と一緒に歩き出しませんか?
なんだか、【北風と太陽】を思い出しますね♪

ワンちゃんについても同じことがいえます。

行きたい方向へ歩くために、そちらに引っ張るのではなく、”チョンッ”とリードを通じて飼い主さんの意思を伝えて促すようにします。

もちろん、訓練をはじめてすぐに劇的な変化はないでしょう。
ワンちゃんは既にあなたを引っ張って好き勝手歩くことに慣れていますから、”チョンッ”なんて甘っちょろいことでは気にも留めてはくれません。
グイグイ行っているワンちゃんに伝わるように、最初のうちは”グンッ!”みたいな感じと言えば伝わるでしょうか・・・
要するに『こらこらこ~ら~~~~!』と長く引っ張るのではなく、『オイッ!』ってな感じで短く鋭くリードを引いて、ワンちゃんをハッ!!とさせる感覚です。

今まで、飼い主さんの顔も見ないでグイグイ行っていたワンちゃんが、非常に迷惑そうな顔をして

「ええ?!ちょっ・・・なんだよぉ~~?!」

という感じになれば成功は近いです。
少なくとも飼い主さんの存在を無視した状態は脱しました!

それを念頭に置きつつ、次回へつづきます。

雨があがっていいお天気♪
”ペスくん”はおじいちゃんのはずですが、元気いっぱい歩きま~す!

2017年3月21日火曜日

引っ張りグセをどうにかしたい②

ワンちゃんに、お散歩時に好き勝手に引っ張らせないようにすることで、お散歩以外の時も、とても落ち着きのある聞き分けのよいワンちゃんになって、いわゆる
”しつけの行き届いたおりこうなワンちゃん”
という感じになりますから、飼い主さんの日々の

「んもぉ~~~~っ!!」

が減ることは間違いありません。


基本の考え方は、とにかく

【ワンちゃんの行きたい方向へは行かせない】

ということなのですが、それだけ聞くと

「ワンちゃんのためにお散歩に連れて行っているのに、行きたい方向へ行かせないなんて可哀相!」

と感じてしまいますね?

大丈夫です。最終的な目標は、

【ワンちゃんの行きたい方向へは行かせない】

ことではなく、

【飼い主さんの行きたい方向へワンちゃんが一緒に着いて歩く】

です。

【行きたい方向へは行かせない】

のは、あくまで訓練の過程です。

では、具体的にその方法とコツをひとつひとつ書いていきます。

まずは準備から・・・


●リードは太め短め。ハーネスではなくチョーカー(首輪)を使用する

これは、物理的に制御しやすくするための、ごく当たり前のことなのですが、実際は「引っ張られて困るこまる」と仰っている飼い主さんが、この簡単にできることを実践されていないことが多いようです。

細くて長い紐の先で動き回る重たいものを制御するよりも、太めで短い紐の方がさばきやすいのはおわかりですね?

細かったり、平べったいリードよりも太めのひも状のものをお勧めするのは、飼い主さんの手に紐そのものや、紐のエッジが食い込んで制御しにくくなるのを避けるためです。

そして、ハーネスですが、引っ張りグセのあるワンちゃんを矯正するのには適していません。
訓練時は首輪にすべきです。
よく、

「首輪は首が苦しそうで可哀相」

という飼い主さんがいらっしゃいます。そのお気持ちはよく解ります。
首輪をしている時に引っ張ったり引っ張られたりしたら、急所に負荷がかかるわけですから、当然ワンちゃんにとっては苦痛でしょう。

引っ張ると苦痛 → やめとこう → 引っ張らなくなる → 苦しくない → 可哀相じゃない → ワーーイ(*^▽^*)

ということになります。

それに、一説によるとハーネスは犬をむしろグングン前に進ませるのに適しているそうです。
その説によると、犬は胸部を圧迫されると前進しようとする性質があるそうで、それをうまく利用しているのが犬ぞりとのことです。

飼い主さんは、引っ張りグセをやめさせたい思いと、首輪は可哀相だという気持ちのどちらが大きいのかを判断されるとよいかもしれません。

ただ、ハーネスだって、グイグイ飼い主さんと引っ張りっこしている限り、ワンちゃんには少なからず負担がかかっています。
引っ張りグセが直ってしまえば、ワンちゃんは首輪だろうがハーネスだろうがもう全然苦しくないんだということをよくお考え下さい。

長くなるので、続きはまた次回とします。


外は雨・・・今日からお泊りのペスくん
「お散歩行きたいなぁ~~~・・・」
常連のウリくん「ねぇねぇお兄ちゃん、あそぼっ!!」
ねぇ~!あそぼったらぁ~~
(この後、”なつ”姐さんに追いかけっこしてもらいました)







2017年3月20日月曜日

引っ張りグセをどうにかしたい①

お散歩が苦手なワンちゃんには、まずはお散歩の楽しさを知ってもらうことが大切だと前回書きました。

さて、晴れてお散歩大好きになったはいいけれど、飼い主さんを引っ張って、好き勝手に振る舞うワンちゃんになってしまった・・・
または、最初からお散歩大好きで引っ張りグセのあるワンちゃん・・・

「そのままでもいい。この子が楽しそうであればそれで・・・」

という飼い主さんもたくさんいらっしゃるので、どうしても引っ張りグセを直さないといけませんなどと言うつもりはありません。

けれども、落ち着きなく飼い主さんを引っ張って動き回るワンちゃんの問題点は知っておいた方がいいと思います。


●主従関係が逆転する。

これが、一番厄介な問題です。お散歩のみならず、ワンちゃんの全ての行動に影響を与えるからです。
ワンちゃんはお散歩を『群で行動する場面』として認識しています。
犬が群で移動するとき、リーダーは常に先頭を行き、コースや行く先を決めるのもリーダーです。
毎日のお散歩で、ワンちゃんの行きたい方に飼い主さんが引っ張られて動いている状態が続くと、ワンちゃんは自分がリーダーだという認識を確実に持ちます。
これによって、飼い主さんの制止になかなか従わなくなったり、要求が激しくなったり、縄張りである飼い主さんのおうちへの侵入者に必要以上に吠えたりするようになります。
また、お散歩中にすれ違った他の人や犬に対して、リーダーとして飼い主さんを守ろうとして吠えかかったり飛び掛かったりするようになるのも、この主従関係の乱れが起因していることも多いのです。


●事故が起きやすい

知り合いの方で、ワンちゃんのお散歩中に、足元に進行方向を遮るように自分のワンちゃんがいきなり動いたために、ウッカリ踏んづけないよう、慌ててかわそうとして転んで背中の骨を折ってしまった方がいらっしゃいます。
(この、相手の進路を遮る行動も、自分が上だという認識がないと絶対にしない行動です。犬社会では、常に下のものが上のものに道を譲ります)

その他、動き回るワンちゃんのリードに足を取られて転倒した例、
車通りの激しいところでいきなりワンちゃんが飛び出して車に接触してしまった例など、
飼い主さんがきちんとワンちゃんを制御できていないことによって起こりうるリスクはたくさんあります。


では、具体的に引っ張りグセのあるワンちゃんを、どうやって引っ張らないワンちゃんにすればよいでしょう?

基本は、とにかく

【ワンちゃんの行きたい方向へは行かせない】

を徹底することなのですが・・・それだけだと、具体的にどうやればいいのかわかりませんよね?
それに・・・なんだか行きたい方向に行かせてあげないなんて、せっかくのお散歩がつまらなくなりそう( ノД`)

大丈夫です。ワンちゃんにとって、お散歩がつまらないことになる心配はいりません。

次回、具体的な方法とコツをご説明いたします。


いいお天気でしたが、所用で人手が足りず、ワンチ拾いはできませんでした。
ドラえも~ん!【ワンチ拾い機】を出してぇ~~~!








2017年3月19日日曜日

ワンコをお散歩に連れて行って!!⑥

お散歩に連れ出すと、

「歩きたくな~~い!」

という風に頭を低くして前傾姿勢をとり、前脚を踏ん張ってしまうワンちゃんは割とたくさんいます。

そういったワンちゃんをなんとか歩かせようとリードを引っ張った時に起こりうる困ったことは【ワンコをお散歩に連れて行って!!④】に書いたとおり、

●リードがすっぽ抜けてしまう
●肉球が傷ついてしまう

といったことです。

飼い主さんは、お散歩のコースを頭の中で組み立てていますね?

「この道をまっすぐいって、こう行って、ああ行って、あそこを回って帰ってこよう」

という感じです。

飼い主さんは、自分が決めた通りのコースを行こうとしますから、ワンちゃんが前傾姿勢で動かなくなると、当然リードを進行方向に「ホラホラホラホラ」ってな感じで引っ張ってみます。
これが、上記のリスクを一番引き起こしやすい方法になってしまいます。

では、これらのリスクを回避しつつ、ワンちゃんに歩いてもらうにはどうすればいいでしょうか?
(以下の説明は、ハーネスではなく首輪をつけて、リードは短めのものを使用することを前提に書いています)


●知らん顔で立ち止まる

ワンちゃんが前傾姿勢になったら、まずはとにかく立ち止まります。
ワンちゃんの顔を見たり、話しかけたりする必要はありません。知らん顔で立ち止まります。
そこですぐに「おや?」という感じでワンちゃんが前傾姿勢を解いたら再び軽くリードをひいて歩き出します。
やはり、顔を見たり懇願したりせずに、『想定どおりだよ』といった感じで歩き出してください。
ワンちゃんが前傾姿勢でなく、立った状態でさえあれば、引っ張られれば自然とオットトト・・・と歩いて(動いて)しまいます。


●進行方向と逆(後ろ方向)に引っ張る

立ち止まっても前傾姿勢を崩さず、それどころか完全に【伏せ】の態勢になって100%歩く気ゼロ!という状態になってしまったワンちゃんの場合は、前方向に引っ張ることはせずに、さりげなくワンちゃんの後ろに回り込んでください。

そうして、ワンちゃんの後ろ側からリードをシッポ方向に引き上げるようにします。

その方向に引くことで、リードがすっぽ抜ける危険性もなくなりますし、体を起こされるようになりますから、ワンちゃんは立ち上がることになります。

そうなったら、またペチャンコにならないうちに、涼しい顔をしてさりげなく歩き出してください。

ポイントは、ワンちゃんが前傾姿勢になって踏ん張ろうが、ペチャンコになろうが、リーダーである飼い主さんは一向に意に介さないよ!!ってことを全身で表現することです。
口笛ピープー♪ってな感じでワンちゃんの訴えを『完無視!!』することです。
これにはふたつの意味があって・・・
ひとつは、ワンちゃんに儚い期待を抱かせたり付け込ませたりしないため。
もうひとつは、ワンちゃんの必殺おねだり顔をウッカリ見て、飼い主さんの心がグラリと揺らいでしまうことを防ぐためです。


●褒めちぎる

そうして、ワンちゃんが一緒に歩き出したら、「何事ですかっ?!」ってくらい大げさに褒めてあげてください。

いつもはすぐに歩くのをやめるワンちゃんが、ちょっとでも長めに歩いている時もずーっと

「すごいねぇ~!えらいねぇ~~〇〇!かぁ~~っこいいぃい~~~!!」

と、心から喜んでいることを表現して、周囲の人に『あの人おかしいんじゃぁ・・・』って思わるのもいとわず褒め続けてあげて下さい。
調子に乗りやすいワンちゃんだと、これで物凄く張り切って歩くこともあります(この単純さがたまらなく可愛い)


●コースにこだわらず、お散歩の楽しさを伝えて!

歩きたがらないワンちゃんにお散歩好きになってもらうためには、最初はコースにこだわる必要はありません。
とにかく最初から最後までワンちゃんが自分の足で歩いて帰ってくる・・・
それができたら思いっきり褒めて調子に乗せてあげてください。

飼い主さんが歩きたかったコースでなくたって、ワンちゃんが歩いてくれそうな方向でもはじめは構いません。
今はまず、ワンちゃんがお散歩って楽しいなぁ~~♪と感じてくれることが目的です。


●ある程度歩いてくれるようになったら飼い主さんのコースとペースで

ただし・・・お散歩を嫌がらなくなって、ある程度歩くようになってきたら、飼い主さんの思った通りのコースをお散歩できるようにしたいものです。

ワンちゃんに引っ張られて飼い主さんがお散歩されているような形は、主従関係が崩れて、他の問題行動を引き起こす可能性もありますので、あまりお勧めしません。

そこで、次回は
引っ張りグセのあるワンちゃんの取り扱い方法
について書いてみたいと思います。

”ボス”は気が乗らない日でも、褒められるとグングン歩いちゃう単純くんです♪
”なつ”はいつだってやる気マンマンでどこまでも歩きます♪






2017年3月18日土曜日

ワンコをお散歩に連れて行って!!⑤

お散歩中に前傾姿勢になって踏ん張ってしまう子を歩かせる時のコツをご説明する前に、ワンちゃんがお散歩に行きたがらない理由の残りの2つについて、対処法を書いておきます。

● 首輪とリードを付けられる状態が好きではない

これは単純です。おうちで首輪とリードをつけっぱなしにして慣れさせてあげることで解決します。
ただし、リードをズルズルひきずりながら過ごすことになりますから、どこかにひっかかって事故を起こさないようによく見ていてあげてください。(できれば危ないものはどかしておいてあげるといいでしょう)

それと、これは大きな問題ではありませんが、ひきずって傷むので、おニューの高いリードではなく、もう捨てようかな~って感じのボロボロリードにした方がいいですヨ!
そして当然ですが、ボロボロリードはお散歩時に切れてしまうと危険なので、お散歩の時はしっかりとしたリードにつけかえてあげて下さいね。


● お散歩の途中でボイコットすると必ず飼い主さんに抱っこしてもらえると覚えている

これも単純ですね。絶対に抱っこはしないことです。

大体の場合、抱っこしてしまうのは、飼い主さんの時間的問題が多いので、たっぷりと時間を取れる時に「とことん付き合うぞ!」というつもりでお散歩に連れ出してください。

たとえ、時間が取れない時でも、無理して遠出して、結果的に帰りは抱っこでした~(ザンザン♪)ってなことのないように、距離に拘らず、最後まで自分の足で歩かせて帰ってこられるところまでで大丈夫です。

大事なのはとにかくお散歩の最初から最後まで抱っこはしないってことですよ。

犬はとても賢いので、新しい習慣をちゃんと覚えて、それを柔軟に受け入れます。

例えば、お散歩から戻ったらおやつをもらえる・・・
といった自分にとって都合の良い(嬉しい)習慣は1回で条件付けされて、2回目からは「おやつだよね?ね?」という態度を取ります。

けれども、自分にとってあまり喜ばしくない習慣については、ちょっとした抵抗を示して、『解らないフリ』?をします(笑)

それでも、飼い主さんが一貫性を持って【絶対に抱っこはしない】を実践していれば、飼い主さんが考えるよりも意外と早くあきらめます。
そして、あきらめてしまえばもう、抱っこしてもらっていた時の事などすっかり忘れたように歩くようになります。


さて、次回こそ本当に、前傾姿勢で踏ん張ってしまうワンちゃんを歩かせる時のコツを書きますよ~~~(自分に言い聞かせている)



今日は、海を見下ろせる高台にお散歩してきました。
みんないっぱい歩いてお腹ペコペコになりました(^▽^)
クリンくんは、とても凛々しいお顔をしていますが、超甘えん坊です(笑)
今夜、パパがお迎えに来るよ。よかったね♪





2017年3月17日金曜日

ワンコをお散歩に連れて行って!!④

ひきつづき、お散歩が嫌いなはずはないのに、お散歩に行きたがらないワンちゃんがいる理由と、その対処法について考えています。


● 小さい頃からお散歩をほとんどしていないために肉球や足腰の筋肉が弱い

これはもう、鍛えるしかありません。
ただし、当然ですが、肉球がある日突然分厚く固くなったり、ほうれん草の缶詰を食べさせたら一瞬でマッチョになっていたりということはありえないわけですから、リハビリのつもりで短時間のお散歩から徐々に増やしていく必要があることは言うまでもないですね。

ここで、特に気を付けなくてはいけないことは、ワンちゃんが

「いやだぁ~~~~~!」

と前脚を突っ張って、頭を低くして踏ん張った時です。
飼い主さんとしては、なんとか歩かせたいのでリードを引っ張りますよね?
ここで起こりうる問題は2つあります。


①首輪がはずれる

今までは「嫌ならいいか」と歩かせることをさせていなかった飼い主さんが、ある日

「そうだ。散歩させなくちゃ!」

と張り切ってワンちゃんを連れ出した時を想像してみましょう。
それまでは、歩かなければあきらめて抱き上げたり、帰りたがるワンちゃんに従っていたので、リードを引っ張る必要はありませんでした。
そんな状況では、もし首輪が緩くても問題はなかったし、そもそも気づきませんね?

でも、今日の飼い主さんはちょっと違います。お散歩するんだっ!と決意していますから、踏ん張るワンちゃんのリードを引っ張ります。
この時、ワンちゃんが頭を低くして踏ん張る態勢を取ると、少し緩めの首輪ならば簡単にスルリと抜けてしまいます。
アゴの下を支点として後頭部の丸みに沿ってツルンっといっちゃうんですね。
ですから、お散歩前には必ず、首輪は少しきつめ(指1本入るくらい)に調整しましょう。

※最初のうちは安全のためにハーネスでもいいかもしれませんが、リーダーの意思を確実に伝えられるという意味で、個人的には首輪の方をおすすめします。


②肉球が傷つく

お散歩不足ですっかりフワフワな薄い肉球になってしまったワンちゃんが、前傾姿勢で踏ん張った時にリードを引くと、そこまで無理矢理ズルズルとひきずったりしなくても、簡単に肉球が傷ついてしまうことがあります。

実際、お預かりしているワンちゃんでそういうワンちゃんがいました。その子は運動不足のために「筋肉量が少ない」と獣医さんから言われていたようで、肉球もとてもフワフワでした。
最初、私たちはフワフワな肉球に気づかず、お散歩中に何度か踏ん張るそのワンちゃんをリードを引いて促しました。
当然、お預かりしている大切なワンちゃんですから、強引に引っ張ったりはしていないのですが、お散歩から戻って足を拭いている時に、肉球が傷ついていることと、肉球がとても柔らかいことに気づいたのです。

他のワンコを一緒に連れて歩いていたため、その子が突然停止すれば、慣性の法則で一瞬引きずるような形になったこともあるでしょうし、アスファルトが荒いところも通ったからかもしれません。おまけにそのワンちゃんは体重オーバー気味でしたので、その重さが肉球にかかっていたのも不運でした。
いずれにせよ、本当のところ、どの時点で傷ついてしまったのかは不明でした。
実に可哀相なことをしてしまいました・・・

私たちは、はじめに肉球の状態を確認しておかなかったことを後悔し、飼い主さんには事情を説明してご理解をいただくことができましたが、それ以来、お散歩中に踏ん張る子については、肉球の状態や体重などを注意深く見極めつつ歩かせています。

本日、ちょうどその子の飼い主さんが立ち寄って下さり、

「長生きしてほしいから、筋肉をつけてもらえるように、最近では抱っこしないで頑張ってお散歩をたくさんさせるようにしているんですよ」

と仰っていました。
愛情深い、お優しい飼い主さんです。
(おまけに私たちに美味しいケーキまで持ってきて下さって、ほんとーーにお優しい♪)

近いうちにまたお泊りしてくれる予定なので、少しでも歩くことが好きになってくれるように私たちも頑張ってお散歩させるつもりです!


さて、前傾姿勢で踏ん張る子を歩かせる時のちょっとしたコツがあるのですが・・・・

また長くなりすぎてしまったので、続きは次回とします。


海岸のお砂掘りをいっぱいして、余韻を楽しむようにお鼻をペロペロするチョコちゃん

お散歩も人も大好きで、とっても上手に歩くけど、他のワンちゃんは苦手なクリンくん

件のワンちゃんの飼い主さんからいただいた美味しいおいしいケーキ♪
ありがとうございました~~(^▽^)



2017年3月16日木曜日

ワンコをお散歩に連れて行って!!③

ワンちゃんは本来みんなお散歩が好きなはず。
にも拘わらず、

「うちの子はお散歩が嫌いなんです」

と仰る飼い主さんがけっこういらっしゃるのは何故か?

お散歩が嫌いではないのにお散歩に行きたがらない・・・または少し歩くとボイコットすることについて、以前、考えられる理由をいくつか挙げました。

そのひとつひとつについて、どのようにその原因を取り除いてあげたらよいかを書いていきたいと思います。


● 老齢だったり、健康上の問題(足や腰が痛いなど)があって歩くのが苦痛

この場合は、無理にお散歩に引っ張り出す必要はありません。
かかりつけの獣医さんとよくご相談の上、気分転換やリハビリを目的としたお散歩をした方がよいということであれば、お外に連れ出してあげるのは良いことでしょう。
けれども、本犬さんがとても嫌がるのであれば、それを強要するのは酷だと言わざるを得ませんね。


● 以前、お散歩中に怖い目に遭ったことがトラウマになっている
● 雑踏や車の音、お散歩中に出会う他のワンちゃんが苦手

こういった場合は、無理矢理連れて行って、ますます怖がらせてしまわないように、注意深く様子を見ながら『何が苦手なのか?』を見極めてあげてください。
車通りや人通りの少ない緑地などで、短い距離からはじめて、

『お散歩は楽しいな♪思ったほど怖くないな』

とワンちゃんが感じ始めた様子が見えたら、徐々に他の場所にも連れて行きます。

このとき、絶対にやってはいけないのは・・・

●ワンちゃんの怯えた様子を見て、飼い主さんが抱き上げてしまうこと。
●怯えているワンちゃんを撫でたり、ヨシヨシしたりすること。

これをやってしまうと、怯えている状態をリーダー(飼い主さん)が肯定したとワンちゃんが受け取ります。

子供のころを思い出してください。
転んでちょこっと擦りむいて、たいして痛くもなかったけれど、お母さんが駆け寄ってきて優しく抱っこしてくれたり、

「まぁまぁ大変!大丈夫?イタイのイタイの遠ぉ~~いお山へ飛んでけぇ~♪」

と猫なで声でやってくれるのが嬉しくて、必要以上に痛がってみせたことはありませんか? え?いまだにやっている?! ハハ・・・ハハハハ・・・(^-^;)
犬だってそれやっちゃいます。

愛犬が怯えていても、毅然としたリーダーの姿勢を崩さず、
「大丈夫よ。私がついているから!安心してついてきなさい!」(キリリッ!!)
という態度を示してください。
頼れるリーダーさんと一緒なら、何も怖くなんかないんだ!!勇気リンリンだっ!・・・とわかったとき、今まで怯えていたのがウソのように、嬉々としてグングン歩き出すワンちゃんを何度も見てきました。
うまくいけば、1日で見違えるほどお散歩好きのワンちゃんになります。

※時間のかかる子もいます。思ったようにならないからと焦ったりイライラしたりするのもやめてあげてくださいね~。
そんな器の小さなリーダー、人間だってイヤですよね?



長くなるので、続きは次回とします。

今日は【パピコの日】?
偶然にも別々なおうちからパピヨン×2がお泊りにきてくれています。
2ワンとも、お散歩大好きでした♪
キリリとした男前 8才の”クリンくん”


2回目のお預かり。美犬さんの”チョコちゃん”1才








2017年3月15日水曜日

ワンコをお散歩に連れて行って!!②

『ワンコをお散歩に連れて行って!!①』で、

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あまりお散歩させていないワンちゃんは、例えば、無駄吠えだったり、分離不安だったり、社会性がなく、他の人や犬に過剰に反応するなどの問題行動を起こしやすい・・・といったこと以外にも、ちょっとした問題があります。
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と書きました。
問題行動は、どちらかというと人間側が困る問題です。
けれども、その困った問題行動の原因の多くはストレスです。
このストレスは、ワンちゃんの健康にも当然影響を与えるはずです。
第一、小さなことにいちいち怯えたり過敏に反応している生活なんて、ワンちゃん自身の犬生が楽しくなくなってしまいますね。

ストレス以外にも、筋肉が衰えて、年齢を重ねると共に足腰の不調に陥りやすくなる可能性も上がるでしょう。
肉球が鍛えられず傷つきやすくなったりすることも考えられます。
犬は裸足で歩くんですからね?
猫の肉球は、クッションの役割ですが、犬の肉球はスパイクの役割です。つまり、猫のようにヒラリと高いところから音もなく降り立つことはできない代わりに、急ブレーキをかけたり、走る時に力強く地面を蹴り出す時の滑り止めになるものです。
ですから、猫の肉球に比べて、分厚くて硬くて強いはずなのです。
けれども、お散歩が極端に足りていないワンちゃんの肉球は、まるで猫ちゃんの肉球のようにフワフワで柔らかく、薄いんです。
人間が見て気づかないような小さなガラスの破片やとがった小石、舗装の荒いアスファルトなどで、踏ん張ったりブレーキをかけようとして簡単に傷ついてしまうかもしれません。

それから、実際にうちにやってくるワンちゃんで、お散歩が足りていない子は、爪が伸びている確率がとても高いです。
爪が伸びてたっていいじゃないの?と思われるかもしれませんが、ワンちゃんの爪は指の上のところから、地面に向かって曲がって伸びていきます。
そして、人間の爪のように薄い形状ではなく、爪切りでカットすると切り口は丸にちかい楕円形です。ですから、とても丈夫で強いんですね。
その丈夫な爪が、かぎ針のように曲がった形で伸びすぎると・・・
何かに引っかかった時に爪が根本から折れてしまったり剥がれたりして大変危険です。
頑丈な分、そうなった場合のワンちゃんの負う痛手や出血は相当のものになります。(書いていてもう痛くて鳥肌がたっている)

更に、爪がひどく伸びてしまうと、曲がって伸び続けるために、ワンちゃん自身の肉球に食い込んで・・・(ああ~~~もう書きたくな~~い!!)

刺さりますΣ( ̄ロ ̄lll)(ギャァァァァ~~~~書いちゃった)

「お散歩なんかで削れなくても、爪なら定期的にトリミングに連れて行って切ってもらっているから大丈夫です」

と仰るかもしれません。
けれども、そういったワンちゃんが、トリミングでどんな目に遭っているかご存じでしょうか?

お散歩をたくさんしているワンちゃんの爪は、自然に削れているために、そもそもあまりカットする必要がないくらいなのですが、ある程度は伸びているのでやはりトリマーさんに爪切りで切ってもらうことになります。
爪中心部には、血管と神経が通っています。
お散歩で自然に削れている爪の場合、この血管と神経は先の方まではきていません。
散歩のし過ぎで爪の先から出血するということはないわけですね。

ところがっ!あまりお散歩をしていないワンちゃんの爪の血管と神経は、爪の先の方まで伸びてきてしまうんです。
そうすると、トリマーさんにが適切な長さ(床に爪が当たって滑らない。また何かにひっかかって折れたりしない長さ)にカットする際に、かなりの高い確率で、血管と神経をちょん切らなくてはならなくなります。
その時、爪の切り口の断面中央部からは当然出血し、ワンちゃんはとても痛がって

キャイイイイイーーーーーーンッ!!

と鳴き声をあげます。

当然です。血管と一緒に神経も切っているのですから・・・(ウウゥ・・・痛いよイタイヨ~)

トリマーさんは、そんなワンちゃんにはもう慣れっこになっていますから、粛々と止血剤を爪につけて圧迫止血しながら16本(狼爪のある子は18本)
※稀に、後ろ足にも狼爪のある子はいます。

キャイイイイイーーーーーーンッ!!

と鳴いて暴れるワンコを押さえつけながら作業を続けていくのです。(*´Д`)ハァハァ痛いよぅ~

そんな可哀相な思いをさせているとも知らず
(トリマーさんの多くは、いちいち出血したなどと言いません)

「まぁ、きれいになってよかったねぇ~~♪」

とワンちゃんを引き取り、バギーに乗せて帰っていく飼い主さんを見送りながら、

「ああやって歩かせないからまた次回も爪が伸びまくって出血必至の状態で連れてくるんだな・・・可哀相だなぁ・・・」

と、トリマーさんたちは思っているわけです。
可愛い我が子にそんな苦痛を味わわせていーんですかっ?!


※お散歩をしていても、体が小さかったり、歩き方によっては爪が削れにくい子もいます。

※狼爪は、地面につかない場所にあるため、お散歩でも削れませんから、お散歩が足りていてもやすりで削ってあげたり切ってあげる必要があります。


※背骨に疾患があるなどの理由で、足を引き摺るような歩き方をするワンちゃんの中には、アスファルトのような摩擦の大きな場所を長く歩かせると、爪が削れ過ぎて出血してしまうこともあるようです。


想像しすぎて爪が痛くなってきたので、続きは次回にします。

モカちゃんも、爪切りとシャンプーを終えてフワフワ♪
よく頑張りました!!えらいね!




さて・・・気分を変えて、本日、雨もあがり、久々に楽しいたのしい海岸のワンチ拾いをしてきました♪

いつもと同じく、片道2km。
本日の三浦海岸は、冷たい強風が吹きつけていて、過酷だった割には収穫はあまりありませんでした。
落とし物が少ないのは本来喜ぶべきことなのですが、少ない理由は、どうやら風で飛ばされてしまった + 海岸から巻き上げられた砂によって覆い隠されてしまった・・・というのが実際のようでした。

というわけで、本日の収穫は。。。


およそ1㎏でした~!(ザンッ♪)




2017年3月14日火曜日

犬は忘れない

今日は、昨日の『ワンコをお散歩に連れて行って』の続きを書くつもりでしたが、とても素敵なことがあったので、予定を変更したいと思います。

よく、長めの宿泊をして下さったワンちゃんの飼い主さんが

「もう、私のことなんか忘れちゃったんじゃあないかしら~?」

と仰います。

安心してください。ワンちゃんはぜーーーったいに飼い主さんのことを忘れたりはしません!!

以前も書きましたが、私たちが現在、実家の母から超長期預かりしているチワックスの”なつ”は、3年前に他の飼い主さんが、どうしても飼うことができなくなったために、私の母がひきとりました。

元の飼い主さんは、”なつ”と”モカ”ちゃん、”くりん”くんという3匹のワンコを飼っていらっしゃいました。
大変な愛犬家、更に動物愛護家でいらして、ワンちゃんたちをこよなく愛しておられましたが、ご家庭の事情から泣く泣く手放さざるを得ないことになり、必死で里親探しをされていました。
ご縁があって、仲介者の方よりそのお話を伺った母は1匹ならなんとか引き受けられると、引き取る決心をしました。
そして、その他の子もなんとか救いたいと、ご近所の犬好きさんに必死に事情をお話して回りました。
その結果、”モカちゃん”を気に入って「引取りたい」と手を挙げて下さる方がいました。

元々、母は「私はどの子でもいい。最後に残った子を引き取る」と言っていました。
飼い主さんは、1匹は当面は手元に置くとのことでしたので、”モカちゃん”の引き取り手が見つかったので、残ったのが”なつ”でした。

飼い主さんが手元に残した一番最初からいたチワワ”くりんくん”については、その後どうなったか私たちにはわかりませんでした。
けれども、犬を飼えない状況になられていたことは伺っていたので、ことあるごとに

「”くりんくん”どうしたかねぇ・・・?どこかに引き取られたのかしら?幸せにしているといいけれど・・・」

と、よく母と話していました。

それが、ペットホテルをOPENして、はじめてFacebookなるものを始めてみて、少し経ったころ・・・

なんと、その元飼い主さんらしき方と偶然にも繋がったのです!!
お互いに連絡先も知らず、直接お顔を合わせたことも電話やメールでお話をしたことすらなかった私たちがです。

いくら犬を飼っているという共通点があっても、まさかこんな風に繋がるなんて・・・世間は狭いというか、神様のいたずらと言うべきか・・・
しかも、車で15分ほどの距離にお住まいだということも判明しました。

元の飼い主さんが最後まで手元に残した”くりんくん”は、ご実家でお母さまと暮らしていて、毎日会いに行ってらっしゃるとのことでした。

我が家は”モカちゃん”とは交流があり、時折、Pet Hotel 11!にも遊びにきてくれていますので、本日ちょうど”モカちゃん”が日帰りステイに来てくれる機会に3兄妹の同窓会ができればと思い、現在の”モカちゃん”の飼い主さんに相談したところ、快く承諾をいただくことができました。

その結果、元飼い主さんにお声がけして、本日、兄妹が3年ぶりに再会を果たすことができました。

前夜の昨日、寝る前に”なつ”に

「明日ね、”くりんくん”と”モカちゃん”が遊びに来るよ」

と話しかけた時の”なつ”の反応は驚くべきものでした。

普段、寝る前の私の愛をこめた挨拶に、わりとクールな対応をするツンデレチワックス”なつ”・・・大抵は、ごはんの残り香を惜しむように、私の言葉を聞こえないフリして床のシートを舐めナメしている彼女ですが・・・
その時は、目を見開いてジっとこちらを見つめ、顔をグっと突き出してきたのです。

そして、実現した本日の再会・・・
3ワンズは、それはそれは大喜びしました。
元飼い主さんの膝をみんなで奪い合い、顔をペロペロ舐めて・・・

見ている私は胸が熱くなりました。

3年の月日・・・”なつ”は既に、元の飼い主さんのところにいた期間よりも、母に引き取られてからの方が少し長いくらいです。
それでも、元飼い主さんがやってきてくれたことに、あんなにも喜び、ちぎれんばかりに尻尾を振って甘えていた”なつ”・・・

ワンコは絶対に可愛がってくれた人のことを忘れたりはしません。
もちろん、仲良く暮らしていた他のワンコのことも・・・

改めて、犬の情の深さ、健気さを感じ、ヒトと犬の深い結びつきの歴史の理由を見た気がした本日でした。

とても幸せな気持ちになる、よい1日でした。
ありがとうございました。

再会を果たした3兄妹
モカちゃんのシャンプーが気になって仕方ない”はのんちゃん”

左から
はのんちゃん・なつ・モカちゃん・デュークくん
あ、後ろにねぼけた”ボス”もいたか(笑)

入りきれないほど狭い空間が大好きなMAXくん
(はみ出してる・・・・(笑))


お散歩大好き~♪




2017年3月13日月曜日

ワンコをお散歩に連れ行って!!①

わたしたちのペットホテルでワンちゃんをお預かりする時、飼い主さんに普段の様子やワンちゃんの特性、好き嫌いなどについて様々な質問をします。
お散歩についても

「お散歩は好きですか?」
「普段、1日に何回、どのくらいの時間お散歩していますか?」
「雨の日のお散歩はどうしていますか?」

などという質問をさせていただいています。

そうすると、たまに

「この子はお散歩が嫌いなので、排泄のために家の前にちょっと出すくらいです。」

「お散歩が苦手なようなので、抱っこで公園に連れて行って帰ってくる感じです。」

「歩きたがらないので途中から抱っこで歩くかバギーに乗せて外の空気を吸わせています。」

「そもそもペットショップで買う時に店員さんからほとんどお散歩が必要ない犬種だと聞き、それが購入の決め手だったので室内で放しておくことで運動量は十分です。」

という内容のお話をされる飼い主さんがいらっしゃいます。

本当にお散歩が嫌いなワンちゃんはいるんでしょうか?
私は、お散歩そのものが嫌いなワンちゃんはいないと思っています。
(あくまで個人の見解ですのでご了承ください)

お散歩が嫌いではないのにお散歩に行きたがらない・・・または少し歩くとボイコットする・・・
それには理由があるはずです。

考えられることをいくつか挙げてみましょう。

● 老齢だったり、健康上の問題(足や腰が痛いなど)があって歩くのが苦痛

● 以前、お散歩中に怖い目に遭ったことがトラウマになっている

● 雑踏や車の音、お散歩中に出会う他のワンちゃんが苦手

● 小さい頃からお散歩をほとんどしていないために肉球や足腰の筋肉が弱い

● 首輪とリードを付けられる状態が好きではない

● お散歩の途中でボイコットすると必ず飼い主さんに抱っこしてもらえると覚えている

パっと思いつく理由はざっとこんな感じでしょうか・・・

いずれにせよ、飼い主さんが
「うちの子はお散歩が嫌い(苦手)なんです。」
「お散歩の必要ない犬種なんです。」
と仰って、実際にあまりお散歩させていないワンちゃんは、ちょっと困ったことになります。

例えば、無駄吠えだったり、分離不安だったり、社会性がなく、他の人や犬に過剰に反応するなどの問題行動を起こしやすい・・・といったこと以外にも、ちょっとした問題があります。
次回はそういったことを書いていきます。


※今回のテーマはお散歩ですから、高齢犬や健康上問題を抱えたワンちゃんについては除外して考えていただきたいと思います。



ハルちゃん、今日無事にママの元にお帰りです。

また遊びに来てね~!!




2017年3月12日日曜日

ワンコの災害対策(ハウスの重要性)

昨日は3・11からちょうど6年目でしたね。

以下の記事は、以前『ハウスしてますか?』というタイトルでこのブログに書いたものです。
けれども、明日くるかもしれない災害に備えて、ぜひ多くの飼い主さんに知っていただきたい内容なので、再度UPさせていただきます。

家具の転倒対策や、犬用の防災バッグ(フード・水・防寒具・排泄シートなど)の準備と合わせてぜひご検討ください。

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ハウスしてますか?
なんだか「セコムしてますか?」みたいになっちゃいましたけど・・・
お宅のワンちゃんは”ハウス”してますか?

ワンちゃんの有事対策で、この”ハウス”はとーっても大事なんです。

飼い主さんの中には、
「ハウス(ケージ)に閉じ込めるのは可哀相だから、うちにはハウスは置いてません」
という方も意外とたくさんいらっしゃいます。

まず 可哀相ってことについてですが、犬という動物は、元々暗くて狭い穴ぐらで眠る習性があるので、狭いところが嫌いということはないんですね。
むしろ、我が家のワンたちのように、宅急便が届いた後のダンボールをうっかり放置していると、
進んでその中に嬉しそうに体を丸めて入ってしまう・・・そういうおまぬけ可愛いワンちゃんは結構いるはずです。

捨て犬ではありません。グレムリンでもありません。
ダンボール箱があれば頼みもしないのに入るモカちゃん

ダンボール箱を奪い合うので仕方なくスーパーで調達する始末
女帝”なつ”はなぜか”モカちゃん”には一番気に入った箱を譲ります

ではなぜ、”ハウス”がとーっても大事かというと・・・
万一の災害時、一家揃って避難所に行くことになったとします。
道路がふさがれて、車で移動できない場合はどうしましょう?
そもそも車のないご家庭はどうしましょう?
なになに?いつものようにリードを付けてトコトコっと歩かせるってー?
ブッブー♪ダメです。それではいけません。
避難所のほとんどは、ワンちゃんと人間のスペースは完全に分けられています。
衛生的な理由と、避難している人の中には、ワンちゃんが苦手な人もいるからです。
そして、ワンちゃんは大抵、屋外か、ワンちゃん専用のお部屋で、ケージに入れられて過ごすことになります。
ワンちゃんに普段から持ち運びできるタイプのバリケンネルやケージを与え”ハウス大好き犬”になっているワンちゃんの避難所生活でのストレスは、ハウスに慣れていないワンちゃんに比べて大きく軽減されます。

有事以外にも、おうちの中でワンワン吠えすぎて困るというワンちゃんの中には、ハウスがないことが原因で吠えている子もけっこういるんですよ。
犬は縄張り意識がとても強いのはご存知ですよね?
ハウスがあれば
「自分の縄張りはこのハウスだ」
と考えますから、縄張りの見張りはさほど大変ではありません。
でも、ハウスがないと・・・人間の住宅すべてが自分の縄張り=守らなくちゃならない場所ってことになって、ちょっとした物音にもいつも神経をとがらせ、家中を見回っているため、とってもストレスがたまってしまうんです。

もちろん、ハウスは安心できる場所でなくてはなりませんから、
ハウスでごはんをあげる
ハウスでおやつをあげる
ハウスでナデナデしてあげる
ハウスで寝るようにしてあげる
というのはOKです。というかむしろとても良いです。

でも、いけないことをしてハウスに閉じ込める・・・これはいけません。
お仕置き部屋だと犬がイメージしてしまうってことは、ハウスは牢屋と一緒ということになってしまいます。
牢屋に自ら入りたがったり、牢屋で心からくつろげますか?ってことですね。

愛犬にはぜひスイートハウスを!!

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「ねーねー早くお腹なでてよ~う」
”ハルちゃん”必殺のおねだりポーズ
明日はママと一緒におうちに帰れるね♪