2017年12月25日月曜日

命は商品ですか?

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



前回のブログでは、犬の飼育数を猫の飼育数が初めて上回ったというお話をしました。

犬に比べて飼育コストが安く、お散歩などの手間数が少ない猫の人気はまだ高まる傾向にあるようですね。

消費者が「ペットを終生飼養できるか?」ということを現実的に考えて犬より猫を選んでいるのだとしたら、それはとてもイイことです。

ペット業界が必死で、よりお金に儲けになる犬を売りたがっていたとしても、それに流されて安易な気持ちで犬を飼う人が増えなければいいと思っています。


ただ・・・

残念ながら、そういうことを考えて猫を選んでいる人ばかりではないようなんですね・・・



【命は商品ですか?】


●データは語る


環境省が発表している統計データを見てみると、犬の飼育頭数が徐々に減り、反対に猫の飼育頭数が増えてくるにつれて、どんなことが起きているかがよくわかります。

◆引取り頭数


まずは、全国の保健所や愛護センターに収容される犬と猫の頭数を見てみましょう。

飼い主が飼えなくなったからと自ら持ち込むケースもあれば、通報を受けて野良犬や野良猫を収容したケースもありますが、今回は単純にトータルの頭数を見ます。

平成12年までは犬の引取り頭数の方が多かったのですが、平成13年に猫の引取り頭数がそれを逆転して上回るようになっています。

それ以降、猫の引取り頭数はずっと犬を上回り続けています。

ちなみに昨年度の引取り頭数は

犬=41000頭
猫=73000頭

でした。

全体の引取頭数自体は年々減ってはいますが、減っても1年でこんなにたくさんの子たちが収容されているんですね・・・


◆殺処分頭数


当然のことながら殺処分頭数も、平成11年までは犬の方が猫を上回っていましたが、平成12年に猫の殺処分頭数が犬のそれを追い越し、以来ずっと猫の割合の方が犬を上回った状態が続いています。

ちなみに昨年度の殺処分頭数は

犬=10000頭
猫=46000頭

です。

やはり、殺処分頭数そのものは年々減ってきてはいますが、それでも毎年56000頭ものワンちゃんネコちゃんが人間の手によって殺されているんですね・・・


さて、これらのデータから判ることは・・・

人気のあるペットほど、人に捨てられ、人に殺される

ってことですね。


・・・ひどすぎやしませんか?

なまじ人間に好かれてしまうと、バンバン妊娠させられて、コロコロ子どもを産まされて、挙句に多くの仲間が簡単に捨てられてしまうことになるんですから。


●Dogs Trust の呼びかけ


イギリスにある犬の保護と里親探しを行っている団体:Dogs Trustでは、クリスマス直前に次のような内容を呼び掛けていました。

「犬たちは使い捨て商品などではありません。

わたしたちは彼らに対して大きな責任を負うとを約束したのです。

彼らは人生のための存在として尊重されるべきです。」


保護シェルターが今の時期にこのような呼びかけをするのは何故でしょうか・・・

調査によるとイギリスでは10人にひとりがクリスマスプレゼントとして犬を買ったり贈られたりするそうです。

そのほとんどが、購入の検討をしたのは2週間以内という短い期間だともいいます。

そして、可愛らしいワンちゃんをクリスマスプレゼントとして贈られた人が、直後に面倒を見ることができないと判り、犬を保護シェルターに持ち込むケースが急増するようなんですね・・・


昨年、Dogs Trustではクリスマス後の数週間で

「犬を引き取ってほしい」

という飼い主からの問い合わせをなんと310件も受けたそうです!!


それらの、犬を簡単に手に入れた人たちが飼育放棄をする理由はたとえば・・・

「やっと有給休暇を取ることができたんです。でも犬を預ける先が見つからない。だから手放したいんです」

「この子、あまりにフレンドリーすぎて、お散歩中に他の人やワンコにじゃれついてしまって・・・だから引き取ってほしいんです」

という風に実にイージーなんですね・・・


Dogs Trustでは、動画で実際にあった飼育放棄の理由を"Why I left you"という動画にしています。





スタッフたちは毎年この時期になると

「犬は人生の友達です。単なるクリスマスギフトではありません」

と書かれたチラシを配布して回っているということです。


愛犬家のみなさんからしたら、こんなこと

当たりマエダのクラッカー!

トーゼンのトーチャン車引き!

でさ~~ね~~(←ザコシショウでお願いします)


でも、そんな解り切ったようなことを、わざわざ呼びかけなくてはならないくらい、命を軽々しく考えている人がたくさんいるということです。


今日はクリスマスです。

ペットをお金儲けの商品としか考えない企業ペットをクリスマスのサプライズギフトとしか考えないような人にお願いがあります。


ぜひ、ご自身の胸に手を当てて、まっとうな人としての良心を呼び覚ましてみてください。


彼らは必ずあなたの愛情に応えてくれます。

あなたを助け、癒し、笑顔にし、かけがえのない贈り物をもたらしてくれます。

彼らの温かい身体に手を触れて、心臓の鼓動を感じてください。

あなたの手の中にある小さな命を、簡単に捨てるようなことをぜったいにしないでください。


Merry Christmas !!


(参考記事:Eastern Daily Press



<今日のPet Hotel 11!>

美月ちゃんがまたお泊りに来てくれたよ!
チャコは初めましてだね(^▽^)

匂いかがせてかがせて~~~!
「どうぞ~~♪」
元保護権の美月ちゃんは、とっても穏やかな女の子

ん、風が出てきたねえ~

海岸で、”風乗り”を楽しむ鳥たちに
チャコは夢中!

バードウォッチングに夢中になるチャコ
・・・を見るのに夢中はCくん(笑)


2017年12月24日日曜日

飼育数 犬 < 猫 に思うこと

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


【犬の飼育数を猫の飼育数が追い抜いた】


●戌年を前に・・・


先日、ペットフードメーカーの業界団体「一般社団法人ペットフード協会」が、犬の飼育数を猫の飼育数が上回ったと発表し、ニュースになりました。

全国の犬と猫の推計飼育数は

猫:953万匹(前年より2.3%
犬:892万匹(前年より4.7%

とのことで、1994年に調査を開始して以来、猫の飼育頭数が犬より多くなったのは初めてのことだそうです。

猫ブームだとは数年前から言われていましたが、遂に・・・って感じですね。

犬の飼育数は3年連続で減少していて、ピーク時の25%も飼育数が減っているそうです。

対して、猫の飼育数は2年連続で増加しています。


犬好きの人にとっては、なんとなく「負けた感」があるのか、ネット上では残念がる声があがっています。

逆に猫好きさんたちからは

「キタ――(゚∀゚)――!!」

という反応が多いようです(笑)

気持ちはわからないでもないですね。

ひいきにしている動物の人気が高まれば「ホラね、ホラね!」となって、人気が落ちると「もう!みんなわかってないなぁ・・・」というような気持ちにもなりましょう。


でも・・・ガッカリしているのは犬好きの人だけではないようです。

奇しくも来年は戌年(いぬどし)・・・それを前に、犬の飼育数が尋常でない減り方をしていることについて、ペット関連業界はかなり深刻な危機感を抱いているようです。


●なぜ犬より猫なのか?


猫の飼育数が犬を抜いた理由は 主に次のようなことらしいです。


・犬は吠えるけど猫は吠えない(静か)からアパートやマンションでも飼える。

・犬はさんぽが必要だけど猫には要らない(手がかからない)。

・犬はしつけが大変だけど猫のしつけは楽。

・犬にはトリミングやブラッシングが必要だけど猫には不要。

・餌やりも犬より猫の方がラク(置き餌にしても犬のように食べ過ぎない)

・犬はヘタすれば咬まれて大怪我したり他人様を傷つける恐れがあるけど猫はひっかく程度。

・飼育のためのコストも犬よりも猫の方が安く済む。


要するに、コストは安くて世話は楽

そのくせ寿命は犬とほぼ変わらない。

(室内飼育の猫と室内飼育の小型犬の場合)

ならば猫を飼うしかないでしょう!

ってことのようですね。


特に、50代以上の人で今まで犬を飼っていた人が、

「この先体力が落ちていくのに、お散歩など十分に犬の世話をする自信がない。でも猫なら・・・」

という風に考えるケースも目立つようです。


●ペット業界はなぜ悲観的なのか?


犬も猫も、どっちだってペットには変わりありません。

だったら、犬の飼育数が減ったって猫がその分増えれば、ペット業界としても特に悲観することはないんじゃーない?

いやいや、そうはいかないらしいんです。

たとえば・・・


猫にお洋服を着せますか?

猫にリードやチョーカーをつけますか?

猫をお散歩に連れて行くためのお散歩バッグは必要ですか?

大型犬と同じくらいフードを食べてくれる大型猫はいますか?


もうおわかりですね?

先ほど、飼育にかかるコストは犬より猫の方が安いと書きましたが、平均して犬の方が月に¥5000ほど猫よりも高くつくということです。

トリミングが必要なワンちゃんの場合はもっとでしょう。


飼い主さんにとってコストが高くつくということは、売る側から見れば

猫よりも犬を飼ってもらった方が儲かる

ってことになりますね?

ですから業界としては、一生懸命に”犬推し”しているみたいなんです。

以下は朝日新聞の記事からの一部抜粋です。

----------
ペットフードの業界団体としては、飼育数の減少は売り上げに直結するだけに、

「どうしたら増えるか協議しているが決定打はない」

という。

犬と暮らすことが健康改善につながるといった海外の研究を引き合いに、アピールしていきたい・・・
----------

ということです。


●余計なことを・・・


↑のペット業界の言い分を読んで、わたしがつい口にしてしまった言葉です。

「余計なことをするんじゃないよ!」

犬好きのわたしとしては、またペットホテルを経営しているわたしとしては、犬を飼う人が減っていることを手放しで喜べない状況ではあります。

でも、犬の飼育数よりも猫の飼育数が増えた理由を検証してみると、それはそれで実に合理的ではあーりませんか?


犬が飼える住宅事情か?

吠えた時のご近所への対応は大丈夫か?

きちんとしつけられるか?

毎日お散歩に連れて行けるか?

もしもの病気のことも考えて、かかるコストは大丈夫だろうか?


・・・などといったことを一切考えもせずに安易に犬を飼った結果、無責任に飼育放棄する人が大勢いるよりも、むしろそこら辺のことを十分にシュミレーションしてみた結果、

「犬よりも猫の方が、自分は現実的に終生 無理なく飼っていけそうだ」

と判断する冷静な人が増えてくれる方が、よっぽどイイ傾向ではないでしょうか?


ところが、ペットフード業界は単に売上を伸ばしたいという理由から上記のような営業戦略を練っているらしい・・・

「そっか、犬を飼うと健康にイイらしいよ!そんなら長生きしたいから犬を飼おうっと♪」

こんな人が健康グッズを買うような気持ちで犬を飼うようなことになったらどうしてくれるんでしょうか・・・


消費者が、ペットを飼いたいと思った時に

「自分が預かる命に対して十分に責任を果たせるか?」

ということをやっと考え始めた今、ペット業界のこの姿勢が、いかに世相を把握していないか・・・ってことが皮肉にも浮き彫りになってしまったニュースだと感じました。


アナタたちが売っているのは”命”ですよ~~!

ソコんとこキチッと考えて頂きたいものです(フンガッフッフ)


(参考:朝日新聞ネット記事


<今日のPet Hotel 11!>

Cくん、そのスロープで”なつ”のところに行けるよ~

一晩お泊りして、たくましくなったCくん。
お庭遊びも大好きです♪

朝のおさんぽ。
ヨシヨシ、放置ワンチは減ってるぞ!

娘と・・・

娘のボーイフレンドが遊びにきてくれて、
ワンコたちといっぱい遊んでくれました(^▽^)

クリスマスプレゼントにおもちゃもたくさん
もらったヨ!
コレは”なつ”のお気に入り。
誰にも渡しません(;'∀')

革でできたホネホネおもちゃは
チャコのお気に入り♪

Cくんはハンバーガーを破壊するのに
夢中(^-^;

ボスはやっぱりボールのおもちゃを
選ぶんだねぇ(;'∀')

母、長女、長女のボーイフレンド、長男が
遊びに来てくれて、いいクリスマスイブでした♪



2017年12月23日土曜日

サンタの袋の中身は・・・

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


【クリスマスに何しよっかな~】


●なんかしなくっちゃ!


今日はクリスマスイブイブですね。

ひと昔前に比べて、どうもクリスマスにかこつけたパーティやデートは下火のようで、今はハロウィンの方が隆盛を誇っているみたいですが・・・

それでも街にクリスマスソングが流れると、なんとなくウキウキソワソワした気持ちになります(;'∀')

「”何か”しなくちゃっ!」

そんな気持ちにもなるわけです。


●お客様からのメッセージ


ちょうど、前回のブログ「言うは易し行うは難し」みたいな内容を書いたら、お客様のMさんから、こんなメッセージをいただきました。

「行動する事は、本当に大変。
この一言に尽きます。
何か出来ないか?と思いながらも行動に移していない…。
何か出来ないかなぁと思いながらも…。
自分には何が出来るのかな?と模索中です。」

とっても素直でステキなメッセージだと思いました。

わたしは

「本当ですね。
行動している人ってすごいなぁと思います。
わたしは自分のキャパがあまり広くないので、まずは自分の家族やペットを大切にできていればOKってことにしています。
人が全員、自分の近くにいる存在を大切にできていたら、本当はそれだけで平和なはずなのになぁと・・・」

とお返事したのですが、

せっかくのクリスマスです。

キャパが狭いなりに、わたしにもできるクリスマスのイベント的な”何か”を考えてみることにしました。


●”何か”って何さ?


別にクリスマスパーティーをしたいとか、豪華なディナーやケーキを食べたいとか、そういうことではないんです。

そんなのはお誕生日でもできるんだし・・・

もっとこう・・・クリスマス気分になれることはないかなぁ・・・

そうだ!サンタクロースになるっていうのはどうだろう?

クリスマスを、誰もがサンタになれる日って考えると、ウキウキは俄然高まります!

サンタクロースになって、自分以外の誰か・・・たとえば、

家族でも恋人でも、ペットでもご近所さんでも、顔も知らないけどどこかで困っている人でもいいから、自分ができる範囲で”何かしらの”プレゼントをあげることにしよう。


●お金はないけど時間は少しだけある

さて、だけど一体何をしよう・・・できることは限られています。

身の丈に合わないような無理をして、ウキウキ気分を台無しにはしたくないですねぇ。

今夜から年明けまでは、お預かりワンちゃんがいますので、フラフラ出歩くわけにもいきません。

クリスマス当日もお預かりしているワンちゃんがいるっちゅーことです。

ウカれてお預かりしているワンちゃんから目を離すのはサンタ失格です。

でも今日の日中なら・・・今朝ウリくんをおうちにお返ししたので、夕方のワンちゃん受け入れまでなら時間があります。

どこかに寄付するようなお金はない。

でも時間は2時間ほどあるぞと・・・


●あわてんぼうのサンタクロース


クリスマス当日に動けないなら、ちょっと早いけど今日しかない。

あわてんぼうのサンタクロースだっていいじゃない?

そうだ!ワンチ拾いに行こう!!

(※ワンチ=ワンコのウンチ)

海岸のワンチで、サンタクロースの袋をいっぱいにしてやろーではないか!!

HO HO HO HO HO---!!

もちろん、ボス、なつ、チャコもワンチ探知トナカイとして強制連行。

3頭立てだね(^-^;


このところ、ぜんぜん海岸のワンチ拾いができずに、今朝のおさんぽでもま~~あ落ちてた落ちてた・・・実はずーっと気になっていたんです。

コレが誰かのためになるかっていうと微妙かもしれません。

別にだーれも喜んでくれないかもしれません。

んが!ワンチのない海岸の方が、お散歩する人だって気持がいいもんね。

みんな、年末には大掃除したり洗車したり、ワンちゃんをトリミングに行かせたりするんだもんね。

海岸のワンチ拾いだってきっと誰かのためになってるって思う・・・思いたい・・・思うことにするっ!

(要するにこの程度しかできないんだから仕方ないですね)


●サンタの袋は・・・


というわけで行ってまいりました。

往路は海岸沿いの遊歩道を、復路は砂浜に下りて、ただひたすらに放置ワンチをトングで拾ってサンタの袋に入れていきます。

「フンフンフ~ン フンフンフ~ン フンフンフ~ンフフ~ン♪」

もちろん鼻歌はジングルベル

「今日~は~ 楽っしい~ フン拾い~ ヘイッ!!」

3頭のトナカイたちも、リタイアすることなくテケテケとよく歩いてくれました。


2時間ほどすると、サンタの袋もズッシリと重くなってきて、辺りが暗くなってきました。

17時には本日お泊りのワンちゃんがやってきますから、もう帰らなくちゃ!

さて、本日の収穫は・・・・

3Kg超!

重いはずです(^-^;

みんな~、自分のワンコのウンチはちゃんと持ち帰ってね~~!!



●素敵なクリスマスを~♪


身体はクタクタだし、手足はヒエヒエだし、身体は汗ばむし、鼻の穴にはワンチの残り香がプンプンだけど、サンタの袋がいっぱいになって、なんだかとってもすがすがしい気持ちです。

みなさんも、どんなに小さなことでもいいから、クリスマスに何かひとつ、自分以外の誰かのために、コッソリ”何か”してあげるサンタクロースになってみませんか?

コッソリっていうのは、誰にも感謝されたり褒められたりしないようなことって意味です。


・・・ということで、世界中のサンタクロースと、可愛いトナカイちゃんたちに素敵なクリスマスが訪れますように・・・


We wish you a Merry Christmas !!



<今日のPet Hotel 11!>

ボストナカイ

チャコトナカイ

なつトナカイ

お料理番サンタ

サンタの袋はズッシリ!

ウリくん、お料理番の軍手を返して~~!
「やだ!ぜったい!」

帰る間際までよく走り回ったねぇ~!

Kさんがいっぱいお土産を持ってきてくださいました。
これがホントのサンタクロースや~~~♪

ありがとうございました(^▽^)/




2017年12月22日金曜日

チャコの三浦海岸物語(その4)茅ヶ崎市職員さんがやってきた

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



10月29日の譲渡回から、もう少しで2か月です。

我家の新しい家族になったチャコの様子、第4弾です。



【茅ヶ崎市保健所職員さんの訪問】


●譲渡回から現在までの経緯


チャコたちの譲渡会は、反対派の人たちから強い批判を受けながらの異例の譲渡回でした。

詳しくは以前書いたコチラのブログ「茅ヶ崎の緊急譲渡会に行って」をご覧ください。


譲り受けた当日すぐに獣医さんに連れて行き健康チェックを行った結果、心配された重篤な内臓疾患や妊娠はありませんでした。

狂犬病の予防接種と行政への飼い主登録を済ませ、次は避妊手術でしたが・・・

チャコは元々あったであろうアトピーと脂漏性皮膚炎の状態が、飼育されていた環境が不衛生だったため相当悪化していて、我が家にやって来た時は、下半身がほぼハゲていました。

(パっと見、下半身だけ裸みたいな、ちょっと物議を醸しそうな外見・・・

(^-^;)

そのため、獣医さんの判断ですぐには避妊手術を施すことができず、お薬と3日おきのシャンプーで皮膚の改善に集中しました。

その後、手術が可能な状態になったので、我家にやってきてからちょうど1か月後の11月29日に避妊手術を無事に済ませました。

ちなみに、譲渡会当日に”約束金”としてお預けしていた¥30000は、避妊手術完了証明のハガキを送付した後、すぐに返金していただきましたヨ!

(アニマルプロテクション様からは、ご丁寧な感謝のお手紙とカレンダーも一緒にお送りいただきました。ありがとうございました♪)


●皮膚疾患


チャコの皮膚の状態は、最初に比べると本当によくなってきています。

けれども、アレルギーやアトピーで苦しんでいる他のワンちゃん同様に、極めて根治が難しいとの診断が下っています。

少し調子がよさそうな日は、わずらわしいエリザベスカラー(我が家ではパラボラアンテナと呼んでいます)を外してやれるのですが、その翌日はまた狂ったように痒がってまたパラボラ装着・・・ということを繰り返しています。

現在は、病院で処方されているアポキルというお薬と3日おきのお薬シャンプー、更に新しくできてしまった脂漏性湿疹の治療目的で抗生剤を服用しています。

それと、「根治は難しい」と言われても諦めきれないわたしたちは、チャコの免疫力が少しでも上がってくれれば・・・という思いで、乳酸菌を取り寄せて毎回のごはんにふりかけています。

痒みって辛いですよねぇ~~!

チャコが最高潮に痒がる時は、

「んも~~たすけてぇ~~!!」

と訴えるような顔で、ウ~~ウ~~~~・・・・と唸り声を上げながら、パラボラのせいで掻けない後ろ脚をジタバタさせるんです( ノД`)

あの苦しみから解放してやれるなら何でも試してやりたいと思いますヨ・・・

でも、一度にアレコレ手を出すと、結局どれが効いているのかわからないので、まずは乳酸菌のみ・・・数か月続けて効果が見られなければまた別な何かを試してみるつもりです。

ひとくちに乳酸菌って言ったって、アホみたいに種類がいっぱいありますしね(;'∀')



●茅ヶ崎市の職員さんたちが来てくれたヨ!


さて、本日はそんなチャコに、譲渡会を主宰した茅ヶ崎市保健所の職員さんが会いに来て下さいました。

10月29日当日に譲渡が決定したのは26頭のワンちゃんたち。

その1頭1頭の飼育環境や飼育状態を確認すると共に、引き取った飼い主さんたちが何か困っていないか?ということを聴き取るためです。

2名の職員さんたちは、チャコの様子をブログで見てさっていたようでしたが、それでもちゃーんと実際に確認に来て下さったんですね。

具体的には、職員さんから次のような質問がありました。


・排泄の困り事はないですか?

・健康状態はどうですか?

・性格や性質で何か問題はないですか?

・その他、引き取った犬に関して何かお悩みはないですか?

・現在のワンちゃんの様子を撮影して保健所のHPに掲載してもいいですか?

・譲渡会のことを何で知りましたか?

・今回の譲渡会に参加した動機は、チラシに「殺処分を即時再開せざるを得なくなる」とあったからですか?



●合理的で誠実な対応


緊急で開催された今回の譲渡会には、多くの問題点や想定される懸念事項があったことは、以前にもお話しましたね。

主催者側の方々も問題点を重々承知の上だったことも・・・

ですから、緊急措置として新しい飼い主さんに即時引き渡しをしたものの、飼い主さんたちには順次、電話での状況確認や訪問確認を行うとは伺っていました。

茅ヶ崎市の職員さんたちが通常業務をこなしながらイレギュラーな確認作業を1件1件行うのは大変だろうと、わたしはブログの存在をお知らせしておいたんです。

ブログを見ていただいて

「あ、チャコちゃんは大丈夫だな」

ってことで確認対象から外せれば、職員さんの手間が1件でも減るかも・・・と考えたからです。

でも職員さんたちは来てくださいました。

そうですよね。

だってもしもわたしがブログをねつ造していたら大変ですから!!(笑)

・・・と、そこまで疑ってかかっていらしたとは思っていませんが、やっぱりあのような形での譲渡だったので、ご自分たちの目でちゃんと確認しておくべきだと思われたのでしょう。

とても責任感のある対応だと感じました。

譲渡した生き物も、地中埋設ゴミも、ちゃーんと”現認”しないとイケマセンね!(←なんのこと?)


それと・・・

職員さんたちの口からは、譲渡会の告知の仕方について、とても素直な反省の弁と謝意が述べられました。

やはり反対派の方々からのバッシングは相当のものだったようです。

でも、そうなった原因を分析し、反省すべき点は反省し、あの譲渡会で引き取られていった全てのワンちゃんが幸せになるようにできる限りのことをしている職員さんたちの姿は立派だと思いました。


茅ヶ崎市のHPでは、譲渡会についての市の反省を含めた見解と、引き取られていった犬たちの調査状況の進捗を掲載しています。

コチラ


ちなみに、チャコは当日10番だったので、今現在はまだ訪問確認が”済”になっていませんが、ほとんどの子の訪問が済んでいることがわかります。


●よかったよかった♪


本日お越し下さった職員さんたちによると、引き取られた子たちはみな、新しい飼い主さんに愛されてとっても幸せそうにしているとのことでした。

ずっと気になっていたので、それを伺うことができてホっとしました♪


すごく印象的だったのは、ひとりの職員さんが目を細めてチャコの頭を撫でながら

「おい♪覚えてるか?ボクに会うのは何回目だ・・・4回目になるかな?ホントによかったなぁ~~!」

と仰っていたことです。

嗚呼・・・この人たちは、市の職員さんという公務員である前に、動物が大好きな人なんだなぁ・・・

彼らはチャコたちが暮らしていた河原の小屋に実際に行って状況を確認し、限られた時間の中で非難を浴びながらもチャコたちを救出して譲渡会の準備をし、今もそのフォローを続けている人たちなんだなぁ・・・

と改めて感じ、胸が熱くなりました。

言葉などよりも、その行動全てを見て、それでも彼らを批判できる人などいるんだろーか?

そう感じました。



<今日のPet Hotel 11!>

モカちゃん、楽しかったね♪
また遊びにおいで~(^▽^)/

「あ・・・ちょっと写さないでよ!」

「やめてやめてー!
アクビしてる顔はブサイクなんだからー!」

ワハハーーッ!!ブッサイク~~!
「お~~の~~れ~~~・・・ クワッ!」
ヒイィ!こわーい、ランドールみた~~い
(ランドール=モンスターズインクの悪役)

やっぱり仲良しのふたり(はぁと)

ウリくん「ねえねえボスく~ん」
ボス「ダメッ!ボールはあげないよ!」

ウリくん「いーじゃんいーじゃ~ん!」
ボス「ダメったらダメなのー!」

取ったどーーーーーーっ♪♪♪

ボス&チャコ「アイツめ~・・・どこ行った?!」

ボス!うしろうしろっ!!(笑)






2017年12月21日木曜日

しつけの基本を見直す②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



前回のブログにつづき、「日本最初の盲導犬」という本の中で、犬嫌いまたは犬と初めて触れ合う失明軍人さん2人が文字通り手探りで盲導犬の訓練をした時の”訓練日誌”から、しつけの基本を再確認していきまーす。


【しつけの基本を見直す(つづき)】


●甘やかしすぎても厳しすぎてもうまくいかない


訓練の6週目になると、最初は犬嫌いだった失明軍人さんも、初めて犬に触れた失明軍人さんも、自分が担当した盲導犬のことが大好きになります。

2人は犬への深まる愛情に溺れて犬を甘やかしすぎるようになっていった様子が伺えます。

すると、目の見えない人を誘導中に、本来は止まらなくてはならないところで犬が止まらなくなるという事態が起きるようになったのです。

2人はまた、盲導犬を甘やかしただけでなく、訓練が順調にいっていたために つい犬に自分たちが甘えて周囲を杖でよく確認しないまま指示を出すようになってしまっていたとも自覚しています。

彼らの日誌には、この件を

「これは初めて犬を飼う人が必ず一度は経験すること」

だとする注意喚起が残っています。

実はこれは、今現在でも盲導犬訓練の最も気を付けなくてはならない注意事項とされています。

盲導犬の育成所でどんなによく訓練された犬でも、各家庭に入ってからの犬の扱い方次第で誘導技術そのものが著しく落ちるといいます。

それは、甘やかしすぎた場合だけでなく、厳しく接しすぎた場合もです。


盲導犬に限ったお話ではありません。

しつけ教室や犬のようちえんでトレーニングしてもらった子が、飼い主さんのお家に戻って少したつと、たちまちトレーニング前同様に問題行動が再発してしまうということは、耳にタコができるほどよく聞くお話です。

犬をしつけるにはまず、飼い主さん自身が犬との接し方について決めたルールをきちんと守り、節度とけじめのある接し方を心掛けること。

そして、とっても大切で一番難しいのは、このルールを犬に関わるご家族全員が共有して守ることです。

本の中には、盲導犬とご家族のかかわりについても書かれていて、大変参考になります。


●恐怖心を与えても何も生まない


犬に関してまったく素人(しろうと)だった2人の失明軍人さんが、1か月半の期間、真剣に担当する盲導犬と向き合い、試行錯誤を繰り返した結果、訓練の心構えとして到達した答えが・・・

「犬に恐怖心を与えて支配しようとするような手段は極力回避しなくてはならない。

むしろ犬を信頼して一心同体となり、ほめてのばす方法がもっとも犬を早く上達させる」

ということです。

彼らは実際に、吠えるのを止めなかったオスの盲導犬(ボド)を棒で叩いてしまったこともありました。

スパイクカラー(内側にトゲトゲがついた首輪)を盲導犬につけて訓練するということも試してみました。

けれども、結果的にそういった恐怖や痛みを犬に与えるような訓練はうまくいかなかったというんですね。

脅かしたり叩いたりすれば、確かにその時は困った行動を強制的に、しかも瞬時に止めることができるでしょう。

けれどもその方法は、長い目で見た時に、犬の身に着くようなものではないのは明らかですね。

そればかりか、痛みや恐怖を与えるしつけは、人間と犬との信頼関係を崩しかねず、真のしつけという意味ではかえって後退してしまう・・・そのことを決して忘れてはなりません。


●手を抜かない


2人の軍人さんはまた、

「犬が失敗した場合、見逃すのではなく、間違ったことをきちんと教えて、同じ場所でもう一度やり直させなければならないと分かった」

という記録を残しています。

犬がある程度できるようになってくると、人間の方がいい加減になってしまって、なあなあにしてしまうってこと、ありませんか?

やってもやらなくてもどっちでもいいようなことは、ハナからしつけなくてもいいのかもしれません。

でも絶対に守ってもらいたいことは、決して「まあいっか」にせずに、面倒でもその都度ワンちゃんに教えなおすという根気を持ちましょう。

とはいえ、忙しい時だったり人前だったりすると、ついつい失敗を見過ごしてしまいがちなんですよね~・・・

特に日本人の飼い主さんは、人前では愛犬をたしなめない人が多いようです(^-^;

相手が人間の場合は「仕方ないわね、じゃあ今日だけよ」が通じるかもしれませんが、犬にそんなことをしたらかえって混乱してしまって可哀相だということを肝に銘じておきましょう!



●無知の知


ソクラテスの言葉ですね。

自分が無知だということを知ることが真の認識に至る道である

という意味です。

本に登場する、犬に触れたこともなかった2人の失明軍人さんは、犬について解ったつもりになっている人よりもずっと素直に、そして真摯に犬に向き合っていたのではないでしょうか。

また、目が見えない分、目が見えているわたしたちが見落としがちな、犬のちょっとした息遣いの差などにも敏感に反応することができたのかもしれないと思いました。

彼らの訓練日誌からは、

「いかにして犬に自分たちの意思を解らせるか?」

よりも

「いかにして犬の意思を人間が正確に汲み取るか?」

ということに心を砕いていることが随所に見て取れます。


コミュニケーションの仕方も生態も異なる犬に対して、こちらの意を汲んでルールを守ってもらうためには、むしろ犬の気持ちをよく知り、それに沿った形で行うことがいかに重要か?

という真理に彼らが到達した証なのではないかと感じました。


それにしても、犬が嫌いだったり犬を飼ったこともなかった2人の失明軍人さんたちが、たったの1か月半という短い期間で、2頭の盲導犬を立派に訓練し、使用者が盲導犬の扱い方を習熟する方法を確立させたんです!!

頭が下がって下がって、もう”立位体前屈”状態ですよ~~~~!!( ノД`)


日々、ワンちゃんに接するわたしとしては、初心を忘れてはいけないなと、身が引き締まる思いがしました。




最後に・・・本書を読むと、盲導犬たちがいかに人間のために自分たちを犠牲にして尽くしてくれているかが、あらためて分ります。

最近ではそんな盲導犬たちを叩いたり蹴ったりするような使用者がいるというお話もよく聞きます。

ハンデキャップを負っているということは、何をしても許されるということではありませんね。

盲導犬は使用者を選べません。

心無い使用者の元からは、1日も早く盲導犬を保護してあげて欲しいものです。



<今日のPet Hotel 11!>

モカちゃんがお泊りにきてくれたヨ!
更に!”なつ”とモカちゃんの元飼い主さんが
くりんくんと一緒に遊びに来てくれて
みんな大喜び(*^▽^*)

この甘えた顔!!(^▽^)

元飼い主さんのお母さんも一緒に来てくれたヨ!
モカちゃん、感慨深げ♪


ウリだっピョ~~~~ン!!

ボス、うしろうしろっ!!(笑)
ボールを渡したくないボスと
ボールを取ってボスに追いかけてほしいウリくん

ワタシ、シャンプーしてさっぱりしたのよ♪
どう?綺麗でしょ?

・・・って、メガホン鬱陶しいなぁ・・・

メガホンちゃうわっ!!
パラボラだわっ!!

・・・それも違う気がするよ~(^-^;




2017年12月20日水曜日

しつけの基本を見直す①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



前回、前々回のブログで「日本最初の盲導犬」という本の紹介をさせていただきました。

この本を読んでいて、犬のしつけについて改めて感じたことがあります。

今日はそのお話をさせてください。


【しつけの基本】


世の中には犬のしつけに関する情報が溢れかえっていますね。

大抵の情報は

「ハイハイハイハイ、わかってま~~~す」

と言いたいようなものです。

毎日愛犬と触れ合っている飼い主さんは当然、誰よりもご自身のワンちゃんのことをよく解っているでしょう。

そのため、つい愛犬への接し方がテキトーになっていたり、手抜きになっていたりということはないでしょーか?

「ないヨ!」

という方はどうぞこのお話はスルーしてください。


●犬嫌いの人が・・・


本の中に、ドイツからやってきた盲導犬を日本国内で訓練するよう命じられた軍人さんが登場します。

ドイツで盲導犬としての基本訓練を終えたシェパードとはいえ、日本の生活様式や住宅事情はドイツとは異なりますし、何よりも盲導犬を扱うノウハウ自体が当時の日本にはありませんでした。

そこで、実際に戦場で失明した軍人さんに、陸軍病院内で盲導犬を担当させ、育成させることによって、日本式の誘導方法の開発や、盲導犬使用者の習熟方法を確立させることにしたんですね。

超合理的な実践訓練ってワケです。


その役割を命じられた軍人さんの1人は、犬を触ったこともない、犬嫌いで有名な人でした。

また別な1人も、犬嫌いまではいかなくてもやはり、犬を飼ったこともない人でした。

今後、盲導犬をどんどん育成しようと意気込んでいた当時の関係者は、盲導犬を扱う使用者になる人は、必ずしも犬を好きな人ばかりではないということまで想定して、そのような人選をしたのでしょうか・・・

その辺りは本の中では明らかになっていません。

けれども 結果的に彼らは犬に対する先入観がまったくない状態で、自分が担当した1頭の犬と向き合うことで、素晴らしい成果を上げているんです。

2人の失明軍人さんがつけていた訓練日誌は、現代を生きるわたしたちにとっても大切なことを再確認させてくれる内容でいっぱいです。


●排泄の失敗


ドイツからやってきた4頭の盲導犬たちは、既にトイレットトレーニングされていました。

オシッコは1日1~2回、ウンチは1日1回

いずれも屋外に排泄に行かせるという方法だったようです。


今のわたしたちから見ると、

「ちょっと少ないんじゃあ・・・犬が可哀相・・・」

と感じてしまう回数ですね(;'∀')

お話を本題に戻します。


ところがある日、ボド(♂)が陸軍病院内の階段でウンチをしてしまった・・・

ボドはお腹を下してしまっていたんですね。

それについて担当した失明軍人さんは

「犬が異様に鳴いて何度も外に出たいと求めた時には外に出すことを必要とする」

と反省の弁を述べています。

当たり前・・・といえば当たり前のことですが、この失敗、実はわたしも経験があるんです~(-_-;)


トイレの失敗はまずない チワックスの”なつ”が深夜に突然鳴き始めた時のことです。

”なつ”が激しく鳴いたり吠えたりするのは大抵、猫やカラスなどの気配を感じたときです。

また、その時はたまたま”なつ”の大すきな”モカちゃん”が遊びに来て帰ってしまった晩でもありました。

そのため、わたしは”なつ”が鳴いているのは、猫か何かが外を通ったか、モカちゃんがいつの間にか帰ってしまったのが寂しくて、モカちゃんを呼んでいるかのどちらかだろうと決めつけてしまったんですね。

ところが、”なつ”が鳴いていた原因は下痢でした。

あの時は、本当に可愛そうなことをしたものです(´;ω;`)

「違いますから~①」
「違いますから~②」
「違いますから~③」


普段と違う鳴き方をしたり、吠えられては困る場面で、いつもなら吠えない子が吠えたりする場合、まずは体調不良を疑わなくてはなりません

人間の都合でつい叱ったり、鳴きやませることばかり考えてしまうと手遅れになってしまう場合もありますから、今一度肝に銘じておきたいですね!


●犬の個性に応じて


盲導犬の訓練を始めて4週目の軍人さんたちの日誌には

「犬の個性に応じた誘導にしなければならない」

という議題について話し合われた記録が残っています。

危険に出くわした時に、その場にピタリと止まる犬と、使用者の前に入り込んで行く手をさえぎる犬とがいたんですね。


これはふたつの大事な基本をわたしたちに教えてくれています。


◆目的は何か?


先の盲導犬のふたつの行動パターンは、どちらも正解ですね。

どっちのやり方でも使用者に危険を知らせることができるんですから、やり方が違っていても目的は達せられています。

わたしたちは、しつけのノウハウ本などの影響で「こうでなければならない」を犬に押し付けてしまいがちです。

でも、その中にはもしかすると「どっちだってかまわないじゃーん」ということが含まれているかもしれません。

たとえば、おさんぽの時に自分の右側を歩かせるか左側を歩かせるか・・・というような細かいことについては、ショーに出す犬や補助犬の場合は重要かもしれませんが、一般のご家庭のワンちゃんには必要のない決まりかもしれませんよね。

しつけ本を鵜呑みにするばかりでなく、ご家庭によって必要なことや、しつけの目的を今一度見直してみることも大事なことかもしれません。


◆個性を尊重し、呼吸を合わせたしつけができているか?


例えば、ワンちゃんが何かをうまくできた時のご褒美について・・・

おやつをあげた方がうまくいく子と、大げさに褒めたり撫でたりする方がうまくいく子がいます。

それは、ワンちゃんの好み・・・つまり個性によって違うんですね。

また、ワンちゃんによって集中してトレーニングできる時間に差がありますし、その日のコンディションによってもまちまちです。

「毎日30分訓練するって決めたんだから絶対するぞー!」

というようなことは、意気込みとしては素晴らしいけれども、ワンちゃんにやる気がない時はサッサと切り上げるなどの柔軟性も必要ですね。

しつけは一方的なものでは絶対にうまくいきません。

ワンちゃんの個性を見極めて、独りよがりにならないように常に呼吸を合わせて一緒に取り組めるようにしたいものです。



長くなるので、つづきはまた次回にします。



<今日のPet Hotel 11!>

さ、チャコ~!お薬シャンプーしよっか
「え~~~またぁ~~?ワタシばっかり~・・・」

「なんでワタシばっかりいつもシャンプーなのよぅ?!」
カユカユを治すためだよ。我慢してね~(^-^;

「そんでまた、ワタシばっかりコレつけるんだ~」
だって掻いちゃうから・・・ごめんね( ノД`)

目を合わせるなーー!
捕まってシャンプーされるぞーー!

決して目を合わせるなーー!!

アンタたちはしないって・・・(-_-;)

犬牧場って感じ?(笑)
明日はモカちゃんが来るよ!
”なつ”、よかったね~♪



2017年12月19日火曜日

戦中~戦後の盲導犬たち②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



前回のブログに続いて、葉上太郎氏の「日本最初の盲導犬」という本のご紹介です。






この本は、ジャーナリスト葉上太郎さんによるきめ細かい取材に基づいた”ノンフィクション”です。

ですから、ノンフィクション好きの方にはもちろんお勧めなんですが、

「ノンフィクションが苦手~。眠くなる~」

という方も、どんどん引き込まれてあっという間に読み切れてしまう内容です。

もちろん、内容を全てご紹介することはできないのですが、今日はいくつも登場する盲導犬と人々との絆の中で、ひとつだけかいつまんでご紹介したいと思います。


【千歳と山崎さん】


●光を失った山崎さん


1939年、大阪の工業高校を出た山崎金次郎さんは、通信兵として加わっていた戦線で、ノモンハン事件によって負傷しました。

火炎放射器による全身大やけどで、耳も鼻も唇も焼失して、生きているのが不思議なくらいだったといいます。

山崎さんが20代になったばかりの時でした。

入院していた陸軍病院で同室だった知人によると、山崎さんは大阪人らしく、漫才師のようによく喋り、みんなを笑わす人だったそうです。

目はひどく焼かれていたものの、少しは視力があった山崎さんでしたが、痛みを取り除くには眼球を取ってしまうしかなかったようです。

ある日、手術内容を伝えられることなく山崎さんは眼球を失いました。

目が覚めて眼球がないことを知った山崎さんは、ショックで人が変わったように誰とも話さなくなってしまったそうです。

戦火で両目を失ったならまだしも、治療中であとはよくなる一方と思っていた時に、まだ20代という若さで両眼球を失う・・・想像を絶する辛さだったことでしょう。


●千歳(ちとせ)


千歳は1939年に日本に渡って来た4頭のシェパードの1頭 ボド(♂)と日本の軍用犬シェパードとの間に生まれた子どもです。

陸軍病院内で盲導犬訓練を受け、山崎さんを含む 入院中の失明軍人と過ごしました。

当時の陸軍病院は、盲導犬の訓練失明軍人のリハビリを兼ねた取り組みをしていたんですね。


●千歳との再出発


退院までの詳細は判っていませんが、入院中に山崎さんが詠んだ短歌がいくつか残されています。

その一部を・・・


『霜道も いとはず誘導 なしくれる 盲導犬の はく靴なきか』

『黙しつつ わが命を守る 盲導犬 目となりくれる 心いぢらし』


山崎さんんの盲導犬を想う気持ちと、盲導犬への感謝の気持ちが伝わってきますね。

山崎さんの退院間際、皇后陛下が病院を慰問に訪れた際、

「チトセ号は山崎さんに渡すよう」

とのお言葉があったそうです。


『逆へる 激しき風に 負けまじと 愛犬チトセに 行けと命じぬ』

山崎さんは、ノモンハン事件の4年後 1943年に退院し、千歳を伴って大阪に帰郷しました。

病院を出る時に千歳に命じた『行け』は、再出発するご自身に向けた言葉でもあったのでしょう。


●チト


山崎さんは帰郷後、コトさんという奥さんと結婚して豊中市に住み、3人の男の子に恵まれました。

山崎さんの次男がご自身の記憶や、ご両親から聞いた話を語ってくれています。

山崎さんたちは、愛情をこめて千歳のことを”チト”と呼んでいました。

目も耳も鼻も唇も失い、後遺症で指をまっすぐ伸ばすことができなかった山崎さんの生活は苦しいものでした。

チトを伴って万年筆を売る行商をしたり、農作業をしたり、ラジオの修理を請け負ったりしてなんとか生計を立てていたそうです。


◆大阪大空襲


終戦直前に大阪大空襲に遭った時のことです。

電車が停まってしまい、歩いて帰宅途中の山崎さんとチトを機銃掃射が襲いました。

チトは山崎さんを畑の中の小屋に誘導して守った上、三里もある道を正確に誘導して自宅へと帰ったそうです。

三里といったらおよそ12Km。

歩くと3時間くらいかかる道のりです!!

体験したことがないような恐ろしい機銃掃射に遭っても、驚いて自分だけ逃げだすことなく山崎さんの命を守った千歳と、こんなにも立派な盲導犬を当時の日本で育て上げた関係者の人々に胸を打たれます。


◆東京の”ハチ公” 大阪の”千歳”


ラジオ修理の部品を買いに豊中から日本橋(大阪の電気街)まで電車を乗り継いで行く山崎さんと千歳の姿は多くの人に目撃されていました。

当時の新聞に、次のような記事が残っています。

『盲導犬”チトセ”の名は知らなくとも 大阪の街に住む人なら恐らく一度は次のような光景にぶつかっただろう。

痛々しく焼けただれた顔の白い両眼帯、色あせた戦闘帽の男が一頭のシェパードにつき添われて地下街の階段を降り、あるいは往来の激しい交差点をわたり、混雑する電車に乗り、繁華街の雑踏をぬっている光景を』(國際新聞)


『汽車や電車に乗る時などは一緒に乗り込み 席が空いていると素早くそこへ近づき大きな両脚で”ご主人サァーおかけ下さい”と引き寄せ、また座っている乗客に少しでも隙間があれば鼻で客のヒザを左右に押しのけ主人の為に席を取るという忠犬ぶり。

また主人がドア近くに立っているときは降りる客に道を空けるように主人を導き人間も及ばぬ親切さをみせている』(産業経済新聞)


千歳の責任感の強さについて、山崎さんが残した手記の中に書かれていました。

『チトが子犬を産んだ時だけは休ませなければならないので妻に案内してもらおうとしましたが、チトはグウグウと悲しげな声を出し、『子どもを見なさい』と叱るように言うと三匹の子を一ヶ所に集めてワラをかぶせ、妻を押しのけて案内役を奪いました』


そんな千歳を見た大阪の人々は、盲導犬などというものを知りませんでしたから、ただただ賢い犬だと感心して

『東京やったら忠犬はハチ公て言うてるけど、大阪には千歳いう賢い犬がおんねん』

と言っていたそうです。


●さようなら千歳


千歳は10才になる1か月前、突然体調を崩して倒れ、その翌日に息を引き取りました。

フィラリアでした。

「死なしてなるものか」

と口移しで千歳に水を飲ませ、懸命に介抱する山崎さんの願いも通じず、千歳は最期に首をもたげて別れを告げるように家族ひとりひとりの顔を見回すとグッタリして目を閉じました。

『めしいしわれを いといくれしか 愛犬は 死ぬるまぎわの きわのきわまで』

山崎さんの句です。


●千歳よ永遠に・・・


千歳の死後、山崎さんは友人に千歳をはく製にしてもらいたいと泣いて懇願しました。

「瞼に描けというが、わたしゃチトを見たことがないんだ。

何度もさわってみて体の大きさや耳の恰好、足の様子などはわかっているが、どんな眼をしているか、どんな毛並みかわからん。

どんなに賢い顔をしているか、どんな済んだ眼をしているのか。

女房や子どもの顔はみなくても、チトの顔だけは、せめて一秒でもみたかった」


最初は断った友人も、最後は根負けします。

「チトの遺骸を抱いて白い眼帯のままの両目で号泣するズンベラボーの彼の顔は生涯忘れることはない」


こうして千歳ははく製になって、今も日本盲導犬総合センターに寄贈され、富士ハーネスにいます。




山崎さんは、千歳が亡くなった後、鍼灸師の資格を取って”千歳堂”という鍼灸院を開きました。

千歳の25回忌には、「犬に?」と周囲に笑われながらも盛大な法要を営んだそうです。

その5年後、仕事中に倒れた山崎さんは、その日のうちに亡くなりました。

62才でした。


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本書には、山崎さんと千歳以外にも、たくさんの盲導犬と失明軍人たち、そして当時の日本で盲導犬を育成しようと懸命に闘っていた人々のエピソードが綴られています。

ぜひ読んでみてくださいな。



<今日のPet Hotel 11!>

みんなー、ウリだよ~~~ん♪

きょうはみんなに、他の犬のおちょくり方を
教えてあげるよ~~ん♪
いつもはボスをおちょくってるから・・・

きょうは”なつ”で遊んでみるヨ!

無視されても気にせず こーやって・・・

あきらめずに挑発しつづけるのがコツさ!

ホラ、乗って来た♪♪♪

イェーーーーイ!!追いかけてきたー!

オリャオリャーー!

(ウリくん・・・速すぎて撮れないよ(-_-;))

ヘイヘイヘーーーイ!!

みんなもやってみてね~~~!

(みんなにできることじゃないと思うよ~(笑))