2018年6月4日月曜日

置き去りにされためぐちゃんのお話①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。




ゴールデンレトリーバー「めぐちゃん」のお話をご存知の方は多いかと思います。

元飼い主と現飼い主Aさんとで争っていた裁判が結審し、元飼い主側が勝訴したとのニュースを受けて、やりきれない思いでいます。

今回は、この問題について考えてみたいと思います。


きょうはまず、この一件をご存知ない方のために、ことの発端から現在までの経緯をお話します。


【捨て犬を保護した人が訴えられて敗訴?!】


●ずぶぬれで放置されていためぐちゃん


今から5年前の2013年6月、雨上がりの井の頭公園(東京都)で、1匹のゴールデンレトリーバーが置き去りにされているところを、近くに住む主婦Aさんが保護しました。

ゴールデンの現在のお名前は「めぐちゃん」なので、以降「めぐちゃん」とさせていただきます。

めぐちゃんは口輪をはめられて短いリードで繋がれ、全身ずぶぬれでお腹は泥でひどく汚れた状態だったそうです。

口輪を自分で外そうとしたのか、鼻の上は擦り向けて出血しており、のどが渇いていたのか、口輪をはずしてあげるとお水をたくさん飲んだそうです。



●届出~飼い主さん探し


Aさんは、公園事務所と保健所、そして警察に犬を保護したことを連絡し、更にめぐちゃんが繋がれていた場所にもご自身の連絡先を記載したメモを貼っておきました。

また、FacebookやmixiといったSNSでも情報の拡散を呼びかけ、それを見た8000人以上の人たちが、飼い主を探すために迷い犬情報をシェアして強力してくれたそうです。

Aさんが、なんとかめぐちゃんが飼い主さんの元へ帰れるようにと手を尽くしておられたのが判りますね。

けれども、飼い主は現れませんでした。



●その間めぐちゃんは・・・


Aさんが飼い主探しをする間、めぐちゃんはどうしていたかというと、ずっとAさんのおうちで先住犬やご家族と一緒に暮らしていました。

Aさんは、警察や保健所に届け出をしたものの、めぐちゃんが保健所に引き渡されてしまうと、引取り手が見つからずに殺処分にされてしまう可能性が高いことを知っていたため、大型犬のめぐちゃんをご自宅で預かることにしたのです。

その時、警察も保健所もAさんに対して


「ご迷惑をおかけしますが、お願いします。助かります。」


と言っていたそうです。

その反応を見たAさんは当時、警察も保護した犬を連れて来られても困るのだろうなと思ったといいます。

実際、保護した犬を警察に連れて行っても、飼養場所の関係上、多くの場合はすぐに警察から保健所に引き渡されてしまいます。



●不可解な電話


Aさんがめぐちゃんを保護した当日、Aさんの携帯電話に不可解な電話がかかってきたそうです。

名前も名乗らない人からの番号非通知の電話でした。

内容は


「その犬は咬むから、保健所に連れて行った方が良い」


というものでした。

けれども、めぐちゃんは咬むなどもってのほか、子供にも優しいとっても穏やかな子でした。







●以前にも遺棄されていた!


Aさんはインターネットを使って飼い主探しをする中、ひとつの事実を知ることになります。

Aさんがめぐちゃんを保護する2週間前の6月7日に、やはり都内にある代々木公園に置き去りにされたゴールデンレトリーバーについて、保護した人が飼い主探しをしていた写真つきの記事を見つけたのです。

その写真に映っていたのは、間違いなくAさんが保護しているめぐちゃんでした・・・・!

2週間前にめぐちゃんを保護した人と連絡を取ることができ、Aさんは次のような情報を得ることができたそうです。


・その時は飼い主が2~3日後には現れた。

・飼い主は故意に置き去りにしたことを認めた。

・飼い主は置き去りにしたことを悔いており、二度としないと約束したので犬を引き渡した。



Aさんは、ご自身も犬を飼っておられたので、どんな理由があったとしても命ある犬の置き去りは信じられず、この事実を知ってたいへん腹立たしい気持ちになったそうです。

飼い主からの連絡がないまま1週間が経っていました。

きっとめぐちゃんは今回も置き去りにされたのだろうと確信したAさんは、もし飼い主さんが現れたとしても、簡単に引き渡しはしないと決めていました。



●拾得物の届け出


Aさんは、めぐちゃんを保護してから6日後の6月27日に警察に拾得物の書類を届け出ました。

保護した時、電話で警察とやり取りしていたAさんに、警察から書類の提出を求められることも、そういう書類があるという案内もなかったそうです。

警察は、書類がなくてもAさんがめぐちゃんを保護していることと、Aさんの連絡先を知っていたので、それでいいと考えていたのでしょうか・・・?

Aさんが正式に書類を提出したことで、3か月後の9月28日までに飼い主が現れなければ、めぐちゃんの「所有権」はAさんになるはずでした。


Aさんはその時、出産を控えていましたので、大型犬のめぐちゃんを家族として迎え入れるかを ご家族と真剣に話し合い、そして覚悟を決めて、大型犬が飼える住居を探して引っ越しまでされました。



●飼い主が現れた!


警察署から、飼い主が現れたという電話が入ったのは9月18日・・・あと10日で所有権がAさんに移るというタイミングでした。

Aさんは警察に、ご家族の気持ちや今までの経緯を伝えましたが、


「書類上は返還しなくてはならない期間内ですから返還してください」


の一点張りだったそうです・・・


Aさんは、拾ったお財布を現れた持ち主に返したくないと主張しているのではありません。

Aさんが保護していなければ保健所で殺処分になっていたかもしれない、大型犬のめぐちゃんです。


「悔しくてたまらなかった・・・!」


と、Aさんはその時の気持ちをご自身のSNSで述べておられました。



●話し合い


Aさんは、飼い主と名乗る人と何度も話し合いをしました。

(あえて、”元飼い主”と呼ばせていただきます)

元飼い主は、Facebookを見てAさんが保護していることを知っていたようでした

Aさんは、もしかしたら話を聞けば元飼い主を信頼できるかもしれない・・・めぐちゃんをどうしても探せなかった事情があったのかもしれない・・・

そんな風に考えて、置き去りにした理由や、3カ月も名乗り出なかった理由を元飼い主に尋ねたそうです。

けれども、元飼い主が語った理由はAさんにとってあまりに理不尽で納得できないものだったそうです。



●元飼い主の言い分


めぐちゃんの元飼い主の言い分は以下の通りでした。


---------------------
犬を置き去りにした時は、会社の上司と交際し同居していた。

その同居男性が犬を嫌いで、犬を公園に置き去りにしてきたのもその男性。

男性を怒らせたら職を失うかもしれなかったし、結婚話も破断になってしまうかもしれなかったので、何も言えなかった。

けれども今はその男性と別れ、元夫と再婚することになったので、また犬を飼えるようになった。

自分はその犬を家族だと思っているので返してほしい。
---------------------


うぬぬぬ・・・出ました!!


「愛犬は家族です」と言いながら、ぜんぜん犬のことを考えていない、あまりにも身勝手な飼い主です(-_-;)


Aさんは、今後の生活や飼育環境についても元飼い主に話を聞きましたが、まったく信頼できるような内容ではなかったそうです。


「2度にわたってめぐちゃんを公園に置き去りにし、3か月もの間名乗りを上げなかった上、今後の飼育環境にも不安が残るような飼い主に渡しても、めぐちゃんはまた同じ目に遭わされるかもしれない。

公園に放置した時点で、元飼い主は犬の所有権を放棄しているはずだ。」


保護してからずっとめぐちゃんに愛情を注いできたAさんは、そのような結論に至り返還を拒否することにしたそうです。



●返還請求と訴状


それからおよそ1年後の2014年10月のことです。

警察からAさんに電話がかかってきました。

元飼い主が、Aさんが犬を返してくれないと警察に訴え出た結果でした。

警察の担当者は、Aさんがめぐちゃんを保護した当時とは違う人になっていたため、Aさんは経緯を説明しました。

けれども警察は


「返還してください」


の一点張りで、話は平行線をたどるばかりでした。


元飼い主は弁護士を通じてめぐちゃんの返還を求める内容証明郵便をAさんに送ってきました。

それは、返還に応じなければ裁判を起こすという内容でした。


そして・・・その宣言どおり

めぐちゃんの返還と慰謝料(←?!)を求める訴状が元飼い主から送られてきたのは、2015年3月のことでした。



●裁判の結果


元飼い主女性は、


「犬の所有権を放棄したことはない。被告には引き渡す義務がある」


などと主張し、東京地裁は


「女性が所有権を確定的に放棄したとまでは認められない」


と判断し、Aさんは敗訴・・・!

ただちに控訴したものの、東京高裁も一審判決を支持しました・・・!


裁判所が、「元飼い主は犬の所有権を放棄していない」と判断したのは、次の理由からだそうです。


---------------------------
置き去りにしたのは交際相手の男性であること。

・元飼い主は犬が保護されたことを認識しており、犬の生命などに重大な危険がないことを知っていたこと。

・遺失物法が定める期限(3カ月)ギリギリではあるものの、元飼い主は遺失物届けを出していて、愛犬を連れ戻す行動をとったこと。

・以上のことから、元飼い主自身は愛犬を捨てておらず、飼い主としての責任も果たしていたと考えられる。
---------------------------


・・・だそーです。


裁判になる前、この件を知った人々からは、Aさんの所有権を認めてほしいとする署名が全国から64,537件も寄せられましたが、残念ながらこのような結果となってしまいました・・・








●めぐちゃんとの日々


Aさんは、


動物に対する飼い主の責任や感情には一切触れない高裁の判決文を読み、失望した」


と、上告を断念したそうです。


井の頭公園で口輪をはめられ、ずぶぬれで置き去りにされていためぐちゃんをAさんが保護してから間もなく5年が経とうとしています。


先住犬とめぐちゃん、そして小さなお子さんの世話を一生懸命しながら、めぐちゃんの幸せを思って必死で裁判を争ってきたAさんに対して、元飼い主からは今年の4月下旬に


「早く犬を返して」


という内容証明が送られてきたそうです。


この件に関して取材をしていた記者が、元飼い主に取材を申し込んだところ


「取材には応じられない」


との回答が返ってきたそうです。




血が出るほどくちびるを噛み締めつつ、次回につづきます。






<今日のPet Hotel 11!>

チャコ「ねえねえ、なつぅ~~!ワタシね、すごい
ことを発見しちゃった~!」
なつ「ん?」

L兄・・・カワイイでしょ~?

すっごく優しそうでしょ~?

同じくトイプーのL弟も・・・カワイイでしょ~?

あははー!笑ってるぅ~♪

でも・・・シュナウザーのRちゃんを見てよ!
これなんか、すっごく可愛く甘えてるんだけど・・・
イタズラそうな顔してるでしょーー!?

これも・・・どうみてもじゃりン子チエでしょー?!

Sくんだって、とっても大人しくて優しいのに・・・

一番甘えた顔がコレだもん (;'∀')
コワイっつーーの!(笑)

どうしてだと思う~?
あれ?なつ?なつーーー?!

なつは、チャコの長話に付き合っていられなくて、
とっくにクーラーの効いたお部屋で涼んでるよー(-_-;)








2018年6月3日日曜日

その虫除け、本当に安全?!

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





暑くなりましたねぇ~~!

来ますヨ、夏がーー!!



なつ「ん?呼んだ?」
・・・呼んでません (;'∀') 迫力すごすぎっ!!



日本の夏はワンちゃんと飼い主さんにとってかなりハード。

熱中症や、激熱アスファルトによる肉球ヤケドの対策と併せて、あの憎たらしい「蚊」ダニへの対策が不可欠ですね(-_-;)


つい先日のこと、お客様から虫よけ対策に関して、とっても怖いお話を聞きました。


【安全で虫よけ効果があるというハッカ油だけど・・・】


●Aさんのお話


Aさんは、室内犬を2匹飼っておられます。


「今年もこの季節がやってきてしまった・・・

世界で一番キライな”ムカデ”対策をどうしようか・・・

強力殺虫剤を使いたいところだけれど、ワンコたちへの影響が心配だしなぁ・・・」


そう悩んでおられたところに、


「虫よけにハッカ油がいい。もちろんムカデにも効果あり!」


という耳より情報をゲットされ、さっそくお部屋でハッカのアロマオイルを焚いてみられたそうです。


すると・・・

ワンコがゲエゲエ嘔吐をしたとゆーではありませんか!!

慌てて獣医さんに連れて行き、


「センセ、ワンコはハッカ油が苦手なんでしょーか?」


と訊くと


「苦手ってゆーか、死んじゃうからっ!」


と言われたそーな・・・(;´Д`)



●どのくらいキケンなの?


実際、どのくらいキケンかはハッキリ言えないとキッパリ申し上げておきます(←ぜんぜんキッパリしてないぢゃ~ん)

ワンちゃんの体質や体調、アロマオイルの品質、濃度などにもよりますが、報告されている副作用として、


肝機能障害・嘔吐・嗜眠(眠ったように外部の刺激に反応しなくなる状態)


などがあるようです。

使用の仕方によってはぜんぜん大丈夫なワンちゃんも多いので、むしろ「ワンちゃんにとって安心安全な虫よけ」としてハッカ油が紹介されているサイトや文献も多くありますが、わたしはお薦めしていません


参考サイト:Is Peppermint Oil Safe For Dogs And Does It Kill Or Repel Fleas?



●犬はハッカの匂いが大嫌い


そもそも、ワンちゃんたちはハッカの匂いが大嫌いです。

人間の1000~1億倍といわれる嗅覚をもつワンちゃんたちにとって、大嫌いな香りを嗅ぐことがどんなにストレスになるかお解りでしょうか?

アナタにも嫌いな匂いがあるでしょう?


「この匂いだけは絶対に無理っ!」


ってゆー匂いを想像してみてください。

パクチーとか、カメムシとか、生ごみとか、カエルとか、ドブ川とか・・・・・

で!その匂いが1憶倍になった空間に閉じ込められるか、あるいは、1億倍になったその匂いを体に吹き付けられるかしてごらんな~~~~~!!


オエッ!!


ってなるでしょう?


吐いちゃうでしょ?


だからぜひ、やめてあげてくださいね~~(;^_^)



●イメージに騙されない


◇人間も使用できます(食べられます)


わたしたちはつい、


「人間にも使えるほど安全です」


っていう謳い文句に乗せられがちですが、人間と犬は別の種です。

体の構造も生態も異なるわけですから、人体に安全だからといってワンちゃんにも安全とは限らないんですよ。

タマネギやチョコレート、ブドウのように、ワンちゃんに与えてはいけない人間の食べ物もありますね?


◇植物由来や自然派


商品の「決め手!」みたいな感じでよく


「植物由来で安心です♪」

「優しい自然派!」

「ボタニカル処方なので安全♪」


というキャッチフレーズがついています。

ちなみに「ボタニカル」=「植物由来」です。

こういうのを見たら、


「は?なんで?なんで植物由来だと安全で安心なの?」


ってツッコまなくてはいけません。

植物の中には、触れるとかぶれてしまうものや、口にすれば死に至る猛毒もいーっぱいあります。

大麻だって、タバコだって、トリカブトだって、みーーんな自然派で植物由来のボタニカルなんですよ~!


企業のイメージ戦略に踊らされることなく、ちゃんとワンちゃんにとって安全なものかを確認するようにしてあげてくださいね。



●お薦めしているのは


◇ヒバ水


ワンちゃんの虫よけ対策として、いつもこのブログでお薦めしているのは、ヒバ油を水道水で薄めた「ヒバ水」です。


夏の【あいつら問題】 と 【耳蒸れ問題】


ヒバ油を薄めた「ヒバ水」は、虫よけの他にも、

我が家の愛犬 チャコの皮膚病の治療や、

超長期お預かり犬 ボスの耳蒸れ対策にも

日常的に使用しておりますが、お預かりしているワンちゃん含め、ヒバ油の匂いを嫌がるワンちゃんはいません。


※ただし、催奇性があるとの説があるため、念のため妊婦さんや妊娠の可能性があるワンちゃんへの使用はおやめください。





◇サマーカットにしない


それと、元々スムースの被毛を持った子は仕方ないとして、わざわざ被毛を短く刈り込む”サマーカット”にしないこと。

フワフワの被毛は蚊にとっては難敵です。

それを刈ってしまうのは、もはや


「いらはいいらは~~い!ウマい血ぃ~ありまっせ~~!吸い放題~~♪」


と、蚊を呼び込みしているようなものです(-_-;)

(熱中症対策としてもサマーカットはお薦めしません)


サマーカットは誰のため?





<今日のPet Hotel 11!>

L弟くん、そ・・・そんなウルウルした目で見たって
なんにもあげないからーー!!

L兄くんのこの角度がたまらなく好き♪

おかあさ~ん、楽しんでるから心配しないでね~!
Sくん&Rちゃんは、なんだかんだでやっぱり仲良し♪

大きなEくんと小さなSくんは、すごく気が合ったみたい

お水を飲むのも一緒だよ~!

おいかけっこしよーぜ~~~!
男の子軍団、よく遊んだねー(^▽^)

L弟「Sくんの飼い主さーん!大変ですヨ!
こーんなに真っ黒になってますヨ!」

シーーッ!ちゃんと綺麗にしておくから・・・(;'∀')

ちょーーーーー遊んだっ!!

ホントだね~。またおいでね!(^▽^)/

ボス「ねーねーチャコぉ~、なにしてんのぉ~?」
・・・キミこそ何してんの(-_-;)

・・・ホラ、すぐにチャコがマネする・・・(-_-;)
「緊張感」ゼロ

Mちゃん「ねえねえ、なんで変顔してる写真ばっかり
使うわけ~?」
・・・だって・・・たまんなく可愛いんだもん(笑)

Rちゃんの後ろ姿が、プーさんのお友達のイーヨーに
見えてしまう・・・

沖合に見える客船は、イタリアの
「コスタ ロマンチカ」っていうお舟なんだってさー!











2018年6月2日土曜日

「ペットは家族か?」という論争について

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回お話したシリーズ「命の尊厳について」の中で、シロちゃんの飼い主さんのお言葉をご紹介しました。


命の尊厳について②


その中で、次のような表現に違和感を感じた飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?


「私は”ペットは家族”というくくりに違和感を感じています。

人のように扱うのも考え物だと・・・

ペットは人にとって趣味です。

趣味だから、楽しまなくちゃダメなんです。

趣味だから、他人に迷惑をかけてはいけないんです。




【ペットは家族か?という論争について】


●よく見かける論争


はじめに言ってしまうと、わたしはシロちゃんの飼い主さんの「ペットは趣味です」という言葉にまったく違和感を感じませんでしたし、「ペットは家族ではなくあくまでペットです」という人にも不快感を抱きません。

では「ペットは家族です」とか「ペットは我が子です」という人の言葉に違和感を感じるかというと、それもまったくありません。

けれども、ネット上では双方の言い分を掲げた人同士の論争や、ひどい時は”ののしり合い”を目にすることが頻繁にあることを知り、ちょっと驚いています。


●双方の言い分


実際、ネット上で「ペットは家族」と検索すると、そういった論争を数多く見つけることができました。

それぞれの言い分をまとめると、だいたい次のような感じです。


◇ペットは家族派


・そもそも「ペット」という表現が許せない。

・「ペット」と「主人」という考え方はおかしい。上下関係ではなくもっと強い絆と愛情で繋がっているのだから「家族」

・「ごはん」ではなく「エサ」といわれるとイヤな気持ちになる。

・もし愛犬がいなくなったら生きていけないほどショックだから「ペット」とかいう軽い表現では足りない。やっぱり「家族」であり「我が子」

・愛犬に無償の愛を注いでいるし、愛犬も無償の愛で返してくれる。これを「家族」と呼んで何が悪いの?

・「犬は家族ではない」って言う人は冷たい。


◇ペットは家族ではない派


・愛犬を「ウチの子」とか「我が子」と呼んだり、飼い主を「〇〇ちゃんママ」と呼んだりするのに違和感を覚える。

・すごく愛しているし大切に思っているけど家族とは違う。動物は動物。

・犬なのに「オスですか メスですか?」と訊いて「女の子です!」って不快そうな顔をするような人はおかしいと思う。

・「我が子」とか「家族」って言われている犬って、犬らしさを認めてもらえてない感じがして可哀想に思う。

・「犬は家族だ」って言う人は気持ち悪い。



●どっちでもいい~


個人的には、人それぞれ考え方や好みが違うのだから、どういう表現を使おうがいいではないか?!

なぜ、そんなにも自分と違う意見の人が憎くてたまらないのだろう?

・・・・と、そちらの方にむしろ興味がいってしまうのです。


シロちゃんの飼い主さんが


「ペットは趣味だからね」


と仰ると、周囲の人は大抵「黙ってしまう」のだそうです。

なんとなく、その時の雰囲気が目に浮かぶようですね(笑)

想像するに、シロちゃんの飼い主さんのこの発言は「ペットは家族」と思っている人から軽く「引かれている」という感じなのだろうと思います。


じゃあ、そういう人たちが


「シロちゃんの飼い主さんは『ペットは趣味』なんて言っているのよ~!シロちゃんが可哀想!シロちゃんを救出してあげましょう!」


ってなるかというと、そんなことはないんだと思います。

むしろ、シロちゃんの飼い主さんはシロちゃんをとても可愛がっていますしね。


ただ、お互いになんとな~~く


「あんまり仲良くなれる気がしない」


そんな風に感じてしまっているかもしれません。



●愛情の違いではない


愛犬のことを「私の可愛い娘」と呼び、愛情をたくさん注いでいる人もいますし、

「私の可愛い娘」と呼びながら、ろくに世話をしていない人もいます。

愛犬のことを「このバカ犬」と呼び、ろくに世話をしていない人もいますし、

「このバカ犬」と呼びながら、愛情をたくさん注いでいる人もいます。



Pet Hotel 11!を利用して下さる飼い主さんの中にも


「ウチのバカ犬、エサの食い付きが悪いでしょう?排泄が外でしかできないのでご迷惑をおかけしますねぇ~!」


という表現をされる飼い主さんがいらっしゃる一方で、


「ウチの息子、ごはんをあまり食べてくれないんです。ウンチとチッチはお外でしかできません。すみませんがお外に出たそうにしていたら連れ出してくれます?」


という表現をされる飼い主さんもいらっしゃいますが、いずれもワンちゃんへの愛情はたっぷりです。


つまり、「ペットは家族」だと言うか「ペットは家族ではない」と言うかは、「愛犬を大切にしているかどうかとはまったく無関係」だろうということです。



●じゃあ、何が違うの?


これはまったく個人的な考えなのですが、「ペットは家族」という人と「ペットは家族ではない」という人の差は・・・


価値観の差・表現方法の差・感性の差・物の見方の差


といったことに過ぎないと思っています。

「・・・といったことに過ぎない」と言っても、たとえば「価値観の差」によって離婚する夫婦も多いわけですし、こういったことは人間づきあいをする上では決して無視できないことですね。

こういったことが似通っていると、多くの点で共感できたり お話が弾んだりして


「仲良くなれそう~♪」


となるのでしょうし、逆の場合は


「気が合わなそう~・・・」


となるのではないでしょうか?



●物の見方の差


特に、「ペットは家族」という表現方法を使う人と「ペットは家族ではない」という人の間で大きく違うように感じるのは「物の見方の差」です。

「ペットは家族」と仰る方は、物事を主観的、感情的に見る傾向があって、


「誰がなんと言おうが、私にとってこの子は家族なんだから、他の人からもそう思ってもらいたい」


という気持ちなのではないかと思います。

一方、「ペットは家族ではない」と仰る方は、物事を客観的、論理的に見る傾向があって、


「自分にとってはかけがえのない存在だけど、犬を苦手な人もいるのだし、対外的に『家族』とまで言うのはちょっと違う気がする」


という論理なのではないかと思います。


シロちゃんの飼い主さんが「ペットは趣味」とあえて表現されているのは、大変現実的に物事をとらえた結果なのだと思います。


・ペットは経済的にも時間にもある程度の余裕がある人でなくてはキチンと世話をすることができないから、そういう意味で”趣味”という位置づけにある。

・上記のキャパを超えて「可哀想だから」などという情だけで手を出すとかえって犬を可哀想な目に遭わせるし、他人にも迷惑をかけることになる。

・”趣味”・・・つまり、自分の好きでやっていることだと考えれば、それは”楽しむべきもの”。だから、ペットを飼うに当たって無理をしすぎて不平や愚痴をこぼすのは本末転倒。


・・・と、そういう意味で「ペットは趣味」と仰っているのだと私は解釈しました。

いずれにせよ結果的に、それで飼い主さんもシロちゃんもとても幸せに暮らしているのだから、それでイイではないですか♪



●みんな違ってみんないい!


自分と違う価値観や表現方法を持った相手をまったく受け入れたり許容したりすることができずに、激しく攻撃してしまうの様子は、見ていてとても悲しくなります。

きっと、人間はそういう生き物で、だから戦争が絶えることがないのでしょう。


違いを認められない許容範囲の狭さは差別を生み、差別は憎しみを生み、憎しみは戦争を生みます。

わたしたちひとりひとりが、自分と違う価値観や感性を持ち、自分と違う表現方法や物の見方をする人を認められるようになれば、戦争はなくなるように思うのですが・・・そんな日は来ないのでしょうかねぇ~・・・



●余談(映画のご紹介)


ワンちゃんとはまったく関係のない映画ですが、差別や偏見をテーマにした映画をご紹介しておきます。

邦題は「チョコレートドーナツ」
原題は「ANY DAY NOW」(訳:いつの日にか)

という映画です。

「あるゲイカップルが、育児放棄されたダウン症の男の子と心を通わせ、養子にして家族になろうとするも・・・・・」

っていうような内容です。

好き嫌いや賛否は色々でしょうけれど、考えさせられることがいっぱいある映画だと思っています。


劇中の主人公のセリフをひとつご紹介しておきます。


「何の問題を話しているんですか?!

我々が同性愛かどうかではなく、

子供の話しをしよう。」







●最後に・・・犬たちからひとこと


「あのさあ・・・

言葉の違いなんか、

ホントにまったく

ど~~~~~でもいいよっ!

『ゴハン』でも『エサ』でもなんでもいいから・・・

早くチョーダイ!!!!」



・・・だそーですヨ!(笑)





<今日のPet Hotel 11!>

Eくんで~~~す!
ボール大好きすぎまーーーす!

今日もいいお天気♪

Mくんですっ!
みんなに漢字を教えてあげるね♪

「水」!!

「水」!!!

L弟&Mくん「ボクたち、すっごく仲良しになったんだー!」
楽しかったね!Mくん、またおいでね~(^▽^)/

Mちゃんですけど・・・
わかってるのよ。どうせ・・・

「ゴマフアザラシの赤ちゃんだ~!」って
喜ぶんでしょ?
ば・・・バレた~~?(;'∀')汗

Sくんでーす!
すぐにみんなと仲良しになれたよっ♪
(さすが、1才未満は適応力が高いね~!)

L兄「あ、今ちょっと忙しいのです」

L弟「兄ちゃんがあのボールにハマって
ぜんぜん遊んでくれないんだ(タメイキ)」

夕方のおさんぽ
大きなEくんはいーーっぱい歩きました!

若いSくんだって負けずにいーーっぱい歩いたヨ!

夜になってSくんと・・・

Rちゃんがきてくれたヨ!
(Rちゃん・・・お顔が見えないよ・・・)

チャコ「ん・・・?なんだ?」

「なんだコレ?」
カニ「こ・・・こっち来るなーーーーっ!」

チャコ・・・あぶなーーーーいっ!!(;'∀')

(この後、お鼻をはさまれて、カニさんは
宙を舞いました 笑)










2018年6月1日金曜日

命の尊厳について(最終回)

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回ブログのつづきです。


犬たちは「現実を受け止め今を懸命に生きようとしている=ポジティブ」な生き物・・・

だから、飼い主さんも現実を受け止め今を懸命に生きなくては、ワンちゃんのよきリーダーにはなれないとお話してきました。


さて、ここからやっと「命の尊厳について」という今回のタイトルにかかわるお話をさせていただきます。



【ポジティブな飼い主さんたち】


●飼い主さんのお言葉から


ご紹介してきたおふたりの飼い主さんのお言葉を振り返ってみましょう。


人の手に”預ける”ということは、”命をまるごと預ける”ことだと思っています。

Kの命をお預けした以上、何が起きてもそれはわたしたちの責任です。

そして・・・もし、万が一のことがあったとしても、それは大変つらく悲しいことではありますが、それがKの運命というか・・・仕方のないことなのだと思っています。」
(Kちゃんの飼い主さん)



「私、もしもお泊り中にシロちゃんが死んじゃってもぜんぜん大丈夫ですから♪

もうシロちゃんは1回死んじゃったようなものなんです。

今は第2のオマケの犬生」
(シロちゃんの飼い主さん)




◇命を粗末にしている?


おふたりのこういったお言葉は、それだけを切り取ると


「愛犬が死んでも構わない」


という風に聞こえて、


「命を粗末にしている」


と受け取ってしまう方がいらっしゃるかもしれません。

けれども、それは大きな大きな大間違いです!

客観的に見て、おふたりの飼い主さんはどちらもむしろ、大変愛情深い方です。


Kちゃんもシロちゃんも、心無い人間に捨てられた子たちです。

どちらも今の飼い主さんに引き取られた時には既に7~8才というシニアの入り口で、可愛くて飼いやすいパピーちゃんではありませんでした。

辛い過去を背負っていて扱いが難しいことが予想されるKちゃんやシロちゃんのような子たちを、命を粗末にするような人がわざわざ引き取るでしょーか?



元狩猟犬のKちゃんは、当初「フィラリア陽性」だったため、長い間治療を必要としていましたし、その後も胸にシコリができて切除手術をしています。

今回の胃捻転では、獣医さんから


「手術が成功してももう年齢的に長くは生きられないかもしれない」


と告げられたにもかかわらず、飼い主さんは


「Kが助かる可能性が少しでもあるのなら、どんな処置でも”やってみる”という方向でお願いしたいです。

たとえ、それ(麻酔や手術)によってKが戻らなかったとしても、諦めるのではなくて生きる可能性に賭けたいと思います」


と仰り、Kちゃんは手術をしてもらって元気になりました。

Kちゃんを引き取られてから現在まで、飼い主さんが大変な金額をKちゃんの医療費としてご負担されていることは想像に難くありませんね。


最後の胃捻転の医療費だけでも30万円以上かかりましたが、飼い主さんは


「私たち、しばらく”塩かけご飯”しか食べられませんね~」


と明るく笑っていらっしゃいました。



シロちゃんの飼い主さんは、手作りフード+ドライフード(熱湯をかけて、すっかり冷めるまでふやかしたもの)をシロちゃんにあげています。

高齢のシロちゃんに対する愛情がヒシヒシと感じられるレシピですね。



いずれの飼い主さんも、愛犬の命を粗末にするどころか、少しでも健康で長生きしてほしいと願っていることは明らかでしょう?



●命の尊厳とは


苦労することがわかった上で、わざわざ捨て犬を引取り、少しでも長生きしてほしいと手間もお金も惜しまないような飼い主さんたちが、異口同音に


「もしもペットホテルに預けている間にウチの子が死んでしまったとしても仕方ないこと」


と仰っているのはどういう意味でしょうか?

わたしは、このおふたりの姿勢こそまさしく、


「現実を受け止め今を懸命に生きようとしているポジティブな姿勢」に他ならないと思うんです。


全ての生きとし生けるものは、生まれた瞬間から「死」に向かっています。

永遠の命を与えられた生物は存在しません。


その現実を冷静に受け止められているおふたりの飼い主さんたちからは、愛犬の「死」に対する恐れや嘆きが一切感じられないのです。



愛犬の「死」は必ずいつか来たるべきもの。

だからこそ、「その日」が来るまで「今」を共に懸命に生きたい。


愛犬の「死」は必ずいつか来たるべきもの。

だからこそ、「死」を案ずることで「今」を浪費したくない。


愛犬の「死」は必ずいつか来たるべきもの。

だからこそ、たった1度きりの「犬生」を、「その日」がいつ来ても後悔しないものにしたい。


それこそが「命の尊厳」を大切にするということ。



そんな、おふたりの「死」を大前提とした「心意気」のようなものを、わたしはヒシヒシと感じました。

おふたりの飼い主さんはきっと、ワンちゃんたちの「命」を神様から”預かっている”という感覚に近いものをお持ちなのではないかと思いました。

けっして、愛犬の「命」をご自身の「所有物」のように思う奢りがないのでしょう。


その潔いばかりにポジティブなリーダー像を、わたしは美しいと感じましたし、そんな飼い主さんの慈しみを受けているワンちゃんたちを、本当に幸せだろうと感じたのです。



そうそう、シロちゃんの飼い主さんが、シロちゃんのことを「保護した」とは仰らずに「拾った子」と表現されていましたね。

それはきっと、今現在「ヨボヨボの捨て犬 シロちゃん」(飼い主さんのお言葉のまま)と過ごす日々を、飼い主さんご自身が心の底から


「本当にシロちゃんはいい拾い物だった♪」


と感じられるような生活を毎日送っておられるからなのだと、わたしはそう解釈しました。



ちなみに、明石家さんまさんの座右の銘は


「生きてるだけで丸儲け」


だそーです。

けっこう深いぞと(笑)





<今日のPet Hotel 11!>

やった~晴れたよ~~♪
Mくん・・・顔かお!溶けてるよ (;'∀')

L弟「家政婦は見た!」

L弟「なんちゃって~~~!」
L兄「つまんないぞ~~~!」
L弟「あい・・・」

昨日雨で遊べなかった分までたっぷり遊んで・・・

日陰で休憩~~

こらこらチャコ!
日なたで寝てると干物になっちゃうよー!

なつ「あっち~~~~!」
だから日陰に行きなさいってば (-_-;)