前回ブログのつづきです。
【印象に残った飼い主さんのお話(その2)】
●白(シロ)ちゃんの飼い主さん
◇拾った子
シロちゃんは、トイプーの女の子で年齢は10才くらいです。
※飼い主さんのお許しがありましたので、ワンちゃんのお名前をオープンにさせていただきます。
初めて飼い主さんからお電話をいただいた時、とっても明るい声で飼い主さんが次のようにおっしゃったのがとても印象的でした。
「拾った子なんです!でもとっても大切にしているんです♪」
「保護した子」ではなく「拾った子」という言葉をチョイスされていたのが印象的だったのですが、飼い主さんがあえて「拾った子」とおっしゃった意味は、後になって解った気がしました。
◇死んじゃっても大丈夫です
もうひとつ印象的だったのは、事前面談にシロちゃんと一緒にお越しくださった時に飼い主さんがおっしゃっていた次のお言葉です。
「私、もしもお泊り中にシロちゃんが死んじゃってもぜんぜん大丈夫ですから♪
もうシロちゃんは1回死んじゃったようなものなんです。
今は第2のオマケの犬生なんだもんね~~!(シロちゃんに向かって)」
ケロリと明るい様子でこんな風におっしゃるシロちゃんの飼い主さんなのでした。
上記は、高齢のワンちゃんをお預かりする際に、飼い主さんに通常の規約とは別に署名いただいている次の書類にサインをいただいた時に飼い主さんがおっしゃったお言葉です。
「高齢ワンちゃんの飼い主さまへ」
決して楽しい内容が書かれた書類ではありませんので、わたしたちもサインをいただくのは心苦しいのですが、言いにくいことでもお伝えしておくべきことはハッキリお伝えするのが、大事なお仕事のひとつだと思っています。
幸い、今までこの書類を見てサインを拒否する飼い主さんはいらっしゃいませんでしたし、みなさん真剣にお読みくださり、
「はい、わかりました」
とか
「そうですよねぇ~~・・・ナットクしました」
などと言ってサインして下さるのですが、シロちゃんの飼い主さんのように明るく
「死んじゃってもぜんぜん大丈夫です♪」
なんておっしゃる飼い主さんは初めてでした。
◇白(シロ)ちゃんというお名前
シロちゃんは薄茶色の毛色をしています。
白くないシロちゃん(笑) |
わたしは飼い主さんに
「どうして白くないのにシロちゃんというお名前にしたんですか?」
と尋ねました。
すると飼い主さんは
「拾った時、もっともっと真っ黒に汚れてたんです。
お風呂に入れてあげたら、ワーー!白くなったねー!って・・・
これでも白くなったんですよ(笑)
それに・・・
もしかすると飼い主が現れるかもしれなかったので、あまり考え抜いて名前をつけてしまうと情がうつるといけないと思って・・・
それで白ちゃんにしました!」
◇飼い主探しはしない
シロちゃんは、飼い主さんのおうちの前をひとりぼっちで歩いていたところを見つけてもらい、おうちに連れて帰ってもらいました。
シロちゃんの毛はモジャモジャボーボーで、酷く汚れていたそうです。
もし迷子なら飼い主さんが心配して探しているはずですから、もちろん警察などに届け出をしましたが、結局元飼い主さんは現れなかったそうです。
いきさつを知っている人には何度か
「飼い主は見つかった?」
と尋ねられたそうですが、シロちゃんの飼い主さんは次のように答えられたそうです。
「飼い主なんて探してないよ。
必要な届出はしてあるし、私が探すことはないと思う。
この子を一生懸命探してくれる飼い主じゃなければ返してあげないつもり。」
◇シロちゃんの過去
シロちゃんは獣医さんの見立てによると”推定10才くらい”とのことでした。
けれども、後ろ脚はすでに踏ん張りが効かなくなっていて、時折横に”流れて”しまいますし、敷居のようなちょっとした段差も「ヨッコラショ・・・」という感じで通過します。
また、目はよく見えているようですが、お耳は既に聴こえていないようで、呼んでも反応はありません。
それに、シロちゃんは知らない間にウンチが出てしまいます。
そういったことから、推定年齢よりももっと上の年齢に見えるSちゃんについて、飼い主さんと
「もしかすると元繁殖犬なのかもしれませんね~」
「そうなんです。何度か出産している感じもするんですよねー」
というような会話を交わしました。
我が家の愛犬チャコも元繁殖犬で、やっぱり推定年齢4-5才と言われていながら、すぐに疲れてしまったり筋肉量が少なくて体がダラリとしていたりと、年齢よりもうんと年取って見えます。
繁殖犬は、出産を繰り返すことで体力をずいぶん使ってしまい、早くに老けてしまうのですね。
もちろん、シロちゃんの過去について判っていることは何もありませんから、これは単なる想像でしかありませんし、シロちゃんの飼い主さんは、シロちゃんの過去について気にも留めていらっしゃいません。
◇幸せです♪
飼い主さんいわく「ヨボヨボの捨て犬 シロちゃん」のことを知ると多くの人が表情を曇らせ、元飼い主のことを悪く言ったり、ご自身が知っている虐待された犬のエピソードなど、ネガティブなお話をはじめるそうです。
けれども、シロちゃんの飼い主さんは、「可哀想なヨボヨボの捨て犬」に同情して「保護してあげた」とゆー風には思っていらっしゃらないんです。
「いつかは引取り手のない犬を飼おうと思っていたんです。」
そんな飼い主さんがおうちの前でシロちゃんに出会った・・・
「ようこそ!ウチにいれば幸せだよ。
少なくともゴハンはウマいさ♪」
そんな風にして、シロちゃんとの生活が始まった・・・
「そして、シロちゃんは今 幸せそうに見えるし、私も幸せで、シロちゃんを捨てた元飼い主に感謝するほどです。」
◇ペットは趣味です
シロちゃんの飼い主さんはまた、次のようにおっしゃっています。
「私は”ペットは家族”というくくりに違和感を感じています。
人のように扱うのも考え物だと・・・
動物はみな、誇り高き生き物だと考えています。
初代の愛犬を看取った時にそう思わずにはいられませんでした。」
そして、
「ペットは人にとって趣味です。
趣味だから、楽しまなくちゃダメなんです。
趣味だから、他人に迷惑をかけてはいけないんです。
『また拾ったらどうするの?』
って訊かれることあるけど、もう拾っても飼いません。
キャパを超えれば楽しめなくなるし、他人に迷惑をかける。
私もご近所も不幸になる。
そう思っています。」
◇ヨボヨボ捨て犬 シロちゃんがもたらしたもの
「死んじゃってもいい」
とか
「ペットは趣味です」
という言葉を聴くと、シロちゃんの飼い主さんの周囲の人は大抵黙ってしまうそうです。
もしかすると、この記事を読んでいる方の中にも
「そんなっ・・・冷たいんじゃない?!」
というような感想をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
でも、シロちゃんの飼い主さんは、客観的に拝見して、とても愛情いっぱいにシロちゃんを飼っていらっしゃいます。
「ウチの〇〇チャンは大事な大事な家族で、私の生甲斐なんです」
と言いながら、事前面談を兼ねた見学をご提案すると
「ええ?面倒くさいわねぇ」
とおっしゃる飼い主さんがおられる一方で、シロちゃんの飼い主さんはお仕事の合間を縫ってちゃんと事前面談にお越しくださいましたし、お預け時に託されたシロちゃんのごはんは、ドライフード+手作りごはん。
口ではドライなことをおっしゃっていても、シロちゃんに多くの手間と時間を割いてあげているのが判りますね。
そして、なにより飼い主さんもシロちゃんも、とっても幸せそうです。
そんなシロちゃんを今の飼い主さんが引き取ったことを知ってから、ご近所の方が犬の里親ボランティアを始められたそうです。
また、ご友人の娘さんが”犬の販売方法~捨て犬が生まれる現状”に疑問を抱き、
「将来はこんな環境を改める社会活動に従事したい」
とお勉強を始められたそうです。
飼い主さんは、そんな風に周囲に変化をもたらす「ヨボヨボ捨て犬のシロちゃん」のことを
「神様からのプレゼント」
のようだと感じていらっしゃるそうです。
長くなるので、つづきはまた次回にさせてくださーい(^▽^)
<今日のPet Hotel 11!>
モカ教祖「さ~~あ、オマエたち~~!」 |
「祈りなさ~~~~~い」 なつ&チャコ「ははぁ~~~~~!」 |
ボス「お祈りごっこは終わったの?」 チャコ「うん、おわった~」 |
はじめまして、Cちゃんでーす♪ 綺麗な模様と味のある表情がチャームポイントなの |
雨が降るって!お外遊びは今のうち今のうち~! |
Cちゃんはドッグランをひたすら走り回っていました(^▽^) |
あらっ?! あなたは・・・もしや教祖さま?!(;'∀') 毛刈りの儀式を終えた教祖さまのおな~~り~~~! |
Cちゃん「ねえねえ、お祈りごっこ、ワタシもしたーい」 モカちゃん「もう飽きたの」 |
(;'∀')