2017年4月30日日曜日

あなたはそれを虐待だと思いますか?③

ケンネルクラブの犬種別【スタンダード】が、飼い主さんに

「自分の犬はこういう姿かたちであるべき」

と思わせてしまうという内容を前回書きました。

じゃあ何故わたしたち人間は犬種の【スタンダード】なるものを規定しているのでしょう?

言い換えると【スタンダード】を規定する利点とはなんでしょうか?


●区分しておくことで判りやすく話が早い

言語をメインのコミュニケーションツールとしている人間にとって『名前』というのはとても重要です。

「お宅のワンちゃんってどんなでしたっけ?」

「耳が垂れた茶色いヤツですよ」

「ああ、あの胴長で短足の?」

「短足じゃないですよっ!!」

「あらすみません。じゃああの毛が長い子でしょう?!」

「いや、短い子ですぅ~」

不便ですねぇ~~~!仕方ないから紙とペン出して絵なんか描いちゃったりなんかして・・・その絵がまたヘタクソで余計にわかんなくなっちゃったりなんかして・・・

『名前』がなければ犬種図鑑も成立しなくなりますし、インターネットで自分の飼っている犬について色々知りたくても検索ワードに何を入力すればいいかわからず困ることになりますね。


●家に迎える犬を選ぶ時の指針となる

姿かたちを【スタンダード】にしようと思えば、言い方はなんですがまぁ、交配のレシピみたいなものが決まってくるわけです。

それによって、

犬種ごとの見た目
性格や気質
好きな遊びや得意なこと
将来的にどの程度のサイズになるか?
子供とうまくやっていける可能性が高いのか?
お散歩の必要度合い
かかりやすい病気や疾患
飼育する上での注意点

などといったことが、ある程度わかります。

「犬を飼いたいけれど、どういう犬にしようかなぁ」

と思った時に、これらの情報はとても重要ですよね?
【スタンダード】がなく、雑種ばかりとなった場合、極端にいえば例えはよくありませんが、”何が入っているかよくわからない福袋”を買うような感じになってしまうかもしれません。

その結果、「思った以上に大きくなってウチでは飼えない」などということが多発しては問題です。


●ペット市場にとって都合がよい

科学者のスティーブン・ブディアンスキー氏の著書「犬の科学」(築地書館)の中で氏は「自己完結的循環商法」と呼んで、次のようなことを言っています。

犬種登録協会はまず適当な標準を作り、それに基づいてチャンピオン犬とそうでない犬との差をつける。
そして犬種標準を作った同じ人々が、実は繁殖業者であり、その標準に合った犬を繁殖する。
こうして、犬種標準に適合した犬を求める人々に、自分たちが繁殖した犬を売りつけることができる。



いかがでしょうか?利点として挙げたうちの3つめは、私などから言わせるとかなり腹立たしい利点なのですが、そうはいってもその業界で働き、家族を支えている方もいるわけです。
更に、繁殖させても売れるか売れないか判らない犬を無秩序に交配して繁殖させ、その結果、売れ残って路頭に迷うワンちゃんがたくさん出てきてしまうというのも問題です。
(現状でも、ある犬種が流行るとブリーダーが過剰にその犬種を繁殖させるという問題がありますが)

いずれにせよ、全てワンコたちの都合ではなく人間の都合というのは間違いありませんね。

長くなったので次回に続きます。

三浦海岸は浜昼顔のお花畑状態~♪