2017年4月8日土曜日

ひきこもり犬にしないで⑧

生後4週~13週ごろの【社会化期】を逃して、そのまま成長。
見事に社会性のない成犬に育ってしまいました・・・
という飼い主さんは、実にたくさんいらっしゃいます。
むしろ、【社会化期】を逃してしまったワンちゃんの方が多いくらいです。

でも、ご存じのように犬は実に対応力と柔軟性のある生き物です。
もちろん、子犬の時期とは比べ物にならないくらいの忍耐が必要ですが、飼い主さんが本気で取り組めば、ちゃーんと社会化できます。

社会化に限らず、どんな訓練でも諦めればそこでおしまいです。根気よく励ましながら、今日、今からでも遅くありません。
ぜひたくさんの経験をワンちゃんにさせてあげてください。

そして、苦手だったものを克服したり、少しでもチャレンジしようとする姿勢を見たら、あらん限りの誉め言葉をかけてあげてください。

ただし!!(ココから重要)くれぐれも、社会性のない臆病な成犬に対して、短期で結果を求めるような無理はさせないでください。
過剰なストレスから、ますますひきこもり傾向の強い、危険なワンコになってしまう可能性もあるからです。

残念ながら、著しく社会性がなく、飼い主さんでさえ何度も噛まれているだとか、他の人やワンちゃんに嚙みついてしまう。夜間に大声で吠え続けてご近所の迷惑になる・・・
といった理由で、トレーナーさんからお手上げだと言われたり、ペットホテルから受け入れを断られてしまうケースもたくさんあります。

施設側は、お預かりしている他のワンちゃんへの責任も負っているわけですから仕方ありません。

愛犬の社会化は、なんといっても飼い主さんが主体性をもって行うべきです。
まずは、飼い主さんがワンちゃんを苦手なものから遠ざけてばかりいないで、積極的に外へ連れ出し、たくさんの経験をさせ、慣れさせ、それらのことが【怖くないんだ。大丈夫なんだ】ということをワンちゃんに教えてあげてください。
それこそが、一番大切なことです。

そういう地道な努力を続けることによって、徐々にある程度の社会性は身につくはずです。
まずは、何かあった時にペットホテルに断られない程度の社会性は、最低限身につけさせてあげてください。

そうなったら、次の段階です。
それはたとえば・・・

・動物病院に何日か入院することになった
・ペットホテルに数日間預けざるを得なくなった。
・不可避の災害に遭って、一時的にどこかに預けたり、飼い主さんとは別の避難所の建屋にいなければならない事態に陥った。

などという時でも、ワンちゃん自身が必要以上にストレスを感じることなく過ごせるレベルを目指すということです。

ご近所に、信頼できるトレーナーさんやペットホテルがあれば、そういった場所を上手に利用し、預けてみるとよいでしょう。

知らない場所、知らない人、知らないワンコたち・・・
そういったものに囲まれた状況にワンちゃんを置くことに、少しずつ慣れさせます。
最初は短時間からはじめて、何回かに分けて様子を見ながら時間や日数を延ばします。

ペットホテルに預けることで、社会性をつけさせたいとお考えの場合は、

『さあ、ワンコがいないから私もおでかけしよ~っと♪』

ということはしばし我慢してください。ワンちゃんの様子によっては、2~3時間で

『そろそろ限界のようなので今回はもうお迎えに来てあげてください』

ということも考えられますから・・・

それから、以下のことに気を付けてください。

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●トレーナーさんやペットホテルのスタッフに、ワンちゃんのありのままの現状を隠さず伝えて共有しておくこと。(特に苦手なものは〇〇。怯えると粗相をするなど)

●ワンちゃんの個性に応じてきめ細かく対応し、報告してくれるお店を選び、納得いくまでスタッフさんとお話しておくこと。
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また、ペットホテルの多くは、ケージに閉じ込めっぱなしで、お散歩の時しかケージから出してもらえません。それでは社会化の意味がありませんから、事前によく内容を確かめて選んでくださいね。

この段階で一番たいせつなことは、ワンちゃん自身が、次のようなことを何度も体験することで確認し、安心できるということです。

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●たまに、飼い主さんにこういう風に知らないところに置いていかれることがある。

●でも、そこにいる人たちは優しくしてくれる。

●そして、そこでは安全に過ごせ、お散歩にも行けて、ごはんももらえ、安心して眠ることができる。

●それから・・・しばらくそこで過ごしていれば、大好きな飼い主さんは必ずちゃんと迎えにきてくれる。決して自分を見捨てたりはしない。
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幼稚園や保育園に入ったばかりの子供が、毎朝ママとのお別れの時に泣き叫んでいても、いつしかケロリとした顔で登園できるようになる・・・
それは、上記のような『安心と安全』を子供自身が身をもって知ることによって実現します。
そうなって初めて、子供たちは他の子供たちとの関わりや、ワクワクするような遊びに夢中になり、毎日を楽しむことができるようになるのです。

ワンちゃんも同じです。

成犬の社会化トレーニングの間は、とにかく『忍』『忍』でございます。
けれども、それを乗り越えた先には、ワンちゃんにとっても飼い主さんにとっても、今までとはまったく違う、すてきな毎日が待っていますよ。
ぜひ、あなたのワンちゃんの世界と可能性を広げてあげてください。

※たまに、ブログを読んで、遠方から『預けたい』とお問合せをいただくことがあります。大変ありがたいことですが、特に社会性を向上させたいという目的でペットホテルを利用させる場合は、できるだけお住まいの近くでお探しになることをお勧めしています。
その理由は、このブログをお読みいただいた方にならお解りいただけるかと思います。

今日からお泊りのチロくん。14歳のおじいちゃん。
もう目も見えず、耳も聞こえません。
不安そうです・・・3泊がんばろうね。


ドッグランの水はけ改良工事中につき、ココで我慢。
ほんの少し差す日差しを求めてグータラする2ワン
お座布を敷いてもらって
「ああ~気持ちいい~~♪」
”なつ”は猫にしか見えないな(^-^;