ご相談の内容は以下のとおりでした。
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●ワンコが、携帯のLINE受信音といった電子音が苦手なようだ。
(ワンちゃんは、元保護犬です)
●具体的には、その音を聞くと驚いてハウスに逃げ込んでしまう。
(大好きなおやつの時間でさえも・・・)
●そういう時、「大丈夫よ」と逃げないように必死に抑えてもダメ
(大型犬ですから、必死になった時のパワーは相当なものでしょう)
●そのため家では携帯の音を消し、来客にもそう頼んでいるが、うっかり消し忘れることもあり、そのたびにご主人に叱られてしまう。
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現在、飼い主さんが実践されている【回避法】に代わって、わたしがご提案したのは、【克服法】です。
実は、ご相談を受けた時、わたしは一瞬【回避法の徹底】でも構わないかな・・・と思いました。
なぜならば、件のワンちゃんは老犬です。元保護犬ということで、実際の年齢は不詳ですが、獣医さんの見立てでは既に12才ぐらいなのでは・・・?というお話を伺っていました。
その年齢になってから、あえて苦手なものを克服させる必要があるかどうか・・・このまま苦手なものから遠ざけておいて平穏に過ごさせてあげる方がワンちゃんのためかもしれない・・・というのは悩みどころです。
それでも、最終的には敢えて【克服法】をご提案したのは、
●気を付けていてもついウッカリ音を消し忘れることがある
●そのたびにご主人に叱られてしまう
というお話を伺ったからです。
ウッカリというのは、人間ならば必ずあります。
『家にいる時は携帯の音を消すってだけのことじゃない?』
と言うのは簡単ですが、毎日のことですし、バタバタと忙しい生活をしている飼い主さんにとって、しょっちゅう
『あれ?携帯の音消したっけ?』
だとか、来客に対して慌てて
『あ、すみません。携帯の音を消してください!早く早くぅ!』
などと言わなくてはならないこと自体、日常生活に小さなストレスの蓄積をもたらします。
更に、恐怖症のあるワンちゃんにとって一番まずいのは、ウッカリ音を消し忘れていて電子音が鳴り響いた時の飼い主さんの動揺そのものです。
ちょっと想像してみてください。
ピンポロパ~ン♪と音が鳴った瞬間、もちろんワンちゃんは自分の苦手な音に怯えます。
更に、音を消し忘れていた奥さんも『しまったぁっ!!』と焦り、ワンちゃんが暴れたりしないようにあわててなだめようとします。
そして、その奥さんをご主人が『なんで消し忘れるんだ?〇〇が可哀相じゃないか!』と叱ります。
だーれも悪くありませんね?
奥さんだって、わざとウッカリしたわけではありませんし、怖がるワンちゃんをなだめようとしています。
ご主人がそんな奥さんを叱るのだって、ワンちゃんへの溢れんばかりの愛情があればこそです。
けれども皮肉なことに、この場面は本犬さん側からみれば、嫌なことが3つも同時に起きてしまっているという最悪の事態なのです。(赤字で書いた部分がその3つですね)
ワンちゃんたちは、人間と違って言葉でコミュニケーションしませんから、飼い主さんがどんなに一生懸命『大丈夫よ』と言っても、実際に焦ったり慌てたりイライラしたりしていれば、その不穏な空気を察知して怯えてしまうものです。
ワンちゃんの頭の中では・・・
【あ!あのキライな音がした!そうしたら大好きな飼い主さんたちがすごく動揺したり機嫌が悪くなったりした!やっぱりあの音は不吉なこわぁ~い音なんだ・・・ブルブル・・・】
という風に、恐怖症が強化されてしまうのですね。
そういう状態であれば、飼い主さんご家族にとってもワンちゃんにとっても、このまま【回避法】を続けていくよりは、思い切って【克服法】をお勧めしようという判断だったわけです。
具体的な方法ですが、長くなるのでまた次回にします。
”ボス” つくしんぼ、食べちゃダメよぉ~! |
コラ”なつ” ダメだったらっ! |