まず自分だったら・・・と考えると、私は飼い犬が立ち耳ジャックラッセルテリアだったとしても矯正はしません。
※これはあくまで個人の見解です。
それを前提として・・・
このニュースを知った時の私の感想は以下のようなものでした。
●健康に問題がないのに不要な手術をされて可哀相に
●ありのままの姿を愛してあげることはできなかったのだろうか
●でも・・・
この『でも・・・』の部分には、可哀相だと思う一方で飼い主さんを強く責められない複雑な事情があるのです。
犬には、犬種ごとの【スタンダード】というのがあります。
この【スタンダード】ってなんだかわかりますか?
簡単に言ってしまうとケンネルクラブで認められた【正しい姿かたち】です。
ケンネルクラブ(kennel club)とは、各国においてイヌの品種の認定および犬種標準(スタンダード)の指定、ドッグショーの開催、犬の飼育の指導などを行なっている団体のことです。
ちなみに、ケネル(kennel)は英語で犬の寝る場所、犬小屋のことです。
犬種ごとの【スタンダード】については、かなり細かく『こうでなければならない』が規定されていて、たとえばジャックラッセル・テリアの耳については、以下のような規定があります。
『小さめのV字型の耳は頭の前方を向いて垂れ、多少厚みがある(地下作業で泥よけになる)立ち耳やビーグルのようなラウンド型の大きな耳は、雑交配の後が覗けるために規格外となる』
耳だけでこんなに細かいわけですねぇ~!
”日本女性”の【スタンダード】として、例えば
『頭髪の色は漆黒。毛質は艶とコシがありストレートであること。また肩甲骨よりも長くなくてはならない。くせ毛や茶色がかった髪の女性は規格外となる』
みたいなことになったとしたらテーヘンですよ!
わたしなんか間違いなく規格外の偽物扱いです( ノД`)
逆にそれに当てはまる日本人女性って何%いるのかい?オイコラ?そこに愛はあるのかい?
(ああ~犬じゃなくてよかったよかった・・・)
ジャックラッセルテリアという犬種は、フォックステリアに様々な犬種を掛け合わせて育種されたため、スタンダードをはずれた個体が多く出てきてしまう犬種です。
そのため、ケンネルクラブの認定犬種としてジャックラッセルテリアを登録していない国も数多くあります。
それに勝手に名前(犬種)をつけて区分し、ケンネルクラブに登録して【スタンダード】を規定しているのもまた人間です。
さんざん別な犬種どうしを交配させて人工的に作り出した犬種なのに、一旦ケンネルクラブに登録されてしまうといきなりもうその新種の純血種を守らないと!という状態になっているのは、犬さんたちから見たら「なにやってんだろな~人間ってバッカじゃねぇ?・・・」という感じかもしれませんね。
そうはいっても、
「あなた飼っている犬の犬種として、これが正しい姿ですよ」
なんてことを言われていたら、やはりそれに近づけたくなってしまうのかもしれません。
特にこの飼い主さんのように、ボタン耳のジャックラッセルテリアだから飼いたいと思った人や、ドッグショーに出場させたいという動機で犬を飼った人などにとっては、
「立ち耳になるジャックラッセルテリアと判っていたら飼わなかった」
という言い分もあるのでしょう。
現に、手術まではいかずとも、立ち耳をボタン耳に矯正するためのグッズは今でもたくさん売られていますし、『飼い犬の耳が立ってきたので一生懸命矯正中です!』という飼い主さんの奮闘記のようなブログや相談投稿もよく見かけます。
これは私の勝手な想像ですが、このニュースに登場する獣医さんは、もしかすると
「この家族は私が手術を拒んだとしてもきっと他の獣医に依頼するだろう。」
と思ったかもしれません。更に・・・
「この子が立ち耳のままでは、家族に愛されないのかもしれない。結果としてもっと可哀相な目に遭ってしまうのでは?」
と考えたかもしれません。
なにそれ?!ケンネルクラブの【スタンダード】なんて、要するに人間の身勝手で、諸悪の根源じゃない?それに振り回された飼い主に不必要な矯正や手術をされる犬が増えるなら、そんな制度はやめてしまえばいいのに・・・
と、言うのは簡単ですが、ケンネルクラブの犬種登録やスタンダードの規定は必ずしも害悪ばかりではないのです。
長くなるので次回につづきます。
前脚を負傷したため、大好きなお散歩はおあずけ~ |
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