2017年2月17日金曜日

狂犬病の予防接種について②

副作用のリスクもある狂犬病予防接種。
日本国内では60年以上も狂犬病の発生がないことから、近年、飼い主さんの判断で接種をさせない選択をする人が増えているようです。

けれども前回のブログで
『私は自分の犬に狂犬病の予防接種を受けさせます』
と書きました。
今回はその3つの理由をお話したいと思います。

【万万が一の場合、他人様にかける迷惑が甚大すぎるから】
狂犬病は人を含むすべての哺乳類が感染する病気です。
人に感染した場合、ただちにワクチンを接種することで発症を防ぐのですが、傷口が脳に近いと間に合わないことが多いそうです。
しかも、潜伏期間は通常1~3か月、長い場合1~2年という事例もあり、その間は感染に気付くことができません。感染に気付けないということは、ワクチン接種しないので発症を待つばかりとなってしまいますね。
「ちょっと噛まれたけどたいしたことない」
とバンドエイド貼ってチチンプイプイしておいたら1年後に・・・
ということがあるってことです!!
そして、発症してしまうと治療法はなく、けいれんや呼吸困難、麻痺などを引き起こしてほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。
感染した哺乳類から噛まれるだけでなく、傷口を舐められただけでも感染します。

愛犬に、飼い主が義務付けられた狂犬病予防接種を受けさせたら、不幸にも副作用によって命を落としてしまった・・・
それはとても悲しく、飼い主さんとしては耐えられないことです。

けれども、飼い主の義務を怠った結果、まさかまさかの60年ぶりの狂犬病日本国内発症犬第一号に愛犬がなってしまい、狂暴化した愛犬が、家族やご近所の人を次々と噛んで死に至らしめてしまった・・・
それはもう、悲しいとか耐えられないとか言っているレベルのことではありません。


②【絶対に日本に入ってこないと言い切れないから】
日本では予防接種の義務付けと水際の検疫によって長い間清浄国を保っていますが、世界から根絶された病ではなく、そればかりか海を隔てたすぐ隣の中国やバングラデシュでは毎年2000人以上が、インドなんか20000人もの人が亡くなっています。

現在、厚労省によると清浄国は日本以外にわずか7か国しかありません。
アイスランド、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、イギリス、オーストラリア、 ニュージーランドです。
どこも、周囲を海に囲まれているので、水際で食い止めやすいのが理由かな・・・と推測できますね。

実は、つい最近まで台湾も清浄国でした。やっぱり海に囲まれていますよね。
ところが、その台湾で2013年、野生動物の間で狂犬病の流行が確認されました。
ななななんと!!およそ50年ぶりにです!!!
その翌年7月までに、台湾国内の広大な地域にわたって、イタチアナグマ389頭、ジャコウネズミ1頭、犬1頭に狂犬病の発生が確認されました。
ウイルスの遺伝子情報から、実は何十年も前から台湾の野生動物の間で、流行があったことがわかったそうです。
50年も清浄国だと思われていたのに・・・

もうひとつ、やはり2013年に、スペイン西部のある州で1975年以来40年ぶりに狂犬病が発生しました。
犬種はピットブルで、2歳、6歳、12歳のお子さんと、17歳の男性が次々に噛まれました。
飼い主は危険犬種に必要なライセンスを持っておらず、ノーリードだったそうです。
その直前、愛犬と共にモロッコに滞在していたことからそこで感染した可能性が高く、更にスペイン入国の際に狂犬病予防接種の記録を改竄(かいざん)した疑いもあるということです。
40年も清浄国だったのに・・・

「だったら日本はもっと検疫を徹底すればいいんじゃないの?」
と思いますよね?私も思いました。
でもね実際、完璧な検疫なんてできないんですよ。
日本に輸入する動物という位置づけではなく、ロシアの漁船に乗組員が乗せていた犬や猫が日本の港で脱走しちゃったり、アジアの船にハクビシンが潜り込んでいて、その船が日本に漂着しちゃうとか・・・そういうことが起きちゃうんです。

【法律によって義務付けられているから】
「狂犬病の予防接種によって愛犬の命を危険にさらしたくない」←わかります。
予防接種に限らず、愛犬に降りかかるリスクはできるだけ減らしたいと私も思います。

でも・・・
「だからうちの犬には自分の判断で予防接種しない」←それはう~ん・・
法律によって義務付けられている狂犬病予防接種を自己判断で怠れば、法律違反で20万円以下の罰金対象です。

残念ながら、どうしても予防接種をしたくない場合、現状は犬を飼わないか、接種の義務付けのない国に移住するしかありません。
※後述しますが、獣医師の判断による例外はあります

最も現実的な方法は、法改正に向けたなんらかの努力をするしかないのだと思います。


長くなりましたが、以上が私が自分の犬に狂犬病の予防接種を受けさせる理由です。

現在、厚労省のデータでは、全国の狂犬病予防接種の接種率はおよそ70%ですが、これは登録されている犬についてのデータでしかなく、実際登録すら怠っている人が多いことから、本当の接種率は50%を切っていると言われています。
清浄国の状態を保つには70%以上の接種率が必要と言われていて、今の日本は、実は外来生物から狂犬病が入ってきてしまった場合、感染が一気に拡大する恐れがある、とても危険な状態にあるそうです。

最後に・・・
Facebookで前回の記事を読んでくださった方から
『家のワンコは、高齢でいろいろ病気がちになってから、かかりつけの先生が狂犬病免除の証明書を発行してくれました。
信頼できる獣医さんに相談すればリスクは回避できると思います。』
とのコメントをいただきました。

仰る通りです。抵抗力が落ちているワンちゃんで、狂犬病にかかるリスクより、予防接種をすることのリスクが高いと獣医師が判断した場合、狂犬病予防注射猶予証明書を取得することができます。
ご助言いただき、大変ありがとうございました。

それに伴って、Pet Hotel 11!の利用規約を一部変更し、狂犬病予防注射猶予証明書を取得しているワンちゃんについてもご利用対象とさせていただくことにしました。
※実際にお受けできるかは、お預かり時の健康状態によって判断させていただきます。

春一番が吹いた三浦海岸。
昨日からお預かりのゴールデンレトリバーのモモナちゃん
強風の中でも笑顔です♪