前回のブログでは、コアワクチンとノンコアワクチンについてのお話をしました。
ここからは、自分の愛犬に混合ワクチン接種を受けさせる時に
「どのくらいの頻度」で「何種のワクチンを選んで接種すべきか」
を考えるためのヒントをお話したいと思います。
【感染症について知ろう1】
●絶対予防したい感染症は?
愛犬に予防接種をする目的は、感染症にかからないようにすること。
更に、感染症を他のワンちゃんや人にうつさないようにすることですね。
ですから、飼い主さんが考えなくてはならないのは
「ウチの子はどの感染症を予防しておくべきかな?」
ということです。
そのためには、ワクチン接種で予防できるそれぞれの感染症についての知識を持っておかなくてはなりません。
●狂犬病(義務)
言うまでもなく、ワクチン接種を受けるかどうか迷うものではありません。
法律で定められている義務です。
狂犬病は日本ではもう1957年の猫の感染例以降は発症例がありません。
(海外渡航者が持ち込んだケースはあり)
けれども、同様に50年以上清浄国を保っていたお隣の台湾で2013年に大量の野生動物の感染が確認されました。
狂犬病は治療法がなく、致死率はほぼ100%。
人を含むすべての哺乳類にうつる感染症ですから、高齢や健康上の理由で獣医さんに猶予が認められている場合を除いて、必ず予防接種を受けさせましょう。
清浄国を保つ条件は、全体の70%以上が予防接種をしていることだと言われていますが、現在の日本の接種率は40パーセント程度だと言われていて、60年ぶりの1頭が出現したらアっという間に感染が広がる恐れがある大変危険な状態です。
●犬ジステンパーウイルス感染症
(任意接種 コアワクチン)
義務ではありませんが、任意接種の中でもコアワクチンに位置づけられていることからもわかるように、ぜひ予防したい感染症のひとつです。
特に、免疫力のない子犬や老犬は感染すると重篤化して命に直結する病です。
◇症状
目やに、鼻水、40℃以上の高熱、食欲減退、グッタリするなど。
↓
咳やクシャミ(呼吸器症状)、嘔吐や下痢(消化器症状)
↓
ウイルスが神経系に侵入すると脳脊髄炎、麻痺や痙攣(けいれん)、運動失調などの神経症状
その他、脈絡網膜炎や網膜剥離、視神経炎による失明や化膿性皮膚炎、鼻やパッドの角化(ハードパッド)などの症状が見られることもあります。
ジステンパーが急激に進行した場合は命にかかわりますし、運よく回復しても後遺症が残るリスクもあります。
◇感染
飛沫感染(感染した犬のクシャミや咳で空気中に飛散したウイルスで感染)
接触感染(感染した犬の目やにや鼻水、唾液、糞尿に接触することで感染)
◇治療
有効な治療薬はなく、対処療法が中心となります。
●犬パルボウイルス感染症
(任意接種 コアワクチン)
やはりコアワクチンですから、ぜひとも予防しておきたい感染症です。
◇症状
激しい下痢や下血(血便)、嘔吐、食欲減退、発熱、グッタリする。
激しい下痢と嘔吐のため脱水症を伴うことが多く、ショック状態を起こして急死してしまうこともあります。
消化器症状による急死の他にも、心筋炎や敗血症による急死の例もあります。
感染した犬が妊娠中の場合は流産や死産となることがほとんど。
◇感染
感染した犬の糞尿や嘔吐物、食器の使いまわしによる接触感染です。
感染した犬に触れた後で、手や衣服を消毒しないで他の犬に接触すると感染することもあります。
パルボウイルスは感染力が強い上に、非常にしぶとく、自然界で半年~1年はそのままの状態で生存できると言われています。
万一、感染症を出した場合は、接触したすべての物の徹底的な消毒が必要になりますし、他に犬がいる場合は完全に隔離しなくてはなりません。
◇治療
有効な治療薬はありません。
症状を緩和させる処置が施されるのみです。
●犬伝染性肝炎
(任意接種 コアワクチン)
コアワクチンとなっている犬アデノウイルスⅠ型(CAV-1)の感染によって引き起こされる病気です。
<症状>
肝臓に炎症が起こり、嘔吐、発熱、下痢、腹痛。
軽度で済む場合は軽い発熱と鼻水程度で済むこともありますが、重症化すると肝臓の機能不全を起こし、肝性脳症や低血糖からくる神経症状(虚脱、昏迷、昏睡、痙攣発作など)や、出血傾向(皮膚出血、鼻血、下血など)が見られ、脳炎が起こることもあります。
特にワクチン未接種の子犬が感染した場合は、死亡例が多いです。
また、他の感染症との合併によって致死率が高くなります。
<感染>
感染した犬の分泌物(涙、鼻水、唾液、糞尿など)を舐めたり、ウイルスに汚染された食器の使用で感染します。
アデノウイルスⅠ型は生命力が強く、回復した犬の尿中に少なくとも6〜9ヵ月排泄されて、他の犬にうつす可能性があります。
<治療>
有効な治療薬はありません。
点滴や輸血、食事療法によって肝臓の機能回復まで対処療法を続けることになります。
●犬アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
(任意接種 コアワクチン?)
「コアワクチン?」とクエスチョンマークをつけたのには理由があります。
後で説明しますね~。
先に述べた犬伝染性肝炎と同じ属に属する犬アデノウイルス(CAV)によって起こるウイルス性の感染症で、犬アデノウイルスⅡ型(CAV-2)を原因としています。
<症状>
クシャミ、咳、鼻水などといった俗にいう風邪の症状です。
感染しても目立った症状を示さずに治ってしまうことも多く、気づかない飼い主さんもいます。
<感染>
アデノウィルスですから、ウィルスの感染力も生命力も強いのですが、感染しても重篤化したり死に至ることは少ないです。
犬伝染性肝炎と同様、感染した犬の分泌物・排泄物との接触や感染した犬の咳やくしゃみ、鼻水などの飛沫物によって感染します。
「ケンネルコフ」と呼ばれる「犬のカゼ」の病原体の一つと考えられています。
<治療>
感染力は高いものの致死率が低いことから二次感染予防のために抗生物質投与や点滴などの対症療法が中心です。----------------------
ココまでご紹介した感染症が、いわゆるコアワクチンの接種によって予防できます。
コアワクチンは
狂犬病(義務)
ジステンパー(任意)
パルボ(任意)
アデノ(任意)
でしたね?
最後のアデノウィルスについては、
アデノⅠ型に感染する → 犬伝染性肝炎
アデノⅡ型に感染する → 犬伝染性喉頭気管支炎
と覚えてください。
合併症さえ起こさなければ、「ちょっと鼻水出てんな~」って思っているうちに治っちゃう感じの犬伝染性喉頭気管支炎の原因になるアデノⅡ型がコアワクチン入りしているのは意外ですよね?
ところが、アデノⅡ型を接種しておくことで、犬伝染性肝炎と犬伝染性喉頭気管支炎のどちらも予防できることが判っています。
つまり、アデノⅡ型ワクチン接種によって抗体ができると、アデノⅠ型の感染も防げちゃうってことなんですね。
長くなってしまいました。
つづきはまた次回のブログで~~~!
<今日のPet Hotel 11!>
虫さんを狙う”なつ” |
ボール遊びに顔がゆるんじゃうボス |
草ばっかり食べて叱られてもスットボケてるチャコ |
午後から雨だっていうから お庭を堪能中~~♪ |
お、お!誰か来たヨ♪ |
「Hちゃんきたのっ!!またきたのっ!!」 いらっしゃ~~い(^▽^)/ |
あ、ど~~も~~ Mくんです。 ボクもまたきちゃいました~♪ |
早速ボールの取り合いでドタバタ!! チャコはしっかりクマさんのオモチャを確保(笑) |
Hちゃんは、ここから見てるの~~~♪ |