前回記事からのつづきです。
犬の問題行動の原因を考える際の大前提は次の2つ。
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① 犬には何の落ち度もない。
② 犬が問題行動を起こす原因の多くは飼い主にあるが、原因の全てが飼い主にあるわけではない。
<問題行動の原因>
◇ 飼い主の問題
◇ 犬側の問題(犬にはまったく非がありません)
◇ 飼い主以外のすべての人間の問題
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前回までの記事では、問題行動の原因ひとつめ「飼い主の問題」ついてお話しました。
今日は「問題行動の原因」のふたつめ「犬側の問題」についてです。
※説明を解りやすくするため、「問題行動の原因」の順序と表記を一部変更しました。
【犬側の問題①】
●犬も飼い主も悪くないのに・・・
しつこいようですが、「犬側の問題」といっても、犬にはまったく落ち度はありません。
では、犬にはまったく落ち度がない「犬側の問題」とは一体なんなのでしょう?
前回のブログでご紹介した、犬猫の問題行動専門家で、「犬と猫の行動学―問題行動の理論と実際」の著者 ヴァレリー・オーファレル女史は、別の著書の中で次のように語っています。
「問題犬を飼っている飼い主の方に落ち度があるに違いない。
悲しいかな、これが現実であり、同時にまた神話でもある」
(バレリー・オーファレル著「プロブレムドッグ」より)
また、英国式の犬の訓練士 バーバラ・ウッドハウスは、著書「No Bad Dogs(ダメな犬はいない)」の中で、次のように語っています。
「犬の問題行動の全てが、飼い主の能力不足で説明できるわけではありません。」
更に、ペンシルバニア大学獣医学部付属動物病院の獣医師カレン・オーバーオール女史は、自らが行動クリニックで犬の問題行動に関わってきた立場から、著書「動物行動医学」の中で、
「問題行動を起こすペットの多くは、しつけが誤っているのではなく、実際に異常があったり問題を引き起こしている器質的(先天的)な原因があった。
こうした先天的な要因に対しては、今後薬理学の分野が台頭するのではないか。」
と語っておられます。
つまり、問題行動の原因のひとつには、
「飼い主にも犬にも落ち度がない、犬側の抱える先天的または後天的な要因がある」
ということです。
●しつけでは解決できない問題行動がある
「犬の問題行動の責任は100%飼い主にある」
と断言している人にとっては理解し難いことかもしれませんが、しつけでは解決できない犬の問題行動が現に存在します。
・・・というか、するに決まってますよね?
人間の子どもで考えれば、ごくごく当たり前に理解できることだと思います。
同じ両親が、同じような環境で同じように育てた兄弟でも、出来のいい子に育つ子もいれば、極端な話、犯罪者になってしまうような子もいます。
社会に適応できない人間を作ってしまう原因は、とても1つだけに特定することは不可能ですね?
犬だっておんなじです。
いくつか事例を挙げてみましょう。
●ホルモンの影響
アリゾナ大学イヌ認知センターのマクリーン准教授らの研究チームが、犬の問題行動とホルモンとの相関関係について調べました。
その結果、犬の問題行動にふたつのホルモンが密接に関係していることが判りました。
オキシトシン と アルギニンバソプレッシンというホルモンです。
オキシトシンは、このブログでも何度も名前が出てきた、もはやスタメンのホルモンちゃんですね♪
別名「愛情ホルモン」「幸せホルモン」「愛着ホルモン」などと呼ばれるホルモンで、大好きな相手(家族、恋人、友人、ペットなど)と良好な関係が築かれている時に分泌されることが判っています。
アルギニンバソプレッシン(以下バソプレッシン)は、攻撃性や行動力に関係すると言われるホルモンです。
実験の結果、次のようなことが判りました。
■バソプレッシンレベル■
攻撃性の高い犬はバソプレッシンレベルが高い。
攻撃性の低い犬はバソプレッシンレベルが低い。
■オキシトシンレベル■
攻撃性が高いか低いかと、オキシトシンレベルには相関関係がない。
盲導犬などの介助犬はオキシトシンレベルが高い。
たとえば、
攻撃性はまったくないけれど、介助犬のように模範的な優等生というわけでもない・・・
というようなワンちゃんは、バソプレッシンレベルもオキシトシンレベルも共にさほど高くない可能性がありますね。
ホルモンバランスは、様々な要因によって変化することが知られています。
たとえば、飼い主さんとの良好なふれあいは、犬のオキシトシンレベルを高め バソプレッシンレベルを下げるという報告があります。
多少困った問題行動はあるものの、手に負えないほどの攻撃性もない・・・といったワンちゃんの飼い主さんは、積極的にワンちゃんと触れ合うことによってオキシトシンレベルを向上させ、介助犬の資質を持ったワンちゃんのようなおりこうさんに近づけることならできそうだという期待は持てますね!
一方で、どんなに触れ合ってもバソプレッシンレベルが高いままで、攻撃性が下がることなく、結果的に触れ合う機会はどんどん減って・・・しまいには、
「あの子と触れ合う?ムリムリ!血まみれになるのがオチだよ!」
ってなことになるケースもあるんですね。
後天的な要因(環境の変化、体調の変化、精神的な影響など)によるホルモンバランスの乱れは、ある程度飼い主さんの接し方や健康管理で修正できますが、先天的な要因(受容体の問題など)がある場合は、飼い主さんの手には負えないということになります。
しつけでは解決できない問題行動の因子は他にもありますが、長くなるのでつづきは次回にさせてくださ~い!
<今日のPet Hotel 11!>
とってもヤンチャそうな顔したHちゃんだけど |
実はこわがりさんなので・・・ |
こーやって上手に隠れている・・・つもり(笑) |
ポカポカお天気で気持ちいいよ~~♪ |
眠くなっちゃうわ~~~ |
グゥ・・・ |
グゥ・・・ |
・・・・(;'∀') |
・・・(-_-;) |
・・・(-_-;) |
コラーーッ!いくら気持ちイイからって 動きがなさすぎーーっ!! |
お?お?誰かきたぞーっ!!(ザワザワ) |
ねえねえボス!誰かきたよっ!! (・・・って、まーだ寝てるんかーーいっ!) |
はじめまして。ぼくIくんだよ! まだ7カ月なの。いっぱい遊ぶぞ~~♪ |