前回記事からのつづきです。
ワンちゃんが、最も愛する飼い主さんから捨てられてしまう悲劇・・・
その「飼育放棄」の原因のひとつとなっている「犬の問題行動」の要因について考えてきました。
今日は、結局それらはすべて
「わたしたち人間の責任じゃないかー!」
っていうお話です。
【犬の問題行動に対する人間の責任①】
●実は「犬側の問題」すらない?
犬の問題行動の原因は、
① 飼い主のしつけや犬への接し方に問題がある。
② 犬の側に何らかの問題がある。
③ 犬の繁殖・流通・販売のシステムや、犬に対する人間のかかわり方全体の問題。
以上の問題が単体または複合的に絡み合っている可能性が高いことがわかりました。
けれども、②の「犬側の問題」に分類されている問題点の多くは、実は①と③をわたしたち人間が改善することによって、かなり削減できるような気がしませんか?
具体的にお話します。
●人間の自覚と努力で改善できる「犬側の問題」
◇犬種による気質の問題
<繁殖による改善>
犬種による気質の問題は、適正な繁殖によってある程度コントロールが可能な部分です。
交配によって様々な犬種を育種してきたわたしたち人間は、時代やライフスタイルに応じて、家庭犬にふさわしい性質の犬を育種することができるはずですし、その努力を怠ってはならないのです。
現に柴犬の性質などは、番犬の代表格だったひと昔前と比べてずいぶんと柔和になっている子が多いと感じたことはありませんか?
良識のあるキチンとしたブリーダーさんによって、そうした”良い育種”がされているケースもあるんですね。
逆に、売ってしまえば「後は野となれ山となれ」というような悪質ブリーダーによって、”育種”とはかけ離れた”乱繁殖”が横行すれば、一般の飼い主さんにはとても手に負えないような気質のワンちゃんが市場に出回るようになったりもするわけです。
<飼い主の意識の改善>
飼い主さん自身が、犬種についての知識がまったくないまま子犬を買ってきて、なんとなく育てていることは、飼い主さんにとってもワンちゃんにとっても悲劇です。
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・それぞれの犬種が元々どういった目的で育種されてきたか?
闘犬?
番犬?
牧羊犬?
猟犬?
愛玩犬?
・・・など。
・飼おうとしている犬種は、どういった生態や気質を持っているのか?
しつけが難しい?
子供との相性は?
暑がりか寒がりか?
平均的な寿命は?
犬種特有の先天性疾患にはどんなものがある?
・・・など
・自分のライフスタイルや住宅環境に合っている犬種なのか?
運動量はどのくらい必要な子なの?
良く吠える?
吠える声はどの程度うるさい?
成長するとどのくらい大きくなるの?
・・・など
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こういったことをまったく知らないまま、愛くるしい子犬を見てすぐに欲しくなり買ってきてしまう飼い主さんがたくさんいるんです。
たとえば、ロシアのフィギュアスケーター、ザキトワ選手が欲しがって日本から贈呈されたことがニュースになった秋田犬・・・
忠犬ハチ公のイメージが独り歩きし、ザキトワ選手の影響でちょっとしたブームになっているようですが、シロウトが簡単に手を出しては絶対にいけない犬種です。
秋田犬は、国や地方によっては”特定危険犬種”に指定されている犬種で、もともとはマタギ犬から闘犬用に育種されてきた歴史を持ちます。
大きな子だと50Kgにもなる、大型犬なんですよ!
ライオンやトラやヒグマだって、赤ちゃんの時はただただ愛らしいに決まっていますよねぇ・・・(-_-;)
秋田犬の子犬がブームに乗じてモラルのない悪質ブリーダーによって大量に繁殖され、なんの知識も覚悟もない飼い主さんに「可愛い~♪」と買い取られていった結果を想像すると、大変心配になります。
上手にコントロールできずに飼い主さん家族が噛みつかれてしまったり、飼い主さんに忠実なあまりお散歩中に他の人や犬に噛みついてしまったりすれば、命にかかわります。
また、たっぷりのお散歩が必要な犬種なので、共働きで十分なお散歩がさせられなかったりすると、ストレスから飼い主さんに突然噛みつくことだってあり得ます。
そんなことが起きてから
「この子の気質のせいよ。わたしが悪いんじゃない。秋田犬がこんな犬だって知らなかったんだも~~ん!」
なんて言い訳は誰が聞いても責任転嫁でしかありません。
◇体格による気質の問題
これも、犬種による気質の問題と共通点が多いのですが、今一番わたしが心配しているのはMIX犬ブームについてです。
我が家のチャコ(シーズー×ヨーキー)も、超長期お預かり犬”なつ”(チワワ×ダックス)もMIX犬です。
本当に多く見かけるようになりましたね。
ひと昔前は別々の犬種を掛け合わせて生まれた犬は「雑種」と呼ばれていたのですが、あえて人気のある可愛らしい犬種同士を掛け合わせて「MIX犬」として売り出したところ大当たりしたというわけです。
人気のあるMIX犬はほとんどが小型犬ですね。
ブームに乗じて量産されるMIX犬たちは、いってみれば「新品種」です。
つまりこの、”小型の新品種”の気質や特性、かかりやすい疾患などは、繁殖業者にもペットショップのスタッフにも「判りません」というのが正直なところのはずです。
当然、お客様にも説明ができないはずで、飼い主さんも基礎知識なく飼い始めていることになります。
「問題行動の原因その2【犬側の問題】②」でもお話したように、小型犬ほど攻撃性や警戒心が高いという研究結果が出ていますね・・・
わたしたちは、「スポットライトを当てられる流行には必ず”影”がつきものだ」ということを忘れてはならないと思います。
良識のあるブリーダーさんが、
「この子の性質?さあ~、成長して見ないと判らないねぇ~!お楽しみに~♪」
などという無責任なことを言うでしょうか?
単に「売れればいい」と考える悪質ブリーダーと、
単に「可愛くて珍しければいい」と考える飼い主さん
この組み合わせは、決してワンちゃんにとってよい結果を生まないように感じているのはわたしだけでしょうか・・・
◇犬のホルモンバランスの問題
◇先天的な脳疾患の問題
このふたつの問題については、次のようなことと無関係とは言えないと思っています。
・パピーミルのような劣悪な環境におかれた母体から生まれてくること。
・生後間もなくの貴重な社会化期に、狭い空間に押し込められて「外界との接触」や「人間とのふれあい」「十分な運動」「清潔な環境」などを与えられずにいること。
・同様に、貴重な社会化期に母犬から早期に引き離されてしまうこと。
・まだ不安定な幼体を、乱雑に真っ暗な段ボールに”梱包”し、温度管理などが不十分な状態で長時間揺らすなどといった輸送を行うこと。
・上記のような強烈なストレスを幼いパピーに課した上、ペットショップのガラスケースで多くの不慣れな人目にさらすという更なるストレスをかけること。
こういった状況に生後間もなく置かれていた子犬が、将来、問題行動を起こさない健全な肉体と精神をもっていることの方が奇跡だとすら感じませんか?
◇ワクチン接種による副作用
まず初めに、わたしは「ワクチン接種不要論」には反対です。
感染症の中には、人にも感染して重篤化や死亡に繋がる「人獣共通感染症」もあります。
ワクチン接種は本犬さんのためだけでなく、他のワンちゃんや人への影響という公益性という観点からも、やっぱり必要なことです。
ワクチンが開発される以前に比べて、ワンちゃんたちの寿命は確実に伸びています。
かつては多くのワンちゃんたちが命を落としたような疾病で亡くなるワンちゃんは激減したのです。
けれども一方で、ワクチンによる副作用があるのも事実です。
特に、「過剰なワクチン接種」はまさに
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
もしも、ワクチン接種の副作用のひとつとして「問題行動」を発症しているワンちゃんがいるのであれば、適切なワクチン接種の間隔や量を守ることによって、そうした問題は軽減できるはずだと考えています。
それには、法律を含めた制度の見直しや、獣医師の協力、飼い主さん自身の知識といったものが必要です。
適切なワクチン接種についてご興味がおありの方は、以前書いたコチラ↓の記事をぜひお読みください。
「ワクチン接種は本当に1年に1回必要か?①」
「ワクチン接種は本当に1年に1回必要か?②」
「ワクチン接種は本当に1年に1回必要か?③」
「ワクチン接種は本当に1年に1回必要か?④」
「ワクチン接種は本当に1年に1回必要か?⑤」
「ワクチン接種は本当に1年に1回必要か?⑥」
「ワクチン接種は本当に1年に1回必要か?⑦」
長くなってしまいました。次回につづきま~す!
<今日のPet Hotel 11!>
みんな、お待たせ~~! ウリだよ~~~~~~ん♪ |
ボクねぇ~~ |
このクッションの感触が・・・ |
だーい好きなの♪ (ウリくんの手触りと似てるよ) |
タッタッタッタッタッタ・・・・ |
ソレッ!!・・・ あれれ?! |
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン |
ちょっとぉー!お庭を開けてよお庭番ーー!! (朝方の雨でちょっと濡れてるから 乾くまでダーーメ!) |
日が射してきたからすぐに乾くからね~~~! |
「やったーー!乾いた乾いた♪ ボス~、追いかけっこしよーー!」 ボス「え~・・・どうせ勝てっこないからヤダ~」 |
・・・って結局またノセられちゃって (;'∀') |