【最も残酷な捨てられ方】
●飼い主に捨てられる犬たち
平成28年度の環境省統計資料によると、保健所や愛護センターにおける犬の引取り数は41175頭。
そのうち、所有者不明の犬が36512頭。
残りの4663頭は、飼い主自身が持ち込んだワンちゃんたちでした。
単純計算で毎日12~13頭・・・
ずいぶん減ってきたとはいえ、この数字は愛犬家であるわたしたちにとって、やはりショッキングな数字です。
以前は、飼育できなくなった犬を飼い主が保健所に持ち込んだ場合、行政は必ず引き取らなくてはならないことになっていました。
そのため、「定時定点収集」という、まるでゴミ収集車のようなトラックが巡回してきて、不要なペットを回収していくシステムが全国にありました。
ペットを遺棄したい飼い主は、センターに自分で犬を連れて行く必要すらなかったんですね・・・
※「定時定点収集」は廃止運動を受けて、現在はほとんどの地域でなくなっていますが、今でも一部の地域ではまだ行われています。
●定時定点収集とは
定時定点収集について、9年前のAERAという雑誌で特集された時の記事を一部ご紹介します。
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2009年2月中旬の木曜日、茨城県内のある自治体庁舎の駐車場に、その犬は50歳前後の女性にひかれてやってきた。
名前はベル。8年ほど前、女性の上の子が飼いたいといって拾ってきた、オスの雑種だという。いつもと変わらぬ散歩だと思うのか、茶色いしっぽを振って女性に寄り添うように歩く。だが、その先に待ち受けていたのは「捨て犬収集車」だった。
隔週の木曜日、決められた時間帯、この駐車場には捨てられる犬とその飼い主が集まってくる。時には行列もできる。茨城県による捨て犬の定時定点収集が行われているからだ。
つまりこの場所は「犬捨て場」であり、この日、この時間が「燃えるゴミの日」ならぬ「捨て犬の日」なのだ。
定時定点収集とは、自治体が犬猫を捨てていい場所と日時を定め、それにあわせて飼い主が捨てに来る犬猫を、収集車が巡回して集める制度のこと。茨城県の場合、42カ所の「捨て犬場」があり、捨て犬が多い地域では隔週、それ以外は月に1度、「捨て犬の日」が設けられている。
収集車の荷台から保管用のケージが降ろされ、女性がベルをそのなかに入れようとする。異変を感じたのかベルは抵抗するが、収集業者の男性と2人がかりで押し込まれた。
なぜ8年も一緒に暮らしたのに、捨てに来たのか。
「連れて来たくなかったのですが、家族を噛むんでどうしようもないんです」
そう説明し、女性は立ち去っていった。その後ろ姿を、ベルはケージのなかで静かにお座りをし、しばらく見つめていた。
女性の家ではもう1匹、2歳のラブラドルレトリバーを飼っているという。下の子がどうしても飼いたいといい、ペットショップで購入してきた。この翌日、殺処分されることになるベルとは大きく明暗が分かれた。
(AERA 2009年4月13日号掲載)
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●法改正で飼い主による遺棄は減ったのか?
2012年に改正され、2013年から施行された動物愛護管理法では、飼い主の「終生飼養」が初めて法律で義務化され、センターは終生飼養の原則に反する飼い主による持込については拒否できることになりました。
2018年度にセンターで引取った犬のうち、11%が「飼い主から」で、残りの89%は「所有者不明」です。
けれども、この「所有者不明」の犬たちの中には、行政によって引取りを拒否された犬たちが含まれていると言われています。
実際、「もう飼えない」と考えた飼い主が、センターに拒否されたからといって、「わかりました」と捨てようとした子を適正に可愛がるようになるかというと、残念ながら現実的にその可能性は低いと考えるべきでしょう。
センターに引取りを拒否されたり、回収車に収集してもらえなくなった犬たちは、山に捨てられたり、「引取り屋」と呼ばれる闇業者によって引き取られると言われていて、このことがかえって実態を見えにくくしているという意見もありますが、今回のテーマとはずれちゃいますから、ここでは詳しくお話しません。
●どうすれば不幸な犬を減らせるのか?
前回のブログでお話したように、犬は特定の人間を信頼できるかどうかを自分の経験を踏まえて判断するほどの社会的認知能力とコミュニケーション能力のある生き物です。
その犬たちが、世界で一番愛する飼い主さんに捨てられる(捨てられた)ことを知った時、一体どのような気持ちになるのかを想像すると、胸がつぶれるような思いがして、
「どうすれば飼い主に遺棄させる犬を1頭でも減らすことができるんだろう?」
と考えずにはいられません。
このブログで何度も取り上げているように、人間によって生み出され、人間によってゴミのように捨てられる犬たちを減らすことは、一方向のアプローチではとてもできることではありません。
・繁殖~小売りというペット業界の流通システムの問題
・飼い主のモラルや知識の低さの問題
・法律の抜け穴の問題
などなど、多くの問題が山積みで、どこから手を付ければいいのかわからないくらいです。
今回は特に、飼い主の飼育放棄にスポットを当てて考えていきますが、それはあくまで不幸な犬たちを生み出している原因のごく一部にすぎないことをお断りしておきます。
長くなるので、つづきはまた次回にお話しします。
<今日のPet Hotel 11!>
Dくん、いいお顔♪ もう葉桜だねぇ~~ |
ボスとなつは元気いっぱいだけど・・・ |
チャコは昨日からちょっと体調不良ですぅ~ |
おさんぽでも最初は張り切ってたけどペチャンコに・・・ このあと離脱しておうちに帰りました。 |
Hちゃんが心配そうに見送ってくれました。 ありがとうね~~(^▽^)/ |
なつはみんなより高い場所が大好き。 なつのお立ち台にするために切り株拾ってきたんじゃ ないんだけどね・・・ |
安心してください。生きてますヨ! |
夕方になってやってきたFくん。 久しぶりにみたら、 ずいぶんふくよかになってるねぇ(笑) 明日からいっぱい歩こうね~~! 「え~~やだぁ~~~!」 |