前回記事からのつづきです。
犬の問題行動の原因を考える際の大前提は次の2つ。
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① 犬には何の落ち度もない。
② 犬が問題行動を起こす原因の多くは飼い主にあるが、原因の全てが飼い主にあるわけではない。
<問題行動の原因>
◇ 飼い主の問題
◇ 犬側の問題(犬にはまったく非がありません)
◇ 飼い主以外のすべての人間の問題
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前回の記事では、しつけでは解決できない「犬の問題行動」の因子として、ホルモンの影響についてお話しましたが、それ以外にも考えられる因子について簡単に触れておきます。
【犬側の問題②】
●先天的な気質
◇育種の歴史
犬は元々、祖先のオオカミの中から人間が家畜化したと言われています。
長い長い年月をかけて、オオカミがどのようにして犬になったかというと・・・
・従順で攻撃性が低いオオカミを選んで掛け合わせていった(選択的交配による育種)
・家畜化することによって、オオカミ自身が獲物を捕る必要がなくなり、必然的に攻撃性がなくなっていった。
と考えられています。
けれども、そもそも犬は人の役に立つ使役犬としての需要が大きかったことから、様々な用途に応じた育種がされてきました。
そのため、大きさも容貌もまったく異なる、多種多様な犬種が生まれたんですね。
◇攻撃性のある犬を選択交配した犬種もある
そして、人間が必要としている使役犬の用途の中には軍用犬や警備犬、護衛犬、番犬といった、むしろ攻撃性を必要とするものもありました。
そういった用途の使役犬に関しては、より攻撃性を伸ばすような育種がされたはずです。
ひと昔前、日本でも「犬=番犬」というイメージを持っている人が圧倒的に多い時代がありました。
番犬は、外に鎖で繋いでいるのが一般的で、郵便屋さんなんかが来ようものなら、猛然と牙をむいて唸るわ吠えるわ・・・←「コレでいいのだ!」という時代です。
今でもよく、門扉や玄関のところに「猛犬注意!」なんて貼り出しているおうちを見かけませんか?
犬を飼っていることが有力な防犯対策と考えられていた証ですね。
ですから、家族以外の者にやたらとシッポを振って愛嬌を振りまくような犬は、飼い主さんが
「まったく・・・これじゃあちっとも番犬になりゃしない(タメイキ)」
なんて嘆いていた時代もあったわけです。
当然、その時代には、今のように犬を散歩させている人を見かけて
「あら可愛いのね~♪お名前は?」
なんて気やすく寄って行って手を出そうとする人も、あまりいませんでした(寄っていく前に吠えられちゃうし~)
それが、今ではすっかり「愛犬のいるライフスタイルの常識」は変化していますね。
「愛犬は家族」という考え方が一般化して、愛犬は室内飼いがほとんどで、外飼いは虐待だとまで言われる時代になっています。
番犬として褒められていたような攻撃性は、好ましくない性質ということになりました。
来客に吠えるのも「問題行動」となっています。
犬側から見たら、
「そう都合よく気質なんか変えられないってんだいっ!」
って感じでしょうか・・・いい迷惑ですよね・・・(-_-;)
◇体格による気質の傾向
犬種特有の気質傾向と関連して、体格による気質の傾向もあるようです。
シドニー大学の研究チームが犬の体格と行動特性に関する興味深い統計を出しています。
(出典:Associations between Domestic-Dog Morphology and Behaviour Scores in the Dog Mentality Assessment)
研究チームは犬の頭の大きさ(頭蓋骨の高さと幅)と体高、体重、性別と、犬の行動特性にどのような因果関係があるかを調査しました。
調査期間は1997年~2014年の17年間、対象となった犬は45犬種 67368頭(オスとメスは約半数ずつ)という膨大な数におよんだんですってよーーっ!!(オッタマゲーーッ!)
この調査で採用された、犬の行動特性を調べる「DMA」っていうテスト方法は、たとえば
「オバケの恰好をした人が現れる」
というよーな様々なシチュエーションで、犬がどんな反応を示すかを観察して
「追跡衝動」「攻撃性」「社会性」「遊び好き」「好奇心・恐怖心」
といった傾向を見るものです。
調査テストの結果、次のような傾向が判明しました。
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体高の低い犬=攻撃性が強い傾向(防御的な反応による攻撃性)
体高の高い犬=人間に協力的で遊び好きな傾向(見知らぬ人にも)
体重が重い犬=好奇心が旺盛で大胆な傾向(見知らぬ物や音も恐れない)
体重が軽い犬=警戒心が強く臆病な傾向(物や音に過剰に怯えを示す)
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また、上記の傾向以外にも、次のようなことが判りました。
(たくさんあるので、攻撃性に関わる項目だけご紹介します)
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・体重が軽い犬は見知らぬ人に対して攻撃的。
・オスはメスよりもダミー人形に攻撃的。
・メスはオスよりも見知らぬ人に攻撃的。
・体重が重くなるほど、独占欲や所有欲が高くなる傾向がある。
・体高が低く体重が重い短頭種は、オバケに攻撃的。
・体高が低く体重が重い犬は、ダミー人形に攻撃的。
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こういった、生まれ持った気質や傾向による攻撃性や問題行動が強い子が自分の愛犬だった場合、シロウトの飼い主さんでは手に負えないことも多いでしょう。
そればかりか、熱心にあれこれトレーニング方法を試した結果、ワンちゃんが混乱に陥って、ますます問題行動が悪化してしまうこともあるかもしれません。
そのような場合は、何が何でも自分の手で・・・と頑張りすぎないで、しかるべき訓練士さんやトレーナーといったプロに相談してみた方がいいでしょう。
(しかるべき・・・っていうのが、とっても難しいチョイスなんですけどね~)
●ワクチン接種による副作用
以前、このブログでもお話しましたが、毎年ワンちゃんに接種している各種感染症のワクチンは、ワンちゃんを感染症から守る一方で、さまざまな副作用をもたらすリスクもあります。
「日本のワクチン事情に物申すワン!」
米国のパット・ブラッドリー獣医学博士など、研究者の中にはワクチンの副作用で犬の攻撃性が増したり臆病になったりという症状が出ることもあると言う人もいます。
ワンちゃんによっては、ワクチン接種が原因で健康被害や問題行動を発症している子もいる可能性があるということですね。
ただ、愛犬の問題行動が本当にワクチンの副作用によるものかの見極めは、飼い主さんにはとてもできませんよね?
個人的には、ワクチンや薬には副作用がつきものなので、絶対善でも絶対悪でもないという立場です。
常に、感染症に罹患して健康を損なうリスクと、感染症を予防するワクチンによる副作用のリスクを天秤にかけて、どちらの方がよりリスクが高いかを考える必要がありますね。
ワクチン接種していても狂暴にならないワンちゃんの方が多いことを考えると、
「愛犬にワクチンを接種すると必ず問題犬になるぞ!」
みたいな極論は、あまり信用できないと思っています。
あくまでも「可能性がある」程度にお考えください。
●先天性の脳疾患
感情抑制やコミュニケーション能力を司る脳の部位に、先天的(場合によっては後天的)に何らかの不具合があるワンちゃんの場合、問題行動を起こしたり、しつけが入らなかったりする可能性はあるでしょう。
こういったワンちゃんの場合は、飼い主さんはもちろん、訓練士さんでもどうにもなりません。
(だから、「どんな問題行動も100%直して見せます!」なーんて言っているトレーナーは信用しちゃダメですよ~)
現在、さまざまな研究が進んで、薬物療法などの可能性も出てきているようですが、まだ実用化段階とはいえませんし、安全性についても不安がありますね。
さて、いかがでしたか?
一口に「犬側の問題」といっても、本当にたくさんの要素があるのがお解りいただけたでしょうか。
ここには書ききれないような、そのワンちゃんが抱える特有の問題もあるでしょう。
たとえば、引き取ってきた保護犬が抱える、飼い主さんにはまったく見当もつかないようなトラウマなどもそうですね。
問題の解決には原因を知ることが必須なわけですが、そもそも原因を特定することが本当に難しいんですね。
ただ、愛犬を心から愛し、問題行動に頭を抱えながらも根気よくしつけを続けているような素晴らしい飼い主さんの中には、
「問題行動は100%飼い主の責任だ!」
という言葉に深く傷つき、ご自身を責めておられる方もたくさんいらっしゃいます。
犬の問題行動には、ご紹介したような、飼い主さんではどうにもならないような原因によるものがありますから、どうか安易に上記のような言葉を投げつけたりしないでさしあげてください。
そして、悩んでいる飼い主さんは、ご自分ばかりを責めることなく、ご紹介したような可能性も念頭に置きながら、プロのトレーナーさんや医療機関にもぜひ相談してみてください。
長くなりました。つづきはまた次回のブログで・・・
<今日のPet Hotel 11!>
IくんとCくん、昨日はCくんが逃げ回っていたけど、 すっかり仲良くなったよ! |
朝のおさんぽ♪ 今日もいい天気~~ |
お山から落ちてくる山桜の”シベ”が すごいんだよねぇ~ |
あ~あ・・・Dくん、後でブラッシングね~! 「ん?呼んだぁ~?」 |
Hちゃんはやっぱり高いところが好き♪ |
ボス・・・また寝てる・・・(-_-;) よくこの傾斜で眠れるなぁ |
他の子にまたいで通られても寝ている・・・(-_-;) |
小さいお客さまが、みんなをいっぱいナデナデ してくれたね~! |
それをこっそり柵ごしに見る3ワン組 |
Fくん、海岸のおさんぽで。 元気元気!カメラが追い付かないよー! |
風が・・・ |
ビュービュー吹いて・・・ |
でも寒くないから楽しい~♪ |
仲良くいっぱいお散歩したよ! |