前回記事からのつづきです。
犬の問題行動の原因を考える際の大前提は次の2つ。
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① 犬には何の落ち度もない。
② 犬が問題行動を起こす原因の多くは飼い主にあるが、原因の全てが飼い主にあるわけではない。
<問題行動の原因>
◇ 飼い主の問題
◇ 犬側の問題(犬にはまったく非がありません)
◇ 飼い主以外のすべての人間の問題
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前回の記事では、
日本における犬の繁殖~販売の現状が 「問題行動の因子を持った子犬」を量産するシステムになっているのではないか?
というお話をしました。
今日はそれについてもう少し具体的にお話をします。
【飼い主以外のすべての人間の責任②】
●犬の問題行動と8週令規制
お母さん犬から生まれた子犬を、商品として出荷するにあたって、お母さんから引き離す時期・・・それが早すぎた子犬は、後々問題行動を起こしやすいため、少なくとも生後8週間は母犬と一緒に過ごさせるべきだと言われています。
そのため、
「子犬が8週令になるまでは母犬と引き離してはならない」
という規制を「8週令規制」と呼び、法制化を求める動物愛護の団体や個人が声を上げ続けています。
なお、アメリカ・ドイツ・イギリス・スウェーデンなど、欧米ではとっくに8週令規制が浸透していますが、日本では実現に至っていません。
●8週令規制を先送りするわが国
我が国の動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)は、5年に1回その内容を見直すことになっています。
実は、前回(2013年9月)の見直しで8週令規制は法律に盛り込まれました。
けれども、その内容はナイヨ~(←ボカスカ)
以下がそのナイヨ~です。
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1.動物取扱業者の適正化
(1)犬猫等販売業に係る特例の創設
現行動物取扱業を第一種動物取扱業とし、第一種動物取扱業者のうち、犬猫等販売業者(犬又は猫その他環境省令で定める動物の販売(販売のための繁殖を含む。)を業として行う者)について、以下の事項を義務付ける。
― 中略 ―
[4]
犬猫等の繁殖業者による出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売業者等に対するものを含む。)・展示の禁止(第22条の5関係)
なお、「56日」について、施行後3年間は「45日」と、その後別に法律で定める日までの間は「49日」と読み替える(附則第7条関係)
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「はぁ?!」
って言ってしまった人、正しいリアクションです。
この条文では一体何を言っているかというと・・・
『生後56日経っていない犬や猫を売ったり展示したりしたらダメよ!』(←コレが本則ね)
『でも、法律の施行後3年間は”56日”んトコロを”45日”って読み替えてね!』(←附則)
『んで、3年経ったら”49日”って読み替えてね!それから先はまたいつか法律で決めるね~!』(←附則)
「ぱーーど~ん?!」
本則にある「56日(8週令)」どこいっちゃったのよ?!
つまり、現在わが国では生後49日(7週令)で子犬を販売できることになっていて、8週令になる時期は未定ってことです。
もう一回言わせて!
56日(8週令)どこさいっただヨ~~~?!
●環境省は何て言ってるか?
環境省の動物愛護室室長は、この件について、インタビューで次のように言っています。
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今までは、特に動物が販売される具体的な日齢は規定されていませんでした。
欧米では、8週齢がスタンダードであることは事実です。
今回の法改正では、経過措置として、法施行後3年間は生後45日以内の犬猫の繁殖業者からの引き渡し等が禁止されます。
その後、生後49日以内に変更になり、次に法で定める日から生後56日以内は禁止となります。
法で定める日というのは現時点では未定なのですが、今回の改正法の施行から5年以内に検討をすることが附則にて定められています。
ですので、具体的な日程を決定するために、科学的な裏付けの検討ができる専門家に依頼をさせていただき、議論を開始することになります。
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あーっそう!
ってことで、2013年から今年2018年までの5年間、環境省がどういう検討をやってたか見てやろーじゃないですか!!
●専門家の意見
この件を巡って環境省は5年間でおよそ1憶1千万円を投じて「検討」をしてきました。
昨年(2017年)12月に開かれた
「幼齢犬猫の販売などの制限に係る調査評価検討会(2回目)」
では、麻布大獣医学部の菊水健史教授が
「犬猫幼齢個体を親等から引き離す理想的な時期に関する調査」
についての最終報告を行いました。
内容はつぎのとおりです。
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調査は、ペットショップなどで作る「全国ペット協会」に加盟する店舗で子犬を購入した飼い主に実施したアンケート(有効回答=4033頭分)を統計的に解析したもの。
その結果、
繁殖業者から生後50~56日で出荷された子犬と生後57~69日で出荷された子犬を比べると、成長後の「見知らぬ人に対する攻撃性」や「家族への攻撃性」などの問題行動の程度に「有意な差があることが証明された」
といいます。
菊水教授は
「統計的に、引き離し時期を8週令以降にすることによって問題行動の程度に差が出ることが明らかになった。
ただその差は小さかったため、犬が母胎内にいる時期や出生初期の環境、遺伝などが問題行動の発生に強い影響を持っている可能性も研究していく必要がある」
としています。
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また、この結果を受けて 統計学に詳しい東大社会科学研究所の佐々木彈(だん)教授(経済学)は、
「有意差が出た事実は非常に重い。
生まれた環境に現行法より1週間長くいることで、攻撃性などの問題行動を低減させられるという調査結果は、社会政策を考える上で大きな意味がある」
と指摘しています。
さあさあさあさーーあ!
専門家の意見がこう出たんですから、もうこれで8週令規制の本則を実質的に施行しないとおかしいですね?
ところが・・・まだ油断はできません。
●ペット業界の猛反発と規制の実現性
上記の検討会では、2013年に行われた前回の法改正からの5年間、実際に繁殖業者がペットショップに子犬(子猫)を出荷した時期についての調査報告もされました。
すると・・・
犬猫ともに2016年度半ばまでは「46日」、それ以降は「50日」という入荷時期が極端に多かったことが判りました。
まさに、上記の「附則」にある「45日」と「49日」を受けて、繁殖業者はその翌日に
「待ってましたーっ!」
とばかりに出荷している実態が明らかになったんですね。
(ま、予想はしてたけど~・・・)
菊水教授は1回目の検討会で
「法規制をかけた翌日には流通に乗せている。
業者ができるだけ早く出したいと思っていることが、これでわかる」
と指摘しています。
前回の法改正時期に、ペット業界は8週令導入にモーーレツに反対していました。
ペットショップや繁殖業者など動物取扱業者を対象に行ったアンケート結果を振りかざして、
「8週齢規制が実現すると繁殖業者の74.2%は生産コストが増加し、ペット店の79.6%は売り上げが減少する!」
と訴えていたのです。
安全や命の重さよりも経済を優先する現在の風潮の中、果たして8週令規制が実現するかはまだまだ予断を許さない状況です・・・
更に・・・
大手ペットショップのチェーン店の関係者は、朝日新聞の取材に対して、
「49日齢を超えたとは思えないほど小さな生体が出荷されてくることもある」
と答えています。
もし、今回やっと8週令規制が施行されたとしても、生まれた日を偽るような不正な繁殖業者を見つけ出して摘発するシステムが確立されていなければ、何の意味もありません。
隠ぺいや改ざんをやりたい放題やっている政治のニュースを見るにつけ、不正な繁殖業者の取り締まりなどとても無理なんだろうなぁ~・・・
と、暗澹たる気持ちになってしまいます。
この国は、子供たちに何を教えたらいいかわからない国になってしまっていますね・・・
まさか、
「えらい人になるためには嘘や隠し事が上手にならないとダメなのよ~~!」
とでも教えればいいのでしょうか・・・・(-_-;)
(参考サイト:朝日新聞デジタル)
●おまけ
ちなみに、超党派の国会議員連盟「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の動愛法改正プロジェクトチームでは、8週令規制の1日も早い実現を目指して活動しています。
その座長を務めるのは自民党衆議院議員の牧原秀樹氏(厚生労働副大臣)。
「よぅーしっ!牧原さんガンバレーーーッ!!」
って思ってたら、つい先月、次のようなニュースが流れてガッカリ・・・(-_-;)
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昨年10月の衆院選公示前、さいたま市の認可外保育園の存続を求める署名に応じた複数の人に、同市の一部を選挙区とする自民党の牧原秀樹副厚生労働相から、保育園存続を報告するはがきが届いた。
署名は保護者らの団体が集めたもので、署名用紙には、名前や住所など署名者の個人情報を「要望の提出以外に使用しない」と明記されていた。
牧原氏は署名簿を同市長に提出する際の紹介議員だが、はがきを受け取った人たちの中からは「署名簿が流用されたのでは」との指摘も上がっている。
特定の活動に関わった個人情報で、プライバシーを侵害されたと感じる人もおり、衆院選公示前日にはがきが届いた女性会社員(39)は「保育園存続は良かったが、なぜ牧原さんからはがきが届くのか」と困惑。
同じくはがきを受け取った無職男性(64)は「衆院選で支持を広げる狙いがあったのでは」と話す。
牧原氏の事務所は「保育園の存続に関して陳情を受けた方々に結果報告したもので、選挙に関するものではない。個人情報の趣旨を逸脱したものではない」とコメントしたが、署名者の住所などを取得した経緯は明らかにしなかった。
田島泰彦・上智大教授(憲法・メディア法)は、
「たとえ署名提出時の紹介議員だったとしても、署名者の同意を得ずに自分の政治活動に個人情報を安易に利用したとすれば、正当化できない。
署名活動に賛同した重い意味のある個人情報が党派性のある政治勢力へ第三者提供され、目的外に利用されるとプライバシーが脅かされる危険がある。」
としている。
(毎日新聞 2018年3月18日 記事より)
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はぁああああ・・・・・(-_-;)
長くなりました。
次回は、ペットショップで購入した子犬の問題行動についてのお話です。
<今日のPet Hotel 11!>
おなじみケンタの空バーレルをもらって 大興奮のボス |
「ボクんだからねっ!盗らないでよ!」 言っとくけど こっちがあげたんだからね・・・(-_-;) |
ボス「あーーダメーーッ!!」 チャコ「・・・・」 |
ボス「ボクんだボクんだボクんだーっ!」 チャコ「・・・・」 |
チャコ「いらないっつーの~」 |
遊び疲れてグゥ・・・ |
今日はお客様ワンコも少なくての~んびりだね。 みんな、お疲れ様(^▽^)/ |
トリミングから帰ってきたHちゃんとDくんも お疲れ様でした(^▽^)/ 綺麗になって帰ってきたから、お散歩も 綺麗そうな道を選んで歩いたよ(;^_^A |