前回の記事からの続きです。
【犬の問題行動に対する人間の責任②】
●どうすりゃいいの?
ワンちゃんが愛する飼い主さんから捨てられてしまうという悲劇・・・
その原因のひとつ「犬の問題行動」について、多角的に考えてきました。
問題行動の原因として考えられることは本当にたくさんあって、それを突き止めることはなかなか難しいことがおわかりいただけたかと思います。
物事は、原因がわからなくては是正することができませんから、現在愛犬の問題行動に悩んでおられる飼い主さんにしてみれば、
「あ~~もう!どうすりゃいいのよっ?!」
と頭を抱えてしまうかもしれませんね。
そこで、犬の問題行動を防ぐためにわたしたちに何ができるか?を考えてみたいと思います。
●犬を飼う時は・・・
もし、これから犬を新しく飼おうとする場合は、ペットショップの生体販売を利用するのはやめておきましょう。
子犬から飼いたい場合は信頼できるブリーダーさんや知人から譲り受けた方が安心です。
いずれの場合も、子犬と母犬の暮らす環境を見せてもらって、母犬が健康体であることや、子犬たちの飼育環境が健全であることを十分に確認しましょう。
もちろん、母犬の元で8週間以上過ごさせてから引き取るようにします。
子犬にこだわらない場合は、信頼できる保護団体から譲り受けるのもいいでしょう。
譲渡会に足を運び、保護団体の人からその犬の健康状態や性質、問題行動の有無についてよくお話を聞いて、ご自身の目でも確認して判断することができるでしょう。
家族に迎えられそうなワンちゃんがいたら、「トライアル期間」を利用して、実際におうちに連れ帰って暮らしてみましょう。
その間に、家族や先住のペットとの相性や問題行動をしっかりチェックして、少しでも不安があれば飼うのをやめる勇気も必要です。
ブリーダーさんも保護団体も、健康状態や問題行動について、好ましくない情報をアナタに隠して、いいことだけを伝えて引取らせようとするようであれば、信用できない相手だと心得ておいた方がいいでしょう。
手に負えないようなワンちゃんを飼うことは、飼い主さんにはもちろん、ワンちゃん自身にとっても不幸なことでしかありません。
●飼い主さんがすべきこと
◇犬を正しく知ろう
犬の生態や犬種による特徴を正しく知って、愛犬がストレスを溜めないようにしてあげましょう。
・必要なグルーミングをしてあげていますか?
・お散歩の量は十分に足りていますか?
・食事はワンちゃんに適したものをあげていますか?
・人間の感覚を押し付けることなく、ワンちゃんの身になって考えていますか?
・ワンちゃんが発するシグナルを読み違えていませんか?
・気分でワンちゃんへの対応をコロコロ変えていませんか?
飼い主さんからたっぷりの愛情をかけてもらい、安心して過ごせる空間(寝床やハウス)が確保できていてストレスなく安定した精神状態でいること。
適切な栄養、十分なお散歩、適度な運動と休養が取れていて、健康状態が良好であること。
それだけで、問題行動がなくなってしまうワンちゃんだっているんですよ!
※運動とお散歩はワンちゃんにとって意味合いが違うものです。
お庭やベランダ、広いおうちでたくさん走り回っていたとしてもお散歩は必要です!
◇しつけを見直そう
犬の生態を正しく知った上で、しつけについてもしっかりと学び 実践してみましょう。
しつけのノウハウはたくさんありますが、「褒めるだけのしつけ」や「叱るだけのしつけ」は問題行動を引き起こす要因になりやすいのでお勧めしません。
悪いことをしたらキチンと叱り、正しいことをしたら十分すぎるくらいに褒めてあげること。
叱るよりも褒める分量が多くなるようにすることがコツです。
特に、悪いことをしているワンちゃんを叱ってワンちゃんが悪いことをするのをやめたら、忘れずに褒めてあげてください。
守るべきルールを決めたら曖昧にすることなく、家族全員が同じルールでワンちゃんに接するように心がけてください。
しつけは、1度したら終わりではなく、ワンちゃんを飼っている間ずーっと続けていくものだと心得てください。
<参考>
「マテ」ができないワンちゃん①~③
パニックになると指示が耳に入らないワンちゃん①~⑨
◇飼い主さん自身が社会のルールを守ろう
これは、犬の問題行動ではなく飼い主さんの問題行動についてですが・・・(;^_^A
ついでに飼い主さんがすべきこととして書いておきます。
・飼い主さん登録(畜犬登録)をして鑑札を装着させていますか?
・狂犬病の予防接種は受けさせていますか?
・繋留義務を怠っていませんか?(ノーリードでOKな場所は限られています)
・お散歩中に子供さんや見知らぬ人が愛犬に寄ってきたら注意喚起できていますか?
・逸走防止の義務を怠っていませんか?(玄関から跳び出したりしないように)
・迷子札をつけていますか?
・お散歩中の愛犬の糞尿はキチンと始末していますか?
●上記を実践しても問題行動が解決しない時は・・・
ワンちゃんが健全な心身を持ち、飼い主さんが一生懸命に愛情をかけて しつけを頑張っていても・・・一向にワンちゃんの問題行動に改善の兆しが見えない場合、
「飼い主さんではどうにもならない問題」
があるのかもしれません。
対策としては、しつけのプロといわれる訓練士さんやトレーナーさんに相談したり、獣医さんに相談したりということが考えられますね。
プロといってもピンキリですから、最終的には飼い主さん自身が
「この人の言うことなら信頼できる」
と感じる人を選ぶことが大事です。
耳障りのよいことばかりを言う人や、安請け合いする人はあまり信用できない可能性が高いです。
トレーナーさんを選ぶ時には、ワンちゃんだけでなく飼い主さんも一緒にトレーニングしてくれる人を選ぶといいと思います。
医療の分野では薬物療法などもあるようですが、その際は必ず「副作用」についての説明も求め、本当にお薬に頼らなくてはならないような状態なのかをよく考えて決めてください。
個人的には、まだ臨床結果が出そろっていない薬物治療には懐疑的です。
●本気噛みをするようなワンちゃんなら・・・
人に何度も噛みついているワンちゃんの場合、無駄吠えや引張グセなどの問題行動とは深刻さがまったく違います。
最悪の場合、家族や他人が命に係わるような重傷を負う事態にもなりかねません。
シロウトの飼い主さんや、不適切なトレーナーが下手に矯正しようとするとかえって問題行動がこじれて危険な場合もあります。
取り返しのつかない事態になる前に、ぜひ専門家に相談してください。
<参考>
【戦う訓練士】中村信哉さん①~②
★当然のことながら、飼い主さんの責任として、まずはご自身で愛犬の問題行動に取り組む努力をしてください(本気噛みの犬以外)
その努力をすっ飛ばして
「この子はダメ犬だから・・・」
「きっと、先天的な問題ね」
などと決めつけ、問題解決を他人の手に委ねても、何の解決にもならないことは言うまでもありません。
愛犬の生態を正しく知り、キチンとしつけのできない飼い主さんは、大変厳しい言い方ですが、むしろ飼い主さんの方に問題があります。
ですから、トレーナーさんにしつけてもらっても、獣医さんにお薬を処方してもらっても、その飼い主さんの元で暮らしている限り、ふたたび問題行動が再発する可能性は大変高いと言わざるを得ません。
●愛する者としてすべきこと
本当は、繁殖業者やペットショップといったペット流通業界がすべきことなのですが、そういう人たちに
「こうしましょうね~!」
と言って
「はぁーーい!」
ってなるなら、こんな簡単なことはありませんね・・・(-_-;)
そうなっていないから、現在の問題が起きているワケじゃ~~ん?
ですから、わたしたちにできることは、以下のことが健全な子犬の成長を大いに阻害していて、成長してからの問題行動の温床になっていることを理解し、機会あるごとに声を上げていくことだと思います。
◇不健康な母犬や、劣悪な飼育環境に置かれている母犬から生まれること。
◇母犬や兄弟犬から早期に引き離される(すくなくとも8週令は必要)こと。
◇生後間もなく、不適切な飼養環境に置かれていること。
◇攻撃性や問題行動を取り除くような適切な育種をせずに、ただ子犬を量産すること。
◇まだ不安定な幼体に多大なストレスをかけるような搬送をすること。
◇同じく不安定な幼体に過剰なストレスを与えるような生体販売を行うこと。
行政に電話をかけるのでもいいでしょう。
これは!と思う署名活動に参加するのもいいでしょう。
知り合いがペットショップで子犬を買おうとしていたら、その危険性を教えてあげるのもいいでしょう。
そして、地元の議員さんや国会議員たちが、こういった問題にどのように取り組んでいるかを、しっかりウォッチしていくことも大切ですね。
とにもかくにもまずは、目の前の愛犬に精一杯の愛情を注ぎ、ご自身ができる限りのことをしてあげてください。
一緒に頑張りましょう!!(^▽^)/
<今日のPet Hotel 11!>
ハゲていたチャコが・・・ 今やボーボーすぎ(-_-;) 暑くなってきたので毛刈りしなくっちゃね~ |
・・・ってことで毛刈りをはじめるも、 グデ~ンって寝ちゃってぜんぜん刈れないのね~(-_-;) |
心配そうに見守るボス (本当は終わってからもらえるご褒美に興味がある) |
退屈している”なつ” 「ガオーーーッ!!」 |
「ヘヘンッ!」 |
「なんつってなーーーー!!」 (アナタも毛刈りしなくちゃね) |
時間切れにより不本意ながら毛刈りは一旦終了 ボス「もう十分だよ。チャコは可愛いよ!」 |
また今度微調整しようね~~ チャコ「もうこれでイイ~」 でも、お顔が見えるようになって 可愛さが倍増したよ~~~(^▽^) 親バカバンザーーイ! |