Pet Hotel 11! お庭番のブログ①: お散歩嫌いの犬④（最終回）

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!（ペットホテルワンワン）のお庭番です。

前回ブログのつづきです。

【お散歩嫌いが克服できない子は】

●お散歩の重要な意味合いを理解する

ワンちゃんにとって、ライフワークであるお散歩はとても重要な位置づけにあります。

お散歩は単に運動のためにさせると誤解している飼い主さんがとても多いのですが、決してそうではありません。

犬にとって、そして飼い主さんと愛犬の関係性にとって、お散歩がどれだけ重要な意味を持っているかは、少し前に書いたコチラ↓の記事で詳しくお話しています。

『無駄吠えは飼い主さんが直そう！⑦』

お散歩によって犬は

・周囲の情報収集をして安心して暮らすための手がかりを得ることができる。

・気分転換をし、ストレスを溜め込まないように解消することができる。

・有り余るエネルギーを発散することができる。

・飼い主さんを独占するかけがえのない時間を毎日持つことができ、心の安定をはかることができる。

・飼い主さんというリーダーに付き従って歩くことで、飼い主さんは頼りになるリーダーであるということが確認できる。

ということです。

毎日、愛犬と楽しくお散歩するだけで、これだけ多くのメリットがあるのです。

だからわたしたちはお預かりしたワンちゃんたちを、よほどの土砂降りでもない限り、朝夕せっせと順番にお散歩に連れ出しているんです。

ペットショップの店員さんに

「小型犬なので、おうちの中で放し飼いにしているだけで運動は十分！お散歩がいらない飼いやすい子ですよ～～♪」

なんていい加減な説明を受けた飼い主さんも多いかと思いますが、それを理由に飼われたワンちゃんはあまりにも可哀想です。

それに・・・生き物を飼うのに「なるべく楽をしたい」と思っているのであれば、何も飼わないか、Aiboでも飼うのが一番ラクに決まっていますね！

生き物を飼うということは、苦労もたくさんある分、飼っていなければ得られないような喜びややり甲斐が得られることです。

特に犬は、愛情や手をかければ必ずそれを何倍にもして返してくれるスペシャルな生き物だとわたしは思っています。

●どうしてもお散歩できない子もいる

お散歩には、犬にとっての重要な意味合いがあると理解していても、どうしてもお散歩に連れ出せないワンちゃんの飼い主さんもいらっしゃるでしょう。

持病や高齢といった理由でお散歩に行けない場合や、お散歩に対するワンちゃんの恐怖心がトラウマレベルで、お散歩に連れて行くことがかえってそのワンちゃんの心身に悪影響を及ぼすような場合ですね。

では、そんなワンちゃんに飼い主さんができることは何もないのかというと、そんなことはありません。

上記のお散歩の意味合いを正しく理解して、お散歩以外のことでそれをどう補うかを考えていってあげることはできるはずです。

●情報収集

ずっとおうちの中に閉じこもっているワンちゃんに外の世界の嗅ぎ慣れない様々なものの匂いを、ワンちゃんに話しかけながらひとつひとつ嗅がせてあげるのは、よい刺激や気分転換になりますし、ボケ防止にも役立つと思います。

「なにそれなにそれっ？！」

と興味を持って寄ってくるワンちゃんに、買ってきた物を

「コレはねぇ～、お父さんの靴下だよ～！お父さん喜ぶかな～？」

などと話しかけながらクンクンさせてあげたり、

季節の草花を摘んできて

「ホラ、綺麗でしょう～？飾っておこうねー♪イタズラしちゃダメよ～！」

などと嗅がせてあげることもいい刺激になりますね。

もちろん、ワンちゃんにとって危険のある食品や植物には十分に気をつけてくださいヨ！！

（インターネットで調べると気をつけなくてはならない物はすぐにわかりまーす）

買ってきた物などをワンちゃんに嗅がせてあげる時のコツは、飼い主さんが手を離さずに嗅がせてあげることです。

そんなにクンクンクンクン執拗に嗅がせる必要はなくて、ほんのチョットだけ「ホラね！」という感じでいいんです。

手を離してしまうと、ワンちゃんは自分がもらった物だと勘違いしてしまいますから気をつけてくださいね～(^o^;)

「コレはわたしの物よ。でもチョット嗅がせてあげるね～！」

という気持ちでいるとうまくいくと思います。

●存在意義を感じさせてあげる

飼い主さんの中には

「しつけって・・・なんだかワンちゃんをがんじがらめにして自由を奪うようで可哀想！！」

と思ってしまう方がいらっしゃるようですが、わたしはそんな風には思いません。

愛犬が家族の一員であるというなら尚更、家族にはそれぞれ果たすべき役割が必要です。

もし、アナタが家族の誰からも頼りにされず、ただお家の中でジーーっとすることで時間を浪費していて、

「あなたはいいから何もしないでそこで寝ていて！迷惑かけないで！うるさいからしゃべらないで！」

なーんて言われていたら、アナタは楽しいですか？

ワンちゃんにとって「オスワリ」「マテ」「オイデ」「ハウス」などの日常的なコマンドに従うというだけの単純な行動であっても、それを上手にできて飼い主さんに褒めてもらえたら、

「自分は飼い主さんを喜ばせる役に立っているんだなぁ～♪」

と誇らしい気持ちになるでしょう。

ですから、ワンちゃんが当たり前にできているようなこれらの行動でも、決してルーティーンのものとして流してしまうのではなく、軽くで構いませんから忘れず笑顔で褒めてあげてください。

コマンド以外にも、

・飼い主さんが忙しく仕事をしている時には邪魔をしない

・オシッコやウンチはトイレットシートにする

などといった、ごく当たり前のお家の中のルールを守ることができた時も、ニッコリ笑って「エライね！ありがとう！」と褒めてあげてください。

いちいちオヤツなんか出してこなくったって、ワンちゃんは自分が役に立っていると感じることができる飼い主さんの笑顔で十分に存在意義を感じることができるでしょう。

飼い主さんが外出先から帰ってくると、年をとってほとんど動くことがなくなったワンちゃんでも、ムクッと起き上がって玄関に向かおうとしたり、シッポをパタパタと振って懸命に顔を起こそうとして出迎えてくれますね？

ワンちゃんは、それを自分の大事なお仕事だと思っているんです。

ご自身の愛犬の状態に合わせて、

「ありがとう！よくできたね！嬉しいよ！キミのおかげ♪」

という風に声をかけてあげられる機会をたくさん作ってあげてください。

誰かの役に立てるってことが生き甲斐になるのは人間だけではありません。

お散歩に行けないワンちゃんにとって、飼い主さんの役に立てているという実感を持てることは、精神的な安定やストレス解消にとても有効です。

●向き合う時間

毎日飼い主さんと一緒にお散歩に行くワンちゃんは、必然的にお散歩の間中は飼い主さんを独占できているという満足感と、飼い主さんと共同作業をしているという喜びを得ることができます。

もちろん、お散歩に行かないワンちゃんだってお家で常に飼い主さんのお膝の上や傍らにいることができているかもしれません。

でも、メリハリなくただ一緒に過ごしている・・・というのと、

「さあ！お散歩に行くよっ！！」

と飼い主さんと出かけ同じ方向を目指してハッハッと歩くのではワンちゃんが得られる「達成感」や「満足度」が全く違います。

そこで、お散歩に行けないワンちゃんには、わざわざ飼い主さんと共同作業をする（同じ目的を持ってガッツリ向き合って過ごすこと）時間をもうけてあげるといいですね。

一緒にテレビを眺めるとか、一緒にお昼寝するとか・・・そういう日常的なこととは違う何かをわざわざするってところがポイントです。

何をするかは、ワンちゃんが喜ぶことなら何でもかまいません。

◇エネルギーが有り余っているワンちゃんの場合

たとえば、元気のあるワンちゃんならば、柔らかいボールやオモチャを使って「取ってこい」の遊びをしてあげるなど、ワンちゃんの息がハアハアする程度の運動をさせてあげるといいでしょう。

それによって、お散歩の目的のひとつでもある”エネルギー発散”もできますね。

メリハリをつけるために、この特別な時間に使用するオモチャやボールは普段はワンちゃんに与えっぱなしにせず、飼い主さんが管理しておきます。

そして、「さぁ～やろうか？！」という時間になったら出してくる・・・それが特別な共同作業が始まる合図です。

ワンちゃんの体力に合わせて10分～30分くらいしっかりと付き合ってあげましょう。

とても大切な時間ですから、その間は他のことに気を取られず、ワンちゃんとの作業に100％意識を集中してあげてください。

心地よい疲れと飼い主さんにたっぷり相手をしてもらったという満足感をワンちゃんに与えてあげたら、最後にオモチャやボールをしまって「ハイおしまい！」とキチンとけじめをつけてください。

◇老犬や持病があって運動は必要としないワンちゃんの場合

やっぱり「さあ、始めるよ！」というメリハリをつけるために、何か合図を決めましょう。

例えば、その時間だけはいつもワンちゃんが寝ている場所と違うお部屋や場所にワンちゃんを連れて行くとか、その時だけ使用する特別なクッションにワンちゃんを乗せるとか、その時間は決まった音楽を流すといったことでスペシャル感を演出できますね。

ワンちゃんが

「あ！ヤッタぁ～！飼い主さんを独占できる時間だな♪」

とワクワクする時間が毎日訪れるというのはすごくいい刺激になりますし、それ以外の退屈な時間だって、待ち遠しいイベントがあると知っていれば楽しく過ごせるようになるはずです。

ワンちゃんの健康状態に応じて、たっぷり話しかけながら時間をかけて全身をマッサージしてあげたり、ブラッシングしてあげる時間にしてもいいでしょう。

丁寧にお耳掃除や爪やすり、ハミガキなどをする時間にしてもいいでしょう。

重要なのは、その時間はテレビやスマホなどに心を奪われることなく、ワンちゃんに全神経を集中させてあげるってことです。

マッサージもブラッシングも単なる義務感で行うのではなく、ワンちゃんとの信頼関係や愛情を確認するかけがえのない時間だという意識を持って、ゆったりとした時間を過ごしてあげてください。

この特別な時間は、ワンちゃんの心の充足になるだけでなく、昨日まではなかったシコリの存在にいち早く気づくことができたりといった健康チェックにもとても有効です。

●できることをする

「愛犬はお散歩嫌いで困っちゃう・・・」

「以前は元気でお散歩が好きだったのに最近はお散歩に行けなくなってしまって・・・」

そんな飼い主さんはいっぱいいらっしゃるかと思います。

でも、それを嘆き悲しむのではなく、お散歩の代わりにできることを探してワンちゃんと一緒にぜひ楽しんでいただきたいのです。

ちょっと想像してみてください。

愛犬を朝夕それぞれ15分ずつのほんの短いお散歩に連れて行っている飼い主さんがいたら、その飼主さんは少なくとも毎日必ず30分間はワンちゃんに捧げていることになりますね？

1年間で10,950分（182時間半）

にもなるんです！！

愛犬をお散歩に連れていけない飼い主さんだって、それと同じくらいの時間を毎日愛犬に捧げてあげましょうよ(*^_^*)

最後に、マザーテレサが愛した言葉とマザーテレサ自身の言葉をご紹介して、このシリーズをおしまいにしたいと思います。

「暗いと不平を言うよりも　すすんで灯りをつけなさい」

「世界平和のためにできることですか？　家に帰って家族を愛してあげてください」

とってもポジティブな言葉でしょう？

「ウチの子お散歩嫌いなの・・・と不平を言うよりも　すすんでできることをしなさい」

「世界平和のためにできることですか？　家に帰って飼い犬を愛してあげてください」

ちゅーことですね(^o^)

＜今日のPetHotel11!＞