Pet Hotel 11! お庭番のブログ①: 愛犬のために手放すことを検討する飼い主さんのお話②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!（ペットホテルワンワン）のお庭番です。

ご心配をおかけしましたが、としおはスッカリ元気になりました♪

昨日、獣医さんからいただいたお薬を飲んで爆睡していたとしおは、今朝はもう体調が悪かったことがウソのようにルンルンでお散歩し、朝ごはんをペロリと完食して絶好調です（笑）

昨日、まるでお仕事犬のようにお散歩が上手になっていたのは・・・

やはりテンションが低かったせいでした(-_-;)

今朝は一応引っ張らずに歩くことはできましたが、やっぱり気になるニオイを見つけると

キャッホーーーイ♪

って注意力散漫になっちゃう、実に”としお（子犬）らしい歩き方”に戻っておりました（笑）

でも、今は元気いっぱいでいてくれることが何より嬉しいです(*^_^*)

たくさんの方にご心配いただきました。

ありがとうございました。

さて・・・では前々回ブログのつづきです。

【お父さんの自信喪失】

●大幅増量！

先日、Hちゃんをお迎えに行った際、Hちゃんのお父さんはHちゃんの口臭が酷いことを気にされていて、お預かり中に獣医さんを受診させてほしいとわたしにおっしゃいました。

たしかにHちゃんの歯はだいぶ汚れていて口臭もありましたが、それよりもわたしが驚いたのはHちゃんの急激な太り方でした。

前回お預かりした時に比べて、明らかに大幅増量しています！

体が小さく、脚の骨も華奢なHちゃんは、体重が増えすぎてしまうとたちまち骨折しやすくなったり関節に不調が出やすくなります。

Hちゃんは今年12才になるのですから骨密度も低くなっていることでしょう。

心配なのは骨だけではありません。

肥満によって心臓に負担がかかりやすくなってしまいます。

Hちゃんがこのような状態になってしまった理由・・・実は以前からあった次のような問題によるのです。

●Hちゃんの言いなりに・・・

Hちゃんのお父さんは、奥さんを亡くされてのお独り暮らし。

以前はHちゃんのお世話は全部奥さんがされていました。

ただでさえ奥さんを亡くして意気消沈していたHちゃんのお父さんにとって、高齢になってから突然向き合うことになった慣れない家事とHちゃんのお世話は大変なご負担になっていたようでした。

それに加えて、HちゃんはPetHotel11!で何度もお預かりしているからよく分かるのですが、なかなかの頑固さんなんです。

Hちゃんが元々こんなに頑固者だったのか、Hちゃんのお父さんがついHちゃんを甘やかしすぎてそうなったのかはわかりません。

でも、Hちゃんとお父さんはまるでお姫様と執事のような関係になってしまっているんですね・・・(^o^;)

●食のワガママ

Hちゃんは、ごはんに関してかなりワガママになってしまっていて、カリカリフードだけだと見向きもしません。

Hちゃんのお父さんは、Hちゃんがごはんを食べないと大層心配して、ついついHちゃんが喜んで食べるものを与えてしまいます。

すると・・・

「ごはんを拒否すれば、美味しいものがもらえるのねっ♪」

と知ってしまったHちゃんの好き嫌いはますますひどくなっていったというワケです。

だから、PetHotel11!でHちゃんを1週間くらいお預かりするような時、わたしたちはわざとHちゃんのお父さんが持たせてくれたトッピングは無視して、Hちゃんにカリカリフードだけをあげるようにしていました。

「ドッグフードを食べるようになってくれたらいいんですが～・・・」

と困ったようなお顔でHちゃんのお父さんがおっしゃっていたからです。

お預かりして最初の2～3日はお腹が空いているだろうにガンコにごはんを拒否しているHちゃんも、観念して一旦食べ始めるとそれ以降は犬が変わったようにカリカリフードを美味しそうによく食べるようになりました。

そうなったHちゃんをお父さんの元にお返しする時、

「Hちゃんはカリカリフードを美味しく食べられるようになりましたからね。

今後はカリカリフード以外与えないようにして下さいね！

最初はお父さんなら他のものをくれると思って食べてくれないかもしれませんが、他のものをあげなければ、必ずHちゃんは食べるようになりますからね！」

とお父さんによ～くお話するのですが・・・

やっぱり次にお預かりするときには元のワガママHちゃんに戻って来るという繰り返しでした。

きっと、Hちゃんよりもお父さんの方が我慢比べに負けてしまうんですね(^o^;)

実は、この”食のワガママ”こそがHちゃんの歯槽膿漏や肥満の一番の原因になっていたんです！！

●悪循環

今回、お預かりしたHちゃんを獣医さんに診ていただくと、案の定

「歯槽膿漏寸前だから麻酔してスケーリングしなくちゃダメ！」

「間違いなく完全なる肥満娘！」

とのことでした。

◇歯や歯茎がボロボロになる原因

以前にこのブログでもお話しましたが、基本的にカリカリフードだけしか食べていないワンちゃんは、歯石の付き方があまりひどくはなりません。

もちろん、ハミガキをしなければ歯石はついてしまうのですが、まったくハミガキしていないワンちゃんでもスケーリングをしなくてはならない状態になるまでの期間がだいぶ稼げるってことです。

その反対に、柔らかい食べ物（缶詰食や手作り食など）や人間の食べ物を頻繁に食べているワンちゃんは歯石がみるみるついてしまいます。

柔らかい食べ物は歯にくっつきやすい上に、まったく噛まずに食べるため、口腔内を清浄に保つ唾液の分泌が少なくなってしまうんですね・・・

◇肥満犬になる原因

カリカリフード以外の食べ物を毎日食べさせているワンちゃんは肥満にもなりやすくなります。

なぜなら、カリカリフードは規定量を食べさせている限り適正体重は保てますし、ワンちゃんの年齢や運動量の変化に応じて「ちょっと太ったかな？」と思えば単純に量を減らせばいいですし、その逆も簡単に調整ができますね。

ところが、人間の食べ物をもらったり、カリカリフードを食べてくれないので好物をトッピングしたりしているうちに、いつしかワンちゃんが喜んで食べてくれる方の食べ物を人間が進んであげるようになってしまい・・・

結局1日にどのくらいあげているのかを飼い主さんご自身がよくわからない状態に陥ってしまいがちなんです。

更に困ったことに、Hちゃんのお父さんもHちゃんも高齢であることから、以前は1日2回行っていたHちゃんのお散歩が最近では1回になってしまっているそうです。

お父さんもなんとなく出不精になり、Hちゃんも高齢の肥満犬になるにつれて家でゴロゴロしていることが増えてしまったんですね・・・

こういった、あまり好ましくない習慣の積み重ねの結果、Hちゃんは次のような悪循環にハマっってしまったようですね(-_-;)

1）Hちゃんが好き嫌いをするので、心配になったお父さんはHちゃんが喜ぶ人間の食べ物や柔らかい食べ物（チーズなど）ばかり与えてしまう。

2）Hちゃんの歯垢がたまり歯石がジャンジャンでき、肥満体になる。

3）歯槽膿漏になり、それがさらに悪化して外歯瘻（ホッペに穴！）に・・・

4）麻酔をしてスケーリング、更に根っこが腐った歯は抜歯することに。

5）歯が減っているのでHちゃんはますます柔らかい食べ物を好むようになる。

6）お父さんはHちゃんに要求されるまま柔らかい食べ物を与えつづける。

7）Hちゃん、また歯槽膿漏になり、更に太って動きが鈍くなり肥満も悪化する一方・・・（※くりかえし）

●やるべきことがわかっていても・・・

わたしは、毎回Hちゃんをお預かりしたときや、獣医さんに連れて行った後にはHちゃんのお父さんにHちゃんのお世話をどのようにしていったらいいかアドバイスさせていただいていました。

具体的には

・カリカリフードだけを与え、食べなければすぐに下げてしまうこと。

・ワガママに根負けしないこと（餓死するまでワガママを通す犬はいない）

・どうしても根負けしてしまうなら、ハミガキを励行すること。

・上から見てウエストのくびれがなくなったら太り過ぎだからごはんを制限してたっぷり運動させること。

けれどもその度に、Hちゃんのお父さんは眉毛を八の字にして

「そうなんですよねぇ～・・・やっぱりねぇ～・・・でもコイツがなかなか頑固者で・・・ワンワン怒るもんでねぇ～・・・

薬ひとつ飲ませるのも大変な苦労なんですから、ハミガキなんてとてもとても・・・

はぁ～～～～・・・どうしたもんですかねぇ・・・困りました・・・」

とおっしゃるのです。

そして今回ついに、Hちゃんのお父さんはこんなことを言い出しました。

「どうも私にはHちゃんをちゃんと見てやれる自信がないんですよ。

食事管理もハミガキもお薬の管理もちゃんとしてやれずに、何度もつらい思いをさせてしまって・・・

私は飼い主失格なんじゃないかと・・・

息子夫婦もHちゃんを引き取れないと言っているし・・・

Hちゃんのためにも誰かHちゃんの面倒を見てくれる人はいないでしょうかねぇ・・・

オタクはどうですか？

引き取っていただくなんてことは・・・無理ですかねぇ～・・・？」

長くなるので次回につづきます。

＜今日のPetHotel11!＞