Pet Hotel 11! お庭番のブログ①: 愛犬のために手放すことを検討する飼い主さんのお話④

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!（ペットホテルワンワン）のお庭番です。

前々回ブログのつづきです。

【共に支え合って・・・】

●ドキドキしながらご報告

Hちゃんのお父さんに、Hちゃんの血液検査の結果をお見せしながら以下の内容をお伝えしました。

・今回、麻酔をかけてスケーリング手術をする際、歯を1本抜かなくてはならない状態だったこと。

・血液検査の結果も心電図の結果もハナマルで、肥満で高齢のワンちゃんにしては驚異的な数値だということ。

・上記の結果は、Hちゃんがとても長生きする可能性を示唆していること。

・麻酔をかけてのスケーリングは年齢的に来年以降は難しくなってくること。

・長生きするからこそ、寝たきりになったりしないように十分健康管理に留意しないと、お父さんにとってもHちゃんにとっても大変になること。

・カリカリフード以外を与えずハミガキを頑張れば、Hちゃんとまだまだこれからも一緒に楽しく暮らせること。

もしかすると、Hちゃんのお父さんが更に自信を失って不安になってしまわれないかと、少し心配しながらお伝えしました。

でも、わたしの余計な心配を吹き飛ばすような笑顔でHちゃんのお父さんは次のようにおっしゃったのです。

●Hちゃんのお父さんの言葉

「そうですか！！Hはそんなに強い子だったんですね！

（血液検査の結果をご覧になりながら）ホホ～～！本当だ、コリャすごい！

私の血液検査と同じくらい優秀な結果ですよ・・・ハハハ、ウソウソ」

冗談まで飛び出すHちゃんのお父さん(*^_^*)

「私もしっかりして頑張らなくちゃですねぇ～～！

実はね・・・この前ワンワンさんに言われてから、余計なものはあげずにカリカリごはんだけにして、しかも量も少なめにしたんですよ。

食べてくれないかなぁ・・・と思っていたんですが、Hちゃんは何か感じたんでしょうか、おりこうにねぇ、ちゃーんと食べてくれたんですよ！

ああ、えらいなぁ～！Hちゃんはがんばりやさんだなぁと思ってね・・・

それから、教えていただいたようにハミガキの練習もね、やってみたんですよ。

これもね！Hちゃんはきっとイヤがってさせてくれないって思い込んでいたんですが、意外なほど素直に抱っこされておとなしくさせてくれましてね・・・

いや、嬉しかったですねぇ～～！

今回、こんなに歯をピカピカにしていただいたので、今日から頑張ってハミガキしていれば、もう歯槽膿漏になんかなりませんよねぇ？！

Hちゃんとまだまだ健康で一緒におさんぽできたら、そりゃ～何よりですものねぇ～！！」

●老老飼育にサポートは必須

Hちゃんのお父さんの前向きなお言葉が聞けて、わたしたちは本当に嬉しかったです。

ペットを飼うならば最後まで面倒をみるのは飼い主さんの義務です。

ペットを飼い始める時点で、自分の年齢とペットの寿命についてよくよく考えなくてはなりません。

でも、人生は予想外の”まさか”が起きるものですね。

Hちゃんのお父さんだって、まさか奥さんがご自分より先に逝ってしまわれるなんて思ってもいらっしゃらなかったことでしょう。

家のことも愛犬のことも奥さんに任せっきりだったご老人が、その喪失感や哀しみから立ち上がり、慣れない家事や愛犬の世話をキチンとこなすことがどんなに大変なことか・・・想像に難くありません。

わたしたちは、ワンちゃんをお預かりする際、飼い主さんの方からお話にならなければ、特に行き先やお預けの目的について根掘り葉掘り伺うことはしていません。

けれども、いつだったか何度目かにHちゃんをお預かりする際、Hちゃんのお父さんは教えて下さいました。

「あのねぇ、私、Hちゃんをワンワンさんにお願いして四国八十八か所のお遍路さん巡りをしているんですよ。

もうこの年令だからね、一度に数箇所ずつしか回れないんですけどね・・・」

奥さんを亡くされたHちゃんのお父さんが、どんなお気持ちで死に装束に身を包み四国八十八ヶ所巡礼をされていたのかを想像すると、胸が熱くなりました。

もしかするとHちゃんのお父さんは、愛犬のお世話を上手にできていないと感じて自信を失くされてただけではなく、再び愛するものが自分を残して逝ってしまうことを想像すると、その現実に真正面から向き合うのが辛くなってしまわれたのかもしれないと思いました。

親しい身内の方が亡くなると、どんな人でもご自分を責めてしまうものです。

「もっと気をつけて見てやっていれば・・・」

「自分のせいではないか・・・」

何一つ責を負うようなことがなくても、そんな風に感じる人がほとんどですから。

今回、Hちゃんのお父さんのお気持ちを明るくしたのは、

「Hちゃんは強い子！まだまだ長生きするヨ！」

という獣医さんの言葉に励まされたことと、Hちゃんが今までは食べてくれなかったカリカリフードを食べ、おりこうにハミガキをさせてくれたことによって、飼い主さんとしての自信を取り戻したことの両方によるのではないかと感じています。

Hちゃんもまた、お父さんの気持ちから何かを感じ取ったのかもしれませんね。

わたしたちにできることは限られていますが、今後もHちゃんとお父さんのことを見守りながら、微力ながらサポートをさせていただきたいと思っています。

遠くの親戚より近くの他人って言いますしね・・・わたしたちも、そう遠くない未来には、今ほどの気力も体力もなくなり、誰かのお手伝いを必要とするようになるでしょうから。

人もワンちゃんも長寿になった今、愛犬の”老老飼育”は本当に増えていると実感しています。

みなさんも、もしご近所にそういう飼い主さんがいらしたら、どうかマメに声をかけてさしあげてください。

飼い主さんのおうちがひどく散らかってきていたり、ワンちゃんがやせ細っていたり毛玉だらけになってきたなと感じたら、何かサポートが必要かもしれないと考えて、お話を聴いてさしあげてください。

お年寄りは、お話を誰かに聴いてもらうだけでも、気力がわいてくることだってありますからね！

先日、Hちゃんをお送りした時に、お父さんがお庭で育てた見事な柑橘類をいただきました。

ちょうどタイミングよく、別な方から生牡蠣を頂戴したので、早速レモンを絞っていただきました。

素晴らしく香りのいい、美味しいレモンでした♪

Hちゃんのためにも、お庭の植物たちのためにも、お父さんにお元気で長生きしていただかなくては！！