2018年1月6日土曜日

畑を守る犬たちのお話②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


前回のブログのつづき、モンキードッグのお話です。


【南木曽町のモンキードッグ】


●キツネ顔の柴犬


前回のブログでお話したように、柴犬にはタヌキ顔キツネ顔の2種類があります。

長野県南木曽町でモンキードッグとして活躍している犬はおよそ40頭で、その9割が柴犬なのですが、特にキツネ顔の柴犬の方が多いといいます。

柴犬がモンキードッグに適している理由について、獣医師の山下國廣先生は次のような見解を示しています。

「日本原産犬は日本の野山に適応しているため、そこで敏捷に動いて猿を追うのには適していると考えられる」

南木曽町は、その面積の9割以上が森林で、畑のすぐ脇まで森林が迫っています。

日本の気候と日本の里山で、7000年以上も前から日本人のパートナーとして生きてきた柴犬だからこそ、南木曽町のような地形でサルを追う仕事を立派にこなせるのかもしれません。

また、柴犬の狩猟本能について次のような興味深いデータがあります。

世界の主要な犬85種類とオオカミのDNAを比較すると、柴犬がもっともオオカミのDNAに近いというのです。

中でも、その外見もオオカミに近いキツネ顔の柴犬には、より高い狩猟本能が受け継がれているのかもしれません。


●モンキードッグに適した犬とは?


キツネ顔の柴犬だからといって、どの子もモンキードッグに適しているわけではありません。

例えば、ボールやオモチャを投げても興味を示さないような子はモンキードッグに向いていません。

音の鳴るオモチャを鳴らしても知らん顔しているような子も向いていません。

要するに、好奇心旺盛で、動くものや音のするものに敏感に反応して追いかけようとするワンちゃんでなければダメだってことですね。

そういう意味でいうと、ウチにいる超長期お預かり犬の”なつ”なんか、猫やカラスを見つけると目の敵のように猛然と追いかけようとしますから、モンキードッグに最適犬かもしれませんね~

(鳴き声が可愛すぎるからおサルさんは逃げないかもしれませんけど・・・)


●モンキードッグの訓練方法


この記事をお読みの方で、

「ウチの子をぜひモンキードッグに・・・」

という方はほとんどおられないかと思いますが・・・(^-^;

ご家庭犬のしつけに応用できることもあるかと思いますので、南木曽町でモンキードッグの訓練をしているトレーナーさんのやり方を簡単にご紹介したいと思います。

まず犬の年齢ですが、生後6か月~3才くらいの犬であれば十分訓練によってモンキードッグになれる可能性があるそうです。


◆呼び戻し訓練


最も大事な訓練は”呼び戻し訓練”です。

神出鬼没のサルを追うモンキードッグは、当然のことながらノーリードです。

サルを追って山奥に入りそのまま帰ってこないようなことがあれば大変ですから、犬笛の音を聴いたらすぐにハンドラーのところに戻って来るという訓練が絶対不可欠なんですね。

最初は広いグラウンドなどでロングリードをつけたまま訓練を行います。

まずは、犬笛の音とご褒美を犬に関連付けてもらうために、犬を自分のすぐ近くに座らせ、犬笛を吹いてその直後にオヤツをあげます。

「この笛が鳴るとオヤツがもらえるんだな♪」

ということを犬が覚えてくれたら徐々に犬との距離を離して、犬笛が鳴れば必ず戻ってくるようにします。

犬笛は、人間にとってはかすかな音でしかありませんが、犬には2㎞離れていても聴こえるような音を出します。

最終的には実際に山に入り、犬の姿が見えなくなるくらい離れたところで犬笛を吹いて、見事戻ってくれば”呼び戻し訓練”は成功です!

どんなに好奇心旺盛でオモチャやボールは追いかけても、この”呼び戻し訓練”がうまくできない犬はモンキードッグにはなれません。

サルを追って夢中で山奥に迷い込んだまま、笛の音も聴こえないほど我を忘れてしまうようでは、本犬さんの身が危険だからです。


◆サルを見つける訓練


呼び戻しの訓練をクリアすると、いよいよサルを見つける訓練です。

モンキードッグのお仕事は、畑を荒らしているサルを追い払うことだと思われるかもしれませんが、一番理想的なのは、山から人里へ下りて来ようとしているサルをいち早く見つけて山へと追い払い、畑を荒らされることを未然に防ぐことです。

一度もサルを見たことがない犬も多いため、まずはサルの匂いやサルが山から下りて来る時の気配などを覚えさせるところから訓練は始まります。

村の人に協力してもらい、サルを見かけたらすぐに連絡を入れてもらって訓練中の犬を連れてその場へ急行するということを繰り返します。

最初はロングリードをつけたまま、サルが現れた場所へ連れて行き、見事にサルに向かって吠えて追い立てればOK!ご褒美をあげてうんと褒めます。

更にノーリードの状態でサルを追わせ、犬笛で確実に戻ってくれば晴れてモンキードッグとして合格することになるわけです。


●すべてのしつけに共通する鉄則


素質が十分あって呼び戻しの訓練も無事にこなした犬でも、実際に野生のサルに出くわすと怖気づいてしまう場合もあるといいます・・・

「ウソだろ・・・?」

って気持ちになりますが、ここで決して無理に犬をけしかけようとはしないことが大事なんだそうです。

嫌がったら無理強いはしない。

訓練そのものを犬が嫌いにならないようにする鉄則ですね。

そして、一日の訓練を終えると、十分な栄養と休息を犬に与えます。

メリハリをつけることによって、大事な場面で集中力と瞬発力を発揮できるようにするのですね。


●モンキードッグは”三方良し”


モンキードッグの特筆すべき利点は、サルが人里に下りてきてしまうことを未然に防ぐという点です。

一旦 人里に下りてしまったサルは、畑で簡単に食べ物を得ることに味を占めてくりかえし畑を荒らすようになります。

それに、人里に下りてきたサルは人間に捕獲されたり猟銃で駆除されたりしてしまいますが、犬に吠えられて山に帰ればそんな目に遭わずとも済むわけです。

野性の生き物というのは、相手に本気で追いかけられているのか、遊び半分で追いかけられているのかを敏感に察知するといいます。

人間は、ハナから走ってサルに追い付けるなんて思ってもいませんよね・・・

その点、犬はサルを見つけると猛スピードで真剣にサルを追います。

ですからサルの方も必死で山に逃げ込みますし、一度犬に本気で威嚇された場所はキケンだと学習し、二度と近づこうとしないのだそうです。


モンキードッグの取組みは、単に絶大な効果があるというだけでなく、


犬は毎日のびのびと野山を駆け回り、好奇心を満たして、その上褒めてもらえる♪

サルは人里に下りて無駄に殺生されることがない♪

農家は丹精込めて育てた作物をサルに荒らされる損害がなくなる♪


という”三方良し”の取組みなんですね。



南木曽町でモンキードッグとして認められた犬は”忠犬の証(あかし)”と呼ばれるピンクの首輪を贈呈されます。

モンキードッグは基本的にノーリードでいるため、そうでない犬との見分けが明確につくようにしておく必要があるんですね。


農作業の間、畑の周囲を見回り、サルの気配を感じると猛ダッシュで猿を追い払う。

そして笛が鳴ると戻って来る、ピンクの首輪をつけた頼もしいモンキードッグたち。

その表情は自信に満ちていて、とても生き生きしているようにわたしには見えました。




縄文時代から7000年以上も続いてきた柴犬と人間日本人のパートナーシップは、今も南木曽町で生きているんですね。


(参考:テレビ朝日系列 奇跡の地球物語 近未来サイエンス~モンキードッグ 猿から畑を守る柴犬たち~)





<今日のPet Hotel 11!>

はじめまして!メイちゃんです♪
ママはワタシのこととっても臆病だと思っているの。

でもね、ママが思うほど怖がりじゃないのよ♪
メイちゃん「こんにちは~。ヨロシクね~!」
チコくん「こわいよぅこわいよぅ~」

チコくん「こここ・・・こんちは・・・」
メイちゃん「ハイ、こんにちは♪」

メイちゃん「ね?ちゃんとご挨拶できるでしょ?」
チコくん「はぁあああ・・・できたぁ~~💦」

「ママー!ボクすごいでしょ!!」
うんうん、すごい変顔だねぇ(笑)
うそ、チコくんはよく頑張ってるよーー(^▽^)/

チャコです。最近こうやってジっとしていても
あまりカイカイしなくなったから
お外ではパラボラを外してもらってるの。

お部屋ではクセでコッソリ掻いちゃうから
しっかり装着されちゃうんだけどね~・・・