2018年1月14日日曜日

脂漏性皮膚炎・マラセチア症との仁義なき闘い①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



昨年10月29日に茅ヶ崎市保健所から引き取った、元繁殖犬のチャコ(シーズー×ヨーキーのMIX)

引き取った時から皮膚の状態が酷く、


・全体的に皮膚が固くて弾力がない
・胴体部分の毛は薄くてまばら
・下半身は”ほぼハゲ”ちゃん( ノД`)
・目の周りの粘膜も赤く炎症を起こしている
・特に酷い部分は皮膚が角化し、分厚く真っ黒になってまるで靴底のよう・・・


っていう状態でした。





2か月半経った現在、チャコの皮膚はめざましく状態が改善してきたので、同じような皮膚炎でお悩みの飼い主さんのご参考になればと思い、わたしたちが取り組んできた方法と経過をご報告しようと思いました。



【根治しない病・終わりなき闘い】


●獣医さんの診断


チャコを引き取った当日、連れて行った獣医さんによる診断は次のようなものでした。


・皮膚の炎症がひどく、治まるまでは不妊手術も不可(抗生剤を処方)

・シーズー×ヨーキーMIXなので皮膚にはシーズーの体質が強く出ているのだろう。そのためシーズーに多い脂漏性皮膚炎が悪化した状態と思われる。

・皮脂を好むマラセチア菌(カビ菌)が増殖しているので、それをやっつける薬用シャンプーを週2回行うこと(お薬シャンプーとカビ菌をやっつけるお薬を処方)

・強い痒みがあると歯や爪で掻き壊して、そこから雑菌が入り炎症を繰り返すのでアトピー用のかゆみ止めを毎日飲ませること(アポキル錠を処方)

・この状態を患っているワンちゃんの多くはアレルギーとアトピーを持っている場合も多いので、フードやオヤツには注意を払うこと。

・脂漏性皮膚炎とマラセチア症は根治が難しい皮膚疾患なので、対処療法を続けながら一生付き合う覚悟を。


●マラセチア症とは


マラセチアという酵母菌(カビの仲間で真菌の一種)が過剰増殖して皮膚トラブルや外耳炎を起こす症状です。

マラセチア菌自体は、健康な皮膚にもいる常在菌です。

けれども、マラセチア菌が何らかの理由で爆発的に増殖すると、

強い痒み・炎症(熱を持った赤み)・脂漏(過剰な皮脂によるベタつき)・大量のフケ・独特の異臭(本当に独特!)

などの症状が出るようになります。

そもそも、皮膚が健康な状態ならばマラセチア菌が爆発的に増殖する心配はありません

ですから、マラセチア症に罹るワンちゃんは、それ以前にまずマラセチア菌の大増殖を許すような原因疾患を持っているわけです。

それは例えば、アレルギーアトピー脂漏症などの皮膚トラブルだったり、内分泌疾患などで免疫力が落ちていたり・・・というようなことです。

マラセチア症を発症しやすい犬種は

シーズー、ウェスティ、コッカー・スパニエル、プードル、ダックス、ボクサー、キャバリア、ジャーマンシェパード

などだと言われています。


●マラセチア菌との仁義なき戦い


マラセチア症そのものは、マラセチア菌の爆発的増殖を許す原因となっている基礎疾患がなくなれば治るはずなのですが、そもそもその基礎疾患であるアレルギーアトピー脂漏症といったものを根治するのが困難ときている・・・

だからいつもチャコのような子の皮膚は、放っておくと

マラセチア菌どものマラセチア祭り~~~♪(カビルンルンだね)

ってことになっちゃうんです。

マラセチア菌たちだって必死なんでしょうよ。

ヤツらにだって生きる権利はあるのかもしれません。

でも・・・

チャコの皮膚を会場にして祭りを開催することは、金輪際 許しませーーん!!


●対処療法のみ


・・・とは言ってみたものの、獣医さんに言われた通り、現在のところできることといえば、


・増殖したマラセチア菌をお薬シャンプーでマメに一掃すること

・マラセチア菌のエサになる皮脂もまた小マメなシャンプーで取り除くこと

・掻きこわして炎症を繰り返さないためにかゆみ止めを服用すること

・それでも掻いてしまう場合はエリザベスカラー(我が家では”パラボラ”と呼ぶ)を装着


この程度のことしかできません。

いわゆる”対処療法”ですね。

チャコの場合で言うと・・・


皮脂を過剰に分泌する脂漏症 → マラセチア菌の爆発的増殖 → 痒いから掻きむしる → 炎症を起こす → 脱毛や角化が進行する


という負のサイクルを・・・


お薬シャンプーで皮脂とマラセチア菌を落とす → また大量の皮脂を分泌 → マラセチア祭り → シャンプーシャンプーまたシャンプー

痒みはお薬で抑え、掻きむしるのはパラボラで抑止


という形で物理的かつ表面的に断ち切るという作業を延々つづける”終わりなき闘い”になるわけです。


●終わりがないなら・・・


「根治は無理です。一生のつきあいになります」

と言われたって

「ああそうですか~了解ッス~!」

なんて簡単に諦められるものではありません。

チャコが強い痒みに耐え切れず、

「助けて~~~!」

というようにウ~~ウ~~~唸りながら、パラボラがなければ血が出るほど掻きむしる・・・

パラボラを装着すれば床を絶え間なく踏み鳴らして痒みに悶絶している・・・

そんな様子は見ていられないほど可哀相で、無駄かもしれなくても何か根治に繋がる手立てを探さずにはいられません。

そして、例え本当に根治できなくて、一生”対処療法”を続けるしかないのであれば、それはチャコにとってできるだけ負担の少ないものにしてやりたい・・・

そんな風に思っています。



前置きが長くなってしまいました・・・(-_-;)

次回、この2か月半のチャコの皮膚疾患に対するわたしたちの取組みを具体的にご紹介します。



<今日のPet Hotel 11!>

アンズちゃん&エイセイちゃん
いつも一緒なの~~♪

同じ柴だけど、ハクくんとは仲良くなれないみたいで
(;^_^A

ケンカばっかりするからチームで遊ぶ時間を
分けました~(-_-;)

ハクくん「一緒に遊びたいのになぁ~・・・」

午後のおさんぽは海へ行ったよ!

エイセイちゃんは砂浜にあった”何か”
がコワイんだってさー(笑)

風が強かったけど、とっても
気持ちよかったよ~~(^▽^)/