前回のブログのつづきです。
【チャコの元飼い主は繁殖屋】
●知らされていた情報
くりかえしになりますが、今回の緊急譲渡会の対象となった30頭のワンちゃんが暮らしていた環境について、チラシなどで事前に判っていた情報は、
『シーズー×ヨーキーMIX 30頭の多頭飼育崩壊放棄』
『過酷な飼育環境で飼われていたので酷く汚れている』
ということだけでした。
また、会場の面談の際の説明でも
『飼い主のオジサン以外の人間は知らない可能性が高いし、外に出たこともないと思われる。女の子は妊娠している可能性もある。』
とは教えていただけましたが、元繁殖犬だったということについてはお話いただいていませんでした。
もちろん、チャコの現在の健康状態が判ったのですから、過去をクヨクヨしたって何の意味もありません。
しあわせな未来に向けて精一杯かわいがってやること。
それだけを考えていればいいのですが・・・
でもやっぱり同じ多頭崩壊でも、
『単に犬好きオジサンが去勢・避妊を怠ったために繁殖して増えて、結局は多頭飼育崩壊しちゃいました』
というのと、
『元飼い主は繁殖屋で、犬たちは繁殖犬でした』
というのでは、まったく意味合いが違ってきます。
特に女の子は・・・
なぜならば、繁殖犬として無理な出産をさせられていた女の子は、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症になっている可能性が高いからです。
そして・・・
譲渡会の後になって、わたしたちの想像が事実だったことが判りました。
●イヤな想像は的中
譲渡会の翌日、わたしたちの耳に偶然入ってきた情報によって、チャコたち30頭の保護犬は繁殖屋の元にいた繁殖犬だったということが判ったのです。
河川敷にある小屋。
それがチャコたちのおうちだったそうです。
繁殖屋のオヤジ(もうオジサンなんて呼ばなーい)は、離れた別の所に住んでいて、小屋に通って世話をしていたけれども、体調を崩して入院することになったから・・・というのが飼育放棄の理由だそうです。
会場には3才以下のワンちゃんやパピーはいませんでした。
もし、いたとしても、パピーはペットショップに、3才以下の子は繁殖犬としての価値もまだあるため、他の繁殖屋に売られたかもしれない・・・
チャコはもううちの家族ですから、チャコに対して酷い扱いをしていた繁殖屋のオヤジに対して、わたしたちは既に
『ンナローーッ!うちの可愛いチャコに何してけつかんねーーーんっ?!オマエを一生 檻に監禁して排泄物まみれの人生をプレゼントしてやろーかーー!!』
・・・って、言ってやりたい衝動にかられちゃうんですねぇ・・・
(言ったらタイホされちゃうから言わないけど~)
●失われた時間
もしも、繁殖屋が体を壊して入院することにならなかったら、チャコたちは一生河川敷の小屋に閉じこめられたままだったことでしょう。
カビ菌が繁殖したベタベタでカユカユの皮膚を掻きむしりながら、病気になっても放置されたかもしれません。
草木や風の匂いも、陽だまりのポカポカも知らず、人にやさしく名前を呼ばれたり、撫でられたり抱っこされたりする”愛される喜び”も知らずにいたことでしょう。
また、繁殖屋が
『自分は入院するから飼育放棄するんだ』
という意思を誰にも話さずにいたら、間違いなくチャコたちは、鳴き声もあげず、誰にも気づかれずに ほんの数日で餓死していたことでしょう。
だから、神さまにお礼を言おうと思います。
繁殖屋のオヤジが入院するようにして下さってありがとうございまーす!
そして・・・犬たちの存在を黙ったまま放置して入院しなかった繁殖屋のオヤジにも、決して人の心がなかったわけではないんだと・・・そう思うことにしました。
チャコが過酷な環境の中で、得ることができなかったたくさんのステキな時間や経験を、これからいっぱい与えていってあげたいと、改めて思いました。
●すべてが初めて!
保護団体で十分に心や体の傷を癒してもらってから新しい飼い主さんの元に引き取られた子と違って、チャコたちの場合はすべてが初めての経験です。
ワンちゃんの性格によっては、知らない人、知らない場所、知らない匂いに満ちた世界は、不安と恐怖でいっぱいの恐ろしいところに感じてしまうこともあります。
だから、こういう子を引き取った場合、本来はまず新しい環境に本犬さんが馴染むまでそっとしてなるべく干渉しないようにしてあげるのが王道です。
けれども、チャコの場合は、初めての環境を喜んで受け入れてくれました。
その様子は、全身から”ワクワク♪”という音が聞こえてきそうな感じ(笑)
特に、甘える喜びは格別だったようで、ナデナデや抱っこをせがんで体を擦りつけてきてくれます。
その様子は、涙が出るほど可愛いんです!
シャンプーは怖がりましたが、決して牙をむくことはありませんでした。
そして・・・お散歩初体験もしました。
最初のお散歩では、それはもう、ウンチもオシッコもせずにはしゃぎ回ってアッチコッチと飛び回るので、リードがわたしたちの足に絡んでしまって大変でした!
お外で排泄をした経験がないんですね。
2回目からは他の子がオシッコすると、すぐその匂いを嗅いで、マネっこしてチーーってオシッコすることも覚えましたし、いろんな匂いをクンクンしながらおりこうに歩けるようにもなりました。
チャコは運動不足のために筋肉量が少なく、全身がプヨンプヨン。
特に下半身の筋肉は退化しているかのように細っているので、少しずつお散歩の距離を増やしながら、無理なく筋肉をつけていってやりたいと思います。
●怖いもの知らず
自分たちがいた小屋から出たことがなく、それ以外の世界をまったく知らないため、チャコは怖いもの知らずです。
一番目が離せないと感じているのは、高いところにいるとき・・・
どのくらいの高さなら飛び降りて大丈夫かが、どうも解っていないんです。
だから、ビックリするような高いところからも降りようとしてしまいます。
筋肉量が少ないチャコは、そんなことをすれば簡単に骨が折れてしまうでしょう!
おそろしやおそろしや~~~(-_-;)
それ以外にも、大きなワンちゃん、側溝のグレーチングや穴など、少し警戒すべきところをまったく恐れないというところがあります。
年齢はいっていても、そのあたりは赤ちゃんと一緒なんですね。
今後も、よ~く注意を払いながら、徐々にたくさんの経験を積ませることで、気を付けるべきことも覚えていってもらうようにします。
チャコの成長や、皮膚の状態などについては、これからもこのブログでご報告させていただきたいと思います(^▽^)/
【茅ヶ崎市保健所からの電話】
そうそう、本日、チャコたちのお散歩中に、携帯に茅ヶ崎市保健所の職員さんから、ワンちゃんの様子を知りたいとお電話がありました。
『もうお名前は決まりましたか?』
『はい!チャコです!』
『え?トコ?』
『いえ、チャコです!』
『え?チョコ?』
『いや、チャコ、”チャコの海岸物語”のチャコでーす!』
みたいな微笑ましいやり取りがあったりして~(笑)
お電話の最後には
『チャコちゃんに関して、何か不安なことや心配なことがあれば、何でも相談してくださいね!』
という心強いお言葉をいただきました。
30頭のワンちゃんが引き取られて行った家庭の1件1件に連絡をし、アフターフォローをするのは大変な作業だと思います。
でも、あのような形で緊急譲渡をしたので、その分キッチリとウォッチしていく責任があることを、よく解っていらっしゃるんでしょう。
全員の幸せのため、ぜひ頑張ってください!
わたしもできる限り協力させていただきます。
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