2017年11月27日月曜日

ワンちゃんへの愛?依存?③

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。




前回のブログのつづき、共依存の飼い主さんとワンちゃんが、なぜ不幸なのか?

というお話です。

前回はワンちゃん側の不幸でしたので、今日は飼い主さん側の不幸について、臆病で偏食で社会性のないケンちゃん(ビーグル犬)を例にして考えていきます。


【共依存の正体(つづき)】


●共依存者とは


これまで「共依存の関係」と書いてきましたが、正確には共依存症といいます。

共依存症が認識されたのはアルコール依存症の治療にあたっていた医師たちだったといいます。

彼らが気づいたのは、どうしても治療がうまくいかない依存症患者に常に献身的に付き添っている母親や妻といった存在です。

医師たちは、そういう母や妻を”共依存者”と名付けたんですね。

共依存者は、依存者に対して過度の世話を焼いたり、依存者の行動を制限したりしていることがわかりました。

そして、結局はこの共依存者の存在が、アルコール依存症者が依存症から抜け出すことを阻害していたんです。

今回のお話で言うと、

よりかかっている側=依存症(今回の場合 ケンちゃん)

よりかかられている側=共依存症(今回の場合 飼い主さん)

となります。



●共依存者が求めるもの


共依存者が求めているのは、

「承認欲求を満たしたい」

ということです。

簡単に言うと

「認められたい」

という欲求ですね。

何を認められたいかというと、自分の存在価値や存在意義を認められたいということです。


●あって当然の欲求


マズローの5段階欲求・・・以前もこのブログでご紹介したことがあると思います。

アメリカの心理学者、アブラハム・マズローが提唱したものです。





下位の欲求が満たされると上の階層の欲求が生まれ、それが満たされるとまた更に上の欲求が生まれるよってお話ですね。


承認欲求は何番目かなぁ~?

あったあった、下から4番目ですね。

承認欲求は、第3段階までの欲求を満たした全ての人が持つものですから、先進国の日本に住むほとんどの人にとって、

「あって当然のごく自然な欲求」

なんです。

安心しましたねぇ~~~♪


●承認欲求の落とし穴


承認欲求自体は誰にでもある欲求で、悪ではない。

でも実はここに大きな落とし穴があるんです。

マズローがこの承認欲求について論じている、次のようなことです。


「承認欲求とは、自分が価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求である。

尊重のレベルには2つある。

低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができる。

高いレベルの尊重欲求は、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視される。

この低い尊重のレベルにとどまり続けることは危険である」


●他者承認欲求だけを満たすことの危険性


つまり、承認欲求には

他人から認められたいという低レベルの欲求
自分自身を認めたいという高レベルの欲求

の2種類があって、前者の低レベルの欲求にとどまるのは危険だってマズローおじさんは言っているんですね。(りくろーおじさんみたいだな ← 無視しましょう)

なぜ危険か、おわかりでしょうか?

他者承認欲求だけを満たしているということは、自分が恥ずかしいと感じるようなことをしてでも、他者からの評価が得られさえすればいいってことになっちゃうからです。

わかりやす~い例は、SNSで実態とかけはなれたセレブ生活を披露して、たくさんの人から「いいね いいね」と評価されることに溺れてしまう人です。

何人もの男性を殺してしまった恐ろしい女性もいましたね~・・・

それから、例のアレ!

ミュンヒハウゼン症候群代理ミュンヒハウゼン症候群

これもやっぱり他者承認欲求のみを満たしている人の病気です。


●共依存の飼い主さんの心理


自分だけを慕い、自分だけになついて、自分がいなければ生きていけないような頼りない存在=ケンちゃん

ケンちゃんにとっては、飼い主さんが世界の全てですから、飼い主さんは神さまのような存在になります。

もし、ケンちゃんが自分以外の人や犬とも仲良くできて、例えば明日からでもご近所の〇〇さんちに2~3日預けてもヘッチャラな子になったら・・・

飼い主さんは自分の存在価値が脅かされたように感じて不安になってしまいます。

ですから飼い主さんは、ケンちゃんが頼りないダメ犬(あえてこう書かせていただきます)であり続けてくれるように無意識にしむけてしまうんです。

この”無意識”ってところがなかなかクセモノ。

本来、飼い主さんが心から ケンちゃんが健全な心身を持って豊かな犬生経験を送ることを願っていたらするはずのこと(しつけなど)を、共依存症の飼い主さんは一切しません。

(あんまり意味のない”芸”は教えたりするんですけどね~(;''∀'') )

逆に、むしろケンちゃんの頼りなさや問題行動を助長するようなことをしてしまいます。

本当ならば、ご自分がしていることに飼い主さん自身が気づかないはずがないのですが、全力で気づかないフリをしてしまっているんですね。

どのくらい全力かというと、自分自身が騙されてしまうくらいに全力で・・・

そのため、共依存の人は代理ミュンヒハウゼン症候群の人と違って、自分は”共依存症”という好ましくない状態だということに気づきにくく、もし他人に指摘されても絶対に認めないんです。

特に日本では、不甲斐ない夫を支える妻や、息子のために身を粉にする母、手のかかるペットをかいがいしく世話する飼い主さんなどが美徳とされる文化があるので、なおさら共依存症の人が自分自身の問題に気づきにくいという背景があります。


●共依存症の飼い主さんの不幸


ケンちゃんが飼い主さんしか拠りどころがないような犬になってしまっているのは、そうしむけている共依存症の飼い主さんがいるからです。

もっとハッキリとキツイ言い方をすれば、共依存の飼い主さんというのは、

ダメ犬に仕立て上げた愛犬を利用して自尊心を満たしている人なんです。

ですから、ダメ犬をかいがいしく世話するステキな飼い主さんというのは、共依存の人が作り出した虚像ということになります。

自分が作り出した虚像が他者からいくら認められたり尊敬されたりしても、虚像は虚像でしかありません。

肝心な高レベルの承認欲求=自己承認欲求は満たされないまま・・・

だって、本人がウソだってことを潜在意識の中で知っているからです。

ですから、こういう人はいつまでたっても第4段階の欲求は半分しか満たされぬままで、欲求不満自己矛盾が解決しません。

満たされない欲求をずーーーっと追い求めてウソにウソを塗り重ねる状態が、本人にとって幸せと程遠いことはわかりますよね。


こういう飼い主さんは、例えば

「もしもアナタに何かがあったら、残されたケンちゃんはどうなると思いますか?」

というようなことを言われると、驚くことに

「ワタシが死んだらケンちゃんはもう生きていけないはず。可哀相だから安楽死させてワタシと一緒に葬ってやってください」

みたいなことを平然と仰ったりします。


コラーーーーッ!!


ケンちゃんは、アナタに私物化されて、アナタの自尊心を満たすために生まれてきたんじゃないんだぞーー!

って言いたくなります(言わないけど・・・)



<今日のPet Hotel 11!>

モモくん、お泊りよく頑張りました!
えらかったね~。また遊びにおいでね(^▽^)/

朝焼けがきれいな海をおさんぽ♪
みんなテンション上がっているけど・・・

モモくん、海が怖いのかな?
波打ち際には絶対に行かないぞ!!のお顔(笑)

今日はおひさまのお陰で暖かいね~♪

海の後、畑にも行ったよ!
「まだまだ歩きたいっ!」っていうモモくんと
「もう帰ってゴハンにしよーよ~う」っていうボス