つづきです。
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茅ヶ崎の譲渡会に行って
批判殺到【茅ヶ崎譲渡会】①(あるセレブ一家の物語)
【何故あのような譲渡会になったのか】
●反対の声
今回の譲渡会は、批判されている方たちから『バラまき』だとか『バーゲン』といった言葉で揶揄されているようです。
去勢や避妊をすることなく、健康状態や性格も不明のまま新しい飼い主さんにその日のうちに引き渡すというやり方を指しているのでしょう。
反対派の人たちが心配されているのは、次のようなことです。
・当日簡単に渡してしまって、もし引取り者が悪徳ブリーダーや虐待者だったらどうするのか?
・健康状態も性格も不明の犬を渡すことは、新しい飼い主に「こんなはずじゃなかった」と再び捨てられるリスクを高める行為ではないか?
正直、わたしたちも最初にチラシを見たとき、まったく同じ心配をしました。
けれども、主催者側の団体さんが、平素は誰よりも保護犬の丁寧なケアと引き渡しをされていることを知っていたので
『よほどの事情があるのだろう』
と直感的に思いました。
だからこそ、
『おかしな人の手に渡らないよう、せめて1頭でもウチに・・・』
という思いで駆けつけたのです。
そのため、反対されている方たちのお気持ちはよく解りますし、おっしゃっていることはまったくその通りだと思っています。
わたしは、後になってたまたま、会場でお目にかかった関係者の方から、何故このような無謀とも思える緊急譲渡会を開くに至ったかという経緯を伺う機会がありました。
●砂上の”殺処分ゼロ”
関係者のお1人から伺ったお話は、とても納得のいく内容でした。
そして、今まで真剣に保護活動に向き合ってきたからこそ出された結論だったのだということが解り、その想いの深さに感動してしまいました。
それを踏まえて書かせていただいたのが、前回の記事中の例え話『あるセレブ一家の物語』です。
現在、少なくとも神奈川県は4年間”犬の殺処分ゼロ”を実現しています。
言うまでもなく、これが行政(セレブ一家)の努力ではなく、保護団体さん(家政婦さん)の努力に頼り切ってなんとか達成できている記録だということはお解りいただけたかと思います。
保護団体さんやボランティアの方は、善意と熱意で動いています。
言い換えれば、今日にでも「もうやめた」と言える立場の人たちでもあります。
そんな人たちの善意と熱意の上にあぐらをかいた状態で達成している”殺処分ゼロ”の不安定さに、行政が本当の意味で気づかない限り、現状の崩壊はもうすぐ目の前なんですね。
●勇気ある試み
今回の緊急譲渡会をあのような形で開くに至った理由は、おおまかに次の2つだと理解しました。
①30頭の早急な”居場所”の確保を最優先した
30頭がいた小屋はすぐに引き払われることになっていて、居場所を探すことが最優先でした。
通常は県の保護センターに一旦収容され、各保護団体の引取りを待つのですが、その保護センターが満員で不可能だったのです。
センターの外にケージを並べるか・・・?
いや、冷暖房の効いた小屋にいたこの子たちを、この寒空の下に一晩でも置けばそれは死を意味する・・・
ベストが無理ならベターを取るのが当然だ。
無茶な形になるだろうが、市の職員さんもやる気になってくれているから、ここは思い切って譲渡会に踏み切ろう。
その代り、きちんとした手順を追って譲渡する場合の何倍も、追跡調査や飼い主さんに対するアフターフォロは大変になるだろう。
でも・・・やるしかない!
・・・と、そういうことだったようです。
②行政に現実を知ってもらうことの意義を重んじた
”殺処分ゼロ”を高らかに宣言しているのは行政です。
にも関わらず、実際に汗を流しているのは保護団体です。
最終的に、センターに収容しきれない子を保護団体が保護するのは、根本的な解決にはなっていないけれど、今はこうするしかない・・・
それが目の前に横たわっている現実でした。
けれども、県内の各市町村という支流から湯水のように県の保護センターに流れ込んでくる保護犬たちは後を絶ちません。
市町村は、いつしか
『県のセンターに任せておけばあとはセンターと保護団体が何とかしてくれる』
そう考えるようになっていったのかもしれません。
本流の河口になっている県のセンターは大変です。
”殺処分ゼロ”を死守するために、場所を空け、受け入れて、保護センターに引取りを要請・・・。
心ならずも受け入れが不可能な保護団体もたくさんあります。
『ウチはもう無理です!』
『ごめんなさい。1週間後なら行けるのですが・・・』
そしてやっと受け入れ先が見つかってホっとしたのも束の間、また次の保護犬たちがやってくる・・・※くりかえし
そんな中で、何度も
『もうダメだ。いよいよ殺処分するしかなくなった・・・』
というところまできては、なんとか切り抜けるという綱渡りのような日々の連続だったようです。(今日、この瞬間にもそれを続けているのですヨ!)
河口付近でバケツを持ち寄った保護団体に水の処理を依頼する前に、支流からの水量をなんとか減らせないのか?
県のセンター職員さんたちは、きっとそんな気持ちだと思います。
県への丸投げが可能だったばかりに、市町村は犬の飼い主やペットショップに対する啓蒙などの、保護犬を減らす対策を明らかに怠っていたのですから・・・
今回の譲渡回は、県ではなく、茅ヶ崎市の保健所が主催だったということに大きな意味があります。
今までだったら
『モシモシ?神奈川県動物保護センターですか?コチラ茅ヶ崎市ですけど、30頭の多頭崩壊放棄が発生したので、そちらでお願いしまーす』
とやっていたところでした。
それじゃあダメなんだ。
崩壊を早めるだけなんだ。
それに気づいた保護団体と、茅ヶ崎市の若手職員さんたちが、今までの慣例に逆らい、各方面から批判が噴出することを百も承知で行った、勇気ある開催・・・
それが、今回の緊急譲渡回の真相だったのです。
池井戸潤センセイ、小説の題材にいかがでしょうか?
●大変な努力
そういう経緯があったため、主催者側の保護団体さんは、やる気を出してくれた茅ヶ崎市の若手職員さんたちを巻き込み、あえて職員さんたちの手で譲渡会を、準備からアフターフォローまでやっていただくようにサポートしたのだと思います。
譲渡会なんか自分たちでやったことのない職員さんたちです。
時間のない中、手取り足取りキホンの”キ”の字から指導して譲渡会を成功に導くのは、どんなにか大変だったことだろうと想像できます。
よほど、保護団体さんが自分たちでやった方がどんなにか楽だったことでしょう。
でも、茅ヶ崎市に、
『保護犬を収容して新しい飼い主さんに譲渡すること』
がどんなに大変なことか?を真に理解してもらうためには、職員さん自身にやってもらうことが、絶対に譲れないことだったのです。
もちろん、本来事前にすべきことをしないで譲渡に踏み切ったのだから、アフターフォローが重要ですし、遠方にもらわれた子もいて、その作業はとても大変です。
そういうことも、職員さんたちに身をもって感じていただくよう、追跡フォローの方法や注意点に至るまで、今も手取り足取り指導と監督役をされているようです。
『家に帰るまでが遠足』
『保護犬が幸せになるまでが譲渡会』
ってことですね!
●至らない点も多いけれど・・・
このような事情を考えると、30頭放棄の一報を受けてから譲渡会開催まで、時間がない中で、いかに関係者の方たちがお忙しかったか・・・想像に難くないですね。
ノミダニ予防、ワクチン接種、ポスターづくり、SNSなどでの呼びかけ、会場整備、案内書類の作成、そしてヒヨコのような職員さんたちの指導・・・
はぁ~・・・気が遠くなりそうです。
その忙しさゆえに、いくら緊急譲渡会だったとはいえ、ご本人たちにとっても不本意だった点や、もっとこうするべきだったという反省点は多々あったことでしょう。
ただ、会場にいたほとんどの引取り希望者は、主催者側の保護団体さんや茅ヶ崎市職員さんたちの働きぶりを見て、
『こんなに忙しいんだもの・・・多少の至らなさは仕方ないよね。人間だもの・・・(byみつを)』
という温かい気持ちで受け止めている人がほとんどのようでした。
そんな中、ネット上では反対と批判の声があがっていたみたいですね・・・
もしかすると、保護団体さんや茅ヶ崎市にも、抗議の電話やメールもたくさんきたのでしょうか・・・( ノД`)
『勘弁してくれ!こっちは寝る間もないの!まして言い訳や説明をしている暇はないの!批判するくらいなら今すぐここに来て手伝って!!』
きっと、人間の小さいわたしだったら、そんな風に叫んでいたかもしれません・・・
本当なら、一番理解してくれ、助け船を出してくれるはずの、同じ志を持つ保護団体さんたちからのバッシングは、相当キツかったんではないかなぁ・・・
長くなりました。
次回につづきます。
<今日のPet Hotel 11!>
すっかり仲良しだねぇ~♪ あれ?何に入ってるの? |
はは~ん、お料理番の仕掛けたトラップだな・・・ |
なんかわかんないけど、ワタシもしないと気が済まない! の”なつ”姐さん。楽しいの~? |
夕方のおさんぽで、近所のみかん畑にみかん狩りに 行ったよ~♪すずなり! |
「お散歩はキライなんです」って飼い主さんから きいていたモカちゃんだけど・・・ いえいえ、とってもよく歩きました~(^▽^)/ |