Pet Hotel 11! お庭番のブログ①: お散歩嫌いの犬③

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!（ペットホテルワンワン）のお庭番です。

前々回ブログのつづきです。

【苦手を段階的に克服しよう！】

●苦手がない方がしあわせ♪

ワンちゃんのお散歩嫌いの原因が「怯え」や「恐怖」や「警戒心」だった場合、その対象が何かを見極めよう・・・ってところまでお話しました。

では、例えばそのワンちゃんが怯えているのが「見知らぬ人」だったと仮定しましょう。

見知らぬ人に出会わないようなお散歩コースや時間帯を選んで毎日お散歩するのもひとつの手ですが、この先何年もお散歩するためにわざわざ車にワンちゃんを乗せたり抱っこしたりして少し離れた森林公園まで行かなくちゃならないとしたら・・・

きっと、

「今日は忙しいから・・・」

「今日は寒そうだから・・・」

「今日は疲れているから・・・」

なーんてサボり勝ちになっているうちに、またお散歩に行かない生活に逆戻りになってしまいそうですね。

だから、ワンちゃんがまだ若くて元気ならば、できるだけどんな状況でもお散歩できる子にしてしまった方が結局はQOL(クオリティ・オブ・ライフ）が上がります。

なにより、怖いものや苦手なものは少なければ少ないほど、心配事が減るのですから本犬さんにとってもハッピーライフが送れるようになるってモンです。

●楽しさを態度で伝えて

では、お散歩で出会う見知らぬ人への恐怖心を克服するにはどうすればいいでしょう？

大前提として、ワンちゃんにお散歩がサイコーに楽しいと思ってもらいたいので、飼い主さんは支度をしているときからお散歩の間中ずっと楽しげに振舞って、たくさんワンちゃんを褒め、たくさん笑っていてください。

そして、

「もしかするとウチの子・・・怯えて歩かなくなるかもしれない・・・ワンワン吠えて収集がつかなくなるかもしれない・・・」

なんてネガティブなことを考えないように堂々と振る舞ってください。

ワンちゃんに

「なーんにも怖くなんかないよ！わたしがドーンとついてるからねっ！一緒に楽しもう♪」

と態度で伝えてあげるんです。

お散歩の途中で見知らぬ人に出会ったら、飼い主さんはその人に笑顔で「こんにちは～♪」って挨拶しましょう。

ワンちゃんにとって敵か味方かの判断がつかない相手に、飼い主さんがニコやかに挨拶することほど安心できることはありません。

「なーんだ！みんな飼い主さんのおともだちなのか♪」

って思えば恐怖心は和らぎますよね？

●がんばれば超えられるくらいのハードル

はじめは数人の人と時々すれ違う程度の時間帯や場所を選んでのお散歩です。

通勤や通学時間、そして駅前や繁華街を避ければ大抵の場所はお散歩できるかもしれませんね。

観察しなくてはならないのは、見知らぬ人とどのくらい距離が近づくとワンちゃんが反応するかってことです。

うーんと遠くから人がこちらに向かって歩いてきているのに気づくともう反対方向へ行こうとするワンちゃんもいますし、5ｍくらいの距離になると初めて落ち着きを失う子もいるでしょう。

いずれにしても、ワンちゃんが「イヤだ！」とか「怖い！」っていう反応を示す距離を把握したら、はじめはその距離を保てるように飼い主さんが配慮しながら歩いてあげます。

たとえば、向こうから人が歩いてきて、このまま進めば自分の愛犬が怖がる範囲に入ってくるぞ・・・・って判ったら、さりげなく横にそれるなどして、愛犬が落ち着いて歩ける距離を保って歩くコースを取ります。

そういった形で無難にお散歩できるようになったら、次はたとえば1ｍくらい（様子を見て決めてください）今までより距離を詰めた位置を歩くようにします。

落ち着きを失いそうになりながらも、ワンちゃんがなんとかやり過ごすことができたら、

「アナタをとても誇らしく思っている」

ということを態度で十分に示して、嬉しそうに惜しみなく褒めてあげてください。

そのうち、ワンちゃんがまた平気で歩けるようになったら、更にもう1ｍ・・・という風にしていきます。

どの程度距離を縮めていくかの目安は、常に

ワンちゃんがギリギリ頑張れる程度のハードルを用意するつもりで・・・

ということを念頭に置いておいてください。

突然、超えられないような高いハードルを設定して無理をさせれば、またお散歩イヤイヤ！って逆戻りしてしまうかもしれませんし、楽勝で超えられるハードルだと、いつまでたっても成長できません。

人参が嫌いな人間の子供に、最初はすり下ろし人参をハンバーグに混ぜ、次にみじん切り人参を餃子に混ぜ・・・という風に段階を追って慣らしながら

「人参、美味しく食べられたじゃないの？！すごいねぇ～！美味しかったよねぇ～？！」

と、その都度自信をつけさせていくのと、やり方はおんなじです。

●最初のハードルが肝心

こういう風にお話していると、お読みになった飼い主さんは

「なんだか難しそうだし、相当時間がかかりそうだなぁ・・・大丈夫かしら？」

なんて尻込みしてしまうかもしれませんが、PetHotel11!で今までお預かりしていたワンちゃんたちを見ていると、実際には最初のハードルさえ超えることができると、あとはもう次のハードルをどんどん超えていけるワンちゃんがほとんどでした。

つまり、1つ目のハードルを超えるのに3日かかったからといって2つ目以降のハードルにもいちいち3日ずつかかるかというとそんなことはないってことです。

中には、段階を追ってハードルを上げる必要がないくらい、最初のハードルを超えた後はお散歩をせがむほど好きになっているような子もいました。

（楽しさを知ってしまった・・・ってパターンですね♪）

そうなるともう、飼い主さんがワクワクしている演技なんかしなくったってお散歩に愛犬を連れ出すのが本当に楽しみで仕方なくなりますから、ますますワンちゃんもノってくるんですね(^o^)

1ヶ月後に・・・

「そういえばほんの1ヶ月前まではお散歩が大嫌いな子だったなんて信じられないくらいお散歩好きだねぇー！」

そんなことを笑って言っていることを想像しながら、楽しくお散歩レッスンしてみてくださいね。

●老犬の場合はお散歩に代えて別なことを・・・

最後に・・・

お散歩嫌いなまま老犬になってしまったワンちゃんについては、次のことに注意してお散歩を好きになってもらうか、それともこのままの状態を維持するかを判断してください。

犬は本来、お散歩（群で一緒に移動すること）が好きな生き物です。

ですから何らかの理由でお散歩嫌いになってしまったワンちゃんでも、飼い主さんと一緒にお散歩することの喜びを知ればそれを日々の待ち遠しい楽しみと思うようになるはずです。

そうなれば、残りの犬生が今までよりもうんとハッピーになる可能性は十分にありますね。

けれども、お散歩嫌いでお外に一切出ない生活を老犬になるまで続けていたワンちゃんの場合、既にお散歩嫌いを克服する過程そのものが大きなストレスとなって、かえって健康や精神の安定を崩してしまう可能性も否めません。

人参嫌いな子供に大人たちが一生懸命人参を食べさせようと頑張るのは、この先人参の入った料理が出されるたびにその子が肩身の狭い思いや辛い思いをするよりも、人参の美味しさを知った方が人生が楽しくなると思うからですね。

でも、人参嫌いなまま老人になった人に、わざわざ

「ホラホラお爺ちゃん、人参くらい食べられるようになっておきなさいっ！美味しいから、ね？！ガンバレ」

なんてやる人はいないでしょう？

ワンちゃんについてもおんなじです。

何歳のワンちゃんならお散歩嫌いを克服させるべき・・・ということは言えませんが、一番愛犬の気持ちを理解できる飼い主さんがワンちゃんの様子をよーく観察して、どちらの方が愛犬とご自身の生活をハッピーにできるか？を判断してみてくださいね。

その結果・・・

「ウチの子にもう無理にお散歩を教えるのはかえって酷だからやめておきましょう」

と判断した場合であっても、飼い主さんにぜひ取り組んでいただきたいことがあります。

それは、お散歩の代わりになるようなことを愛犬と一緒にするってことです。

もちろん、健康上の理由でお散歩に連れ出すことが困難なワンちゃんの飼い主さんにもできることですよ。

具体的なお話は長くなってしまいますので、次回につづきまーーす！

＜今日のPetHotel11!＞