前回のブログで、ご自身が共依存症だと自覚したら、依存をやめようと頑張るのではなく、むしろどんどん依存する相手を増やした方がいいとお話しました。
では、どんな風に依存する相手を増やしていけばいいのでしょう?
【共依存の克服に向けて(つづき)】
●たくさんの人に依存しよう
共依存症の人は、”依存者の世話をすることに依存している人”ですから、できるだけいろんな人のお世話を焼いてあげるようにしてください。
被災者支援のボランティアに参加したり
ペットの保護活動に参加したり
地域のクリーン活動に参加したり
近所のお年寄りに声をかけて手助けをしたり
貧しい国の子どものための基金をしたり
・・・などなど、アナタの助けを必要としている人はたっくさんいます。
大事なことは、特定の対象者や、ひとつの活動だけにのめり込まないように気を付けることです。
その理由はふたつあります。
ひとつは、アナタ自身が共依存の状態から抜け出せなくては意味がないから。
例えば、我が子の共依存者だった母親が、我が子が巣立ってしまった後に”空の巣症候群”になって、今度は愛犬の共依存者になってしまったとしたら・・・
単にお世話をする特定の対象者が変わっただけで、母親の共依存症はまったく克服できていないことになります。
もうひとつの理由は、そもそも助けを必要としている人にとって、最も喜ばしいことは、
「助けを必要としない状態になること」
だからです。
つまり、共依存者がお世話をする対象者=依存者にとっての一番の幸せは、皮肉なことに共依存者を必要としなくなることだという意味です。
この、ふたつめの理由を、もう少し掘り下げてみましょう。
●共依存の人が陥りやすい落とし穴
「この人(犬)はわたしを必要としているんだ!」
というのは、誰かのために”いいこと”をしている人が感じる、ある種の”喜び”の気持ちです。
必要とされていることは、自分の価値を証明すること・・・つまり承認欲求が満たされることだからですね。
けれども同時に、アナタの助けを借りて、めでたく独り立ちした人が、アナタの手から巣立ち、アナタを必要としなくなることをも喜んであげられないようでは、それは偽善になってしまいます。
共依存症になりやすいタイプの人は、本来なら喜ぶべきそんなシチュエーションで、空虚感や寂しい気持ちに陥るため、残念ながら相手の自立を阻害してしまうんでしたね。
ですから、言い方は悪いですが、逃げられても逃げられてもお世話する対象が幾らでもいる状態に自分をおいた方がいいということです。
ターゲットを絞りすぎず、深追いしすぎないのがコツなんです。
寂しがって泣いている暇がないくらいにするといいですね♪
●たとえば・・・
特定の対象にのめり込み過ぎないためには、物理的にのめりこめないような対象のお世話をするのも手です。
World Vision
をご存じでしょうか?
貧困国の子どもが教育を受けることを支援する団体です。
こういうボランティア団体には、私腹を肥やす悪徳団体もあるので注意が必要ですが、World Visionは大丈夫だとわたし個人は判断したので、少し前までスポンサーシップに加入していました。
申し込むと、自分が支援する子どもを教えてもらえます。
例えば
「貴方の基金で学校に通うのは、アフリカの〇〇くんです」
という風に。
そして〇〇くんの写真が送られてきて、時々〇〇くんからお手紙や絵が送られてくるんです。
「学校でこんなことをやったよ!」
という感じですね。
自分が援助する子どもが一定の年齢になるなどして助けが必要なくなったら、事務局の方で別な子どもをまた選んでくれます。
わたしは、個人的にWorld Visionの援助システムは、共依存の方にとても向いていると思っています。
まず、〇〇くんには遠すぎて、とっても毎日会いになど行けません。
のめり込みようがありませんし、〇〇くんを自立させないように縛り付けることもできません。
〇〇くんから時折受け取るお手紙や、成長の様子を報告書で受け取ることで、自分の存在価値を見出すことができます。
〇〇くんが巣立っても、またすぐに別の子どもを支援することになりますから、〇〇くんの巣立ちを心から喜ぶことができます。
そういう意味で、World Visionをひとつの例としてご紹介させていただきました。
※本団体が本当に信用できるものかについては、わたしは責任を負うことができません。
ご自身で判断していただきたく思います。
●広く浅くお世話をしていると・・・
特定の対象やひとつのボランティア活動だけにのめり込まないように気を付けて、たくさんの人のお世話をしていると、そもそもアナタがひとりひとりにしてあげられることは限られてきます。
愛犬の”ケンちゃん”と共依存の関係にあった飼い主さんが、ふと気づくと
「ケンちゃん、キミもちょっとくらいはひとりでお留守番できるようになってくれないと困っちゃうわ。ママ、忙しいんだからね!」
なんて言う日がやってきたら・・・
もうその飼い主さんは共依存から抜け出していますし、ケンちゃんがママ依存症から抜け出す日だって近いでしょう。
このように、たくさんの人に、広く浅くお世話を焼くことによって、もうひとつイイことがあるんです。
それは、長くなってしまうのでまた次回にお話することにします。