前回ブログのつづきです。
【うちの子はどのタイプ?(3)】
●ハンタータイプと乳母タイプ
このふたつの専門職について、家庭犬に当てはめることは難しいと思っています。
でも念のため・・・
エリス氏は次のように言っています。
◇ハンタータイプ
「ハンタータイプの犬は、しなやかで屈強そうな犬で、痩せているが筋肉質で足が速く、すごいスタミナがある
常に動くものに注目しており、鳥の後に忍び寄ったり、木の葉や鳥の毛に飛びついたりしている。」
ま、そうでしょーねって感じです(笑)
群れの中で、最もハンターに適したフィジカルと能力を持ったものが、その役割を担うということでしょう。
いわゆる猟犬として育種された犬種には、こういう子が多いですね。
◇乳母(タイプ)
乳母(うば)といっても、子どもの狼にお乳をあげるのはお母さんの役目なので、
「オッパイがよく出そうな狼がなる」
というワケではないんです(笑)
狼の群における乳母というのは、子どもたちに離乳食を食べさせながら身の回りのお世話をし、社会(群)のルールや生きる術(すべ)などを教えてあげる、人間でいうと「ナニー」のような存在ですね。
乳母の役割をアルファのメスから仰せつかるのは大抵の場合、引退したアルファのメスが多いということですから、言ってみれば資質というよりも先輩ママの子育て経験が重要視されているように思います。
いずれ、現代のペットとしてのワンちゃんのライフスタイルとはあまり関係がないタイプですね。
●オメガタイプの犬
このタイプの子は、ドッグランやケージレスのペットホテルなどで他のワンちゃんたちと接する機会が多い子ならば、すぐに見分けがつきます。
争いごとや犬同士の不穏な空気を読み取ると、他の犬とはまったく違う特徴的な行動をとるからです。
仲介役であるオメガタイプの犬は、他の犬同士が争っていると、間にスッと割って入ったり、すっ飛んで行って普段は出さないような物凄い声を出したりします。
そして、最終的にはその争いを見事に鎮めてしまいます。
我が家にやってきた、元繁殖犬の保護犬「チャコ」は、間違いなくこのオメガタイプの犬です。
昨年の秋、茅ヶ崎の河原にある小屋で飼育されていた30頭の犬たちの飼い主(繁殖屋)が飼育放棄をし、30匹は保健所に引き取られました。
その中の1匹が、我が家にやってきたチャコです。
やってきたその日から、まるでずっとここにいたかのように他の犬たちともスっと馴染んでしまったチャコのことを、わたしたちは最初、
「さすがに30頭もの仲間たちと暮らしていただけあって、社会性が抜群だね!」
と感心したものです。
もちろん、そういう側面もあったのでしょう。
けれども、チャコがまるで空気のように他の犬に馴染んでしまったのは、今思えば彼女がオメガタイプだったからではないかと感じています。
どんなタイプの犬がやってきても、必ず最初は「オラオラ」と一発かますナツ(エンフォーサータイプ)も、チャコにはただの1度も高圧的な態度を見せませんでした。
どんなタイプの犬がやってきても、必ず最初はオドオドしてへっぴり腰で吠えまくるボス(下位のメンバー)も、チャコには初対面の時から臆することなく近づいていきました。
また、チャコはまったく吠えるということをしない子だったので、わたしたちは最初、チャコが繁殖屋によって声帯を切られてしまったのだろうか?と疑ったくらいでした。
けれども、そうではありませんでした。
●オメガ犬「チャコ」
Pet Hotel 11!でお預かりしているワンちゃん同士がケンカになりそうな時、もちろんわたしたちが割って入るのですが、チャコはその前段階・・・つまり、わたしたちが見逃してしまいそうな「ちょっとヤバそうな空気」になるとそんな空気を和ませに行くのです。
例えば・・・AくんがBくんにしつこく「遊ぼう」と付きまとっていたとします。
Bくんもまんざらでもない様子で、しばらくはAくんの相手をしていました。
でも、ある時点からBくんがもうAくんに追いかけられるのを本当にイヤだと感じて迷惑そうにしているような時・・・
わたしたちはまだもう少しその成り行きを見守ろうか、それとももう止めるべきか見極めようとしている・・・そんなタイミングで、ずっと離れたところでゴロゴロしていたチャコが、迷うことなくまっすぐにAくんとBくんの間に割り込んで、お腹を出しておどけたようなしぐさをすることが何度もありました。
チャコのしぐさは、ともするとまったく空気が読めていない子が、突然他の子たちの間に割り込んできて突飛なことをしているだけのように見えます。
けれども、チャコはそんな風にして、結果的にまるで魔法のような鮮やかさでその場の空気を変え、AくんとBくんのケンカを未然に防いでしまうのです。
もしかするとAくんは
「今何してたんだっけ・・・?」
という感じになって拍子抜けしてしまうのかもしれません。
もしも、チャコが介入することなく、わたしたち人間の判断で
「コラッ!Aくん、もうやめなさいっ!」
とBくんからAくんを引き離した場合・・・叱られたので仕方なく一旦Bくんから離れたAくんは、わたしたちの顔色を見ながらまたもや何度もBくんを追いかけるでしょう。
そのたびに何度も何度も注意され・・・やっと諦める時もあれば、ついにBくんとは別のエリアに連行されてしまうこともあるという感じです。
それを、一発で完全にやめさせるチャコは、本当にすごいと思っています。
チャコを引き取ってから数か月経ったころ、チャコがビックリするほど大きな声を上げるのを聞きました。
声帯が切られているなんてとんでもない!
実によく通る声でした~♪
(あんな声でしょっちゅう鳴かれたらたまらないってくらいに・・・)
その時は、同じ空間にいるワンちゃんたちにピリピリと緊張感が漂っているような時で、特に誰と誰がケンカをしているということはなかったのですが、チャコはきっとこの空気を放置していると間もなく争いが起きると察知したのかもしれません。
いつもは決して声を発することのないチャコが、とんでもなく大きな声を出したことに、わたしたちも犬たちも、ちょっと呆気にとられてしまい、やはりガラリとその場の空気が変わったのです。
●エンフォーサー犬「ナツ」
犬同士の争いが起きそうな場面では、めったにありませんが、稀に、大御所登場!みたいな感じで エンフォーサータイプのナツも活躍することがあります。
じゃれ合って遊んでいた2匹のワンちゃんたちが、興奮しすぎていつしか本気のケンカに発展しそうなタイミングで・・・
例によってチャコがどこからともなくノコノコとやってきて、2匹の間に割って入ります。
けれども、2匹の勢いがあまりに激しく、弱っちいチャコがふっ飛ばされてしまったような時・・・
そこに、今まで関心なさそうに振る舞っていたナツが、物凄い勢いですっ飛んでくるのです。
「ヤベぇ!サツが来たぞっ!!」
ってな感じでしょーかね(;'∀')
ナツはすんごい顔で2匹のうちの「オマエ、やりすぎ!」という方に対して吠えたてます。
それがあまりに迫力満点なので、ほとんどの場合、吠えられた子はひるんでしまいます。
そこに、チャコがもめていた2匹の顔をかわりばんこにペロペロと舐めたり、ひっくり返って道化師のようにおどけて見せたりして場の空気を和やかに変えてしまうというワケです。
その連携とお手並みは美しいほどに見事で、わたしたちなどとても太刀打ちできません。
ただ、チャコもナツもとても小さいため、大きなワンちゃんが相手の場合は、もちろんわたしたちが割り込んで止めることになります。
それでも、割り込む必要がある状態か?をチャコやナツの動きを見ているとかなり的確に判断できるので、わたしたちは本当に助かっています。
え?ボスはどうしたって?
もちろん、ボスは他のワンちゃん同士がケンカになりそうな状態になると、活躍するチャコやナツの様子をずーっと後ろの方からワンワンワンワン吠えながら
「わぁわぁタイヘンだぁーーっ!大変ですよぅ~~!」
って見つめているんですよ~(笑)
ボスだって、ちゃーんと下位メンバーとしての役割を果たしているんだよね?!ね?!
<今日のPet Hotel 11!>
オメガタイプのチャコ(右)と エンフォーサータイプのナツ(左) |
そして・・・ 下位メンバーのボス (気楽でいいよね~~ 笑) |
Cくん「ねえねえっ!ねえったらねえっ! ・・・・ったらねぇーーっ!!」 Hちゃん「Cくん 遊ぼっ♪」 Cくん「やだっ!ねえったらねえっ!!」 |
Hちゃん「ボス~、Cくんが遊んでくれないの・・・」 ボス「ボクも遊ばないよ、言っとくけど」 Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン |
Hちゃん「Cく~ん、ボール楽しいよ~~!」 Cくん「いらないっ!犬にもボールにも興味ないんだ!」 Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン |
はじめまして。Tちゃんです。 一晩お世話になりますぅ~ |
Nちゃん、いらっしゃ~い♪ みんなにごあいさつしようね~! |
Tちゃんは堂々としているNちゃんに かなりキンチョー気味(;'∀') |
Cくん「ねえ!風が強いんですけどーー?!」 そだねぇ~(笑) Cくん、お散歩とっても上手だね! |
Tちゃんもとってもおりこうに歩きました♪ |
Nちゃんも、一生懸命よく歩いたね! |