前回ブログのつづきです。
【なぜこんなことになったのか 3】
●動物愛護管理法と遺失物法
前回、生き物を「所有物」と位置づけることで、迷い犬(猫)が「遺失物」として扱われることの法的矛盾についてお話しました。
ここで、少し難解ではありますが(法律ってどうしてこんなに解りづらい文章で書かれてるんでしょ?!)
「動物愛護管理法」と「遺失物法」のビミョーな矛盾点や、今回のめぐちゃん裁判の判決が、いずれの法に照らしてもおかしいと私が感じる点についてお話したいと思います。
それぞれの項の下に書かれている太字(青字)部分は、わたしが簡単な言葉に訳したものです。
◇動物愛護管理法
飼い主(所有者)が不明の犬や猫の取り扱いについて、動物愛護管理法(以下動物愛護法)ではどのように取り決められているのでしょう。
該当するのは第35条の4項と6項です。
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第35条4項
都道府県知事等は、第一項本文(前項において準用する場合を含む。次項、第七項及び第八項において同じ。)の規定により引取りを行つた犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。
第35条6項
都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及び猫の引取り又は譲渡しを委託することができる。
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保健所は、引き取った犬や猫を殺処分しなくて済むように飼い主を探す努力をして返してあげてね!
飼い主がいなそうな子や、飼い主自身が持ち込んだ子、飼い主が見つからない子は、新しい飼い主を募集して譲ってあげてね!
動物愛護団体やその他の人に(←誰でもいいってことですね)犬や猫を引取ってもらったり、他の人に譲り渡してもらったりしてもイイヨ!
どーです?
もしも、Aさんが警察ではなく保健所にめぐちゃんを連れて行っていたら、保健所(都道府県)は独自の判断で
保護団体に引き渡したり・・・
新しい飼い主に譲ったり・・・
殺処分したり・・・
つまり、どうにでもできることになっています!
ポイントは、期間や期限といった”縛り”がまったくないことです。
でも、Aさんはめぐちゃんを保健所に連れて行けば殺処分される可能性があるからこそ、そうしないで、あえて警察に「拾得物」として届けたのでしたね?
そのため、皮肉なことにAさんは「遺失物法」という法律に縛られることになってしまったのです!
では、Aさんを縛ることになった「遺失物法」を見ていきましょう。
◇遺失物法
遺失物法について、調べましたよ~(タイヘンだった~)(-_-;)
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第4条1項
拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。(以下は無関係なので省略)
第4条3項
前の規定は、動物の愛護及び管理に関する法律第三十五条第三項に規定する犬又は猫に該当する物件について同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については、適用しない。
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遺失物を拾った人は速やかに所有者に返すか、警察に届けなきゃダメよ~!
でも、犬や猫を拾って保健所に引き取ってもらった人は例外よ~!
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第7条1項
警察署長は、提出を受けた物件の遺失者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 物件の種類及び特徴
二 物件の拾得の日時及び場所
第7条4項
警察署長は、公告をした後においても、物件の遺失者が判明した場合を除き、公告の日から三箇月間(埋蔵物にあっては、六箇月間)は、前二項に定める措置を継続しなければならない。
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警察は、拾得物を受付けて、その所有者が判らない時は、どんな物がいつ、どこで拾得されたかを公表しなさーい!
所有者が現れない限り、3か月間はそれを続けることー!
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第9条1項
警察署長は、提出を受けた物件が滅失し、若しくは毀損するおそれがあるとき又はその保管に過大な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、これを売却することができる。(以下無関係なので省略)
第9条2項
警察署長は、前項の規定によるほか、提出を受けた物件(埋蔵物及び第三十五条各号に掲げる物のいずれかに該当する物件を除く。)が次の各号に掲げる物のいずれかに該当する場合において、公告の日から二週間以内にその遺失者が判明しないときは、政令で定めるところにより、これを売却することができる。
一 傘、衣類、自転車その他の日常生活の用に供され、かつ、広く販売されている物であって政令で定めるもの
二 その保管に不相当な費用又は手数を要するものとして政令で定める物
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警察は、受け付けた落とし物が無くなっちゃったり(アイスとか?) ダメになったり(生鮮食料品とか?) 保管に費用や手間がかかったり(ペットとか?)する時は売っちゃってもいいよ~!
それ以外にも、傘や衣類、自転車その他のポピュラーな日常生活用品なんかは、2週間以内に持ち主が現れなければ売っちゃってもいいよ~!
・・・ま、売っちゃってもいいってことは、売れない場合は処分していいって言っているんですね。
売れれば国の収益になります。
少なくとも、これらの品目については、2週間経っても名乗り出なかった場合、所有者の所有権はもう主張できないってことをハッキリ言っています。
おや?動物も含まれていますよねぇ???
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平成十九年政令第二十一号
遺失物法施行令
第3条2項
法第九条第二項第二号(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)の政令で定める物は、動物とする。
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さっき、2週間以内に売っちゃっていいって言ったけど・・・
「その保管に不相当な費用又は手数を要するものとして政令で定める物 」
っていうのは、ハッキリいうと「動物」のことだよ~!
法律が判りにくいってどっかから苦情でもきたんでしょーか?
とにかく法律に後付けされている「施行令」でわざわざ「動物だよ」って説明していますね(;'∀')
やっぱり、動物は2週間待っても飼い主が名乗り出なかった場合、警察が売っちゃっても(処分しても)いいってことになっています。
◇矛盾点
さて・・・難解な法律文書のせいで頭から煙が出てきそうですが・・・
要するに「動物愛護法」と「遺失物法」の矛盾点は、
動物愛護法において、迷子犬などを保護した人が保健所に届け出た場合、元々の所有者の所有権が「いつまで有効か?」は決められていません。
極端なはなし、保健所が引き取った当日に誰かに譲渡したって問題ないってことになっています。
一方、遺失物法においては、落とし主(失くし主)の所有権は3か月有効(モノによっては2週間有効)と考えられています。
前々回のブログでお話した通り、保護された犬(猫)が遺失物かどうかの判断基準自体が曖昧な上、遺失物として警察に届け出た場合と、迷い犬として保健所に届け出た場合で、こんなにも処遇が違うのはいかがなものでしょうか?
◇なぜ、めぐちゃんの所有権は3か月有効なの?
そして・・・何よりも不思議に感じるのは、今回のめぐちゃん裁判の判決です。
たとえ、「動物愛護法」を一切無視して「遺失物法」だけを判断基準にした判決だとしても、やはり納得がいきません。
なぜなら、動物を警察が預かった場合は「2週間経ったら売ってもいいよ~!」って「遺失物法」に明記されているではないですか?!
裏返せば、所有者の所有権が認められるのは2週間だけだってことです。
一体法律のどこに、
「動物でも、拾得者が自宅で預かった場合は元飼い主の所有権が3か月有効である」
なーんて書いてあるんでしょうか?
なぜ、めぐちゃんの裁判では元飼い主の所有権が3か月有効という判断されたのか、わたしにはサッパリ理解ができません。
(どなたかおわかりになる方は教えてくださーーーい!)
このお話はまだ次回につづきます。
<今日のPet Hotel 11!>
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