前回ブログのつづきです。
【群での役割や地位はどうやって決まる?】
●役割はオッパイで決まる?
前回、狼の群における役割、それぞれの「使命」についてお話しましたが、そもそもこういった役割はどの段階でどのようにして決まるのか?ということは、まだまだ多くの謎に包まれていました。
けれどもエリス氏は「狼の群れと暮らした男」の中で、それは生後数週間で決まると言っています。
狼の群において、アルファのメスは出産後 丸1週間は子供たちの元を決して離れず、授乳と保温に努めます。
その後、自身の栄養補給などのために巣穴を出てくるようになった後も、生後5週間は子供たちにつきっきりで世話をします。
その際、アルファのメスはどの子がどのオッパイを吸うかに何らかの影響を与えることができるといいます。
そして、お母さんのオッパイは、中央ほど出や栄養がよく、端にいくほど栄養状態が落ちるのだそうです。
生まれ落ちた直後から、子供たちはお母さんのオッパイをめぐって地位を争っているんですね。
真ん中の方のオッパイを吸うことができる(または母狼から許される)子は、質のいい乳を吸うことができるので成長もいいんです。
更に両側を常に、端に追いやられた他の子どもたちに挟まれていることで保温状態もよいというわけです。
この産まれて間もなくのオッパイ争奪戦の勝敗は、成長した後にもそのまま影響を残し、真ん中のオッパイを吸うことができたものは高い地位につくことができ、群れの中でも栄養の良い餌を食べるようになるため、濃厚な匂いを身に着け、他の狼たちから高い尊敬を受けるようになるのだといいます。
●生き残りをかけた選別
現代を生きるわたしたち人間から見ると、産まれたばかりの子狼のオッパイ争奪戦が、将来のその子の群における地位を決定づけてしまうことは「厳しい」とか「冷たい」と感じて、中には
「え~?!かわいそうよ!みーんな順番に真ん中のオッパイも吸わせてあげればいいのに~!」
なんていう意見が出てくるかもしれませんね。
でも、厳しい自然界を生き抜くためには、群全体のことを考えた厳しい選別が不可欠だということです。
他の兄弟を押しのけて真ん中のオッパイを吸うことができる子は、力が優れているか、運動能力が優れているか、頭がいいかですね。
恐らくお母さん(アルファのメス)は子供たちの争奪戦の様子を観察することによって、子供の資質を見極め、群に必要な資質を備えた子に優先的に真ん中のオッパイを吸わせるように仕向けているということなのでしょう。
エリス氏が野生の狼の群を離れてから、狼の保護区においてメスの出産に立ち会った時のエピソードです。
4匹の子どもを産んだ母狼「エルー」は最後に産まれた身体が小さく弱々しい「シャイアン」を明らかに他の子どもに寄せ付けず遠ざけていました。
そのため、シャイアンの身体は保温されることなく冷たくなり、エリス氏が発見した時はキケンな状態でした。
エリス氏は、このままではシャイアンが死んでしまうと判断し、自分のジャケットで保温し、ミルクを懸命に飲ませようとしますが、なかなか飲みません。
その後も獣医師にシャイアンを連れて行き、献身的に面倒をみましたが、結局シャイアンは死んでしまいました。
その時、エリス氏は気づきます。
「エルーは最初からこの子が長くは生きられないことを知っていたのだ。
だからわざと彼女を端に押しやったのだ。
母が病弱の子どもにつきっきりになれば、他の子どもを食べさせることができなくなる。
大自然は母に”生き延びる子供をかまいなさい”と告げたのだ。
わたしは何も知らない世界に干渉していたのだ。
もう二度とそんなことはしない・・・」
このように、産まれて数週間で、狼の子どもたちの将来の地位や役割はある程度決まってしまうのですね。
そう考えると、ワンちゃんたちの気質も同じようにごく幼い時に決まっていると考えられるかもしれません。
●群に必要な栄養とは何か?
ちょっと余談になりますが、とっても興味深い話題について触れさせてください。
前回、獲物を仕留める役割はハンターという専門職の狼が担っているけれど、そのハンターにどの獲物を仕留めるかを指示するのはアルファのメスだというお話をしましたね。
アルファのメスは、「ちょうどその時、彼ら(群)の生活に必要な食糧となる餌」を狙って来いと命令します。
それが彼らの群における社会的秩序を維持するうえでも大事な役割を果たしているんです。
アルファのメスは、苦労せずに捕まえられるような怪我をした動物は無視する能力を備えています。
怪我を負うような弱い個体は、栄養価としても優れていないという判断ですね。
その代わり、彼らが必要としている栄養を得られる健康な動物だと目をつけると、一週間かけてでも追いかけるようハンターに指示します。
けれども、アルファのメスはいつもいつも栄養価の高い動物だけを狙うように指示しているとは限りません。
「ちょうどその時、彼ら(群)の生活に必要な食糧となる餌」
でしたね?
たとえば、
すぐ近くにライバルとなる他の狼の群がいそうな場合は、縄張りを防衛できる体力をつけるために、パワーが出るような食材を獲物として狙います。
寒い冬をしのぐ時期には、その後しばらく餌にありつけなくても体温を温存できるような脂肪分の高い個体を選んで狙います。
それだけではありません。
アルファのメスは、自らの出産が近づくと、年取った動物や健康ではない獲物を意識的に群のために選ぶようになります。
それは、群のエネルギーレベルを下げて、産まれてくる子供たちに血気盛んなメンバーが危害を加えないようにするためなんです。
そして、母犬と一緒に5週間巣穴にこもっていた子供たちを巣穴から出して、いよいよ群のメンバーに紹介する前になると、アルファのメスは母牛の乳をまだ吸っているような子牛を好んで選び、群に食べさせます。
子牛の胃袋に残ったミルクの成分は心を落ち着かせ鎮める働きをすることをアルファのメスが知っているからです。
そうすると群のメンバーたちは身体だけ大きな子狼のように、従順でおとなしく寛大になり、食事時に毎回起こるような争いもまったくなくなるというんです!!
そうなったのを確認して、アルファのメスは子供たちを巣穴から出して群に紹介するんですね~!!
エリス氏は、群の性格を一変させてしまう食べ物の重要性から、犬の飼い主さんにもフードを状況に応じてどう選ぶべきか?というヒントを与えてくれています。
ちょっと横道にお話が逸れてしまいましたが、食べ物のお話をもう少しした後で、ワンちゃんの性質のお話をさせてくださいな。
つづきはまた次回に!(;'∀')
<今日のPet Hotel 11!>
ひさしぶりにお客様ワンコがいなくて ごっきげんなボス(笑) |
ボールだって独り占め~~♪ |
ヤッホーーーーイッ♪ |
お客様ワンコがいてもいなくてもマイペースなチャコ |
こちらも・・・いつもの通り |
マイペーーース (;^_^A |
あれれ?!誰かきたよっ!? |
チャコ「こんにちは~!」 ボス「チェッ今日は誰も来ないって・・・ お庭番の嘘つきっ!」 見学のワンちゃんたちだよーー(;^_^A |