2018年6月13日水曜日

手に負えないペット⑤(”なつ”の元飼い主さん)

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回ブログのつづきです。


【”なつ”のこと】


●動物想いのHさん


Pet Hotel 11!の超長期お預かり犬”なつ”(チワックス6才)の飼い主はわたしの母です。

”なつ”が母のところに来たいきさつを、ずっと以前にもこのブログでお話しましたが、もう一度お話させてください。

”なつ”は母が2番目の飼い主です。

最初の飼い主さん(仮にHさんとします)は、動物が大好きで日ごろから人間の勝手で不幸な目に遭わされる犬や猫をなんとかしたいと、個人的にできることを探し、積極的に行っているような方でした。

Hさんは当時、”なつ”を含めて3匹の犬を飼っておいででした。

そのうち1匹は他の飼い主さんが飼えなくなってHさんが引き取った子。

”なつ”は咬み合わせが「アンダーショット」だという理由からか、ペットショップで売れ残っていた子でした。

いずれも、Hさんに救われた子たちです。



●苦渋の決断


ところが、Hさんはご家庭の事情が変わり、犬たちを飼うことができなくなってしまいました。

Hさんは必死で新しい飼い主探しに奔走され、その結果”なつ”は母のところにやってきました。

(ちなみにもう1匹も母の友人が引き取り、現在とても幸せに暮らしています)

残った1匹はHさんご自身のお母さまのおうちにいます。


日ごろからSNSなどで動物愛護についての記事を投稿したりシェアしたりしていたHさんが、ご自身の犬を最期まで面倒みることなく手放すことに対して、当時多くのバッシングがあったようです。

わたし自身、当時はHさんご本人と直接お目にかかったことがありませんでしたので、外野からの情報しか知らずに正直、


「ずいぶん身勝手な人みたいね。犬たち可哀想に・・・」


と思っていました。



●奇跡の再会


それが、不思議なご縁でSNSで偶然Hさんをお見かけしたことから、3匹の犬たちの同窓会をすることができ、初めて直接Hさんにお話を伺うことができました。

その時わたしは、単刀直入に疑問に感じていたことを伺ったのですが、事情をきいて


「そういうことだったのか・・・であれば仕方なかったでしょう。

ご自身が一番不本意だった中で、最良の選択をされたんだな」


と感じることができました。

(ここで、その内容を明らかにすることはいたしませんが・・・)


ペットの終生飼養を強く呼びかけていたHさんご自身が、最愛の愛犬を手放すことは、大きな挫折だったと思いますし、なによりも可愛がっていた愛犬との別れは胸が張り裂けるような思いだったことでしょう。

そこに追い打ちをかけるようなバッシングを浴びながら、当時のHさんはどんなにお辛かっただろうかと、想像すると胸が痛みます。


その後も何度か3匹揃って同窓会をしましたし、今後も事情が許す限り続けるつもりでいます。

3匹はHさんに抱っこされ、それはそれは嬉しそうに甘えるんですよ♪


”なつ”やもう1匹の子が心の中で何を思っているのかはわかりません。

けれども、同窓会が終わりHさんがお帰りになる時に”なつ”たちがHさんを後追いしたり、Hさんが帰ってしまった後に悲しそうに鳴いたりすることはありません。

もう、自分の居場所はココだということを理解しているからでしょう。

そしてもちろん、Hさんが今も変わらず自分たちを愛してくれていることを感じていることでしょう。


このような奇跡ともいえるご縁は、周囲の非難に屈することなく動物たちを思う信念を貫き続けたHさんの強い意志が引き寄せたものだと思っています。

実際、HさんがSNSでの動物愛護に関する発信をやめてしまわれていたら3匹の同窓会は実現しませんでしたし、Hさんも”なつ”やもう1匹の幸せをその目で確認することはかなわなかったと思います。




【理想と現実】


●4つのケース


手に負えないペット③(6匹の犬と共に家を追い出されたFさん)


に登場したFさんにしても、


手に負えないペット④(保護活動だったはずが・・・)


に登場したA女史にしても、

そして今回お話したHさんにしても、

みなさんむしろ、


動物虐待(ネグレクトも含めた)・ペットの遺棄・国による殺処分・無責任な飼い主による飼育放棄・悪質な繁殖業者・生体販売・・・・・


といった問題を憂いて、その人なりにできることを精一杯されていた人たちですね。


それから、


置き去りにされためぐちゃんのお話①


に登場しためぐちゃんの元飼い主は、どういう方だったのかそもそもわたしは存じ上げませんが、少なくともめぐちゃんを飼い始めた時から


「いつか公園に捨ててやろう」


などとは考えていなかったでしょうし、もしパピーのころから飼っていたなら少なくとも9年間は可愛がって育てていたはずですね。


いずれのケースを見ても共通して言えるのは、


「ペットの命を引き受けたら最期まで責任を持って可愛がるべきだということを百も承知で、当然そうするつもりでいたにもかかわらず、結果的にそうはできなくなってしまうことが人の人生にはあるのだ」


ってことです。



●現実を直視せずして解決はない


不本意にも、ペットを手放さざるを得なくなったり、適正に飼養できなくなる原因は、本当にいろいろでしょう。


家庭の事情、病気やケガ、経済的な問題、精神的な疾患などなど、挙げればキリがありません。

誰しもが、


「10年後も自分は今と同じように元気で暮らしているだろう」


と考えている一方で、


「10年後はどうなっているか分らない」


ということも知っていますよね。



あるペット関連のネット記事の中で、前回の記事でご紹介した板橋区の保護猫活動崩壊について、次のような見解が載っていました。


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だが、何より大切なのが、「ペットは家族という意識をもってもらうこと」ではないだろうか。

家族だったら簡単に捨てるという選択はとられないはず。

この当たり前のことが共有されることで「捨てられる猫」は減っていくのではないだろうか。
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なるほど・・・正論中の正論です。

ペットを簡単に捨てる人がいなくなるのが一番に決まっています。

捨てられる猫が減れば、A女史のような保護崩壊も起きてはこないのでしょう。


でも、それが簡単にはできないから今のようになっていると考えるのが現実的なように、わたしは感じています。


今現在、何の問題もなく愛犬と幸せに暮らしている全国の飼い主さんに


「その犬、飼育放棄したりしないで絶対に一生面倒を見てあげてくださいね~!」


と呼びかければ、ほぼ全員が


「何を言っているんですか!そんなこと当たり前ですよっ!!!」


と答えるのではないでしょうか。

でも、現実にそうはいかなくなる人も少なくないんです。


そして・・・

とても残念なことですが、家族(人間の)を虐待したり、殺害したりするような人がいるのも事実です。

そしてもっと残念なことに、重い刑を科してもそういったことがゼロになっていないのが現実です。


この問題は、精神論や理想論だけでは、いつまでたっても解決しないことを、国と多くの人々が認めることがスタート地点のように感じています。


「悪徳繁殖業者がいなくなればいいんだ」

「ペットを放棄するような人に”家族”だと思ってもらおう」

「悪いのは誰だ?アイツだ!」


どれも間違ってはいませんが、そういう単一的な問題ではないことは、実はみんなわかっているはずです。


そういうことを前提にして


「では、少しでも今よりも不幸なペットを減らすためには、ひとりひとりや社会が何をどうしていくべきなのか?」


を話し合っていくべき時がきているように思います。




長くなるので、つづきはまた次回にします。





<今日のPet Hotel 11!>

どうも~ ウワサの”なつ”でーーーす!

みんな海岸が大好き♪

カニさんいないかなぁ~~~・・・

ボスがボールを発見!!
「やった(はぁと)」

Cくん「あ、ねえねえボスくぅ~ん」
ボス「ダメだよ!ボクが見つけたんだから」

Cくん「え、でもさあ、ボクにも遊ばせてくれるでしょ?」
ボス「ダメ!ボクが持って帰ってボクが遊ぶの!」

Cくん「へへへ、今のうちに遊んじゃお~っと」

ボス「おい!Cくん~~~?!」
Cくん「・・・・・」

Cくん「えへへへへ・・・・」
ボス「あははは・・・・」

その後、「死んでもボールを離さないぞ!」のCくん

取り上げようとすると、このように前脚でガード(笑)

それいっ!誰が取るかなーーー?!

結局Cくんかーーーい!
無念の表情のボス(笑)

Cくん「どんなもんだ~~い♪」

Cくん「ボクのボール♪♪♪」